詩の現場

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ピレッサイの泉 4

2015-01-11 | 連詩
ピレッサイの空には
2つの太陽がめぐる
1度めの太陽が
地球の裏側に移動し
この街のちょうど真下にくる時
ピレッサイの泉に
小さなガラス玉のような
水滴が 浮かびあがってくる

男は 泉の真中まで歩いていき
一輪 花を手折るように
浮かんできた水滴を 摘みとり
不透明な袋に入れる
すると また1つ
泉のはしの方で
浮かびあがり

つぎつぎと
水滴を摘みとっていく音が
音符がならんでいくように
あたりに ひびきだす

音色に 惹きこまれていると
男は急に 横に立っていて
一粒の水滴を
私の手のひらにのせた

宙天に昇ってきた下弦の月灯りに
照らしてみると
水滴のなかには 緑色のかけらが
核をつくり
美しい球体に 輝いている

男は 私の心に
謎のように話しかけてくる

欠けていくものを
知っているかな
失っていくものを
知っているかな
傷つくものを
知っているかな

月のかけら
誰かの指輪
猫の瞳
放たれた言葉の半分
世界の淵から
こぼれ落ちていく かげろたちが
この水玉に
生まれ変わり

大きな音を立てて
壊れたものでなければ
ここには 生まれてこれない
と言い そして



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