6月10日(金)午後、北海道新聞社が主催する「動き出した空港民営化」と題する道新フォーラムが開催され、野次馬精神で参加してみた。
フォーラムは、国土交通省の担当課長である宮澤康一氏が「空港経営改革について」と題して、北海道経済同友会の代表幹事である横内龍三氏が「空港民営化問題の課題と地方創生」と題して、それぞれ基調講演を行った。
続いて、上記両氏に加え、バニラ・エア会長の石井知祥氏と釧路市長の蝦名大也氏の4人が登壇してのパネルディスカッションが行われた。
それほど関心のある話題ではないこともあり、フォーラムを聞いていても十分に理解することはできなかったのが正直なところである。したがって、本日のレポは私の浅い理解やあるいは誤解のもとのレポであることをあらかじめお断りしておかねばならない。
まずは基礎知識として、北海道内にある13の空港を管理者別に区分すると、①国が設置し、管理する空港は、新千歳、函館、釧路、稚内の4空港である。②国が設置し、市が管理する空港は、旭川、帯広の2空港、③道が設置し、道が管理する空港は、奥尻、中標津、女満別、紋別、利尻、礼文の6空港、④自衛隊との共用空港が札幌・丘珠空港、という区分である。
そして、現状の空港経営というのは、滑走路の維持管理、空港使用料の徴収などは主として国や道など公が担っている(これを空港本体事業と称するらしい)のに対して、空港ビル、駐車場などは民間が経営している例がほとんどということだ。(だから空港使用料は全国一律のようだ)
※ LCCのバニラエア会長が示した、バニラエアの経営経費の割合を示すグラフです。
そこで今話題となっている「空港民営化」というのは、滑走路を含めた全空港施設の経営権を民間に委ねよう(売却)とする考え方のようだ。(ただし、国鉄民営化などのように完全民営化ではなく、滑走路等の所有権は国などが留保しつつ、運営権だけを民間に委ねる方式だという。これをコンセッション制度というそうだ。)
つまり、全空港施設の運営を民間に委ねることによって、活性化を図り、ひいては地方経済の発展につなげようとする試みだという。
ここまでの話を聞いていて、私は北海道の空港はかなり厳しい状況にあるのではないか、と危惧したのだった。
というのも、北海道全13の空港のうち、滑走路などの空港本体事業と空港ビル、駐車時用など関連事業の合計で黒字を計上しているのは新千歳空港だけという実状を知ったからだ。
このような実状の中で、民営化したところではてして経営が上向きになることなんてあるのだろうか?しかも、北海道の場合は本州などの空港に比べて、冬季の厳しい気候条件も不安要素である。
国(国土交通省)の主導によって、「空港民営化」実現に向けて舵は切られているようで、北海道においては、国管理の4空港に、市が管理する旭川、帯広、さらに女満別空港を加えた7空港を一括した民営化を模索している現状だと聞いた。
パネリストのどなたかが言っていたが、利用客の少なさ、自然の厳しさの中でJR北海道の経営が非常に厳しい現状にあるというが、空港民営化もJRの二の舞にならないような慎重な検討・準備が求められのではないか?
私にとってまったく門外漢の話題ではあるのだが、空港民営化によって地方創生を謳う国の思惑に反して、このことが北海道の沈下に繋がらねば良いが、と願うばかりである。