Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画館で涼もうぜ

2014-06-30 00:30:00 | コラム
先週末の金・土は新作映画の封切りラッシュ、じつに15本もの映画が公開されている。

そのなかで順位をつけるとするならば、

(1)『渇き。』…トップ画像
(2)『her/世界でひとつの彼女』
(3)『収容病棟』
(4)『トランセンデンス』
(5)『オールド・ボーイ』

・・・となるかな。

日本・米国・韓国とバランスもよく、16強が出揃ったサッカーW杯みたい。


『渇き。』は賛否あるだろうが、自分のなかではダントツの出来。
役所広司の演技の振り切れ具合、魅力的な女優陣―小松菜奈、二階堂ふみ、橋本愛―も素晴らしいが、不愉快で不道徳な物語をポップに紡いだ中島哲也監督を「いちばんに」褒めるべきだろう。

韓国産をリメイクした米国映画『オールド・ボーイ』は、ちょっと脇が甘い。
『インファナル・アフェア』(2002)と『ディパーテッド』(2006)の関係性に似ていて、インパクトという点では「そーとー」負けている。
ただ餃子を強調する演出は、面白かったけど。


夏である。
まだ梅雨明けしていないけれど、日本らしい湿気を含んだベトベトな感じがなんとも不快。

シャワーを浴びた直後だけ快適、でも1時間後には汗をかいている。

プールや図書館で涼むのもいいし、カキ氷を食べてもいい。
でもやっぱり、映画館がいちばんっしょ?

自分にとって夏とは、スイカであり薄着の女子でありTシャツであり、そして映画だ。

というわけで、夏の映画について書く。

黄金週間と秋は、インディーズの映画が強い。
正月と夏は、ビッグバジェットが映画界を席巻する。

あくまでも「その傾向にある」っていう話だけど。

今夏もその例に漏れず、なんといっても注目は米国版の『ゴジラ』だ。





特別試写で観たが、たしかにすごい。

全世界でヒットも納得のクオリティであり、オリジナル版云々より、なんとなく「平成ガメラ」に似ているところも日本人としてうれしかった。

細かいことをいうのは公開日(7.25)まで待つが、ひとつ文句をいうとするならば、舞台は西海岸ではなく東海岸のほうがよかったのではないか、、、とは思った。
雰囲気とリアリティ、という点においてね。


記憶を辿ってみれば、自分が映画小僧と化していく過程は「夏、が多かった」ような気がする。

レンタルビデオで『タクシードライバー』(76)を初めて観たのは、夏休みの1日目だった。
ひとりで「はっきりと」映画館に行きたいと思った―その最初の映画は『プロジェクトA2』(87)で、これは7月公開。
場末の映画館『清流』で働き始めたのは、高校1年の夏。
初めて「脚本を書いてみよう」と思ったのも夏。その物語の舞台は、意識的か無意識か「異様に暑い夏」とした。

♪ 夏夏夏夏ココナッツ♪ なのである。

チャゲ頑張れよ。
当然だが、あなたはなんにも悪くない。

それから、ももクロの『ココナッツ』も好きだ。

♪ コココココココナッツ ♪ なんつって。

なんの話だよ、バカヤロウ。


ふだんはインディーズ映画推しだが、夏くらいはビッグバジェットを堪能したい。
夏こそビッグバジェットが相応しく、多少雑な映画でも楽しませ、そして涼ませてくれたら堅いことはいわない。

そう、敢えて書くと・・・夏になって気が緩む・貞操観念が弱くなる女子が多いといわれているが、それと似たようなところがあり、映画への評価が甘くなると。

ダメじゃん! という気もするが、いやいや、これだけ暑いのだから難しいこというなって。

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BUSY NOW

2014-06-29 03:42:04 | コラム
♪ いそがなきゃ、いそがなきゃ 早くいかなきゃ
夢のまま終わらないように
ガマン強く、ガマンしているヒマはない
I’m busy now
I’m busy dreaming now ♪


速いね。あるいは、早いね。

よく、そう評される。

喰うのが早い。

便(の所要時間)が早い。
短いのほうが適切かもしれんが。

そして、イクのも早い。

悪かったな早漏で。

いやいや、きょうはセックスがテーマではない。


職場に到着するのが異様に早い。
仕事だけでなく、遊びなどの「待ち合わせ場所」に到着するのも異様に早い。

2番目に到着したひとから、必ず「早っ!」といわれるんだ。

つまり、其処に「いちばん最初に」到着している。
うん、「いつも」と断言していいだろう。そのくらい早いし、どうしても「最初の男」になりたいのだった。

遅れるのがイヤ。
「ごめん、待たせて」というのがイヤ。
誰よりも先に到着し、「ごめん…」という相手に「いいよ、いいよ」といいたいタイプ。

滅多に乗らないが、電車やバスに乗るときもそう。
時刻表をチェックして「ぎりぎり」にホームに行くひとが居るが、あれが出来ない。

もちろん、映画を観るときだって同じ。
最近の劇場は予約も出来るが、たとえ予約していたとしても、開場の30分前にはスタンバイ? しておきたい。


そうこれは、性分の話。

自分「だけ」の問題なので、相手が遅れてきても腹が立つことはない。
自分が早く到着すればゴキゲンっていうね。
(ただ遅れるにしても限度はあるよ。60分以内であれば、しょうがないって許すかな)

せっかち?
神経質?

その両方だろう。

この、時間に支配されている感じを批判的に捉える向きも居る。
何遍かいわれたことあるもの、「そんなに急いでも…」と。

遅れてきたにも関わらず上から目線っぽいのが腹立つが、繰り返しいうように性分なんだからどうしようもない。


ただ3年にいちどくらいの確率で「しくじる」ことがある。
寝坊だ。

そのときの落ち込みようといったらない。
早漏や短小をコケにされたとき以上に傷つく。
「ごめんなさい」といいたくない、遅れていくくらいならば休んでやろう、、、とさえ思う。

先週のデートがまさにそうで、自分の失態? を自分自身で失望し、恥じ、相手に対して満面の笑みを向けることが出来なかった。

作り笑いしか出来ない精神状態はそのまま性欲にも直結し、はっきりいうよ、ちょっと勃つのが遅かった。

・・・・・。

さすがにナイーブに過ぎるよなぁ、それは!!

でも変えられない、止まらない―我ながら難しいヤツだなぁと呆れてしまう、初夏のワンシーンなのだった。


※hitomi、『BUSY NOW』

現在38歳。
そういえば最近、3度目の結婚を果たしたね。おめでとー!!
なんかそれだけで批判的に書かれているが、べつにいいじゃねーか。モテるんだから。

ただ、女優としての評価はペケかな。
塚本晋也が刑事役で起用したことあったけど、あんな刑事は居ないよね。
リアリティのかけらもなかった。

でもこれ歌っていたころは、適度にエッチで好きだったよ。

ちなみにトップ画像は、テレビ朝日の短~~い番組『全力坂』。
坂を女子が全速力で走るだけ・・・なのに、ファンは異常に多いよね。

はい、自分も大ファンです。




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初体験 リッジモント・ハイ(81)

2014-06-28 00:30:00 | コラム
映画で演技を披露している「非」俳優―といっても、ヒッチコックくらい短いシーンでの出演となると、演技力どうこうは評価出来ない。
出来ないし、それは本人もファンも望んでいないものだ。
あれは単に、ファンサービスなのだから。(だからこそ、舞台が限定された『救命艇』(43)では「どこに出てくるのだろう」という楽しみが生まれることになった)

きのうのコラムに対して「伊丹十三さんは?」というメールをもらったが、このひとは俳優で出発し映画監督になったひと。
ただ伊丹さんという文字を見て思い出したのが、鈴木清順(トップ画像左)である。

このひとは映画が撮れない時期があり、喰うために俳優業もこなしていた。
味わい深い演技で、悪くないよね。

きのうイチローには言及したが、スポーツの世界からはなかなか逸材が出てこない。
赤井英和が唯一の成功者なのではないか。

ミュージシャンは雰囲気のあるひとが多いから、俳優をやって成功するケースも多い。
同じ理由で作家も多そうだが、そんなこともなく。

じゃあ、単なる映画小僧の自分はどうだったか―という話である。

初めて映画俳優? を経験したのは、19歳の秋のこと。

友人Bが企画した、「8mmフィルム」「短編15分」の映画。
ほとんどが格闘シーンで構成されたアクション物であり、台詞に凝りたいクセして台詞覚えが苦手な自分にはうれしい「台詞少なめ」の作品だった。

「少ないから」やってみよう、、、という気になったのだけれどもね。

さらに魅かれたのが、キスシーンがあったこと。
同意のキスではない、嫌がるヒロインの唇を強引に奪うというものだった。

気合が入るぜ!!

と、前日までは意気込んだものの、元々が裏方気質なのである。
撮影当日はガッチガチに緊張し、短い台詞までキチンと発せない状態だった。

「あのー、まっき~。いつもの、無駄に自信満々の感じを出してくれればいいから」
「無駄にねぇ(苦笑)」

撮影期間は10日間の予定だったが、天候とダメダメな自分の所為で笑 25日間くらいを要したっけか。

いちばんひどかったのは、想像がつくと思うがキスシーンだった。

ヒロイン役の女子は元々が女優志望なので、どっしり構えている。
「いつでも、いいよ」みたいな感じ。
それがまた逆効果で、彼女がどっしりしていればしているほど、こっちはビビッてしまう。

な、情けない・・・。

当時は女子経験も少なかったしね、いまならもう少し―というのは、単なるイイワケか。

まぁそれでもなんとか撮り終えた。
不器用なキスシーンではあったが、演技とはいえ可愛い女子とキス出来た。
格闘シーンだってこなし、誰も怪我をせずに済んだ。


編集を終え、いざ試写会。

よく出来ていれば、なにかのコンクールにでも―そんな風に監督は思っていたはずである。

だが冒頭の自分の台詞棒読み演技を観て、誰もが絶句した。というか、呆れていた。

こりゃダメだ。

15分間が、異様に長く感じた。

俳優って偉いな・凄いな、、、と、あらためて尊敬したのである。


しかし。

懲りたはずなのに、それからも3本ほどのアマチュア映画に出演をつづけた、身の程知らずな自分なのだった。


おわり。


※けっして演技は上手ではないが、自作の映画でのびのびと? 演技をするデヴィッド・リンチ…耳が悪いので、いつも大声で話すキャラ。内緒話というのに、ドアの向こう側の声が筒抜けになっているというオチ笑




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初体験 リッジモント・ハイ(80)

2014-06-27 09:48:04 | コラム
俳優ではないものが演技をして、ある意味で俳優以上の「結果」を残す―ひじょうに稀だとは思うが、まずはそんな5つのケースを挙げてみよう。

(1)マーティン・スコセッシ:映画監督

自作『タクシードライバー』(76)に出演。
主人公トラビスが運転する「タクシーの乗客」を熱演した。

※いまから女房を殺しにいくんだぜ




(2)フランク・シルヴァ:映画スタッフ

デヴィッド・リンチの怪作『ツイン・ピークス』(90~92)に出演。
殺人鬼ボブを嬉々として演じ、作品の雰囲気作りに貢献した。

(3)デヴィッド・クローネンバーグ:映画監督

ニコール・キッドマンの才能が開花した『誘う女』(95)に出演。
最後の最後に出てくる殺し屋だが、迫力抜群でインパクト大。

(4)崔洋一:映画監督

オオシマの遺作『御法度』(99)に出演。
近藤勇を「どっしりと」演じる。

(5)デヴィッド・ボウイ:ミュージシャン

『戦場のメリークリスマス』(83)に出演。
そう考えると、オオシマのキャスティング・センスって面白いし、センスある。


偏ったリストであることは本人も認めるところだから、堪忍してほしい。


その逆に、「非」俳優である利点を活かせず、どうにも困ったケースはないだろうか。

ある。

ひじょうにいい難いけれど、演技をしてみたイチローとか。
塚本晋也の『六月の蛇』(2002)で、モノカキの神足裕司を旦那役にしたのも分からない。

「あの素朴な感じがいい」というひとも居るが・・・
『となりのトトロ』(88)、パパの声を糸井重里が担当した件も自分にとっては「なんで?」だった。


ただ「やってみました」が吉と出るケースも「あるにはある」ので、冒険はNGと堅いことをいうわけにもいかない。
だからビートたけしを最初に俳優として起用したプロデューサーというのは、ほんとうにすごいなと。それに応えた本人も、もちろん立派だが。
(なぜ上記の例にたけしを入れなかったのかというと、いまはもう「俳優」としての一面も持っているから)


今回の初体験シリーズは、「初めての演技」。

うん。
こんな自分だって、人前で演じたことがある。キャメラの前で演じたことがある。

「人前」となると、たぶん学芸会かなにかになってしまうので、本稿では「キャメラの前」のエピソードを書いていくことにする。

もちろんプロとして演じたことはない。
ギャラはなく、その代わりに弁当だけは沢山もらった。
そう、自主制作の話である。


18~25歳くらいのとき、沢山の映画小僧に出会った。
毎晩のように映画談義を繰り広げ、気に入ったヤツと徒党を組んでは自主映画を撮っていた。

QTタランティーノが登場し、映画小僧は大志を抱き易かった。
『エヴァンゲリオン』シリーズ(95~)で有名な庵野秀明がデジタルカメラを駆使して映画を発表(=98年の『ラブ&ポップ』)、「フィルムとデジタルの垣根」が壊されていく過程を目撃し、「金がなくても映画を創ることが出来る!」と熱狂した時代でもある。

とはいえ、まだネット文化は隆盛とはいえなかった。
だから仲間は雑誌の読者交流ページなどで探し、友情や喧嘩や恋などもそこから始まった。

「この顔」ゆえだろうか、主演ではなく「準主演で」という出演オファーを多くもらった。

強姦魔。
新興宗教の教祖。
詐欺師。
小悪党。

・・・ろくなキャラ、居ねぇじゃねーーか!!

まぁ自分も二枚目などには興味ないのでね、それでよかったんだが。

すべてのオファーを快諾したわけではなく、脚本を読み「あぁ、これならいいかな…」などとスターを気取っていたっけ。

エラソーだな、お前。


つづく。


※この映画のたけしの演技は、ほんとうにたまげた




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(ときとして)ことばは、要らんのだ

2014-06-26 00:30:00 | コラム
最近、水~木曜が異様に忙しいのでコラムの文字数も少なめ、動画や写真で逃げまくっている―という、他者にとってはどうでもいい事情を冒頭で晒し、ここからは「ナニゴトモナカッタヨウニ」コラムを展開していこうか。


基本、ことば/文字を信じている男である。

三流とはいえモノを書いて喰っている人間だもの、そりゃ当たり前のことで、ゆえに台詞にこだわった映画への肩入れは「そーとーなもの」だ。
だからといって、台詞が極端に少ない映画を嫌っているわけじゃない。
場を白けさせる説明的な台詞が入るくらいなら無言のほうがいい。

そうなんだ、「ときとして」ことばは要らん。

今宵は、そんな「ことばに頼らない」映像表現を目指した、野心的な映画の10傑を選んでみた。


(1)『クンドゥン』(97)

ダライ・ラマ14世の半生を描いた、わが神スコセッシの佳作。

クライマックスの亡命シーンは、ほぼ台詞なし。

(2)『砂の器』(74…トップ画像)

ハンセン氏病を患う、父と息子の遍路。

『クンドゥン』もそうだが、つまり、過酷な移動にことばは要らない、、、ということなのか。

(3)『2001年宇宙の旅』(68)

これこそ説明も要らない。

あぁこの、心地良い時間がいつまでも続けばな・・・そんな風に思う。




(4)『アミスタッド』(97)

拉致された男たちが船内で受ける不条理を、ほぼ台詞なしで描く。

スピルバーグは、相変わらずサディストだ。

(5)『旅芸人の記録』(75)

苦難に満ちたギリシャの歴史を、旅芸人の視点で映し出す。

ことばの少ない彼ら彼女らの、瞳の奥に宿る哀しみ!! は、ゾッとするほど深い。

(6)『キャリー』(76)

プロムナイトの惨劇さえ撮ることが出来れば、それでいい―デ・パルマの野心は、完璧な形で果たされている。

うん、すごいことだと思う。




(7)『裸の島』(60)

ことばが少ないからこそ、乙羽信子の号泣は胸に迫る。

(8)『HANA-BI』(98)

ラストシーンもいいが、たけしが中古車をパトカーに改造するところ。

久石譲のテーマ曲がぴたりと合い、なんかちょっと楽しい。

(9)『スパルタンX』(84)

これは特殊なケース。

成龍とプロのキックボクサー、ベニー・ ユキーデとの対決。

アクション映画の格闘としては「だいぶ」長いが、ふたりの対決にはことばなんか要らない。

(10)『ピアノ・レッスン』(93)

エイダの「内の声」としてモノローグは入るものの、彼女の心理状態はピアノの旋律が代弁してくれているのだ。

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