過日開催された「北海道文化集会」において、二つのコンサートがあった。一つはクラシックのクァルテット、そしてもう一つは馬頭琴のコンサートだった。ジャンルの違う二つの音楽だったが、それぞれ楽しませてもらった。
北海道文化集会におけるコンサートは、11月3日午後にフルート、チェロ、ヴァイオリン、チェンバロのクァルテットによるJ.S.バッハの曲の演奏。11月6日午後に、中国内モンゴル出身の阿斯罕〈アスハン〉さんによる馬頭琴の演奏だった。
クァルテットによる演奏は、J.S.バッハの曲だけを演奏するという形のコンサートだった。私には珍しい組み合わせのクァルテットに映ったが、バロック音楽の演奏の場合はピアノがまだなかったそうで代わりにチェンバロが用いられたらしい。チェンバロの音量が小さいためにチェロが用いられたそうだ。コンサートは約40分間にわたって演奏されたのだが、私のようなクラシック初心者にバロック音楽の良さが良く分からなかった、というのが正直な感想である。
ただ、4人の演奏家たちの履歴を拝見するといずれも確かな音楽歴の持ち主で、技量も確かなものだった。紡ぎ出される音も自信に満ちたものだった。
残念だったのは、演奏する曲目を紹介するプログラムが配布されなかったことだ。マスクを装着したまま曲目を紹介してくれたのだが、残念ながらよく聞き取ることができなく、いったい何という曲が演奏されたのか、まったく記憶することができなかったのは残念だった。
一方の阿斯罕さんによる馬頭琴のステージは、年齢的には25歳前後とみられるが、幼少の頃から馬頭琴に親しんだ阿斯罕さんの演奏は確かな音を紡ぎ出しているように私には聴こえてきた。演奏された一つ一つの曲は割合短く、45分間の演奏時間で計9曲が披露された。その9曲とは…、
◇オートリーン・ジャロース/草原の青年
◇ソヒン・サーラリ/スーホの白い馬
◇ウルフチュールン/回想曲
◇モンティ/チャールダッシュ
◇ドゥングルデ/ホーミーを歌っている状態を表している(ホーミー)
◇菅野よう子/花は咲く
◇岡野貞一/ふるさと
◇ドルットゥ/飛躍
◇トムン・アクティン・トブルグン/万馬の疾走
2本の弦を操って多彩な音を紡ぎ出す馬頭琴の珍しい音色はモンゴルの草原を連想させてくれた。その中で、モンティの「チャールダッシュ」や「花は咲く」、「ふるさと」などの西洋音楽も器用に弾きこなして聴かせてくれたが、やはり馬頭琴には草原の音楽が相応しく、西洋音楽には少々違和感はあったが、それもご愛嬌といえるものかもしれなかった。
どちらのコンサートとも、日常ではなかなか聴く機会のない音楽で、私にとっては貴重な機会だった。そういう意味で主催した北海道文化団体協議体に感謝したい思いである。