控えめ(だったかな?)とはいえ、故国礼賛に終始した演目はどうかな?と思われたが、エンターテイメントとしてみるかぎり、鍛えられた演舞、華やかな舞台や衣装など、十分に楽しめた公演だった。

本日午後、改装なった札幌市教育文化会館において創立50周年記念と銘打った「金剛山歌劇団」の公演があった。観覧を希望したところ招待券が舞込んだので観劇することができた。
「金剛山歌劇団」についての知識がなかったのでネットで調べてみると、1955年に「在日朝鮮中央芸術団」として創立されたのが始まりだということが分かった。そして1974年に「金剛山歌劇団」と改称されてから50周年ということのようだ。
つまり歌劇団は在日の朝鮮籍の方々で構成されていることを初めて理解した。ステージに登場した団員はオーケストラビットの演奏陣を含めて50名弱という構成だった。
記録のためにプログラムを記すと…
《第1部》
1 オープニング「道」
2 女声重唱「りんごの木を植えました」
3 舞踊「山河を舞う」
4 男声独唱「母よ」(人民俳優 李栄守)
5 舞踊「あの空の向こうへ」

《第2部》
6 舞踊「月灯りの下で」
7 チャンセナブ独奏「われら幸せを歌う」(功勲俳優 崔栄徳)
8 混声重唱「ウリハッキョ、ウリ未来」、「海に伝える想い」
9 舞踊「朝鮮相撲」
10 舞踊「チャンゴの舞」
11 男声独唱「ニルリリ打令」 混声重唱「黄金山打令」
12 民俗舞踊「農楽舞2024」

という内容で、主に歌と舞踊の構成となっていた。( )内に特に人民俳優とか、功勲俳優について特記したが、おそらく長年の活動に対して本国(北朝鮮)から授与された勲章のようなものなのではないだろうか、と私は思ったのだが…。
ステージに登場した23名の中、男性は5名程度で他は女性だったが、その女性たち全ての容貌、スタイルが抜群で、まさに選び抜かれた人たちの集団のように思えた。その彼女たちが色彩鮮やかな衣装で登場し、かつ良く鍛えられた歌や舞踊を披露するのだから、ステージが映えないはずがない。華やかな舞台に多くの観衆は酔ったことだろう。

ただ、と私はここで但し書きを加えねばならない。演目の一つ一つが祖国を憧れ、祖国に想いを馳せる内容だったことにどこか冷めた思いで見ていたことも事実だった。
「金剛山歌劇団」が劇団の性格上、そうなることは致し方ない面もあるが、観衆である私たちはステージから発せられるメッセージ的なことを冷静に判断しながら観る必要があのではないか、と思いながらエンターテイメントを楽しませてもらった。
※ なお、掲載した写真は撮影がNGだったため、雰囲気を伝えるためウェブ上から拝借したが、札幌公演では衣装が一層鮮やかな印象を与えるものだった。