まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

イングランド王チャールズ2世愛妾 モル

2009-06-09 00:34:16 | 王の寵姫・愛妾
ライヴァルのもてなしが命取り?
メアリー “モル” デイヴィス


1648~1708/愛妾 1667~1669

生まれ育ちははっきりしていないのですが、騎士の私生児として育ち
12歳でデュークス劇団の女優としてデビューしました。
歌手、ダンサー、コメディエンヌとして人気者になりましたが
サミュエル・ピープスの妻は「世界一生意気でふしだらな女」と評していました。
ただピープスの日記によれば、人柄はともかく女優としてはピカいちで
後年ライヴァルになるネル・グィンよりも才能は数段上だったということです。

1667年に初めてチャールズと会っているのですが、劇場で会ったという説と
バッキンガム公ジョージ・ヴィリーアーズ仕切りの(新しい愛妾を選ぶ)謁見式に
参加したという説があります。

ちなみにバッキンガム公はチャールズ2世の有名な愛妾バーバラ・ヴィリアーズの遠縁で
主な仕事は王に愛妾を探し出して来ることだったらしい…
       
モルは愛妾になると最新式の馬車や高価な指輪などの戦利品を見せびらかして
“ 低俗な欲張り女 ” という悪評が高まりました。
本人は気にしてなかったでしょうけどね。

翌年には同じく女優出身のネル・グィンが王の愛妾になります。
ふたりの争いはそりゃあ熾烈なものでした。
なんでもモルはチャールズ2世に会いに行く日に、ネルからお茶に招かれたのですが
お菓子だかボンボンだかに下剤が入れてあったということで…

それが原因だかどうかは知りませんけどチャールズ2世はモルに暇を出そうと考えました。
モルは「手ぶらじゃ出て行かないわよ!」と頑張りまして毎年1000ポンドの年金を
手に入れ宮殿を去りました。

その後のモルはセント・ジェイムズ・スクエアにかなり豪華な邸宅を手に入れて
贅沢に暮らしたようです。(邸宅は後年陸軍海軍クラブになりました)

1686年にはフランス人の音楽家で、チャールズ2世の弟ジェイムズ2世のおかかえだった
ジェイムズ・ペイシブルと結婚しました。
夫は廃位されたジェイムズ2世と共に亡命し、1693年にデンマーク王太子夫妻の
おかかえになってイングランドに戻ってきましたが、その間モルがどうしていたのか
記述がありません。
たぶん一緒にいたんじゃないかなぁ…

1708年に60歳で亡くなっているんですけど、そちらも詳細が見つけられませんで…
音楽家の妻として穏やかに暮らしたと思いたいですね。

(参考文献 森譲氏『英国王妃物語』 ドーン・B・ソーヴァ『愛人百科』
      エレノア・ハーマン『王たちのセックス』 Wikipedia英語版)

有名な愛人や愛妾をピックアップしA〜Zの順で紹介しています
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王様たちの恋愛スキャンダル満載です
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『フラナリー・オコナー全短篇』弱き者は沈黙する

2009-06-09 00:33:58 | アメリカの作家
27 SHORT STORIES BY FLANNERY O'CONNOR 
メアリー・フラナリー・オコナー

ものすごく勇気があると思うわ、彼女。
“ 勧善懲悪 ” だとか “ 弱きを助け…” という概念をまったく排除した冷静(冷徹?)な
視点で書かれた物語が27篇…偽善者のみならず常識家や知的層、弱者にも
情け容赦がありません。
気持ちのよい物語ではないけれど、読まずにいるにはもったいなさすぎます。

21歳のデビュー作から収載されていますが “ 地に足がついている ” っていうのかしら?
うわついたところがひとつとして見当たりません。
ひとつひとつが捨て置けない物語ではあるのですが
私なりにオコナーらしいと感じた作品をいくつかあげてみます。

『ゼラニウム(The Geranium)/1946年』
娘に引き取られてニューヨークのアパートで暮らす老ダッドリーは
毎日向かいの窓の貧相なゼラニウムを見て南部の農場を懐かんでいます。
ある日隣の部屋に黒人が引っ越して来たと知って愕然とします。
しかもなれなれしく肩まで叩かれて…

フィリップの『チエンヌ』でも書いたんですが “ 引き取って面倒見る=幸せ ” なのか
考えさせられる作品です。
この老人には人種に対する思い込みも(差別ではなく)あるので一層面倒です。

『すべて上昇するものは一点に集まる
  (Everything That Rises Must Converge)/1963年』
いつまでも奴隷制度を正しいとする母をつれてバスに乗り込んだジュリアン。
母は隣に座った黒人の子供に1セントの “ほどこし” をあげようとして
子供の母親に殴られてしまいます。
いい教訓になっただろうと近づいたジュリアンでしたが母の様子が変です。

ジュリアンのお母様はけっして悪人ではない普通の人なのですが
環境がゆるぎない信念を作り上げてしまったんでしょうね。
人種による座席の仕切りが取り払われたばかりの頃の物語だそうです。
ほんの50年前なんですけどね。

『長引く悪寒(The Enduring Chill)/1958年』
作家志望のアズベリーはもう先が長くないと思い
ニューヨークを引き払って母と姉が住む南部の農場へ帰って来ました。
誰も彼もが自分の話し相手にはふさわしくないと失望するにつれ病は重くなります。
ある日医者がやって来て「ただの感染症だ」と笑って言いました。

これは唯一(意地悪な)ユーモアが感じられた作品ですね。
端から見ていて「偉そうに言う前にやってみな!」と思ってしまう人はよくいますが
身内にいたらうざったいわね。

全体的に、完全に人を突き放した物語に仕上がっています。
かえって本質的な愛を感じるという人もいるようですが、私はそうは思いません。
絶対にあたたかい物語じゃないし、希望が持てる話しじゃないし…逆に落ち込みそう。
でも、人間て多かれ少なかれこんな部分があるんだと納得できるし
こういう世の中に生きていると肝に銘じておくためにも読んだ方がいい1冊です。

私はこんなじゃない! と思う人がいたら、偽善者、よほどのお人好し、天使のような人
のどれかだと思いますけどね。

              
                 こちら新潮社文庫です
                ちくま文庫よりすこ~しだけ優しげな訳になってます


オコナーは38歳という若さで難病のために亡くなっているんですが
長生きしてたらどんな作品を書いてたでしょう?
丸くなったかしら? それとも新たな問題を鋭く描き出したかしら?
読んでみたかったですね。

フラナリー・オコナー全短篇〈上〉筑摩書房


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まずは上巻を…かならずや下巻が欲しくなると思いますよ
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