Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

脚でかせぐ

2016-06-30 00:10:00 | コラム
逮捕された高知東生について調べることがあった・・・んだけど、驚いた。

踏み込まれたラブホテルがどこなのか―それを知りたかった。
あるコラムを書くために。

新聞やテレビのニュースでは「横浜市南区のホテル」としか報じられていない、
しかしネット上では24時間足らずで「まとめサイト」が立ち上がり、ホテルが特定されていた。

従業員による書き込みかもしれないが、えれースピードで怖い。


同じようなことが、ほんの1ヶ月前にも起こっている。

芸能活動を展開していた女子大生がめった刺しにされた事件。
逮捕された岩埼友宏が、かつてAVに「素人男優」として出演していた過去―この事実を暴いたのも、いわゆるネット住民だった。


ともに、プロの手がかかっていなかったということ。


「時代だ」といってしまえばそれまでか、
映画としては問題「ありあり。」だった『誰も守ってくれない』(2009)だけれど、偏見にまみれたネット住民の描写はともかく、展開そのものは、大袈裟でもなんでもなかったのかもしれない。
(快楽殺人犯の家族が、ネットを中心に追い込まれていく物語)


自分も、昔の人間なんかな・・・と呟いてみる。

刑事も新聞記者も、歩きに歩いて真相にたどり着くというイメージなんだもの。

映画の影響もあるだろうが、実際にそういうもの「だった」ろう。

『市民ケーン』(41…トップ画像)の主人公が「薔薇のつぼみ」と呟き、そのことばの謎を追うべく、記者が歩きに歩くように。


とはいえネットは、まだまだデマや勘違いが多いツールではある。
先日、自分も誤った情報を発信し、それについての指摘を受けた身であるし。

だから自戒をこめて書いておこうか、
バランス、バランス感覚が大事よね、当たり前のことだけれど。


というわけで。
ネットで手に入れた情報をもとにして、横浜のホテルの取材を始めるところです。

少しは脚でかせがないとね、自己主張の強い文章は発信出来ませんから。





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明日のコラムは・・・

『前歯、生まれ変わる。 + 6月コラムの目次』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(172)

2016-06-29 00:10:00 | コラム
あーるじゅう「ご」→「ご」にん(GONIN)

まだ現代ほど情報社会とはいえなかった20年前―。

石井隆の新作タイトルが『GONIN』(95)であると雑誌で読んで、まず「どう読むのか」そして「どういう意味なのか」と思った。

「GO」で切ってから「NIN」を読むのか、
待てよ「NIN」とは人気絶頂だったバンド「ナイン・インチ・ネイルズ」の通称だ、石井監督が音楽を題材とする映画を? とか。

それからしばらくして、読みかたはふつうに「ごにん」でいいことを知った。

だから「誤認」だと思っていたのだが、叫ぶ俳優さんたちが並ぶポスターを見て「五人」であることに気づき、ちょっとだけズッコケた。

まぁたしかに『五人』と冠するより『GONIN』としたほうが、クールだわな。

様々な理由から「金欠」に陥った五人(佐藤浩市、本木雅弘、竹中直人、根津甚八、椎名桔平)が暴力団事務所の金を奪い、その結果、おっそろしいヒットマン(ビートたけし、木村一八)に追われるアクション映画。



意外と観ていないひとが多いので、コーエン兄弟の『ノーカントリー』(2007)複数版と思ってもらえれば。

あの映画のアントン・シガー(ハビエル・バルデム)も怖かったが、たけし演じるヒットマンもなかなかに強烈で、自分は「俳優たけし」における最高作だと思っている。

「保険利かねぇからよぉ、ウチらみたいな商売。プラスしてくれねぇとな、ダメだよ」

ひとりずつ殺されていく後半の展開は、アクションというよりホラー映画にちかい感覚かも。


去年―。
石井隆は「登場人物の遺族たち」という設定で物語を再び構築、『GONINサーガ』(2015)を発表。

鶴見辰吾(暴力団員)の息子が、東出昌大。
永島敏行(暴力団組長)の息子が、桐谷健太。
元グラビアアイドルの土屋アンナ。
暴力団3代目に、安藤政信。

ここにルポライターを演じる柄本佑が加わり、

「五人に殺された組関係者」のその後を描くことによって、19年前の事件を照らし出すという構成。





観る前の期待値は「それほど…」だったのだが、これがモノスゴ面白かった。

俳優たちは大熱演(とくに土屋アンナ)、
演出の熱量は前作以上であり、いやもちろんうれしかったのだが、どうした石井監督!? と思ってしまった。

にっかつの先輩として、エロの大先輩として尊敬する石井隆だが、ホンあるいは俳優によって、作品の出来は「そーとー高い山」に到達することもあれば、「そーとー深い谷」に落下してしまうこともある。

どんな監督だってそうだろうが、石井監督の場合は、その落差が「ひじょうに、ひじょうに」大きい。


96年―『GONIN』の姉妹篇ともいえる『GONIN2』を発表、これが珍作といえるほどのクオリティだった。

いわば女版の「五人」であり、



大竹しのぶ・余貴美子・喜多嶋舞・夏川結衣・西山由海などなどがアクションに挑戦、

セーラー服を着た大竹しのぶの勇気や、迫力満点の喜多嶋舞のヌードなど、飽きることはないものの、なんだかごちゃ混ぜに過ぎて、彼女らを引っ張る緒形拳が気の毒に思えた。

『GONIN』と『GONINサーガ』は石井監督の念願の企画、
『GONIN2』は、いわゆる「スタジオ主導の」企画モノだった・・・その差異からくる結果だったのだろうか。


次回のしりとりは・・・
ご「にん」→「にん」しん。

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明日のコラムは・・・

『脚でかせぐ』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(171)

2016-06-28 01:12:08 | コラム
りんだぶれ「あ」→「あ」ーるじゅうご(R15)

近代映画のレイティングシステム(年齢制限)は、最近のボクシングの階級制と似ているところがある。

細分化が進んだってこと。

必要に迫られて―であることは重々承知したうえでいうと、無料のネット動画が野放し状態であるなかで、いったいどれほどの効果があるのか? とは、やっぱり思う。

そして、この細分化により、18禁(R18)になる場合と、15禁(R15)になる場合が出来て、しかし、その審査基準が明かされないために「こっちはOKで、向こうはNG。分からん!」といった意見が噴出するようになった。

最近の映画では、傑作ゾンビ映画『アイアムアヒーロー』(2016)がR15、女性の潮吹きがコミカルに描かれる『赤い橋の下のぬるい水』(2001)もR15、
真面目な映画少年しか観ないであろう『ザ・マスター』(2012)もR15である。

では、どんな映画がR18かというと・・・

オオシマの『愛のコリーダ』(76)、
クローネンバーグの『クラッシュ』(96)、
ギャスパー・ノエの『アレックス』(2002)、
ラース・フォン・トリアーの『アンチクライスト』(2009)、
スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)、

日本映画では、三池崇史の『殺し屋1』(2001)などがある。



R18のほうは、概ね納得。

それに比べれば、R15の作品は「描写、弱め。」だからR18にならない・・・ってことなのだろうが、潮吹きをコミカルに描けば「R15」で、ちんちんを切る女を「かなり真剣に」描けば「R18」になるというね、
そういう理由ではないかもしれないけれど、審査機関が「そう思っている」感じがして、

オオシマもイマヘイも同じくらい好きな自分からしてみれば、両者とも自身の持ち味を存分に発揮し、人間賛歌を創りあげたはずなんだもの、むしろ若い子にこそ観てほしいけど! と思う。

「昔はよかった…」みたいな表現は好きではないが・・・
観たい映画を誰にも咎められることなく観ることが出来た、自分のガキのころを幸福だと感じる。

とはいえ、観たいヤツはどんな方法を取っても観るものだ。
大人があんまりこういう風にいってはダメなのだろうが、そこまで観たいと思う作品であれば、15歳未満だろうと観ればいい。


「R15」が世間一般に知られるようになったのは、『バトル・ロワイアル』(2000)騒動がきっかけ。

不運といえば不運、
しかし深作欣二が狙ったといえば狙った映画であり、
10代による殺人事件が多発した「あおり」を喰らい、国会でも取り上げられ「R15にすべき」、いや「敢えて少年少女に観せるべき」などの議論が巻き起こった。

当時は自分も、バイト先で呑み会で、この問題について本気で議論していたもの。


きょうのコラムだけでなく、日ごろの自分の文章から理解し易いと思うが、
自分は基本的に、レイティングシステムは不要、、、というか、意味のないものだと感じている。

ただ、「R15」「R18」の仲間入りをすることを「誇りにする」「ステイタスにする」カワリモノも実際に居て笑、
いやこれはもちろん、褒めことばなんだが、そうしたレイティングとうまく付き合っていくことも、映画監督として必要な能力なのかもな~、、、などと、思ったり思わなかったり。





あすのしりとりは・・・
あーるじゅう「ご」→「ご」にん。

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とりあえず『ウッドストック』を観ようぜ

2016-06-27 00:10:00 | コラム
基本的にハダカの取材―男のハダカなら格闘技、女のハダカならAV―ばかりしているが、夏にかぎっては人員不足というのもあり、音楽フェスの取材チームに任命される、、、というと嘘だな、そういうチームに「紛れ込む」ことが容易で。

毎年取材に行かせてもらっている『SUMMER SONIC』に、今年も参戦出来ることになった。

やった!!

といっても、いままで幕張会場の取材だったのに、今年にかぎっては大阪会場に変更。

観光としては大阪万歳! だが、距離的に時間を要するということは自由時間がタイトになるわけで・・・などと文句をいっていたらクビになっちゃうか、
ボスからも「連れて行くんだ。ガタガタいうな」といわれたし。


さて。
『フジロックフェスティバル』の出演者のなかに、学生団体「SEALDs」の奥田愛基氏の名前があったことから、主にネット上で批判があがっている。

「音楽に政治を持ち込むな」ということらしい。

いわゆる、ネトウヨのひとたちかな。

いえるのは、夏フェスに行ったことがない、そもそも行く気もないひとたちだと思われる。
なのに、「音楽を純粋に聴きに行って、政治的な言動を目にしたらゲンナリする」とか書く。

あれだ、観に行くつもりもないのに、アンジーの映画『アンブロークン』(2014)の上陸を阻もうとした連中と同じ。


まず『ウッドストック』のドキュメンタリーを観て、音楽フェスの成り立ちが、そもそも政治的であったことを学んでほしい。


映画でも演劇でも小説でもそうだが、政治と無縁でいることのほうが難しいと思うけれど。

いっぽうで、とりあえず外に出ようよ、小難しいことをネット上にカチャカチャ打っていたところで(始まるものもあるが)始まらない、まずは触れることだ―って、本気で思う。

頭でっかちになっちゃいけない、単に楽しいんだよ気持ちいいんだよ、音楽を身体全体で感じることは。


音楽はもちろん、

案内係の女子も素敵だし、



飯も充実しているし。




音楽フェスは、楽しんだもん勝ち。

そういう風に、思うのだがな!!





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俳優別10傑 海外「な行」篇(1)

2016-06-26 00:10:00 | コラム
~ニコラス・ケイジのキャリア10傑~

頭の悪い変換機能だと、未だにニコラス刑事と表示されたり。

日本語学校で学んでいた経験を活かした? のか、日本のパチンコメーカーのCMに出演したり笑




見た目はどう考えてもハンサムではないのに、なんだかすげー格好よく見える瞬間があったり。

そんな、不思議な魅力を持つニコラス・ケイジは、現在52歳。

コッポラ一家(叔父がフランシス)の威光により・・・という揶揄が有効打になったのも、前世紀まででしょう。
若い映画ファンほど「フランシスより、ニコラスのほうをよく知っている」というはずだもの、
だからといって「叔父超え」を果たしたとは思っていないけれど、どんなオファーでも断らなさそうなキャリアの築きかたに好感を抱きますね、個人的に。


(1)『リービング・ラスベガス』(96)

死を決意したアル中の脚本家と、傷つき疲れた娼婦―ニコラスだけでなく、エリザベス・シューも一世一代の熱演。



(2)『ワイルド・アット・ハート』(91…トップ画像)

観返すたびに、当時のリンチは完全に「向こう側」に到達していたと実感出来る。

片手間に撮っている「ように見える」のに、こんなに面白いのだもの。


※ふたりの生き生きとした表情、そしてクリス・アイザックの主題歌を堪能しよう




(3)『赤ちゃん泥棒』(88)

小悪党っぷりが憎めない。

(4)『フェイス/オフ』(98)

二丁拳銃、とっても似合っていた。



(5)『救命士』(2000)

スコセッシとの初タッグ。

興行的には報われなかったが、観客のこころには響いた。

(6)『ザ・ロック』(96)

アクションもいけるよ! と高らかに宣言した。

(7)『月の輝く夜に』(88)

目立つのはシェールだが、ときどきハッとする演技をしてくれる。



(8)『バーディ』(85)

ベトナムをからめた青春映画。

主演のマシュー・モディンとともに、地味だが力強い演技を披露。

(9)『8mm』(99)

闇の世界を照らし出すハリウッド映画として、もっと評価されていいのでは?

(10)『あなたに降る夢』(94)

宝くじから始まるロマンチックコメディ。

苦手とするジャンルだが、これは楽しめた。

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明日のコラムは・・・

『とりあえず『ウッドストック』を観ようぜ』
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