天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

塩野七生著『痛快!ローマ学』欧米結婚式で新郎が新婦を抱き入居習慣はロムルスの掠奪サビーニ女抱きが起源

2010-11-29 22:47:53 | 日記
今日の日記は、今読んでいる塩野七生著『痛快!ローマ学 賽は投げられた!』(2002年集英社刊)のことです。添付した写真は、その著書の表紙です。
私は今年の暮れ、南イタリア旅行に出かけます。その予備知識を深まる為、私は今再度この名著を読んでいます。さらにこの名著には、昨日紹介した映画『掠奪された七人の花嫁』に関係する記述もあります。以下に、長男アダムが、気落ちした6人の弟達に話したあった古代ローマ人の逸話(注:映画では妻ミリーが持参してきたプルタークの本に記載されていたと紹介)を、この著書の第2章「かくしてローマは誕生した」から一部抜粋し掲載します。
『<サビーニの女たちの強奪>・・ローマの地に腰を据えたロムルス(私注:伝説によると紀元前753年4月21日にローマを建国した18歳の青年王)たちが最初に行なったのは、近隣のサビーニ族を祭に招待することでした。・・ところが、ロムルスの命令一下、ローマの若者たちがサビーニの若い女性たちに襲いかかり、彼女らを無理矢理に連れ去ってしまったのです。・・要するに、祭は最初から花嫁調達のために、独身男どもが立てた計略であったというわけです。・・もちろん、そんな身勝手な理屈にサビーニ族が納得するはずもない。そこで、サビーニたちはローマに宣戦布告します。・・そして、4度目の戦いのさなか、突如、さらわれたサビーニの娘たちが現われ、双方に向かって「どうか戦争を止めてくれ」と懇願したのです。・・欧米の結婚式では、新郎が新婦を抱きかかえ、新居の敷居をまたぐという習慣がありますが、実はこれは「サビーニの女たちの強奪」でロムルスが掠奪した花嫁を抱きかかえて以来、ローマ人たちがずっと行なっていた習慣だと言われています。・・これから約800年後、ギリシアの歴史家プルタルコス(私注:紀元46年~120年頃「プルターク英雄伝」の名で知られている「列伝」の著者)は、最初は「嫁盗り」がきっかけで始まったこのローマ人独特の同化政策を、次のように評することになります。すなわち、「敗者さえも自分たちに同化させるこのやり方くらい、ローマの強大化に寄与したことはない」と。』
この記述は、とても含蓄に富んだ名文です。このように、古代ローマ王・ロムルスの掠奪行動が、西洋文化の根幹に根ざす結婚式の習慣にまで発展したのです。また、プルタルコスの言葉「敗者さえも自分たちに同化させる」は、塩野七生氏は自著『ローマ人の物語』で何度も引用しているように、西洋の歴史を正しく端的に表現した名言です。
しかし、独善的な悪行応援客が私を理不尽にも排除した劇場社会では、このプルタルコスの名言がまったく通用しない歪で特殊な世界です。だから、この劇場社会が、古代ローマみたいに発展し隆盛・強大化することは、決して起こらないと私は確信しています。
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