Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(10)

2012-07-31 00:15:00 | コラム
ぶるーた「す」→「す」くりーみんぐ・まっど・じょーじ(スクリーミング・マッド・ジョージ)

アンノこと庵野秀明が館長を務める『特撮博物館』(東京都現代美術館、10月8日まで)に行ってきた。

えがった。
とっても、えがった。

デジタルで挑んだ『ラブ&ポップ』(98)を創り、CGをふんだんに盛り込んだ『キューティハニー』(2004)を撮ったうえで、
「でもやっぱり、原点は特撮・ミニチュアなんだよね」
ということをテーマにした企画、、、といえるだろう。

特撮にあってCGにないものといえば、手作り感―これに尽きると思う。

このふたつの技術、
嘘・ツクリゴト・ツクリモノをホンモノに見せるために編み出された、、、という点では共通していて、映画史的には同一線上に位置するものといえる。
ざっくりいってしまえば、80年代までが特撮の時代、それ以降がCGの時代であると。

その中間の時代に頭角を現したのが、本日の主役スクリーミング・マッド・ジョージ。
いや外国人ではなく、日本人なんだなこれが。

ロバート・アルトマン組だったカメラマン栗田豊通や、デザイナーの石岡瑛子など、
海外を中心に活動を繰り広げる「日本の」映画スタッフはけっこう沢山居るはずなのに、そのなかでマッド・ジョージが(一時期)最も有名で異才・異彩を放っていたのは、その容貌と芸名によるもの、、、なのかもしれない。

マッドだものね、なんといっても。マックスかよと。

マッド・ジョージの肩書きは、映画を中心に活動するエフェクト・アーティスト。

B級感満載の『ゴースト・ハンターズ』(86)、シュワ VS エイリアンを戦争映画のように撮った『プレデター』(87)、『エルム街の悪夢4』(88)などで主に「気持ちの悪いクリーチャー」デザインや特殊効果を担当、
89年に日本凱旋を果たし、『孔雀王2』や『帝都大戦』を手がける。

グロテスク(=トップ画像みたいな感じ)なので、好き嫌いの分かれる作風。

個人的にはエログロ大好き、、、ではあるものの、マッド・ジョージはどちらかというと「陽のグロテスク」というか、もっと「陰」がほしいなと。
デヴィッド・クローネンバーグの映画―たとえば腹が裂かれる描写とか容赦なくて、こっちのほうが自分の趣味に合う。

前言を撤回するような書きかたになってしまうが・・・
マッド・ジョージの作風は、「映画のなかだけのホンモノである」というツクリモノ性? みたいなところがあり、
そこが評価・好き嫌いの分かれ目になるかもしれない。


一時期は大御所リチャード・エドランドにも目をかけられていたマッド・ジョージ、
しかし、
90年代―CGが映画界に浸透し始めると、徐々に仕事が減り、音楽界でその名を聞くようになっていく。

92年、ロックバンド聖飢魔�のジャケットアートを手がけ、
90年代末には「あの」スリップノットのマスクをデザインした、、、ともいわれている。


あまり好きではないと記しておきながら、名を聞かなきゃ聞かないで心配になるもの。


ジョージ、あんたは元気なのかい?


※スリップノットとは、こんなイカレた集団。でも格好いい。





次回のしりとりは・・・
すくりーみんぐ・まっど・じょー「じ」→「し」りあるきらー。

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シネマしりとり「薀蓄篇」(9)

2012-07-30 00:15:00 | コラム
うらじみーる・なぼこ「ふ」→「ぶ」るーたす(BRUTUS)

「映画特集」の字があれば、どんな雑誌にだって目を通す。

ビジネス誌だろうが、女性誌だろうが。

もちろん発売中の『ニューズウィーク日本版増刊 時代を刻んだ映画300』にも目を通した。

しかしとくに女性誌の場合、まぁ『anan』や『FRaU』のことだが、「この程度で、いいんか?」みたいな特集が多く、「俺に書かせろー」と思うこともしばしば、、、なのだが、読者はそんなにコアな内容を期待していない、ということなのかもしれない。
けれども「恋に効く映画云々」とか、ほんとうに恋に効くのかなっていう疑問は残るが。

最も信頼出来るのは専門誌、だから映画の場合は『キネマ旬報』や『映画秘宝』、『cut』『映画芸術』であることは当然といえば当然の話、
しかし総合誌なのに映画を特集した場合、キネ旬以上に完成度の高い記事を放つ雑誌がひとつだけ存在する。

それが、マガジンハウスから出版される『BRUTUS』。


保存している『BRUTUS』の、映画特集。
とくに中央の『映画死す』は、ひじょーによく出来ていた。


映画小僧が、映画を特集する雑誌に期待するものとは?

周囲の映画小僧7人に聞いてみた。

(1)ある監督を多角的に検証する記事

(2)ある映画を多角的に検証する記事

(3)映画史をユニークな視点で捉え直す記事

そう発したわけではないが、要約するとだいたいこんな感じ。

自分もそうなのだが、「あれもこれも」つまり広く浅く、、、ではないことが分かる。
『BRUTUS』はそのへんを心得ていて、必ず映画小僧の期待に応えるような特集を組んでくる―というわけ。


では小僧ではないけれど、映画が好きなひとが、映画を特集する雑誌に期待するものとは?

周囲の映画好き20人(男7、女13)に聞いてみた。

(1)最新映画情報

(2)俳優のインタビュー、グラビア

(3)名作を分かり易く紹介

なるほど。
こっちがアーダ、そっちがコーダ・・・などというつもりはないが、この差があって「こそ」健全のような気もする。


最後に。
映画小僧歴20年くらいの自分が選出する、「これぞ!」な特集を企画した雑誌をみっつほど。


(1)『SIGHT VOL.12 タクシードライバーがアメリカを撃った年』

(2)『BRUTUS NO.336 映画死す』

(3)『週刊SPA!増刊 映画は20世紀のオモチャです』


※まぁつまり、自分の原点はこれです、、、と。





明日のしりとりは・・・
ぶるーた「す」→「す」くりーみんぐ・まっど・じょーじ。

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夏の映画のメダリスト

2012-07-29 00:15:00 | コラム
ダニー・ボイルの軽快な演出で五輪が始まったり、
柔道解説を担当、こころの師匠である吉田秀彦の喋りがイマヒトツだったり、

「忘れてくれるなよ」と町田の日大三高が逆転勝利で甲子園出場を決めたり、

五輪のあとはベネチア映画祭が待っていたり、
北野武の『アウトレイジ ビヨンド』が出品されるが、予告の時点で前作を超えていそうな予感がしたり、

セブンイレブン限定で発売中のビール『グランドキリン』がなかなかに美味で、
ほとんど毎日買っていたりするのだが、先日、チャリのハンドルに『グランドキリン』の入ったビニール袋をかけて坂道を下っていたところ・・・
重みと風圧が原因か、袋に穴が開き『グランドキリン』落下、路上で破裂して涙したり、

相変わらず館林が最高気温を出していたり、
どうも最近の自慰に快感が足りなかったり、、、

と、いろいろあり過ぎて困るが、

今年の夏の映画は去年より幅が広くて層も厚くて、益々大変だよと。

有難いことに、新作映画のほとんどを試写で触れられる環境にあるが、
先日、休日を利用して映画館の混雑具合などをリサーチしてきた。この猛暑のなか、愛車を飛ばして。

汗かいて劇場のエアコンで涼み・・・を繰り返した結果、なんだか気分が優れなくなったのだが、どこの映画館もそこそこ繁盛しているようなので一安心。

というわけで、「夏」映画限定の採点表をつけてみる。


ところでテレビの番組改編期に、夕刊などで芸能担当記者たちによるドラマ星取り表みたいなのが掲載される。
記者なのだからAとかBとかじゃなく実名で評せよとか、
いっぽうが褒めたらもういっぽうが貶したりして、うまいことバランス取っているのかもしれないが、ボロカスやるならやればいいと思ったりもする。


≪金賞≫
『おおかみこどもの雨と雪』

既に3度の鑑賞。
気持ちよく泣けるにもほどがある。

「純粋なるエンタメを撮るアニメーションの監督」と限定すれば、細田監督が現時点でナンバーワン。

≪銀賞≫
『桐島、部活やめるってよ』(08.11公開)
『ダークナイト ライジング』

『桐島』は、まず原作小説が面白かった。
映画は俊英の吉田大八が担当、きっちりとした「映画」に仕上げていて、驚きの収穫という点では今夏で一番。

『ダークナイト』は、ノーラン流の新しいヒーロー論が分かり易く提示されていてさすが。
160分の長尺が、まったく気にならなかった。

≪銅賞≫
『ジョルダーニ家の人々』

しかし長尺といえば、今夏の記録はこっちだろう。
399分、濃密な家族のドラマが展開される。

≪入賞≫
『ベルフラワー』
『ギリギリの女たち』
『ヘルタースケルター』
『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』
『トガニ 幼き瞳の告発』
『だれもがクジラを愛してる。』


計10本、好き嫌いはあるだろうけれど、
これらは「ちゃんと映画している」ので、強く薦めることが出来る。

とくに、
放っておいても皆が観るであろうバットマンではなく、『桐島』を猛プッシュしておく。





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ビョークを見ながら立小便ってマジか。

2012-07-28 00:15:00 | コラム
映画や格闘技のイベントには必ずといっていいほど参「戦」するが、そういえば音楽のイベントに顔を出したことは、あまりない。
というか、ぜんぜんない。

映画のイベントにかぎっていえば、「特権」というものをフル活用するので実費はゼロにちかい。(交通費くらいか)
格闘技は日本のMMAが「一時停止」中のため、顔を出そうにもその機会さえない。

だから、、、というわけでもないが、
今夏、初めて夏フェスというものに参戦することにしてみた。

幕張で開催されるサマーソニック、2日目の8月19日である。

目当ては、Perfume(脚のトップ画像。誰が誰の脚だか分かったら、えらい)と「ももクロ」。
海外勢がワンサカくるというのに、1日目のグリーン・デイにだって食指が動いているのに、敢えて「ふだん」でも触れようと思えば可能な日本のアイドルを観に行くと。

毎年行くような本格派からすれば邪道かもしれないが、まぁ邪なヤツなので。

これが大晦日の格闘技興行になれば、逆の立場になる。「曙 VS ボブ・サップ」を観に来たひとに、「おいおい、それでいいんか?」みたいにいっていたわけよね。

まぁいいがな、いろんな楽しみかたがあって。

ともかく気分は初めての登山みたいな感じで、どうすりゃいいの? と、経験者にいろいろ聞いて回っている。
映画にしろ格闘技にしろ屋内であったからね、屋外でのイベントは素人にちかいのだった。
しかも、この猛暑だし。

第1回目のフジロックでは大混乱が生じ、翌日、清掃員たちは沢山のブラジャーを発見したのだとか。
なんだなんだ、モノスゴ楽しそうじゃないか、

とりあえず、パンツ2枚穿いていこうかね。(意味不明)


随分と前に聞いた話で、記憶は定かではない。
だから誤りがあるかもしれないが・・・
夏フェスに参戦した友人Yが、ビョークのステージを鑑賞していたときのこと。
スコールのような雨が降り、身体は汗と雨でびしょびしょになった。

そんな背景もあって、唐突に尿意をもよおした、、、のだが、トイレは遠いしビョークは見たい。

周りを確認すると皆はステージに集中している、Yは「これはいけるかも」と判断し、
会場のどのあたりで「実行」したのかは知らないが、その場で小便をしたのだという。

ビョークが歌っている、まさにその目前で。

なんという、マザーファッカーな行為!

中指立てることよりも、はるかにエッジが効いていて危険じゃあないのか。

タイトルマッチかなにかで、同じ行為が出来るのかっていう話である。
まぁ自分だって斉藤由貴に疼き、一般映画(=『優駿 ORACION』)を上映する一般劇場(前橋文映レッド)で、自慰をした過去があるわけだが。

つまり、なんでもありというわけか。

あきらかに間違った解釈ではあるが、
なにが起こっても、なにを起こしても平常心でいることが求められる―のかもしれない。


ともあれ。
スカイツリーで隅田川の花火を眺めるのにも魅かれるが、チケットは無理そうだし。
サマソニのチケットはゲット済み、だから思いっきり小便、、、じゃない、さすがに「かしゆか」や「リーダー」の前で粗チンを披露する度胸はないし、そのつもりもないから、思いっきりはじけることにしよう。


※ビョークのPVで最も有名なのは、たぶんこれだろう。
確かに最初に触れたとき、そーとーびっくりした。




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にっぽん男優列伝(163)窪塚洋介

2012-07-27 00:15:00 | コラム
79年5月7日生まれ・現在33歳。
横須賀出身。

名前なしでは誰だか分からない感じの、公式サイト

多少変わっているほうが俳優っぽくて面白いのに、
エリカもそうだけれど、ナンヤカンヤアレヤコレヤいわれてばっかりいて、そんなことより演技で評価しようよと思います。

何度も逮捕されているリンジー・ローハンとか、個人的には「いい見世物」として楽しんじゃってますが、本気で怒っていたり不快に思うひとも多いようです。

ローハンに比べれば・・・エリカも、
右傾化発言があったり、陰謀説を力説したり、誤ってダイブ? したりした窪塚洋介(くぼづか・ようすけ)くんも可愛いほうですが、
ここ数年のキャリアを眺めてみて「こんなもんじゃないよな」という思いを強く抱きます。

2000年代前半の輝きはフレッシュさからくるもの「だけ」でなく、俳優として「真に」魅力的であったから、、、のはず。

本年は傑作・力作の数々―『ヒミズ』『モンスターズクラブ』『ヘルタースケルター』―に脇役として出演を重ねていますが、ここらでもういっちょ、インパクト大の主演作が観てみたいものです。


※大好き。
監督は、スコセッシの『グッドフェローズ』を参考にしたようだ。なるほど。




<経歴>

三人兄弟の長男で、二男の窪塚俊介も同じ業界に身を置く俳優。
『最終兵器彼女』(2006)のシュウジ役の演技などに触れると、俊介くんはさっぱり系? であることが分かります。

95年、テレビドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ)で芸能界デビューを飾る。
映画俳優デビュー作は、96年の廣木隆一監督作『MIDORI』。

廣木監督も、次作となる『亡霊学級 少女の戦慄』(97)のサトウトシキもピンク出身の監督であり、デビュー当初は大型新人俳優というより、インディーズ主体で「せっせと働く」変わったアンちゃん俳優、、、という印象でした。(テレビの世界においても、『池袋ウエストゲートパーク』(2000、TBS)の安藤タカシ役など、まさにそんなポジションだったかと)

『卓球温泉』(98)や『富江replay』(2000)などでキャリアを築き、2001年~2002年に絶頂期が到来。

2001年―『溺れる魚』、そして青春映画『GO』の主演。

『GO』は初日と10日目に観に行きましたが、両日とも若い女性客で「ほぼ」満席、「あ、時代がきたな」と思いましたね。
行定勲はコンスタントに撮る職人監督ですが、現時点で最も実力を発揮した作品かと。

2002年―『Laundry』、『ピンポン』、『凶気の桜』、『刑務所の中』に出演。

『Laundry』の演技は賛否分かれますが、『ピンポン』のペコ役は絶賛されました。
新世代による、清新なスポーツ映画という印象。
映画化のニュースまでは、松本大洋の原作が汚されると批判が集中していたのですけれどね。
右傾化する青年を主人公とした『凶気の桜』は、主題と窪塚くんの言動がマッチし過ぎていて、ちょっと危ういなぁと思ったものですが、作品そのものは失敗した感じが強いです。

『魔界転生』(2003)の公開後、結婚を発表。子育てを理由に俳優活動を一時休業。
この休業中に起きた事故が、ベランダからのダイブでした。
一時は重体となるも奇跡的に回復し、2005年に俳優復帰を果たす。

しかし。
『同じ月を見ている』(2005)、
映像作品を観るというより、都知事の頭のなかを覗いただけのように感じた『俺は、君のためにこそ死ににいく』(2007…つまり映画として面白くない)、
『ICHI』(2008)、『まぼろしの邪馬台国』(2008)、エログロにしてくれれば「なんとかなった」ような気がする『東京島』(2010…ここ数年で、一位二位を争う凡作)、『行きずりの街』(2010)と、評価に困る作品への出演が続く。

ただ前述したように、本年は『ヒミズ』『モンスターズクラブ』『ヘルタースケルター』と好調、しかしすべて主演ではないので、窪塚くんの演技を観たいひとにとっては物足りないかも。

完全復活を遂げてくださいね。


また「卍LINE」名義でレゲエDJとしても活躍しているようですが、この世界に関しては疎いので、なんともいえません・・・。


次回のにっぽん男優列伝は、久米明さんから。

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