天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

『ミケランジェロの暗号』現在システィーナ礼拝堂見学はミケランジェロ作品を後ろから反対側へ逆順番に鑑賞

2012-04-18 21:23:49 | 日記
今日の日記は、ベンジャミン・ブレック&ロイ・ドリナー共著『ミケランジェロの暗号 システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ』(飯泉恵美子訳早川書房・2008年刊)で書かれているシスティーナ礼拝堂の現在の見学鑑賞形態のことです。
この著書で、ミケランジェロの代表的な傑作システィーナ礼拝堂天井画の現在訪れる見学者の鑑賞ルートやその形態について、著者はとても興味ある記述をしています。以下にその考察を一部引用・掲載します。
『今日、システィーナ礼拝堂に入ってまず目に飛び込んでくる壮大なフレスコ画の眺めは、ミケランジェロが思い描いていたものとはかなりかけ離れている。教皇専用の大扉は閉めきられているし、一般の人々は廊下のずっと端にある侍祭用の狭い入り口を使わなければならない。・・警備員に、祭壇の近くから離れるようにと注意され、お構いなしにメインフロアへせきたてられる。・・今まで写真や挿絵でしか見ていなかったものを目に焼きつけたいと思って首をのばして見渡しても、渦巻く人の姿や物の形、華やかな色の数々にただ圧倒されるばかりだ。この強烈すぎる刺激に感覚がさらされている時間は、礼拝堂を出るまでの10分か15分程度だ。しかも、ミケランジェロの描いた作品を後ろから反対側に逆の順番で見ていくのだ。・・礼拝堂を訪れる人たちはもともと正面の大扉を通って入場していたという点である。ここから入ってくると、聖域全体の系統的なもとまりを感じとることができるのだ。』
添付した写真は、著書にある挿絵でミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画制作にかかる前、1483年に聖別された礼拝堂の内部を表した版画です。ここで、正面に描かれた場所は、『最後の審判』が描かかれた祭壇の反対側の出入扉側に当たります。また、この礼拝堂の両側壁には、モーセとキリストの生涯を描いたフレスコ画が、もう既に描かれていたのです。このような環境の中で、手付かずだった天井に旧約聖書の物語を描くように、ミケランジェロがローマ教皇から依頼されたのです。
さらに、天井画が完成した後にローマ教皇からの再依頼で、祭壇後部に現存していた別の画家が描いたフレスコ画の上に、新たにこのシスティーナ礼拝堂での最後の作品『最後の審判』を、ミケランジェロは渾身を込めて制作したのです。
筆者が指摘するように、現在の見学者は、この『最後の審判』が描かれた面の右側にある侍祭用の狭い入り口から、すべて入場しています。やはり、この美術館側からの見学ルートでは、著書が指摘しているように、ミケランジェロの制作意図を鑑賞者は正しく理解することは出来ないと、私も強く思います。
私も、現地を訪れた時、見学鑑賞時間が多少あったので、一度出口側まで鑑賞して、もう一度、逆にこの祭壇側まで戻って行き、再鑑賞してみました。でも、多くの見学者とまったく逆の方向だったので、他の人とぶつかったりして、落ち着いて鑑賞することが出来なかったです。
やはり、このヴァティカン美術館側から入場する現在のルートを変更して、サン・ピエトロ大聖堂(無料公開している)側から入場するルート(同様に無料公開になる)にするべきです。
そうなれば、見学者の入場規制等が必要になりますが、今より落ち着いてこの聖別された礼拝堂(宗教施設であることを忘れてはいけない)のミケランジェロの天井画と『最後の審判』、両側の先輩たちのフレスコ画をじっくりと鑑賞できます。
だから、私は、是非ともヴァティカン教皇庁に、この現在の見学ルートの再考を御願いしたいです。
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