Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画監督別10傑(2)黒澤明

2018-01-06 00:10:00 | コラム
~黒澤明のキャリア10傑~

いわば、元祖「俺様」監督。

というか映画監督は、多かれ少なかれ「俺様」要素がなければ務まらないポジションだと思う。
もちろん、女子の監督も。

そんな黒澤は、プロフィールにも記してあるとおり「わが神」のひとり。

相撲の番付でいうと、横綱ふたりは黒澤とスコセッシ。

30を過ぎたあたりから小津のよさ・凄さが分かってきた、、、とはいうものの、横綱の地位は揺るがない。

自分はこの監督から、映画における最大の魅力とはダイナミズムであることを教わった。

そして、「なにはなくとも脚本」という考えに基づき、よく複数で脚本を完成させている―という点にも注目したい。

「ひとつの脳味噌では危ない、偏る」という意識は、「俺様」とは遠いように思われるが、脚本の段階で格闘したからこそ現場で一切の迷いが生まれなかったのだろう。

そんな「俺様」の個人的10傑は、以下のとおり。


(1)『天国と地獄』(63)

イコール時代劇、、、みたいな感覚のひとも多いだろうが、自分は黒澤の現代劇をこそ評価したい。

室内劇から一転、身代金受け渡しにおけるダイナミズムといったら!

(2)『酔いどれ天使』(48)

三船との初タッグ作。



しかしほんとうの主人公は、志村喬だ。

(3)『用心棒』(61)

サービス精神全開の、大娯楽作。

オープニングのワクワク感、これが映画なんだよね。

(4)『野良犬』(49)

ピストルを奪われた刑事と、奪った男と。



視覚と聴覚が融合したエンディング(=井上ひさし評)は、映画を学ぶ学生にとって最良のテキスト。

(5)『七人の侍』(54)

一般アンケートであれば、まちがいなく本作が1位に。

「この米、おそろかには食わぬぞ」の台詞は、自分のモノマネ18番です。

(6)『どん底』(57)

ゴーリキーの戯曲を日本の江戸時代に置き換えて映画化。

可憐な役柄が多かった香川京子が、なかなかに勝気な女を演じていて新鮮。

空間をどう捉えていくのかという演出面にも注目したい。

(7)『生きる』(52)

初見は渡辺勘治さん(志村喬)のキャラクター造形にイライラもしたが、観返していくうちに脚本の巧さに気づいた。

若さの象徴、小田切みきの初々しい演技も悪くない。



(8)『悪い奴ほどよく眠る』(60)

冒頭の結婚式シーンの脚本を、何度も何度も書き写した過去あり。

コッポラやチミノが模倣したのは、よく知られた話だろう。

(9)『赤ひげ』(65)

「この子は身体も病んでいるが、こころがもっとやられている」

これ、得意なモノマネの2番目・笑

そして加山雄三って演技が巧いんだな・・・と、初めて思った映画でもあります。

(10)『椿三十郎』(62)

黒澤、唯一の続編。

ユーモア要素は『用心棒』の2倍、そして血の量は3倍!!




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明日のコラムは・・・

『忘れられないひと』
コメント (3)
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