まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『夜の姉妹団』やりすぎ創作料理っぽい一冊

2010-11-07 19:28:10 | アメリカの作家
THE SISTERHOOD OF NIGHT 

副題が “ とびきりの現代英米小説14篇 ” となっているのですが
12篇中8篇がアメリカの作家のものなのでアメリカのカテゴリーに入れてしまいました。

“ 現代 ” というのが現在(2001年当時)活躍中の作家という意味なのか
はたまたコンテンポラリーな作家という意味なのか…
ニュアンスとしては後者だと思います。
つまり、根っから現実的な私には苦手なジャンルでした

普通に書いて下されば面白いものもあると思うんだけど
随所に新しい試みがあるものだから、何が言いたいのか
よくわからなくなってしまうんですよね。

『お願いランキング』という番組でレストランの没メニューを紹介するコーナーがあって
「あ~、そんなことしなきゃ美味しそうなのに」という料理が登場します。
この本の物語にはそんな残念さが漂っている気がします。
文学を学んでいる方や、探究心旺盛な方には興味深い内容かもしれませよ。

比較的理解しやすかった物語をいくつかご紹介します。

『夜の姉妹団(The Sisterfood of Night)/1994年 S・ミルハウザー)』
町の少女たちが夜な夜な集まって何をしているのか? 大人たちは知りません。
裸で踊るとか、動物の血を飲むとか、おぞましい噂が飛び交います。
そんな中、雑誌に掲載されたある少女の投稿がセンセーションをおこします。

何をしているかわからない、というのは周りに恐怖感を与えるものですよね。
よくニュースでとりあげられる、所謂 “ カルト ” と呼ばれる集団が怪しまれるのも
秘密主義が原因のひとつになっている気がします。
少女たちの行動は、自分が十代の頃を思い返せばそんに不思議では無い気がしますけど…

『シャボン玉の幾何学と叶わぬ恋(The Geometry of Soap Bubbles and Impossible Love)
                      /1993年 R・ゴールドスタイン』
浮かれたことが好きな祖母サーシャと、生真面目な古典の教師の母クローイと暮らしている
26歳のフィービーは、シャボン玉の幾何構造に魅せられ研究に熱中しています。
彼女は8歳のとき、80代のペノワイエ氏に叶わぬ恋をしました。

祖母、母、娘の三代が暮らすって理想的じゃないですか? 実の母娘に限りますけどね。
世代も性格もまったく違う女性たちが醸し出す雰囲気がクールな物語です。
大姑、姑、嫁の三代にわたる寡婦だったら恐ろしいことになりそう…

『ラベル(Labels)/1993年 ルイ・ド・ベルニエール』
なにか趣味を持たねば…と探していた時、キャットフードのラベルに惹かれました。
その後はラベルを集めスクラップをする毎日です。
とうとう妻も出ていき、仕事もクビになり、食料を買う金も底をつきました。

食料は買えないけどキャットフードは買うのよ…コレクターのカガミよね。
想像がつくと思うけど、主人公はキャットフードに手を出します。
でもただ食べるだけじゃないというところがミソ! ある意味やり手です。

私がどこらへんに戸惑うかというと、急に場面や話しが変わったりして
起承転結もなにもあったものじゃないところですかね?

ハネムーンに行ったら知人が大勢押しかけて来て長い間夫にたどり着けなくなったり
劇作家ジョン・フォードの戯曲を映画監督ジョン・フォード(別人)がシナリオ化したり
ボルヘスの短篇『南部』のその後を知りたくて “ 物語 ” を訪ねてみたりとか…
まさに「創作」という言葉がぴったりの作品。

あまりにも現実離れしすぎていて、登場人物に共感することもできないし
自分に置き換えて涙したり喜んだりすることもできない小説というのは
楽しめないし、読みがいがないんですよね。
フィクション、ファンタジーとはいっても、入り込める物語が好きでございます。

いや、所詮想像の世界なんだから現実を遠く離れてありそうも無い話しを読みたい!
という読者には面白い一冊なのではないでしょうか?

ところで最後にひとつ! D・バーセルミのすごく短い小説
『ドナルド・バーセルミの美味しいホームメードスープ』というお話しは
もはやクノールの広告にしか思えないんだけどタイアップ?
クノールはこれをもとにCFを1本作ってみてはいかがでしょう?
コメント
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