海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「銀行救済法案、否決」と題する『ツァイト・オンライン』の記事。

2008年09月30日 | アメリカの政治・経済・社会
アメリカの金融市場に対する救済案についての妥協は破綻した。米国下院での投票の結果、228人が法案に不賛成で、賛成票は、205票だった。
ウオール街の株価は5%という劇的な下落を見せた。
国家の介入を原則的に否定する共和党員は、指導的な民主党と共和党の指導的議員の多数が日曜日の話し合いで合意に達した法案に反対の投票をした。民主党議員の多数は賛成した。
「これからどうなるかは、全く不明だ」とCNNのニュース報道者は述べた。ホワイトハウスは、新しい法案作成に取りかかっている。
ブッシュは報道官の談話によると、「大きな落胆」を示したという。彼はまもなく彼の側近の顧問と会合し、これからの歩みについて協議するだろう。
法案の目標は、事実上凍結された信用の流れを再び流れるようにし、金融市場のこれ以上の混乱を防ぐことであった。専門家達は、ワシントンがはっきりした態度を示さなければ、恐慌が迫り、市場に世界的な連鎖反応が起こるだろうと警告していた。
ブッシュ大統領は、投票の少し前に、法案に賛成するように呼びかけた。彼は「非常な問題に立ち入るための非常な合意」について語った。
ブッシュも簡単な決断ではなかったことを認めた。だが、「大胆な法案は、危機がわれわれの経済に広がることを妨げるのを助けるだろう。」外国に対する積極的な信号が必要だ。
多数の下院議員達は、法案の否決に対して警告した。「われわれがこの法案を可決できなければ、これは金融部門と米国経済にとって非常に悪い日になるだろう。」
だが、共和党議員には、私企業にたいする援助は「社会主義的で非アメリカ的」だという憂慮があった。メディアによれば、199人の共和党議員の半数が私的領域への国家介入にに対して原則的に反対だった。
共和党の会派代表のジョン・ベーナーは、本来誰も法案に賛成したくはないが、良心と矛盾しない人たちには、賛成するように呼びかけると述べた。(後略)
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「上院議員、ブッシュ政府の銀行救済策を批判」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2008年09月24日 | アメリカの政治・経済・社会
ワシントン発:米国政府と連銀とは、金融危機緩和のために70兆円の公的資金の投入のテンポを早めようとしている。ヘンリー・ポールソン財務長官とバーナンキ連銀議長とは、これ以上経済に損害を与えないために、火曜日に国会議員に早く賛成するように呼びかけた。政府高官は、金曜日までに、不良債権に悩まされている銀行を支えるための援助計画が議決されることを当てにしている。
 「この状況を安定化し、われわれの金融市場とわれわれの経済にとって深刻な帰結を防ぐために、議会はどうしても行為しなければならない」とバーナンキ議長は、上院銀行委員会での態度表明に当たって、言明した。「市場は壊れやすい状態にある」と彼は述べた。何も起こらないと、起業家にとっては、銀行の信用を得ることは、ますます難しくなる。それ以外に、労働職場が危険に曝される。ポールソン財務長官は、救済計画を急速に立法化するように警告した。
ブッシュ大統領は、この計画を今週中に実行に移すと明言した。金融市場安定化に必要な法案を決議するために、共和党議員も民主党議員も集まるだろうと、大統領は、火曜日にニューヨークで述べた。議会の会期は次の金曜日に終わる。
だが、米国政府の救済計画は、議会の抵抗に会っている。支配的な選挙戦のテーマとしての経済について、ワシントンの政治家達は、確かにこれ以上の市場混乱を防ぐために、金融機関を急いで救済しようとしている。同時に、国会議員達は、退場しつつあるブッシュ政府の計画を簡単に通したくない。なぜならば、彼らの多くは、来る11月4日に選挙に臨むからである。
かなり多くの上院議員は、包括的計画を批判し、それが財政崩壊を招くだろうと政府を非難している。計画された援助計画は、「金融上の社会主義であり、アメリカ的でない」とジム・バニング共和党議員は述べた。上院銀行委員会議長で民主党議員のクリストファー・ドッドは、「計画は、家屋所有者を援助し、土地と不動産の差し押さえに対して守る措置を含まねばならない」と述べた。その上、米国の納税者に対して、彼らの税金が「正しく責任をもって」使用されるのだということを保証しなければならない。政府が提案した包括案が、家屋所有者を直接援助することに対して疑いを表明した。更に、「この計画が、危機に対して責任があるマネージャーを処罰しないし、同時に財務長官にあまりに多くの権限を与えるだろう」と批判した。(以下省略)
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「左翼は、金融危機をどう見ていうるか」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2008年09月17日 | 国際経済
ダニエル・コーン・バンディ(1968年当時の学生運動指導者)
この金融危機は、資本主義ネオリベラルにとっては、核エネルギー推進派にとってのチェルノブイリと同じだ。それは破局だ。われわれみんなが、これから学べるといいと思う。だが、私は何か学べるだろうと楽天的だろうか。それは別の問題だ。世界最大のネオ・リベラル国家(米国のこと)が銀行を国有化しようと考えるとは!信じられなくて目をこすっているよ。
これは資本主義の終焉ではない。なぜならば、資本主義は、いつも自分を改革する智恵を持ってきたからだ。それが改革できなければ、資本主義はおしまいだ。だが、市場が神様だという信念は終わった。市場は規制されなければならない。
 われわれは、二十年間、気候変動に注意を促そうと戦ってきた。それは時間がかかったが、われわれは、正しかったのだ。この危機は、持続的発展に賛成するわれわれの主張を助けるだろう。つまり、われわれには環境・社会・経済の間のバランスが必要だということだ。でも、私はうれしくはないね。金融危機は、私を深く悲しませる。普通の人たちはすべてを失ったのに、銀行家たちは何百万ユーロももらって退職しているんだ。
注:ダニエル・コーン・バンディは、1968年のパリの学生紛争の指導者だった。彼は当時「赤髪のダニー」というあだなで知られていた。彼は現在,ドイツの「緑の党」の国会議員である。
ジャーヴィス・コッカー(イギリスの歌手)
 資本主義が天罰を受けているのを見るのは本当にすばらしい。資本主義はやりすぎた。私は実際の生産物を作っている会社が問題になる場合は、大抵の人たちは資本主義を理解していると思う。だが、資本主義がお金を作る組織である場合には、それを理解していない。それは抽象的な資本主義だ。テレビ画面の下部に流れるFTSE指標を見る場合、それはわれわれの生活の仕方に何の影響も及ぼさない。そして突然、おまえの生活が急降下していると告げられるのだ。こんなことは誰も理解できない。
 本当に悲しむべきことは、これらすべてが労働党政権の下で起こっているということだ。それは多数者の利害を気にかけるべきだのに、その代わりにぽん引きの役割を演じているのだ。
 多分、ちょっとばかりの景気後退はいいかもしれない。沢山の人たちが、自分たちの資産以上の暮らしをしている。われわれはみんなそうした。わたしもそうした。われわれはちょっと憂鬱になっている。人々は本当に前よりは多く互いに話し合っている。悲劇は、矢面に立つのは普通の人たちだということだ。責任のある奴らは、ヨットを売れば済む。(後略)
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「崖っぷちの金融市場」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2008年09月16日 | 国際経済
2008年9月15日発:現代の金融システムは、いままで経験したことがなく、だれも予期しなかったストレス・テストを受けている。目下、第五の衝撃波が金融市場を襲っている。それはこれまでのどの衝撃よりも大きい。住宅金融のための金融機関を国有化した二週間後、アメリカで三番目に大きいリーマン・ブラザースが破産し、伝統に富んだメリル・リンチはバンク・オブ・アメリカの腕の中に逃避した。世界最大の保険会社AIGは、揺らいでいる。取引所の専門家は深淵をのぞき込み、市民は、自分の金が安全だろうかと問う。世界金融市場は崩壊はしていないが、この危機の後ではもはや以前と同じではあり得ない。
これまで、危機に陥った銀行は国家によって救済された。金融システムの崩壊を防ぐために、幾つかの政府は介入した。ドイツ連邦政府は、私有のIKB銀行を救うために、92億ユーロ(1兆3800億円)を支出した。英国政府は、不動産銀行ノーザン・ロックを国有化した。アメリカ政府は緊急融資で投資銀行ベア・スターンズを救い、不動産金融機関のファニー・メイとフレディ・マックとを事実上引き受けた。今度は、アメリカ政府は、投機をやり損なった銀行を助ける気はないように見える。
 これは長続きするだろうか?情勢がさらに悪くなった場合、何が起こるか?すべてが崩壊する前に、国家と発券銀行とは最後の救い手として役立つ。だが、すべての金融機関を助ける必要はない。ある銀行を破産させる力が発揮されると、政治家達は選挙権者の賛成を確信できる。なぜならば、アメリカ人もイギリス人もドイツ人も、利息に飢えていて高給をもらっている投資銀行によって破産させられたというのに、なぜ自分の税金で金融機関の損失を埋めなければならないのか理解できないからだ。
 今や、金融界のなかの刺激とは何か問うてみるべき時だ。投資銀行・ヘッジ・ファンドのマネージャーは、利益に参加していた。これに対して、損失は、株主・ファンド投資家・債権者が負担せねばならない。チャンスとリスクの関係は以前に考慮された。金融ビジネスがまだパートナーシップによって組織されていたときには、パートナーは、利益を分け合っており、損失に対しても折半していた。それによって、彼らは利息を追求する際にリスクも考慮に入れていた。
金融市場の危の起源は、アメリカの住宅市場での投機バブルにある。そこから、債権者に対する費用の増加とともに信用収縮が続いた。不動産市場における収縮過程はまだ終わっておらず、銀行の収支決算は終わっていないから、市場の早急な回復はないだろう。(後略)
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「勢力は増えたが、投資は減った」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2008年09月12日 | 国際政治
9月11日発:モスクワの目から見ると、アメリカからのろくでもないニュースはしばらく前から日常茶飯事になった。二頭立て馬車のプーチンとメドヴェージェフにうれしいことに今度は少し違っている。火曜日のワシントンの国会での聴聞会で、米国政府は、グルジャ政府が主張するように、グルジャは、8月7日、南オセチアへの攻撃でロキ・トンネルを通って北オセチアから南オセチアへ進入するロシア軍を食い止めようとしたのだということについて確たる認識を持っていないということを明らかにした。このことの結果、サーカシュヴィリ・グルジャ大統領の信用性が西側では低下している。しかし、同様に、聴聞会では、多くの外国人と何人かのロシア人が共有する考え方、つまりモスクワがグルジャを5日戦争をするように挑発したのだ考え方が明らかになった。
 ロシア軍のグルジャへの進軍がロシアの並はずれて厳しい措置であり、グルジャの部分的占領や、中間地帯や南オセチアでの民族浄化措置は受け入れられないという点では西欧側は意見が一致している。だが、コーカサス南部におけるロシアの軍事的政治的プレゼンスは強力になった。4月のブカレストでのNATOサミットでグルジャはいつか北大西洋同盟の一員になってもかまわないということが決定したが、その直前と直後に、ロシアは、グルジャと西欧に対する関係についての目標をはっきりさせた。ロシア外相ラヴロフは、「われわれはグルジャがNATOの加盟国になることを防ぐためにあらゆる手段を講じるだろう」と言った。(中略)
 主権を持った他国にロシア軍の戦車が進入したことは、ソヴィエト時代を思い出させた。モスクワは、西欧との経済関係でかなり大きな永続的な拒否を受けるだろうとは予測していなかった。相互依存はあまりに大きい。
 資本市場は、そうこうするうち、別の法則に従っている。この戦争の一つの結果は、外国の投資家が資本をロシアから引き上げ始めたことである。たしかに、この現在の展開は、6月以来観察されたえた趨勢のなかに埋め込まれていた。だが、資本の流出は、戦争によって加速された。ロシアは、先月、数百億ドルの投資資本を失ったが、まだ6千億ドル(60兆円)の外貨を持っている。モスクワ証券取引所における株価の下落もロシャの投資ファンドからの資本逃避と同様、戦争のせいである。
 投資銀行のゴルドマン・サックスは、ロシャ市場は限定された動揺を何とか消化しただろうと推定している。何人かのアナリストは、ロシアは、この種の損失をコーカサス戦争政策の代価として受け入れたのだの言っている。それが予想通りかどうかは、まもなく分かるだろう。
[訳者の感想]グルジャ相手の戦争でロシアは、再び、帝国主義に復帰したのだという説がありますが、グローバル化がこれだけ進むと、外国人の投資が減って、ロシアは経済的に苦しい状況に追い込まれるかもしれません。ロシャにとってもこの戦争は高くついたようです。

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「アメリカはどのようにしてテロリスト達を押さえ込んだか」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2008年09月07日 | イラク問題
ベルリン発:バグダッドやイラクの他の多くの場所に向かって、彼らは毎晩出撃する。米軍の特殊部隊と情報機関の職員は数ヶ月前からイラクで最も探し求められているテロリスト達を追跡している。彼らは、その異常に効果的な戦術によって高度に効果的である。数百人の過激派やその支持者達が過去数ヶ月の間に、特殊部隊の手中に落ちた。少なくとも、情報機関や国防省の代表は、『ワシントン・ポスト』紙に対して、イラクにおける反テロ戦争の新種の作戦のかなりの成功率について語った。
 同紙の報じるところによると、特にこの情報機関と軍人の混成チームは、ペルシャ湾沿岸におけるテロ件数の後退に影響を与えた。国防省によると、米国は、特にイラクにおけるテロネットワーク「アルカイダ」に対して圧力を加えた。アルカイダは、去る6月以来バグダッドだけで10人の高位のテロ指揮者を失ったと『ワシントン・ポスト』紙は報じている。最も成功した仕事の例として、同紙は、「トラ」と呼ばれたアブ・ウツマンの逮捕を挙げている。米軍の見解では、このテロリストは、アメリカ人ジャーナリストのジル・キャロルの誘拐や一連の米軍兵士とイラク人市民に対する流血の攻撃の背後に隠れていた。8月11日、米軍の特殊コマンドは、ある示唆にしたがって、バグダッドのある家で「トラ」を逮捕した。既に前もって、ウツマンの追求の手は身辺にまで迫っていたので、彼は適当な隠れ家を探すのに忙しく、新たなテロ攻撃を計画するどころではなかった。
『ワシントン・ポスト』紙のこの報告は、花形記者ボブ・ウッドワードの暴露記事を裏書きしている。彼の新著『内部の戦争:ホワイト・ハウスの秘密の歴史、2006-2008』の中で、ウッドワードは、イラクにおける暴力行為の減少にとって、ブッシュが主導した「大波」と名付けられた作戦は、それほど大きな役割を果たしていないと述べている。その作戦では、2007年1年間に、約3万名の兵士が増派されたのだが。
 ウッドワードの主張によると、米軍投入の画期的な新形式が、決定的にこの成功に導いた。それでもって、アルカイダや他の反政府グループの指導者を見つけて殺すことが可能になった。
 『ワシントン・ポスト』紙は、イラク市民からの通報が特殊部隊の成功にとって好都合であったという「国防省報告」を引用している。多くのイラク人達は、かなり前から、反政府勢力に対する同感を失い、彼らの隠れ場所を密告した。この示唆は、直ちに特殊部隊司令部に伝達され、司令部は隠れ家に照準を合わせた。特殊部隊のチームは、しばしば、一晩にいくつもの目標に向かって出動した。特に、ある作戦が別の隠れ家の存在を示唆した場合には。
 作戦は、軍人によって指揮された「タスク・フォース」によって調整された。そこでは、CIAや「国家安全保障委員会」(NSA)の情報員や、FBIの犯罪専門家、政治的アナリスト達が協力している。さまざまの治安官庁が過去数十年間、競争関係にあった後で、「タスク・フォース」は、直接的協力がどれほど有効であるかを明らかにした。
 「タスク・フォース」の司令部の所在地は、バグダッド北部のバラド空軍基地内の古い格納庫であり、そこには、以前にはフセイン・イラク元大統領の戦闘機が格納されていた。ここから、特殊部隊は、イラク北部、西部、南部やバグダッドへと出撃するのである。
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高橋洋一「霞ヶ関埋蔵金男が明かす『お国の経済』」の読後感想文

2008年09月05日 | 日本の政治と経済
著者は、東大理学部数学科と経済学部経済学科を卒業した後、大蔵省に入省した元大蔵官僚なのに、小泉内閣の内閣参事官として、「小泉・竹中改革」を支えた。
著者によると、日本政府の財政は大赤字だと言われるが、それは一般会計についてのみ当てはまることで、特別会計は黒字だそうだ。問題になったガソリン税はまさにその中に含まれている。著者によると、国土交通省は道路特別財源で10年間に60兆円が必要だというが、実際に必要なのは、10年間で20乃至30兆円である。将来人口や免許保有者数、自動車保有台数などから今後の道路需要を推計して作られた「交通需要推計」を見ても、道路需要は、2020年をピークにして、後は縮小することが明らかである。言い換えれば、かなり多くの道路の需要がどんどん減るという。そうだとすると、「道路特定財源」というものは必要ではなく、一般財源化するのが正しい。
 また、従来、道路などの公共事業に税金を投入すれば、雇用が確保できると言われてきたが、それは為替が固定相場だった時代の話で、変動相場制になると財政政策は効き目がなく、金融政策のほうが有効になる。その理由は、財政政策で公共投資を増やす場合は、国債を発行せねばならない。しかし、国債を発行して民間から資金を集めると金利が高くなる。金利が高くなると為替は円高になる。そうすると輸出が減る。公共投資によって内需は増えるが、それは、輸出減によって相殺されてしまうと著者は言う。これが公共投資が景気回復に役立たない理由である。1990年以後、このように公共投資を続けた結果、赤字国債が増え続けた。
 公共投資でだれが得をしたかと言えば、大手ゼネコンとそれに仕事を回して賄賂をもらった国会議員や知事や地方議員である。(この2行は私の意見です。)
 著者は、政府と国会の両方をうまく操って省益を守ることに役人がどれほど智恵を絞っているかをはっきりと見せてくれる。日本政府の財政政策・金融政策に疑問を感じる人たちにこの本を推薦します。
出版社:文藝春秋社の文春新書
値段:700円
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「すべてを白日に曝ざねばならない」と題するインタービュー。

2008年09月04日 | 中国の政治・経済・社会
--バオさん、中国政府がメディアを今ほど強力にコントロールしなかったら、新聞にはどんな記事が載るでしょうか?
バオ:メディアは、多くの声を載せ、それとともに中国の現実を再現するでしょう。宣伝部は、ただ一つの声が聞かれることを望んでおり、他の声は、彼らの意見では、黙るべきなのです。これは悲劇です。宣伝部がコントロールを止め、13億の人々に自由に話すことを許すなら、13億の意見があるでしょうに。そこから、対立と妥協に基づいて、均衡が生じるでしょう。そうすれば、完全な安定さが生じるでしょうが。
--あなたの見解では、いまは押さえられているが、どのような問題が中国でもっとも重要なもんだいですか?
バオ:人権です。最近、貴州省で数万人が警察署を攻撃しました。引き金は、ある少女の不自然な死についての噂でした。この出来事からの省の党書記の結論は、全く正しかったのです。普通の人の権利は、しばしば侵害されます。第二に地方の役所や政府は、警察を利用して、普通の人の押さえつけます。彼らは自分たちの権利を守ろうとしています。私が聞いたところでは、毎年、8万件のこのような暴動が起こっています。具体的には、土地所有権と損害賠償が問題なのです。これが中国の現実です。この国がこの問題を解決できれば、それは長期的で現実的な安定を手に入れるでしょう。
--どうしたらそれは実現されますか?
バオ:公正な競争によってです。それと一切を白日に曝すことです。
--しかし、このシステムから利益を得ている人は、沢山いますよ。特に、都市では、人々はますます豊かになり、彼らは現状を変えようと思っていません。
バオ:中国に必要なのは、公正な競争というゲーム規則です。13億の人間にとってゲーム規則は平等でなければなりません。弱者のグループにも強者のグループにも、エリートにとっても同じでなければなりません。
--「公正な競争」という言葉であなたはどういうことを理解しているのですか?
バオ:私有財産や選挙や言論の自由に対する権利です。政府とは別の意見を持つ権利、政府を替える権利です。われわれはだれもこれらの権利を持っていません。だから、社会的安定のための基礎がないのです。オリンピック競技会は、中国に「公正さの原理」をもたらしました。私は、中国人達があらゆる領域でこのような規則を望んでいることを確信しています。
--私たちはあなたの家を訪問することを許可されました。だが、他の批判者は許可されませんでした。このことについて、決定するのは誰ですか?
バオ:中国のジャーナリスト達は私の家を訪問することは禁じられています。数人の友人達も許可されませんでした。党の最高位の人物が決めるのです。オリンピック競技会の開会式でどの少女が実際に歌い、どの少女がただ口をぱくぱくさせるのかを決めたのは、政治局員でした。
--ですが、これらの人々は、この巨大な国を統治しなければなりません。なぜ彼らはそのような些事にこだわるのですか?
バオ:彼らはそれが非常に重要だと思っているのです。この国が今後も発展するためには、私の意見では、共産党は何もしてはならないのです。たとえば、これほど沢山のインターネット警察を配置する必要はありません。彼らはインターネットを開放し、人々に意見を自由に言わせるべきなのです。
--共産党は自分の権力を心配しています。
バオ:しかし、人々に自由に意見をいわせれば、彼らはバイタリティを手に入れるでしょう。それに人々の信頼もね。
[訳者の感想]インタービューをしたのは、アンドレアス・ローレンツ記者です。

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