Cape Fear、in JAPAN

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楽しい恋愛バカヤロウ

2018-01-16 00:10:00 | コラム
石田衣良「たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか」

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すげぇいわれようだなぁ。

最初に自分の意見を記しておこう、

そもそも高校時代に楽しい恋愛とかを「きちんと」経験してきた連中は、映画をやろうなんて思わないんだよ。

全員、とはいわないよ。

でも大抵が、そういうもんだ。

スティーブン・キングもそういう思いを抱きつづけ、ヒット作『キャリー』を発表しているんだ。

だから石田衣良の発言は、逆の意味? では正しい、、、ということだけれども。


イマサラ感がハンパないが、『君の名は。』(2016)について。
というより、この映画がプロ筋からコテンパンにされている件について。


というのも、地上波放送の影響か、ここ1週間でいろんなひとからLINEやメールで「この映画、どう思う?」と聞かれたから。


まずは、自分の『君の名は。』短評を。

率直にいって感心はしたが、感動はしなかった。
巧い(ズルい)とは思ったが、好きにはなれなかった。

かといって、嫌い! というほどでもないが。

絵はキレイだしヒットする要素がてんこ盛りだし、10~20代に好かれて当然だと思った。

好きになれない理由は、
たぶんRADWIMPS「ありき」なところがあるので、(1)彼らのPVみたいだったから、
というのと、
重層構造ゆえ説明が必要なのは分かるが、それにしても(2)ことばで説明し過ぎるきらいがあったから。

「やりたいことを、すべて詰め込む」という点では宮崎爺の『風立ちぬ』(2013)と似たところがあるかもしれないが、
さすが爺、大胆な省略や話法としての抑制があって、受け手に想像させる「映画的な余裕」があった。


ただ繰り返すが、若いひとの支持を受けるのは分かる。

こういう人気映画は、たとえば荒井晴彦が代表を務める雑誌『映画藝術』のターゲットとされる。
ところまでは、映画通でも予想は出来た。
意外だったのは、プロからの批判が「想像を超えて」手厳しかったこと。

冒頭の石田衣良だけでなく、たとえば漫画家の江川達也は・・・

「プロから見ると全然面白くない」
「作家性が薄くて、売れる要素ばっかりブチこんでいる、ちょっと軽い作品」

と、酷評している。

もちろん?、井筒和幸(=あんなオタクのオナニー動画を、1000万人が観るようになったら、オレは終わりやと思うけどね)も。


プロ筋からの批判のなかで、自分が納得出来たのは、園子温の「金儲け映画ごときで3.11を安易に暗喩にしたてるな」くらいなものだった、
それは実際、園監督が金儲けとは無縁の3.11映画を撮っているから。


基本「おだやか」な新海監督(トップ画像の左)も、さすがにフラストレーションが溜まったか、

「(中略)なぜ面識もない方に僕の人生経験の有無や生の実感まで透視するような物言いをされなければならないのか…笑」

と、反論している。


悪口ではない、きちんとした批評が展開されるのは健全な世の中だよ。
だから江口・井筒・園の批評は、納得する云々は置いておいて「あり。」だと思う、

ただ自分が「それはちがう、単なる悪口じゃないか」と思ったのは、冒頭の石田衣良ですよ。

「色気づいてきてから成績が落ちた」といわれている高梨沙羅ちゃんみたいなものでね、

あんな小さな身体で世界と戦っているアスリートに、よくそんなこといえるな、、、といつも思うが、

それをいっていいのは本人だけなんだよ、

新海さんが自分で「童貞臭が売りですからね、自分は」というのは優れた自虐になるが、灰色の青春時代に×印を他者がつけることは批評ではないと思うんだな。



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明日のコラムは・・・

『映画監督別10傑(3)スティーブン・スピルバーグ』
コメント (2)
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