海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

ブッシュ、イラクの選挙に失敗」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2007年08月31日 | イラク問題
イラク暫定政府のアヤド・アラウイ元首相は、先週、テレビのインタービューで、イラクの戦後の一番理解されていない転換点の一つを示唆した。それは、2005年1月に行われたイラクの国会議員選挙である。
 「われわれの敵対者は、経済的に他の方面からたっぷり援助を受けていた。われわれには経済的援助がなかった」とアラウイ元首相はCNNテレビのウオルフ・ブリッツァーに語った。「われわれはわれわれを支持するイラク人以外からは何らの援助を受けないで、選挙戦を戦ったのだ。」
 アラウイの言葉の背後には、イランの政治的干渉と対決するひそかな行動計画を実施するかどうかについての陰謀と米国の不決断についての物語が横たわっている。このような計画は、中央情報局CIAによって念入りに作られたが、後で下院の民主党体表ナンシー・ペロシと当時国家安全保障委員会顧問だったコンドリーザ・ライスを含むあり得ない連携からの反対によって引っ込められた。
 元政府高官によって物語られたように、この物語は、イラクでの米国の努力の多くを特徴づけている傲慢さとナイーブさの混合を表現している。ブッシュ大統領から、官僚に至るまでイラクの民主化には熱心だが、イランとその代理人が支配的な政治的勢力として台頭するのを確実にする行動を取ったのだ。
 CIAは、2004年の夏と秋に、イランが、2005年1月30日の総選挙を操るために、「連合イラク同盟」として知られるシーア派の連合体のためにイラクにお金をつぎ込んでいると警告した。CIAの一人は、イランの秘密の基金は、イランに友好的で、シーア派の大アヤトラであるアリ・シスタニ師の旗の下に集まった候補者のためのメディアと政治的作戦のために一週間に1千百万ドル(13億2千万円)が使われていると推定した。CIAは、選挙を有利にするために、毎週、イラク南部の諸州で投票登録するために、偽造の配給カードを持った5千名のイラン人が国境を越えていると報告した。
 このイランの潮流に対抗するために、CIAは、2千万ドル(24億円)かかる政治的行動計画を提案した。この活動は、イラク穏健派の候補者とスンニー派部族長の支配範囲及びイランの影響に対抗する他の努力に対する基金を含んでいた。秘密の行動計画は、2004年の秋に準備され、ブッシュ大統領の署名を得た。法律に定められていたように、ペロシを含む議会の高位のメンバーに報告された。
 だが、答申が署名されて一週間以内にCIA高官は、それが引っ込められたと聞かされた。
 バグダッドにいた情報員は、イラクの政治家に会い、分配された資金を返還するように求めた。CIAの高官が聞かされたところでは、ライス顧問とペロシとは、米国がイラクの民主制を祝いながら、他方でそれを密かに操作することはできないとう結論で一致したのだ。
 倫理的には、それは確かに原則的な考え方だった。しかし、イラクの現場では、スタート・ストップ行動は、穏健派で世俗的なイラク人の足下をすくう効果があった。情報局の答申を引っ込めた点について質問すると、ライスとペロシの報道官はコメントを拒否した。
 「イラン人たちは、戦場の命令を完遂した」と当時イラクにいた米国の官僚は回想する。
 「イラク人たちは混乱していた。彼らはアメリカ人が何をしているのか理解できなかった。アメリカはイラクをイランに差し出しているように彼らの目には見えた。われわれはワシントンにこれは不幸をもたらす出来事だと報告した。(中略)
 将来の歴史家は、ブッシュの行政府は、実際、新生イラクについての民主主義レトリックで生きていたが、ある時点でそれはイランの影響に対抗することを目指す行動計画を破棄したと記録すべきだ。現在、行政府は、イランがイラクに介入することに対抗しようとしている。だが、恐らく今となっては遅すぎる。
[訳者の感想]コラムニストのデービッド・イグネイシアスが書いた評論です。イランに民主主義を確立するという建前と裏で世論操作をするという矛盾を超えられれなかったということでしょうか。あれほど権力をもったブッシュがライスの意見を尊重したためでしょうか。ちょっと信じられないほどのナイーブさだと思います。
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「完全雇用が呪いとなるとき」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年08月27日 | 国際経済
彼らはムルフィンゲン、ツットリンゲン・ラーヴェンスブルク、ネッカール河畔のフライベルクにいる。そこから、彼らは世界市場に彼ら苦心して考え出した生産物を送り出している。エンジン、換気装置、気候シミュレーション装置、検査装置、組み立て工程などである。バーデン・ビュルテンベルク州出身の中間層は、世界市場の指導者である。彼らはどんどん増えている。彼らは皆同じ問題を抱えている。つまり、彼らには専門家が足りない。
「われわれにとっては、専門家不足は、最大の成長の障害だ」とツットリンゲンにあるビンデ株式会社のペーター・ビンダーは言う。彼は「中程度の破局」について語る。「われわれが毎年20%の成長率を保っているというのは幸運だ」とビンダーは言った。ツットリンゲンでは、300人の従業員が産業や研究設備のための天候シミュレーション装置を製造している。自動車産業は、10年間の天候変動を数日でシミュレーションするために、ビンダーの天候シミュレーション装置を利用している。製薬企業は、この装置で、さまざまな環境条件で薬品のもちのよさを試験している。この企業は、昨年1年間に1,600台もの装置を販売した。そのうち、80%は、外国向けである。「われわれは世界市場の上位産業のために生産している。そのために、ビンダーは、能力のある専門家、プログラマー、サービスエンジニア、製図工、特に技術者を必要としている。開発・測定・コントロール技術、製造のための技術者を必要としている。「われわれは工作台で仕事を始めたが、現在はわれわれは知識産業だ」とビンダーは言う。二年前に、新しい研究センターが開かれた。目下、さらなる製造工場が建設中である。製造面積は二倍になった。従業員の数は、500名に達するだろう。
このツットリンゲンの会社は、バーデン・ビュルテンベルク州のブームになっている会社に典型的である。2008年には、機械製造業は、成長の第6年目を迎える。こんなことは40年以来なかった。機械製造業は、ドイツ南西部で、2006年以来、1万件の仕事を作った。
機械製造業には、まだ、4000人分の仕事場が不足している。企業の4分の3は、空席を抱えている。特に求められているのは、技術者と専門工である。
「労働市場は、大部分、からになるまで掃除された。これらの席を埋めるのはますます困難になっている。」ドイツ南西部では、失業率は、4.8%まで下がった。ほかのどの州よりも低い失業率だ。
「労働力不足は、特に機械製造業部門の成長の妨げになっている。(以下省略)
[訳者の感想]ドイツ南西部では、機械製造業が盛んですが、景気が良くなったので、人手不足に悩んでいるようです。
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「メルケルにとって、人権は重要だ」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2007年08月26日 | 国際政治
緑の党は、中国訪問を控えたメルケル連邦首相を彼女の人権政策にかんして褒めた。「緑の党」議長のユルゲン・トリッティンは、『フランクフルター・アルゲマイネ日曜版』に「アンゲラ・メルケル首相が中国で人権問題に言及するやり方を歓迎する。彼女は、それによって、彼女の前任者であるコールやシュレーダーとは別の態度示した。彼らはほとんど経済的な観点でだけ中国を見ていた。」
けれども、この「緑の党」所属の政治家は、連邦政府は、人権政策とドイツ経済の利害とを結びつける仕方を知らないと述べた。「緑の党」の議長フリッツ・クーンは、中国の人権問題と社会的発展は繰り返しテーマにされなければならないと補った。
メルケル首相は、この日曜日、二度目の中国旅行に出発する。北京と南京では、特に経済的視点と環境保護にかんする協力が問題になる予定だ。だが、連邦首相は、民間人とも会いたいと望んでいる。
作家・新聞人・インターネットの専門家との対話では、重点は、思想の自由になるはずだ。毎週のビデオ会見で、メルケル首相は、土曜日に、両国の関係は非常に密接なので、「われわれは人権や生産物の質についての問題についても話し合うかもしれない」と述べた。
ヘッセン州首相のローラント・コッホは、北京に対して遠慮のない発言をするように励ました。「私は、中国の指導者たちと、たとえばチベット問題について忌憚なく議論できるという経験をした。オリンピック競技会を考慮して、中国指導部は、デモや信仰や報道の自由を可能にする力を持っているはずだ」とコッホは、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に語った。彼の見解では、「彼女にとって人権が重要であるあるだけでなく、彼女の前任者であるシュレーダーと違って、グアンタナモやロシアの事件でも繰り返し具体的にはっきりと発言していることは、彼女の長所だ」と述べた。
人権組織の「アムネスティ・インターナショナル」は、メルケル首相に、中国でもここのケースについて発言するよう求めた。「中国の危機的な人権状況について、連邦首相がはっきりした言葉を述べるならば、それは現場にいて、脅されたり迫害されている人権擁護派の人々に対するシグナルとなるだろう」とドイツの「アムネスティ部局」のバルバラ・ロッホビーラーは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に述べた。
連邦政府の「人権担当者」であるギュンター・ノーケは、中国で「オリンピック憲章」を守るように「オリンピック国際委員会」に訴えた。「JOCが競技場がきれいだと喜ぶだけで、その背後で人間に何が起こっているか問わないなら、JOCは、オリンピックの理念を裏切っている」とノーケは、本紙に語った。北京は、来年夏の競技がうまくゆくことに関心を持っている。「だから、まさにいま、中国に圧力を加えねばならない」と彼は言う。その上彼は、オリンピック競技会の訪問者・選手・ジャナリストたちに、彼らが「重大な人権侵害」に対して批判的でとらわれないまなざしを注ぐべきだと訴えた。
連邦首相の中国旅行にかんして、ノーケは、西欧が中国で自分たちの価値を意識的に代表せねばならないという見解を表明した。「中国は、われわれに協力が可能になる条件を押しつけてはならない」と述べた。その際、彼は、「メルケル首相は、特別の能力を備えている。彼女自身がかって独裁国(東ドイツ)で暮らしていた。そのことが彼女を人権侵害に対して感じやすくしている。このような政権の指導者のお世辞に負けややすくないのだ。彼女もまた、「訪問中、反体制派を評価するならば、それはこの国で人権侵害についての議論を引き出すだろう。」
[訳者の感想]メルケル首相に対する人権擁護派の期待は大きいようです。
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「国防省、中国の龍に対して警告」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2007年08月20日 | 中国の政治・経済・社会
ワシントン発:国防省でも、国務省でもホワイトハウスでも、「平和の使命2007年」という名札を信用していない。それは、上海協力機構の諸国がキルギスタンのビシュケクで開いた年次集会で行った軍事演習の名札である。このウラル南部の演習には、6500名の兵士が参加した。彼らは仮想国Aの政府が上海協力機構に軍事援助を要請した後でテロリスト集団に対して投入されたことになっている。
2001年に創設された中国とロシアの同盟にカザフスタン・キルギスタン・タジキスタン・ウズベキスタンの中央アジアの国々が参加しているが、彼らは、仮想のA国に援助を与える用意があり、国連の安全保障理事会の軍事的介入のための命令を得たということになっている。彼らはテロ集団を発見し、「短期間に彼らを壊滅させた」とロシア軍のウラジミール・モルテンスコイ中将は述べた。
6年前の同盟創設以来初めてのこの軍事演習には、6000万ユーロ(96億円)の費用がかかったが、ロシア大統領プーチンは、胡錦涛中国主席と中央アジア諸国の大統領をこの演習とそれに続くビシュケクからシベリア西部のチェリアビンスクまで飛行機で来させた。
中国は、1700名の兵士と戦闘機とヘリコプターを参加させた。カザフスタン・キルギスタン・タジキスタン・ウズベキスタンの部隊も、訓練に参加した。それはロシア軍の催し物であったが、外国首脳に対して武器のデモンストレーションの機会となった。
前日、六人の国家首脳は、共同声明で、地域の安全を維持することが上海協力機構の唯一の課題であると述べた。これは、米国に対する明白な目配せである。まぜならば、米国にとっては、この地域は、アフガニスタンとイラクへの軍事介入のための前進基地であり、イランへの隣接地域として、また、地域の石油と天然ガス産出によっても、非常に軍事的に重要な意味を持っているからである。2006年に、ワシントンは、ウズベキスタンから駐留米軍を引き上げなければならなかった。キルギスタンのマナス空軍基地を国防省はその後も利用している。
再び目覚めた「ロシアの熊」と並んで「中国の龍」は、もはやただの輸出大国であるとは思っておらず、その政治的経済的力をこの地域での軍事的手段とともに示そうとしたということは、ワシントンにとっては、何ら新しいことではない。「中国の軍事力」と題する国防省の最近の報告では、中国軍の増大する打撃力に対して以前にはなかったほどはっきりと警告している。人民軍の増大する軍事的能力は、--2百3十万人の軍人は、相変わらず世界最大であるが、アジア・太平洋地域を越えて影響を及ぼしている。
第一に批判されているのは、北京が軍事費の規模と武器費用を隠蔽している点である。三月には、北京は、公式に2007年度に防衛費を17.8パーセント増やし、総額450億ドル(5兆4千億円)にすると述べた。これは公式には、米国の毎年の軍事費の10分の1であるが、国防省と情報機関は、中国の軍事費が850億ドルから1250億ドルに達していると確信している。(以下省略)
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「アブ・サヤフは、小グループに分裂する」と題する『ネット新聞』の記事。

2007年08月19日 | テロリズム
フィリピンで、イスラムテロ組織「アブ・サヤフ」は、小グループへ分裂することによって、追跡を免れ、彼らの攻撃力を高めようとしている。フィリピン陸軍のルーベン・ラファエル中将は、金曜日に、問題は、陸軍がテロ・ネットワークの「アルカイダ」と結んでいると推定される反乱軍を壊滅させようと、部隊の増強していることへの反応であると述べた。
 テロ集団の「アブ・サヤフ」は、ムスリム住民が多いフィリピン南部にいる分離主義者集団のなかで最も残酷である。彼らは首都マニラの南方1千キロにあるスールー諸島で活躍している。そこでは彼らは多数の殺人や誘拐で有名になった。
特に、「アブ・サヤフ」は、2000年の復活祭の折、ゲッティンゲン出身のドイツ人家族ヴァレルトを誘拐したことに責任がある。ヴァレルトの家族3名は、数ヶ月後、解放された。
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「すべてのニュースは、良いニュースでなければならないと、中国政府」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2007年08月18日 | 中国の政治・経済・社会
北京発:中国政府は、メディアに肯定的なニュースだけを報道せよと命令し、共産党の最も重要な会議の最初に意見の相違に対する弾圧の最中に民主主義推進派の異端者を投獄した。
メディア統制は、強化された。胡錦涛主席が第17回全人代の準備をするにつれて、エイズの活動家やNGOは、活動を禁止された。そこでは次世代の国家指導者が、政治局の改造によって明らかにされる。
禁止された「中国民主党」の創設メンバーであるチェン・シュチンは、木曜日に、「政府を転覆するように人民をそそのかせた」というかどで有罪となったとき、最も厳しい罰を受けた。
せっ江省の杭州市の人民中級法廷は、彼を四年の禁固刑に処した。厳密に統制された伝統的なメディアのせいで、彼の近年のキャンペーンは、インターネットに制限されていたけれども、チェンは、断固たる共産党の批判者である。
「国境なきレポーター」というグループは、判決にぞっとして、「共産党から命令を受ける裁判所は、サイバー反体制派を取り締まり続けている」と述べた。パリに本拠地を置くこの団体は、「中国で捕まっているチェンや他の50人のサイバー反体制派やインターネット・ユーザーの釈放を求めるわれわれの訴えを繰り返している」と述べた。
正確な日時は秘密であるが、10月に予定されている全人代が近づくにつれて、国内メディアは、食品と製品安全についての独立の調査を行うことを禁じられた。北京では、首都の宣伝部は、今日始まった交通緩和措置のテストをどう報道すべきかについて編集者たちに詳細な指示を突きつけた。四日間の試験期間中、長さ1メートル以上の車は、道路を走らないように命じられた。地方新聞やテレビ局は、環境と輸送に対する改善についてのみ報道できる。不便な通勤者や混雑したバスについてのインタービューは、禁じられた。
たいていの国家メディアも、14人の犠牲者を出した中国南部の橋の崩壊について報道することを禁じられた。リポーターによると、彼らは役人に殴られ、事故現場から追い出された。
水曜日に、政府は、新たな規制を公表したが、それは虚偽のニュースや非合法のテレビ報道を禁じるものである。これは、明らかに、先月の「ダンボール肉まん」について虚偽の報道に対する返答である。このやらせ報道に責任があったジ・ベイジアは、1年の禁固刑に処せられた。
「この取り締まりは、事実に基づいて報道しようしている責任あるジャーナリストの頭に突きつけられた鉄砲だ」と「人権ウオッチ」のアジア代表であるソフィー・リチャードソンは述べた。
[訳者の感想]「ガーディアン」紙の中国特派員であるジョナサン・ワッツ記者の記事です。ここまで報道統制をしなければいけないということは、共産党と政府がメディアに手こずっている証拠だと思います。報道の自由がないところには、民主主義は育たないと思います。
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「不安と新たな自己意識の間にいるスンニー派」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』の記事。

2007年08月15日 | イラク問題
助けを求める叫びは、劇的に聞こえる。バグダッドのスンニー派は、「先例のない民族殺戮キャンペーン」に曝されていると、「イラク統一戦線」の議長であるアドナン・ドライミは、嘆く。シーア派民兵と殺戮集団の背後には、イランが働いていると、このスンニー派の政治家は見ている。これらの戦闘集団は、相変わらずスンニー派をバクダッドから追い出すそうとしている。彼らに対して適当な時期に抵抗しなかったら、彼らはその行為を隣接するアラブ国家に広げるだろうとドライミは、警告する。
目につくのは、シーア派のマリキ首相が、かなり長い滞在の後イランから帰国して、バグダッドで、すべてのスンニー派政治家が辞職した自分の政府を救うために、内戦の危機について述べたとき、スンニー派の政治家がアラブ人の連帯を求めたことだ。長い条件のリストが満たされたとき、初めて、彼らは政府に復帰しようと望んでいる。ドライミの「統一戦線」は、マリキの招待に応じて、遅くとも今週火曜日に予定されている会合に参加する予定の唯一のスンニー派政党である。
不安と落胆と新たな自己意識とが、最近、イラクのスンニー派の間に看取される。スンニー派政治家たちの間では、マリキに対する信頼は底をついたように見える。「イスラム聖職者連合」の議長であるシャイヒ・ハリト・アル・ダリは、月曜日に、マリキの「傀儡政府」との接触を停止するように、米国に要求した。他方、「民族対話戦線」のハミド・アル・ムトラグは、マリキに対して、自己賛美とシーア派よりの一方的政策を非難した。
 これに対して、イラク西部のスンニー派部族は、マリキとの密接な協力をする用意があり、過去数ヶ月の間に、真剣に受け止められる軍事的政治的勢力になった。特にアンバル州とジアラ州では、彼らはアルカイダに対して戦って成功を収めた。
専門家の見解では、テロ組織は、打ち負かされるどころではないが、数字がそれだけで雄弁に語っている。2006年夏には、毎週、アンバル州のあるイラク西部では、400件の武力衝突が数えられたが、2007年7月には、100件より少なかった。米国の研究所によると、今年初めからの軍事攻勢の成功の一部は、部族の新たな参加に基づいている。アメリカ軍は、部族たちを武器供与によって援助し、いくつかの部族と密接に協力している。
だが、部族はそれだけで満足していない。イラクから報道が間違っていなければ、彼らはもはやアルカイダに対してだけでなく、スンニー派を圧迫し首を絞めているシーア派民兵に対しても戦うことを望んでいる。だが、これらの武装したスンニー派は、部分的にバグダッドの指導的政治家と密接な結びつきを持っている。だから、マリキ首相は、部族の参加を賞賛した。しかし、同時に、彼は、スンニー派民兵を国の別の地域に投入することに対して警告した。その理由は、そんなことをすれば、シーア派とスンニー派との内戦になるだろうと言うことだ。
 イラク西部のスンニー派の最近の変化は、アメリカの軍事専門家であるアンソニー・コーズマンの見解では、特にマリキ政権次第である。「六ヶ月前に連合軍兵士やイラク治安部隊の兵士を標的にしていたスンニー派は、いまや、中央政府と協力するつもりである。ただし、政府が協力すればの話であるが。政府が彼らに金と地位と権力の一部を与えれば、彼らは忠誠宣言に署名し、正規の警察と陸軍に参加するだろう。けれどもそれは速やかに実行されされなければならない。なぜならば、部族の忍耐は限られているからである。そのための時間を4カ月から6カ月と見ている米軍将校の言葉を引用している。
 ますます多くの力と自律性とを考える部族は、マリキの率いる弱い政府にとっては、挑戦である。バグダッドの国民議会にとっても、彼らは、競争相手になるだろう。スンニー派部族の居住地域では、部族指導者は、遙かに大きな権威を持っているからである。
 マリキがスンニー派を政府に再び帰るように動かした交渉では、部族は、ある役割を演じたが、それには理由がある。「われわれが望んでいるのは、危機を終わらせ、大臣が帰ってくることである。だが、もしこれが起こらなければ、われわれは、われわれに助力を申し出ているシーア派の兄弟に目を向けるだろう」とマリキは、告知した。
[訳者の感想]イラク西部では、アメリカ軍は、スンニー派民兵と協力して、アルカイダを攻撃していたようです。しかし、スンニー派とシーア派両者の長年の対立関係から見て、両派が政府内部で一致協力する体勢は簡単にはできそうにありません。
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「ロシア、中国の善意に賭ける」と題する『ガーディアン』紙の論説。

2007年08月12日 | 国際政治
中国とロシアが主導する最初の六カ国同盟である「上海協力機構」(SCO)は、時に北大西洋条約機構に対するアジアの回答だと呼ばれるが、それは近日中にその戦略的な横顔に新たな刻み目を入れるだろう。だが、米国・英国および西欧諸国に対するウラジミール・プーチンの好戦的な態度は、その利害が生存であって対立にはない仲間の国々との緊張を強め始めている。
 2007年の「平和の使命2007」と名付けられた軍事訓練は、中国・カザフスタン・キルギスタン・タジキスタン・ウズベキスタンから来た6千5百名の兵隊と80機の航空機でロシアのチェリアビンスクで、今日、始まった。1996年に中露の領土紛争を和らげるために始められたSCOにとっては、戦争ごっこは、拡大する政治的商業的協力を補う軍事的安全保障装置を組み立てるための最も野心的な試みである。
 「訓練は、SCOの治安に対する協力が、地域的非武装化の争点を超えたことを示すだろう。なぜならば、それは、テロリストや分離主義者や宗教的な過激派の軍事力のような伝統的でない脅威をどう扱うかを含んでいるからだ」と『中国日報』は伝えた。だが、それは西欧や日本あるいは韓国に脅威があるということを意味してはならないと人民解放軍の報道官であるスン・ハイヤンは述べた。「中国は、他の国の主権と領土の統合とを尊重する。この訓練は、第三国を標的にしていない。」
 SCOの年次サミットは、来週、キルギスタンのビシュケクで開かれるが、それは機構の拡張的な考え方についてさらなる指示を与える。「長期的な友好関係と協力」は、ハイライトになる予定だ。カブール駐留のNATO軍司令部にとっては、たぶん目障りだが、SCOの指導者たちは、自分たちは「SCOとアフガンとの接触グループ」の枠内で、アフガンとの密接な協力関係を探すだろう」と述べた。撤退後20年経って、ロシアには、アフガンへ復帰する意図があるように見える。
 ビシュケク・サミットには、イラン・パキスタン・モンゴルとインドの代表が出席する予定である。キルギス共和国のエドナン・カラバエフ外相は、「このことは、機構がどれほど重要になりつつあるかを示した」と述べた。「今日、SCOは、すでに、新しい価値と目標に基づく新しいタイプの国際機構になった。SCOは、国際的な安全を確保する点で、重要な役割を演じるように定められている。」
 『力と利害』の報告によると、SCOの地勢戦略的な影響力の増大は、指導的な二大国の収斂する利害に基づいている。「北京とモスクワの同盟の目標は、中央アジアにおける米国の影響を抑制し、そこに共同の影響圏を樹立することである」と『力と利害』は述べている。
 中国は、安全と資源と市場をほしがっている。ロシアは、近い地域にその過去のソビエトの栄光を取り戻そうとしている。グルジャやウクライナやキルギスタンにおける2004年5月の「革命」の結果として、権威主義的で部族と縁故に基づく中央アジアの政権は、民主主義と人権と自由市場という腐食させる思想からの保護を望んだ。
 どの国も、チェチェンであれ、チベットであれ、台湾であれ、いかなる形であれ、イスラム過激派と分離独立主義者を抑圧したいという願望を共有している。この行動計画のせいで、デイビド・ウオールは、SCOを「独裁者クラブ」と呼んだ。
 ミサイル防衛基地問題・リトビネンコ事件・黒海における米軍基地・コソボの挫折した独立・エストニアのコンピュータ誤動作・謎のグルジャ爆撃・北極海での領土主張に至るまでの西欧諸国とのプーチンの度重なる衝突は、彼の仲間たちを神経質にしている。
 「モスクワの対西欧関係が悪化するにつれて、クレムリンは、同盟を探すのに最善を尽くし、NATOに対抗するために、SCOを強化している。「平和の使命2007」は、十分に利用されるだろう」と『ユーラシア・デイリー・モニター』のパーヴェル・ヘルゲンハウアーは述べた。
 SCOの誰も、来年北京オリンピック大会を控え、その貿易と開発が非難の的になっている中国は特に、西欧との対決を望んでいない。「プーチンは、不平を言っても放っておかれるだろう。」
 プーチンの政策は、全く反対の結果を持つかもしれない。つまり、中露同盟を弱め、SCOを窒息させるという結果だ。ジョージ・ブッシュに導かれた政府よりも頭のいい政府が、リチャード・ニクソンの先例に倣って、中国カードを切る時期が近づいているかもしれない。
[訳者の感想]『ガーディアン』紙の副主筆であるサイモン・ティスダルが書いた論説です。これだと米国は中国とよりよい関係を築くことで、ロシアに対抗するという政策をとることになりそうです。
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「イラクで19万挺の自動小銃が行方不明に」と題する『ヴェルト・オン・ライン』の記事。

2007年08月07日 | イラク問題
アメリカ国防省は、イラクで約19万挺の自動小銃とピストルが行方不明になっていることについて憂慮している。米国議会のある調査報告によると、国防省は、武器の痕跡を見失なったとのことである。これらの武器は、2004年と2005年にイラク治安部隊に与えられた。けれども、現在、それがどうなったかについての陳述がない。
 米国の会計検査院の報告書によると、アメリカ軍は、米国が2004年から今年の初めまでにイラク治安部隊に与えた武器の30%について何が起こったか知らない。2003年以来、米国は、イラク軍を武装させるために、192億ドル(2兆3000億円)を支出した。
 イラク治安部隊の有効性は、ワシントンでは米軍撤退の重要な条件だと見なされている。国防省は、最近、更に、治安部隊の訓練と装備のために、200万ドル(2億4千万円)を議会に要求したばかりである。
[訳者の感想]「こりゃだめだ」というのが私の感想です。反政府勢力は、今や、米国の武器でイラク軍や米軍を相手に戦っているのでしょうか。サウディ・アラビアや湾岸諸国にも武器を供給する約束をライス国務長官は、したらしいのですが、それがアメリカのために使われるかどうかは怪しいと思います。ベトナム戦争の時でさえ、これほどひどくはなかったと思います。政府軍で武器をもらうと、そのまま反乱軍に寝返りという連中がいるのかもしれません。それにしても、これほど大量の兵器をどうやって運んだのでしょうか。そしてそれをどうしてアメリカ軍は見逃したのでしょうか。まさか、米軍のなかに反乱軍を助けているグループがいるということはあり得ないと思うのですが。
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