田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

林心平 × ニホンザリガニの人

2011-03-21 19:02:52 | 講演・講義・フォーラム等
 林心平氏がナビゲーターを務める「北海道 動物の人対談シリーズ」もいよいよ最終回(第6回)となった。最終回のゲストはニホンザリガニを追い続ける川井唯史氏だったが、この人も凄い人だった。 

 林氏は冒頭、川井氏のことを「アマチュアの研究家である」と紹介した。
 確かに川井氏は稚内水産試験場の職員という肩書きをもっているから、仕事の傍らニホンザリガニを研究しているという意味においてはアマチュアといえる。
 ところがこの方が、ニホンザリガニに関してはとんでもない人のようなのである。

        
        ※ 今回のゲスト「ニホンザリガニの人」川井唯史氏です。

 まずニホンザリガニを研究対象としてからの期間が長い!
 興味を抱いたのが小学校の時ということだから、かれこれ40年近くザリガニを追っていることになる。
 そして本気度が桁違いである!
 シーボルトが日本で採取したニホンザリガニの標本を見るためにオランダの博物館まで出かけたり、天皇がザリガニのスープを食していたらしいと知ると、つてを頼って皇居を訪れてみたりと…。
 話によると今やその世界ではトップランナーの一人らしい。

        
        ※ 川井氏が会場に持ち込んでくれた生きているニホンザリガニです。

 そう考えると、川井氏がこれまで「アマチュア」であったことは、けっしてマイナス要因ではなく、純粋に一つのことを追い求めるためには幸いしたのではないかとさえ思えてくる。アマチュアであるがために、他の雑事に惑わされず一途にザリガニを追い求めることができたのではないかと…。

            
        ※ 真ん中が「ニホンザリガニ」、右が「アメリカザリガニ」、
         左が「ウチダザリガニ」です。個体差が歴然としています。

 一つだけ気懸かりなことがあった。
 日本、特に北海度ではニホンザリガニと、アメリカザリガニ、ウチダザリガニが混在しているという。ウチダザリガニなどはニホンザリガニに比べると体長が3倍も大きくて、ニホンザリガニを駆逐していると時々ニュースで耳にする。
 ところが川井氏はアメリカザリガニも、ウチダザリガニもその昔食用とするために日本に導入された経過もあり、その駆除には積極的になれないという。

 川井氏によるとニホンザリガニは、アメリカザリガニの祖先にも相当し、ザリガニとしては最古の種でもあるらしい。
 その貴重なニホンザリガニが駆逐されていくのを、なすがままにしておきたいと川井氏は言う。川井氏の葛藤のもっと深いところを聴きたいと思った。しかし、満座の中で質問する勇気が私にはなかった…。

        
        ※ 毎回ナビゲートしてくれた林心平氏です。

 この対談シリーズ、私は1回だけスケジュールの都合で参加できなかったが、他は全て参加したが大変興味深かった。
 それは単に研究者から話を聴くという形ではなく、研究者と私たちの間にナビゲーターとしての林氏の存在が大きかったと思っている。
 ナビゲーター…。文字通り道先案内人として林氏は研究者から話を引き出し、聴いている私たちに専門的なことは噛み砕いて伝えてくれる。そのことで専門的なことも興味深く聴くことができた。
 面白い講座の形だと思った。

 講座を主催した環境プラザと林氏の中では、次なる展開を考えているという。
 期待して次を待ちたいと思う。

東日本大震災被災者におくる(ウィアー・ザ・ワールド)

2011-03-20 15:21:33 | その他
 久しぶりに「ウィアー・ザ・ワールド」を聴いた。冒頭のライオネル・リッチーの歌声が聴こえてくると私の胸はグッと詰まってしまった。しかし、それが主題ではない。ある動画が私の胸を打った。 

 昨日、有人から「東日本大震災の被災者を励ますとても素晴らしい動画が投稿されているので、一度見てほしい」とのメールが入った。
 「あなたたちは一人じゃない」 私が投稿した時点で既に50万回以上のアクセス数である。
 まずは何はともあれ、その動画を見てほしい。(こちらをクリックください。

 いかがだったでしょうか?
 忙しい中、少ない時間の中で作成したのだろう。
 自分が収集し得た少ない素材を使用して作成したものと思われる。
 しかし、私には思いが十分に伝わってきた。
 そこには被災者への深い労わりと、作成者も含めた日本人に対する誇りが伝わってきた。
 そして外国メディアや著名人たちの日本に対する思いにも深く敬意を表す内容だった。

 数多くあったメッセージの中から次の一節をここに記しておきたい。

 地球最悪の地震が世界で一番準備され訓練された国を襲った。
 その力や政府が試される。
 犠牲が出たが他の国ではこんなに正しい行動がとれないだろう
 日本人は文化的に感情を抑制する力がある。    
                              BBC報道

 投稿者は「情熱教師シャーク」とある。小学校の教師らしい。

 ところで「ウィアー・ザ・ワールド」である。
 この曲は1985年にアフリカの飢餓と貧困層を解消するためのキャンペーンソングとして、当時のアメリカの名だたるシンガーが総結集して作った曲としてあまりにも有名である。
 当時、小学校教師だった私は曲の主題を生かした創作劇を創り学芸会で発表したのだった。その際、「ウィアー・ザ・ワールド」のメイキングビデオを子どもたちと何度も何度も見て、シンガーたちの思いをくみ取り子どもたちの役作りに生かした。
 私にとって教師人生最高の傑作だと自負しているのだから、その曲が流れてきたとき胸にグッときてしまったことを理解いただけるのではないかと思うのだが…。

 そんな感傷に浸るよりは、被災者たちの復興を一刻も早めることである。
 日本中が彼らの復興を後押しする活動を展開している。被災者もまた悲しみから立ち上がろうとしているとメディアは伝えている。
 BBC報道(放送?)も指摘している。政府が試されると…。
 力強く復興をリードしていただきたい!!!

コストパフォーマンス

2011-03-19 16:14:29 | 講演・講義・フォーラム等
 私のブログのタイトル名としては似つかわしくないというか、珍しいタイトル名である。経済については全く疎い私が敢えてこの言葉を使った意味とは…。

  4年前から毎年開催されていた中央区の「オヤジの仲間づくり講座」が3月12日(土)、円山動物園を会場に開催された。講座は今年の開催をもって終了するとのことだった。これまで過去3回の講座はゲストを招請したりするなどの企画があったが、今回はこれまで3回の参加者に講座の効果や、講座後の変化などを語り合ってもらうという内容だった。
(正確に言うと、その他に円山動物園のボランティアの話を聞いたり、そのボランティアの方に動物園を案内していただいたりしたのだが、メインは話し合いだったと理解した)

        
        ※ 動物園ボランティアの方(後向き)の案内で動物園を見学した。        

 その講座なのだが、過去3回の参加者が39名だったにもかかわらず、参加者はわずか13名だった。
 その参加者に対して主催する側は依頼した講師のほかに中央区の関係者が5名もいて、私たちの様子を前に後ろにと写真を撮ったり、発言を記録したりしていた。
 講座の趣旨がいまひとつ明確でなかったこともあり、話し合いは低調に終始した。
 その様子を見ていて参加者の一人が疑問を呈したのだ。
 「この程度の講座にこんなに関係者が必要なのか?費用対効果を考えると、民間では考えられないほどの費用をかけて開催しているのではないか。このような講座はNPOなどに任せるべきではないのか」との指摘だった。

 私も「なんだか物々しいなぁ」という感じはもっていた。
 とは言いながら、その方の意見に若干の違和感を抱いたのも事実だった。
 というのは、確かに運営に人をかけ過ぎているきらいはあったものの、この種の講座はやはり行政が積極的に呼びかけて私たちシニア世代への情報提供やネットワークづくりを支援することが必要だと考えるからである。

        
        ※ 「オヤジの仲間づくり講座」最終回の話し合いの様子です。

 最近は行政においてもコスト意識が問われてきている。その点において主催者である中央区も見直しが必要かと思うが、何もかもが費用対効果(コストパフォーマンス)で推し量ることができないのが行政の仕事ではないだろうか。


札幌市長選公開討論会

2011-03-18 22:24:04 | 講演・講義・フォーラム等

 えっ? こんなに関心が低いの? 会場(道新ホール)はざっと見て5割くらいの埋まり具合。そのような中で、札幌市長選に立候補を予定しているお二人の討論会が開催された。

 昨3月17日(水)午後6時30分から道新ホールにて札幌市長選の公開討論会が開催された。
 私はあるいは入場制限によって入場できないのでは、との思いから開場(午後6時)のおよそ1時間前に会場に到着した。ところが、並んでいた人は僅か二人…。
 「えーっ!」と思いながらもその後に並びながら開場を待った。
 その後の出足も鈍く、結局道新ホールのキャパの半分程度しか埋まらず、300名程度の聴衆ではなかったろうか。
 あるいは、大地震被災の現状を前に「市長選どころじゃない」という思いが会場に足を向けるのを躊躇ったためなのだろうか?

        
        ※  コーディネーターを含めて三人が登壇した討論会です。

 討論会はコーディネーターの道新記者を含めて3名が登壇し、立候補予定の上田文雄氏本間奈々氏がコーディネーターの設問に答える形で進められた。

 討論の様子について本日(18日)の北海道新聞朝刊では「本間、上田氏が激論」という見出しが出ていたが、私には激論とは映らず、まだまだ序盤戦ということもあり両者ともに冷静に自らの考えを披瀝した討論だったと映った。
 いろいろと両者の考え方の違いが見えた討論会だったが、最も鮮明にその違いが表れたのは新聞でも報道されたとおり、「財政」に対する考え方の違いだった。
 本間氏は「積極的に公共投資をすることによって景気を刺激し、財政再建を図るべき」と主張した。

        
        ※ 立候補を予定している本間奈々氏です。

 一方、上田氏は「大型の公共投資をやる時代ではなく、札幌市の負債をできるだけ減らすことで財政再建を図りたい」と主張した。
 そのシンボルが「地下鉄の延伸問題」に対する両者の考え方の違いと言えるようである。

        
        ※ こちらは三選を目ざして立候補予定の上田文雄氏です。

 この種の投稿で私がどちらかに肩入れするような意見を述べることは厳しく差し控えたいと思う。それは拙ブログの趣旨とは合わないからである。
 ただ、昨日の討論を聞いていて両者ともにまだ「具体論からは遠いなぁ」という印象である。選挙戦が深まる中で、どれだけ具体策が提示され、それが選挙民の気持ちを掴むことができるかが勝敗の帰趨を決めるのでは、と思われたのだが…。


いつまで続く福島原発事故

2011-03-17 14:49:54 | その他
 福島原発事故に対して憂慮する投稿をしてから2日が経ったが事態はいっこうに収まる気配を見せていない。人智を尽くしても思うようにならないところに、あらためて“原子力”の恐ろしさを痛感させられる。一方、この事態は人災ではということも囁かれはじめた…。 

 これほど“原子力”とは手に負えないものなのか…。
 これほど“原子力”とは制御がむずかしいものなのか…。
 あらためて“原子力”の恐ろしさを痛感させられる。

        

 私は2日前の投稿では、原子力発電についてやや擁護するようなトーンで事態についての見方をしていた。
 しかし、その後2日経ってもいっこうに事態が好転しない状況に接して、その思いもぐらつき始めてきた。
 想定外の、そして未曾有の大地震、津波が発電所を襲ったとはいえ、そのことだけでこれまで事態が深刻になったのだろうか?

 現状は一刻も早い事態の終息を急ぐことである。
 しかし、伝えられるところではここまで事態が深刻になったのは“人災”ではないのかという報も伝わってくる。
 最初に不具合が生じた1号機への処置は果たして適切だったのか?
 ここまでマスコミの前に姿を現さない東電幹部の姿勢に不信感を抱かざるを得ない。

 しかし今は、その原因を論じることより、一刻も早い事態の終息を願うことである。
 被爆の危険を感じながらも懸命のにその終息のために励んでおられる関係者の犠牲的な思いに感謝しながら、その健闘を祈るのみである。


 なお、私のブログにコメントをいただいているLotさんから「ぜひリンクを貼ってほしい」との要請を受け、トライしたのだがIT機器にとんと疎い私には難しい要請である。試みてはみたが果たして貼り付けることができたのかどうか?

Yahoo!ボランティア 緊急災害募金(Yahoo!基金)
画像
http://blog-imgs-44.fc2.com/a/b/e/abehideaki/Fundraising.jpg
リンク先
http://volunteer.yahoo.co.jp/disaster/list/0047.html

Google消息情報
画像
http://blog-imgs-44.fc2.com/a/b/e/abehideaki/Person-Finderw.jpg
リンク先
http://www.google.co.jp/intl/ja/crisisresponse/japanquake2011.html

Yahoo募金は総額が刻々と明示されて募金した側のモチベーションも上がる「透明で解りやすい募金」です。


札幌Cafe紀行 №60 ウィーン

2011-03-16 11:13:13 | 札幌Cafe紀行
 店内に入るとクラシック音楽が耳を聾する(少しオーバーかな?)ほどの音量で流れている。客はと見ると、皆が音楽に聴き入っている様子だ。典型的な音楽喫茶だった。 

 福島原発の事故は依然として終息の気配を見せていない。事態は深刻の度を増しているようにも聞こえる。「こんな大変な時に呑気にCafe紀行などをレポートしている場合か!」と厳しく突っ込まれそうだが、そうした非難を覚悟しつつ敢えてCafe紀行を投稿することにする。

        
        ※ 狸小路もやや寂しくなった7丁目の一角にある「ウィーン」です。

 喫茶「ウィーン」は狸小路の賑やかさがやや寂しくなる7丁目商店街の一角にあった。
 店はビルの階段を降りた地下一階にあった。
 ドアを開けると、いきなりクラシック音楽が飛び込んできた。
 店内を見渡すと正面にマッキントッシュの2mはゆうにあろうかと思われるスピーカーが2台でんと鎮座している。
 客はみなそのスピーカーに向かって目を閉じたり、本に目を落としたりしながらスピーカーから流れ出る音に集中しているように見えた。

        
        ※ ご覧のようにドカーンとスピーカーが屹立していました。

 これはまさしく正統派の音楽喫茶である。
 私たちは友人と3人で訪れたのだが、私たち以外は全て一人客のようだった。
 客筋は中高年の男性ばかり、と思っていたのだか帰り際に見ると一人の女性も座っているのが確認できた。
 誰も話をしていない。一人客ばかりだから話し相手もいないのだが、話をするのがはばかれる雰囲気だった。
 スタッフのオーダーの取り方も、小さく囁くように聞いてくる。
 ブレンドコーヒー(480円)をオーダーした。

        
        ※ 客席は4人掛けの席を除いては全てスピーカーの方を向いていました。

 まったく異質の雰囲気に圧倒されてコーヒーの味がどうだったのか思い出せないでいる。
 客席のソファのビロード(というのだろうか?)は剥げ落ちてしまい、歴史を感じさせてくれるが、クラシックファンにはたまらない空間かもしれない。
 体いっぱいにクラシック音楽を浴びることができるカフェとしてコアなファンに支えられた老舗のカフェであった。

        
        ※ 店のエントランスを入ると地下に向かって階段が延びています。
 
【ウィーン データ】
札幌市中央区南2条西7丁目 狸小路7丁目 B1F
電  話 011-281-2345
営業時間 11:30~18:00
定休日  無休
座  席 20席(?)
駐車場  なし
入店日  ‘11/03/05

福島原発事故

2011-03-15 14:58:35 | その他

 大地震の発生以後、いまだ見つからない被災者の捜索や避難民の救済とともに、福島原子力発電所の事故がいまだに終息の気配を見せていないことが大きな懸念材料である。このことは今後の原子力行政へ大きな影を投げかけている。

         

 拙ブログのテーマとはかけ離れるが、やはりこのことに関心を向けないわけにはいかないだろう。
 地震発生以来、福島第一原発の1号機原子炉に不具合が生じたというニュースが伝えられて以来、事態は収まるどころか1号原子炉に続いて、3号機、2号機、そして本日に至っては休止点検中と伝えられていた4号機原子炉の火災発生まで伝えられるに至った。

 専門家が解説する説明を聞いても詳しいことは理解できていないのだが、1号機の事故発生以来関係者が懸命な処置を施しているにも関わらず事態が深刻の度を増すばかりの情報に接していると、原子力というものが人智の及ばない恐ろしいものであるとの思いを強くしてしまう。
 避難している福島原発周辺の住民にとっては、見えない恐ろしい敵に怯えながらの日々が続いていると思うと同情を禁じえない。政府は住民の不安を軽減するため危険の度合いはそれほど大きくないと懸命にアナウンスしているが…。

 初めて分かったことだが、福島原発は首都圏の電力源を一手に担っていたらしい。事故発生によって電力事情が一変し、首都圏は計画停電の処置が施される事態となっている。
 その影響たるや甚大なものであるとニュースは伝えている。

        

 何より一刻も早く事態が終息することを願いたい。
 事態が終息した後、わが国にとって原子力発電の是非が非常に大きな問題となってくるであろう。
 感情的な反対論に与したいとは思わないが、今回の事態を冷静に分析して原子力発電の是非を論議してもらいたいと思う。
 このことはある意味で、今後の日本の行き先までも決めかねないことなのだから…。


菅家利和さん 足利事件を語る

2011-03-14 12:07:44 | 講演・講義・フォーラム等
 足利事件冤罪被害者の菅家利和さんは訴える。「否認しても認められず、悔しかった」、「追及に疲れてしまい、あきらめてしまった」、「悔し涙を悔恨の涙と受け取られてしまった」…、「同じような冤罪を生まないでほしい」と…。 

            
        
 3月7日(月)、札幌市教育文化会館で「取り調べの全面可視化を考えるシンポジウム」が札幌弁護士会の主催で開催され参加してきた。
 名称は「考えるシンポジウム」となっていたが、弁護士会の主催であるからむしろ「求めるシンポジウム」という方が相応しい内容であった。
 その内容は多岐にわたっていた。
 趣旨説明、取り調べの状況を録音したテープの公開、寸劇、現状報告、そして菅家さんを交えたパネルディスカッション、等々…。

 菅家さんの発言についてはリード文で記したものがそのほとんどだったので、集会の中で印象深かった映画監督の周防正行監督(映画『それでもボクはやっていな』の監督)が弁護士と対談された内容の一部を取り上げ、レポートすることにする。

        
        ※ 「全面可視化」について持論を述べる周防正行監督

 周防監督はある痴漢事件が逆転無罪になった事件を2年間にわたって調べる中で、日本の裁判に矛盾を感じ、その怒りがもとになって『それでもボクはやっていない』という映画が完成したと語った。
 その矛盾とは、日本の裁判においては被告が法廷で裁かれる際99.9%は真犯人として裁かれているという。つまり裁判官は検察官の調書を信頼し、そこに記載されている「自白」を前提として量刑を言い渡しているだけだと…。
 だから現在の警察や検察官の取り調べは被疑者から「自白」を取ることが主となっているようなのである。
 そして周防監督は言う。「裁判で真実が明らかになるなどというのは幻想に過ぎない」と…。

 冤罪を防ぐには、密室で「自白」を強要するような取り調べを防ぐためにも「全面可視化」が絶対に必用だと周防監督は強調した。
 確かに、会場に流された取り調べの状況を録音した様子からは「これが今現在日本で行われている取り調べの実態なの?」と驚くほど強圧的、暴力的な言葉を投げつけ、「自白」を強要する取り調べの様子だった。

 また、周防監督は取り調べの可視化の要求が高まる中で、取り調べ側が「一部可視化」の実施を唱えたり、試行したりしているが、この方法は現在の取り調べ方法を強化する方法であり、最悪の選択であるという。
 それは「一部可視化」だと、いくらでも編集が可能であり実態がさらに闇に葬られる恐れがあるという。映画はそうした意味ではいくらでも編集して作り話が可能なものだと聴いている私たちを笑わせた。
 そして周防監督は「全面可視化」を実施することによって、これまで行われてきた取り調べ方法を進化させるためのキッカケにすべきだと強調した。

        
     ※ パネルディスカッションで取り調べの不当性を訴える菅家利和さん
      です。右側は担当弁護士だった笹森学弁護士、右は周防監督です。

 全体を聴き終え、人権問題が高まりを見せる中、もはや「全面可視化」は避けて通れないものと考えられる。
 事件捜査や取り調べが難しくなるといった議論もあるだろうが、「真実」を求めるに当たって「強要」はけっして許されるべきものではない。「全面可視化」を実施しながらも「真実」を明らかにする努力が求められているのだと思う。

地下歩行空間 開通

2011-03-13 18:19:45 | 札幌(圏)探訪
 札幌の街の人の流れや街並みなど大きく変貌するのではないかと予想されている「札幌駅前地下歩行空間」が昨3月12日開通した。何はともあれ、その様子を写真を中心にレポートする。 

 東日本大震災は時間が経つにつれて被害の状況が明らかになるしたがい、亡くなった人の数が拡大の一途を辿っている。また、原発事故の様子も予断を許さぬ状況が続いている。
 テレビから目を離せぬ状況が続いているが、拙ブログではそのことからいったん離れて、札幌の街にとっては数年来の大きな出来事のひとつとなる「札幌駅前地下歩行空間」の開通についてレポートすることにする。

 レポートは写真を主とし、その写真にそれぞれコメントを付す形のレポートとする。
 なお、私が訪れたのは12日(土)の正午頃であった。当日は行われる予定だった開通セレモニーは震災の影響から取りやめになったとニュースは伝えていた。

        
    ※ 大通側の入口です。矢印の方向が「札幌駅方面」という表示が見えます。

        
      ※ ご覧のように初物見たさに多くの市民が初歩行を楽しみました。
        伝えられていたことですが、天井が低いのが目立ちます。

        
      ※ 壁面の多くは写真のような広告写真が大きく張り出されています。

        
        ※ 悪名高き(?)北1条通りの地下空間とも連結しました。

        
        ※ 歩行空間にはこのような休憩スペースも設けられていました。

        
        ※ 地下歩行空間では当然ですが車道がありません。した
         がって、かなり広い空間が確保されていて、脇の方に大
         きなスペースがあり、このスペースを活用していろいろ
         な取り組みや活動が今後展開されることが期待されます。

        
    ※ 歩行空間のところどころにはこのような芸術作品も展示されていました。

        
     ※ 「敷島ガーデン」と名づけられたカフェスペースです。開店前でした。

        
    ※ 日本生命ビルの前には数軒のカフェテリアブースが開店していました。

        
    ※ 歩行空間のところどころに自然光を取り入れる工夫が取り入れられています。

        
      ※ 歩行空間の何ヶ所かに地上からの出入り口が設けられています。

        
        ※ 地上の駅前通りは予想通り閑散としていました。

            
        ※ 札幌駅に近いところに面白いものを見つけました。「さっぽろ駅バス
         navi」に特化したi Phoneの大型モニターです。もちろん指で画面を
         動かすことができ、列車や地下鉄、バス時間などがチェックできるよ
         うになっています。 

 さて、この地下歩行空間の開通によって札幌の人の動きはどう変わっていくのでしょうか?
 関係者は固唾を呑んで見守っていることと思います。
 私のような単なる札幌ウォッチャーにとってもどのように札幌の街が変わっていくのか、とても興味深いテーマです。        

東日本大震災

2011-03-12 21:00:14 | その他
 目を覆うばかりの悲惨さである。テレビがライブで伝える津波の恐ろしさには戦慄すらおぼえた。事態は今、原子力発電所の放射性物質の漏洩を伝えている。被害はどこまで広がるのか、一時も早い終息を願うばかりである。

 時の出来事にほとんど無関心のように書き綴ってきた拙ブログだが、さすがにこの事態を看過するわけにはいかない。
 昨日(11日)午後の地震発生以来、テレビの前に釘付けになって事態の推移を見守ってきた。
 その様子は目を覆うばかりの悲惨さだった。

        
        ※ 今回の震源と過去の東北沖地震の震源を伝えている
         新聞(朝日新聞ウェブページから 以下の写真も同じ) 
 地震発生からほどなく、みるみる海の潮位が上がり、地面を海水が浸していく。
 と間もなくそれは奔流のような流れとなって、船を、車を、家屋を、波が弄び、いとも軽々と運び去っていく。
 私が特に衝撃を受けたのは、仙台市付近の畑地やビニールハウスを次々と飲み込んでいく姿だった。畑がきれいに整地されていただけに、その映像はあまりにも衝撃的だった。

             
        ※ 陸前高田市の津波の爪痕の様子です。

 明けて本日(12日)、津波の爪痕は凄まじいばかりの痛々しい姿をテレビが映し出した。
 東北各地の海沿いの市町村や集落は壊滅的に崩壊した姿だった。東北地方ほどではないけれど、北海道の太平洋沿岸地域でも被害は深刻だという。
 人的被害も拡大の一途を辿っている。
 そして今、福島の原子力発電所から放射性物質が漏洩し始めているとニュースは伝えている。
 いったい、被害はどこまで拡がるのだろうか?

        
        ※ 石巻市の津波が去った後の惨状です。

 この日本の東半分をも飲み込んでしまった今回の大震災はまだ終息してはいないが、わが国にどれだけの被害をもたらすことになるのだろうか?
 これまで経験したことのない未曾有の事態に対して、国の最高責任者が述べたように「総力をあげて対処する」ことによって最小不幸にとどまることを願いたい。
 そして“総力”とは、けっして国や行政だけに頼ることではなく、私たち一人ひとりに何ができるのか、そのできる範囲において一人ひとりが“総力”をあげることも問われているのではないかと思っている。