海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「中国はなぜ人民元の切り上げを許すのか」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2010年06月22日 | 国際経済
ベルリン・フランクフルト発:曖昧な声明が既に株式市場の休日気分に配慮している。そして全世界からの称賛にも配慮している。「非常に歓迎できる展開だ」とIMFのストロス=カーン総裁はコメントした。「建設的な一歩だ」とバラク・オバマ大統領は述べた。二人は同じことを意味している。人民元のドル・ペッグを次第にゆるめる中国が決定したのだと。
 アナリスト達も喜んだ。DAXは月曜日明らかに上昇した。「市場は、貿易戦争を防ごうという中国の努力に敬意を払った」とヴァールブルク銀行のクラウス・ゲルリッッツは言った。
 フランクフルトの株式市場では、鉄鋼株と自動車株が上昇した。「より柔軟な為替政策を採るという中国政府の声明がこれらの株価を引き上げた」と市場アナリストのハイノ・ルーラントは言った。
 中国がその約束を実際に実行するならば、国際的な競争はより公平になるだろう。ヨーロッパや米国の企業は、その生産物を今より安く売ることが出来れば、人民中国からの強力な競争力に対してより良いチャンスを持つだろう。逆に、中国からの商品は、高価になるだろう。「現在、既に、中国での自動車の需要は上昇しているが、人民元が上昇すれば、この傾向はさらに強まるだろう」とアナリストのフランク・ビラーは断言した。
 特に米国にとっては、元の切り上げは、救いとなるだろう。米国は、やっとその莫大な貿易赤字を減らすことが出来る。国際貿易は、均衡がとれるだろう。
 もっとも、多くの人は、中国政府には、人民元の市場に適した評価を目指す全く別な理由があると言っている。なぜなら、ワシントンとブリュッセルからの訴えが繰り返し行われたが、これまで北京を動かすことは出来なかった。場合によっては、西欧からの公的な圧力はかえって切り上げを妨げた。「アジアでは、メンツを保つことに多くの価値が置かれている」とメツラー銀行の新興市場専門家であるハルトヴィッヒ・ヴィルトは言った。
 長期的には、中国は、安価な工場としての地位を保つことはできない。昨年は、賃金と労働費用とは、非常に上昇した。とっくに他のアジア諸国では、もっと有利に生産されている。共産党指導層は、この問題を認識した。そして、生産拠点から産業革新の立場への転換を推進している。電子産業、自動車産業、バイオ産業は、強力に推進されている。
 キールにある「経済研究所」のリウ・ワンシンによれば、人民元をもはやドルに連動させないという決定でもって、産業に対して一押しするつもりなのだ。」なぜなら、中国の企業は、安い労働力に依存するよりは、むしろ、もっと強力に新しいテクノロジーに依存するように強いられているからだ。(後略)
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