Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

黄金週間特別篇(4)SISTER!

2015-04-30 05:45:28 | コラム
「姉さん、事件です!」は、『HOTEL』の高嶋政伸で、
♪ 妹よ ふすま一枚隔てて ♪、は、かぐや姫の代表曲。

当たり前のことなのだが、上か下かで、これほどイメージが変わるのかと。
これはたぶん、兄と弟の差異よりも大きい感じがするのだよね。

自分には3つ上の姉が居る。
ひじょうに優秀なひとで、弟はたいへん苦労した。

なんでかって、まぁそういう親ではなかったし、近所にも露骨にそういうことをいうひとは居なかったのだが、なんだか比較されているような気がしてね。

だから無理をして、姉と同じ高校に入学した。
その高校、当時は「そこそこの学力」だったはずなのだが、敢えていうが、いまは「けっこうバカ」になったらしい。

ちょっと笑えて、ちょっと哀しい。

なんの話だ?

ともあれ。
仲がいいにしろそうでないにしろ、兄弟姉妹が居るって羨ましいよ・・・と、ひとりっこの友人はいう。

昔は「そうかね~?」と思ったが、いまは「でしょう~?」と返すことが出来る―くらいには、姉と良好な関係が築けているんじゃないかな。


以下、自分のなかで印象に残る「映画のなかの、姉あるいは妹」の10傑。


(1)『悪魔のシスター』(73)

シャム双生児の姉妹の肉体が切り離され、それぞれべつの人生を歩んでいくが、姉のほうは早くに死んでしまう。
姉は妹の意識下に入り込み、殺人を犯すのであった・・・。



キワモノ臭が濃厚だが、デ・パルマのキャリアで「頂点ちかく」に達している大傑作。

(2)『ホテル・ニューハンプシャー』(84…トップ画像)

姉と弟の近親相姦を、さらりと、しかもユーモラスに描いてみせた。

女子であれば「弟がロブ・ロウなら…」、
男子であれば「姉がジョディなら…」、

・・・と、一線を越えるかもしれないよね~。

(3)『悪人』(2010)

妹は彼氏とラブラブ、姉(深津絵里)は諦念に支配され、ひとりで生きていくと決めていたが・・・。

彼女がひとり、ケーキを食べるシーンにグッときたひとは多いことだろう。

(4)『トト・ザ・ヒーロー』(91)

理想の恋人が「姉のようなひと」であったことから、いつまでも姉への幻想を抱いてしまう主人公のおかしみ。



まぁ、気持ちは分かります。

(5)『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)

精神が「やや」不安定で、リストカットを繰り返す姉(グウィネス・パルトロー)に、弟(ルーク・ウィルソン)をはじめとするテネンバウムズ一家は、腫れ物に触るような態度しか取れない。

ギスギス感のあるパルトローが、初めて魅力的に思えた作品。

(6)『プリティ・リーグ』(92)

姉妹が、野球という同じスポーツで競い合う。

女子野球と姉妹の物語をからめ、良質な出来だと思う。

※マドンナのなかでも、3番目くらいに好きな主題歌




(7)『フェイス/オフ』(97)

同僚が殺されたり、顔を交換したり、また戻したり・・・と、てんこ盛りな展開があって、その最後。

犯罪者一味に育てられ、孤児となってしまった男の子を、主人公一家は引き取る。

キレイで格好よく、頼りになる姉が居て、この子は幸福だ。

(8)『アイス・ストーム』(97)

兄は感電死、妹は若くしてビッチに。

静かに崩れゆく家庭を描いた傑作。

クリスティーナ・リッチの演技に震えた。

(9)『夏至』(2000)

ベトナムの田舎町で生きる三姉妹の日常を、映像美で切り取っていく。



映像が心地良過ぎて、劇場でほんとうに寝てしまったよ。

(10)『妹』(74)

当時の秋吉久美子が妹ってそりゃ、兄(林隆三)は心配で心配でしょうがないことだろう。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『WAKU WAKUさせて + 4月コラムの目次』

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黄金週間特別篇(3)BROTHER!

2015-04-29 05:59:11 | コラム
自分には兄も弟も居ないけれど、小さいころは弟がほしいかな、、、と思っていた(ような気がする)。

最近はずっと姉と仲がいいので、結果的には要らなかったのだろうが。


先日の帰省時―。
父親に、こんなことをいわれた。

「うちの家系は多産なんだ。そういう素質があるのに、嫁さんももらわず、子どもを作らないっていうのは…」云々。

・・・・・。

まぁ、分かる。
いっていることも、父親の思いも。

でもなぁ。
こればっかりは、なぁ。

2年ぶりの帰省なので喧嘩してもしょうがないから、途中からはいい返すことをせず、笑って聞き流していたけれども。

えぇ、ヘラヘラしているように見える自分でも、そこそこの悩みはあるわけですよ。


以下、自分のなかで印象に残る「映画のなかの、兄あるいは弟」の10傑。

沢山子ども作って、兄や弟の物語の端役になりたい―と思う気持ちだってあるけれどもね・・・。


(1)『ロッキー』(76)

エイドリアンの兄、ポーリー。



酒呑み。
皮肉屋。
ひどい僻み根性の持ち主。

妹をいじめるダメダメな兄貴だが、なぜか憎めないのだよなぁ。

(2)『レイジング・ブル』(80…トップ画像)

ボクシング映画が上位を独占。

嫁でさえ信用出来ない兄(デ・ニーロ)にとって、弟(ジョー・ペシ)だけが、自分とこの世界をつなげてくれる唯一の存在であったろう。

(3)『ダイハード』(88)

犯罪者のボス、ハンスの右腕っぽい存在のカール(アレクサンダー・ゴドノフ)だが、弟が殺されたことを知ると、ハンスのいうことさえ聞かなくなる。

(4)『バックドラフト』(91)

消防士の兄弟を描いたオールスター映画。

カート・ラッセルが父と兄の二役を熱演、はじめて俳優さんと思えた。

※観たことがないひとでも、この曲は知っているでしょう。




(5)『レインマン』(88)

自閉症の兄レイモンドと、イケイケでジコチューの弟チャーリー。

最後の最後で、やっとチャーリーはサングラスを外してレイモンドを見るのであった。

ダスティン・ホフマンより、トム・クルーズのほうを褒めたい。

(6)『用心棒』(61)

ちょっと頭の足りない亥之吉(加東大介)を兄に持つ卯之助(仲代達矢)は、たいへんなキレ者。



ピストルを小道具としたところも、二重丸だったと思う。

(7)『ファースト・ミッション』(85)

『レインマン』の香港版といったらいいのか、
こちらは知的障害を持つ兄(サモ・ハン・キンポー)と、刑事の弟(成龍)の物語。

個人的には、『レインマン』より泣けるけど。

(8)『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(88)

こちらは変化球。

ほんとうは恋人同士のワンダ(ジャイミー・リー・カーティス)とオットー(ケビン・クライン)だが、兄と妹を装う。

このころのジャイミー、ほんとうに素敵。

(9)『ユリイカ』(2001)

実際の兄妹である宮崎将と宮崎あおいが演じる、兄と妹の物語。

妹ばっかり注目されたが、将くんも悪くなかった。

(10)『ギルバート・グレイプ』(93)

この映画でレオくんとジョニデを覚えたひとも多かったろう。



知的障害を持つ弟レオくんも熱演だが、孤独と焦燥感を表現した兄ジョニデも素晴らしかった。

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黄金週間特別篇(2)DADDY!

2015-04-28 05:45:44 | コラム
リーアム・ニーソンが格好いいパパを演じて娘を助けるアクション映画もあるけれど、

映画で描かれる父親って、母親よりも「厄介な存在」であることのほうが多い。

石原おじいちゃんのようなバリッバリの男根主義も時代ではないし、かといって、なんにでも理解を示すというのも父親らしくない。

ときどき厳しく、ときどき優しい。
母親と一緒かもしれないがバランス、バランスが大事よね。

・・・などと、父親になったこともないのに「エラソーにいってみた」41歳の映画小僧なのだった。


以下、印象に残る「映画のなかの父親」10傑。


(1)『復讐するは我にあり』(79)

父親・三國連太郎 VS 息子・緒形拳

自分のDNAを継ぐものが、殺人鬼だったなんて!!



ラストの散骨シーンは、そんな呪い? を解こうとする父親の気迫に満ち満ちている。

(2)『ゴッドファーザー』(72…トップ画像)

馬の生首を置かれてしまうので、ドンに逆らうことはよしましょう。

息を引き取るシーンも、穏やかに過ぎて? 印象に残る。

(3)『家族ゲーム』(83)

ママ部門につづくランクイン。
演じるは、伊丹十三。

「なんだ、この目玉焼きは」
「目玉焼きが、どうかしましたか」
「こんなに黄身が固くちゃ、ちゅーちゅー出来ないじゃないか」
「ちゅーちゅー」
「知ってるだろ、俺がちゅーちゅー好きなこと」
「…好きだったんですか」

(4)『スターウォーズ』シリーズ(77~)

父と子の物語、でもあるからねぇ。



年末、いよいよ新3部作がスタートするぜ!!

(5)『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(92)

ヒロイン、ローラ・パーマーの父リーランド。

正体が明かされてからのリーランドの描きかたは、リンチがふざけているんじゃないかと疑いたいくらいにひどい。

(6)『おとうと』(60)

作家をやっている父親―森雅之が、神経質そうに演じて絶品。

昭和の作家には、たしかにこういうイメージがあった。

なんといえばいいのだろう、たとえれば川端康成っぽい?

(7)『アマデウス』(84)

天才と凡人の物語であり、

神と人間の物語でもあり、



そして、父と子の物語でもあるのだった。

(8)『悪い奴ほどよく眠る』(60)

再び森雅之が登場。

娘が発狂しようとも、保身を第一義にする男―これならまだ、神経質な作家のほうが何倍もマシ。

(9)『マグノリア』(99)

娘を犯した過去を持つ父親は、やがて病に侵され、自害しようとするも、それさえ阻止される。

しかも、カエルに!!


※エイミー・マン、大好きなんだが、最近振るわない




(10)『砂の器』(74)

本浦千代吉(加藤嘉)の「オラ、知らねぇー!!」ほど、悲痛で、深い愛の感じられる台詞はない。

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黄金週間特別篇(1)MOMMY!

2015-04-27 05:48:59 | コラム
本日よりしばらくは、黄金週間特別篇として、もはや自分だけが楽しんでいるかもしれない「映画の10傑」シリーズを展開。

高校生の自慰くらいやっているために、すぐに思い浮かぶような10傑はすべて展開済み。

しかし。
ここからですよ、映画小僧の本領発揮は! と、自分を励まして飛ばしていこうと思う。

最初の数日間は、家族のキャラクターでやってみよう。
きょうは、「母親のキャラクター10傑」。


公開されたばかりの映画で、『MOMMY/マミー』という作品がある。

まだ20代だという鬼才、グザビエ・ドランの新作。
多動性障害を患う息子を育てる、シングルマザーの物語。

たとえばアンケートを取れば、この作品であったり『母べえ』(2007)であったり、強くて、愛が深くて、やっぱり母親は偉大だ!! というキャラクターが上位を独占すると思う。
自分も「ややマザコン」の部類に入るだろうから、そこに異は唱えない。
唱えないけれども、この10傑はあくまでも「印象に残るママ」なので、それを第一義にして選出してみた結果、自分のランキングはこうなった。


(1)『サイコ』(60…トップ画像)

息子を完全に支配するママ。

もう50年以上前の作品なのに、初見のひとは、きっとびっくりするであろう。

(2)『シリアル・ママ』(94)

勝つためだったら、(裁判中に)パンツくらい見せてやるわよ。

(3)『グッドフェローズ』(90)

トミー(ジョー・ペシ)のママ。



演じるのは、なんとスコセッシの実の母親である。

似てる!! 

(4)『家族ゲーム』(83)

由紀さおりが快演。

「かあさん、ゴキブリ」
「えっ、ゴキブリ!?」

(5)『キャリー』(76)

『サイコ』のように娘を支配しようとするが、失敗。

リメイク版のジュリアン・ムーアもよかったけれど、オリジナルのパイパー・ローリーのほうが不気味で怖かった。

(6)『グーニーズ』(85)

犯罪者一家のボス。

悪いヤツなんだけど、あの風貌だから憎めない。

(7)『エイリアン2』(86)

リプリーもすごいが、エイリアン・クィーンにだって愛はある。



この卵、全部を守ろうとするのだもの。

(8)『愛を乞うひと』(98)

憎くて殴っていたわけじゃないんだよ、きっと。

大好きな映画だが、観るのはつらい。

(9)『ワイルド・アット・ハート』(90)

狂人ママ。



逃げたくなる娘のほうが正常だろう。

(10)『誰も知らない』(2004)

しょーもないママをYOUが好演。

この映画の主題歌も、胸に刺さるものがあった。




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にっぽん男優列伝(276)白竜

2015-04-26 05:53:40 | コラム
52年10月3日生まれ、62歳。
佐賀出身。

公式サイト…なんか手広く、いろいろやってます笑


四股名のような芸名を持つ白竜(はくりゅう)さんは、小沢仁志や竹内力と同様に、いわゆるVシネマで一時代を築いた俳優です。
彼らは簡単にいえば、悪役商会のメンバーを現代的に? 洗練させたようなキャラクター性を持ち、
では、冗談は通じないのかといえば、そんなこともありません。
彼らが放つ笑いは彼らだからこそ成立するわけで、そうした特性を自身たちがきちんと自覚しているという、なかなかに頭のいいひとたちで。

よくサウナに現れるとか、プライベートではゼッタイにサングラスを外さないとか、白竜さんにはいろんな噂がありますが、撮影現場の取材で何度か見かけたことはあります。

ほかの俳優さんと談笑してましたね、ふつうに。

談笑しているだけなのに、ちょっと怖かったですが笑

そのイメージは、自分の世代の場合、Vシネマというより北野映画からの影響なのかもしれません。

このひとの存在を知ったのが、北野武の監督第1作『その男、凶暴につき』(89)でしたからね。

「おい、あんちゃん。ヘンな夢、見てんじゃないよ」―この台詞、すっごい迫力ありました。



※Vシネは作品数があり過ぎて、もはや、何を観たのか思い出せません苦笑




<経歴>

在日韓国人2世。
通名(日本名)は、高山貞一。

俳優さんではなく、歌手として79年にデビュー。

その歌声は・・・なんというか、不思議です。
けっして上手ではないですが、印象に残りますもの。

映画との関わりも、まずは音楽からでした。
83年、崔洋一が監督し内田裕也が主演した『十階のモスキート』の主題歌を担当。

これが縁? で、「崔」組・「内田」組・「北野」組との交流が生まれる。

『いつか誰かが殺される』(84)、

89年、前述した『その男、凶暴につき』に出演。
主人公のビートたけしが追いかける犯罪者を不気味に演じ、ビッグインパクトを残す。

実質的な俳優デビュー作といっていいでしょう、
これ以降にVシネの名優になるわけですし、多忙に過ぎて歌手活動が『ニューイヤーロックフェス』(裕也のアニキが主催する、ひじょうに渋い音楽フェス)くらいになったのですから。

出演作が多いので、Vシネのキャリアは割愛。
そして映画のほうも、本人と確認出来る主要作だけを挙げておきます。

『陽炎』(91)、『夜逃げ屋本舗』(92)、『シンガポールスリング』(93)、『棒の哀しみ』(94)、『みんな~やってるか!』(95)、『セラフィムの夜』(96)、『HANA-BI』(97)。
怖い役ばかりだったので、ひじょうに新鮮だった「よきパパ」役の『がんばっていきまっしょい』(98)、
『月』(2000)、『KT』(2002)、『黒帯 KURO-OBI』(2006)、『ハードロマンチッカー』(2011)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012)、『真夏の方程式』(2013)、そして最新作が『新・極道の紋章』(2014)。


このひともまた、いつか自身でメガホンを持って映画を撮りそうな気がします。
思う存分に金をかけて、コワモテばっかりを揃え、撃ち、刺し、恫喝ばっかりし合う自由な映画を観たいものですね笑


次回のにっぽん男優列伝は、橋爪功さんから。

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