詩の現場

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ピレッサイの泉 3

2015-01-07 | 連詩
…この太陽が沈みかけたら
行かなければならない…

ピレッサイの泉の男は
私に近づき
そう告げると 歩きだした
私が来ることを
知っていたというのだろうか
「どこへ」
暮れかけた空の一隅から
鳥たちが けたたましく騒ぎたて
質問の声をかき消していく

男の後を 追っていくだけだ
暗やみを歩くのは慣れているが
街はずれにさしかかると
何一つ 灯りは見えなくなり
樹々や土の匂いを嗅ぎながら
星の足下を探っていく

森の一番奥のどこかにあるという
泉 ピレッサイの泉に
向かっているにちがいない

闇に隠れていた男の姿が
ぬかるみに足をとられそうな場所
まで来ると
急に ほの暗い光を浴びて
丸い影を うつしだした

フクロウ…
夢の中の覚醒のように
そう気づいたとたん
男は しゃべりだした



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