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映画 177 植村直己物語

2016-11-18 21:14:48 | 映画観賞・感想

 植村直己氏というと、世界初の五大陸最高峰登頂者であり、さらには北極圏12,000kmを犬ぞりを駆って横断するなど、数々の冒険に挑戦した冒険家として名高い。そんな植村直己の冒険の軌跡を追った映画である。 

                    

 11月14日(月)午後、「めだかの学校」の「映画の中の北海道-昭和編」で「植村直己物語」が取り上げられた。
 映画は1986年製作・公開である。ということは植村直己が北米のマッキンリーの冬の山中で行方を絶ってから2年後ということになる。かなり早い段階での映画化である。記録では植村の生存が絶望視された後、国民栄誉賞に輝いていることなどから、彼に対する世の中の注目度が高かったこともあり映画化が早まったのかな、と想像される。

               

 映画は、植村の行った冒険、そして彼の家庭生活、彼の人がらなど伝記風に余すところなく映像化されているという感じだった。
 しかし、そのことが私には映画全体が平板に思えてしまい、ちょっと物足りなさを感じてしまった。
 エヴェレスト登頂のシーンや、北極犬ぞり冒険のシーンなど、当時としてはかなり高度な撮影だったということだが、今年初めに観た「エヴェレスト 神々の山嶺」とか、少し以前に観た「アイガー北壁」などと比べると、やはり時代が違うのだろうか、映像がもう一つ迫力に欠けるように思えた。

               
               ※ 在りし日の植村直己氏ご本人の顔写真です。

 また、平板に思えたということでは、植村の数ある冒険の中からどれかにフォーカスして、そのことを深く掘り下げることによって印象はまた変わったかもしれないと思うと少し残念な気もする。やはり映画の製作・公開を早めたことの影響が出ているように思える。

 植村役を演じた西田敏行は当時まだ39才だったようだが、芸達者ぶりを発揮して違和感なく植村直己を好演していたと思う。面白いと思ったのは、当初植村直己役に予定されていたのは作家の椎名誠だったそうだが、スケジュールが合わなくて断念したとナビゲーターの方が紹介してくれた。椎名ならどんな植村直己になったのだろうか?

                    
                    ※ 私が今最も注目している探検家・角幡唯介氏です。

 冒険家というと、今私が最も注目しているのはノンフィクション作家であり、探検家を標榜する角幡唯介という人である。彼の冒険は半端でない。彼のデビュー作となった「空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」を読むと、命のやり取りをしながら冒険に挑んでいるといっても過言でない激しさである。
 そんな彼が今冬、太陽が昇らない暗闇の冬の北極圏を5カ月にわたって旅するということを企てている。
 今頃は植村直己も根拠地としていたグリーンランドの最北の村シオラパルクで出発の時を待っているころかもしれない。
 きっと無事に帰ってきてくれると信じているが、その時には彼の圧倒的な筆力でまた素晴らしい冒険噺(ノンフィクション)をモノにしてほしい願っている。