田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 228 最強の二人

2019-01-17 15:24:47 | 映画観賞・感想

 まるでプロレスかマッチョ映画のような題名であるが、さにあらず…。頸髄損傷で体が不自由な富豪と、その介護人となった貧困層の移民の若者とのコンビが最強だ!という意味のようだ。2011年制、コメディタッチのフランス映画を観た。

               

 本日(1月17日)は、月に一度開催されている札幌市生涯学習センターのホールで開催されている「ちえりあ映画会」の開催日だった。無料で、しかも大画面で観ることができるこのちえりあ映画会を私はできるだけチェックするようにしている。

 同じように考えている老人たちが多数いると見え、ホール内は午前開催(10時上映開始)にもかかわらずほぼ満員状態だった。 

 映画「最強の二人」は、2011年制作のフランス映画である。映画の最初に「この映画は実際あった話をもとに創作したものである」と字幕が入る。その事実とは、リード文でも触れたように頸髄損傷で体が不自由なフランス人の富豪と、その介護人となった貧困層の移民の若者との交流を描いたものである。 

 移民の若者は富豪の介護人になりたくてなったわけではなかった。粗野で独善的な移民の若者はけっして介護人に向いているとは思われなかったが、新しい介護人を探していた富豪とひょんなことから採用されてしまったのだ。

 介護人となっても若者は主人である富豪におもねるようなことはなかった。周りがはらはらするような介護の仕方、主人に対してもため口を使うような横柄な態度…。しかし、そこが主人には気に入られたようなのだ。つまり、これまでの介護人が主人を介護を必要とする可哀そうな人、という態度で接していたのに対して、若者はごく普通の人という態度で接したことが主人は心地良かったようなのだ。

               

           ※ フィリップ役を演じたフランソワ・クリュゼ(左)とドリス役のオマール・シー(右)

 主人の気持ちが分からないわけではない。しかし、そこには難しい問題も抱えているようにも思える。それは先日観た「こんな夜更けにバナナかよ」で、車いすの主人公は「自分は何もできないのだから、周りが介護をしてくれるのが当たり前の社会をつくりたい」と周りにいろいろと要求する。一方、この映画ではごく普通の人として接してほしいと願い、要求している。まあ、この映画の場合は富豪であるということから、自分が望むことはほぼ適えられているという状況が背景にはあったのだとは思われるが…。

 いずれにしても、介護という立場に立った時には、介護される側が何を望んでいるのか、それを的確に把握したうえで介護にあたるべきである、ということを教えてくれているのだろうか? 

 映画はそんな富豪の主人フィリップスと移民の若者ドリスとの交流を描いているのだが、普通ではありえない主人と介護人との関係が描かれていることから、会場内からは時々笑い声が漏れるようなコメディタッチの場面もたくさん見られ、気軽に観られる映画の側面ももっていた。

 しかし、貧困層の移民の若者というのは、今のフランスにおいて深刻な問題の一つともなっているという。映画は隠しテーマとして、そうした問題もさりげなく提起していたように思える。