まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『桜の園・三人姉妹』戯曲再考

2009-06-24 01:08:13 | ロシアの作家
ВИШНЁВЫЙ САД・ТРИ СЕСТРЫ 
アントン・チェーホフ

チェーホフは好きだが戯曲が嫌い…というジレンマを解消すべく
この1冊に手を伸ばしてみました。

貴族階級の世紀末的哀愁という内容はすごく好き!!
とても良かったんだけど、やっぱり小説仕立てにしていただいた方が…
でも脚本だからこその良さなのかしら? ト書きが苦手なんですよね

『桜の園(ВИШНЁВЫЙ САД)/1903年』
没落していきつつある領主のガーエフとその妹ラネーフスカヤは
慣れ親しんだ桜の園が競売にかけられるというのに、出入りの商人ロパーヒンの
「別荘地にして貸し出しては?」 という助言を聞き入れようとしませんでした。
とうとう競売の日、桜の園を買ったのはロパーヒンその人でした。

たぶん舞台上ではロパーヒンが薄情者に見えるんじゃないかと思うのですけど
額に汗してきた人が、客間でお茶ばかり飲んでいた人に取って代わるって
正しいことじゃないでしょうか?
当時どの国でも抱えていた旧態を守ろうとする層と新興層の攻防ですが
ロシアは特にお金で称号が買いやすかったみたいだから入れ替わりが激しかったかも…
どちらの立場からこの物語を見るかで意見が分かれたんじゃないかしら?

『三人姉妹(ТРИ СЕСТРЫ)/1900年』
1年前に父親を亡くした姉妹の長女オーリガと三女イリーナは
長男アンドレイと生地モスクワへ向かうことが望みでした。
けれどアンドレイが結婚して子供ができ、教師をしていたオーリガは校長になり
イリーナもモスクワ行きを諦めて除隊したトゥーゼンバフ男爵に嫁ぐ決心をします。

仕事をやめて海外に語学研修に行っちゃうっていうのは圧倒的に女性が多いですよね?
現状を変えたいと思ったら女性の方が思い切りがいいような気がしますけど
誰もが即実行できるわけではなく、どんどん時はたってしまって後悔だけが残るという…
イリーナがすぐ口にする「モスクワへ…」がかなり心に響きます…涙がでそうです。

脚本は苦手だけど、小説よりキャスティングを妄想しやすいですね?
モリエールを読んだ時はそうでもなかったんですが、舞台ってやっぱり
キャラの立つ脇役が重要なんじゃないかと、あらためて思いました。

2篇とも爺さまが登場するんですけど日本でやるなら長門裕之しかいないんじゃなくて?
『三人姉妹』のナターシャはねぇ…松たか子の姉ちゃんかオセロの松嶋ってどう?
なんて考えていたら観劇に行ってみたくなってしまいました。

桜の園・三人姉妹 新潮社


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コメント (2)
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