田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

山下泰裕の柔道一直線

2011-07-02 22:16:01 | 講演・講義・フォーラム等
 ロサンゼルス五輪の柔道金メダリストにして、現在東海大学教授の山下泰裕氏の話を聴いた。氏の話はまさに柔道に育てられ、柔道で栄光を掴み、柔道に生涯をかける柔道一直線の話だった。

          

 6月28日(火)夜、ホテル札幌ガーデンパレスで東海大学公開講座が開催されたが、運良く受講の機会が得られ、柔道家で東海大学教授の山下泰裕氏の話を聴くことができた。
 氏は「現代社会におけるスポーツの果たすべき役割」と題して、90分間にわたり精力的に語られた。
 話は氏の柔道人生を振り返りながら、柔道を学んだ時代、柔道で闘った時代、柔道の指導者の時代、そして柔道の心を伝える時代、と順を追って話をした。

 山下氏が成長する中で最も影響を受けた方は、山下氏の中学・高校時代に柔道の指導を受けた白石禮介氏だったようだ。山下氏は熊本市の東園(とうえん)中学校、九州学院高校で白石氏の指導を受けたという。(山下氏は高校2年の途中で東海大相模高校に転校している)
 東園中学校は全国優勝をするほどの実力校だったが、白石氏が絶えず生徒に語りかけたことは「人生に生きる柔道」「人生に生かす柔道」ということだったという。そして「目ざすのは人生の勝利者だ!」と説いたという。
 この白石氏の指導が山下氏の人格形成の中で相当大きな位置を占めていることが話からうかがわれた。

 氏は自らの選手時代のあまりにも有名な栄光の数々については多くを語らなかったが、指導者になってからの悩みについて率直に語った。それは自らが他者の後塵を拝する経験がなかったために、伸び悩む者、他より劣る者への配慮に足りなかったということについてだった。しかし、このことも氏の謙虚な人柄によって克服していくのである。

 現在、氏は54才。
 柔道で培った精神、柔道で積み重ねた知名度、それらを基盤として社会で幅広く活躍されている。
 その中でも「柔の心を世界へ(Share the spirit of Judo to World)」を合言葉としてNPO法人「柔道教育ソリダリティー(Solidarity)」を設立し、世界への貢献活動を展開しているという。


 ※ 「柔道教育ソリダリティー」のHPの表紙にあった写真です。

 山下氏は最後に次のように述べて話を閉じた。
 「柔の心、和の心、日本の心を世界に伝えていきたい」
 そして講道館柔道の創始者である嘉納治五郎の言葉である「自他共栄」の世界の実現のために少しでも寄与したいと…。