Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(351)リリー・フランキー

2016-11-30 00:10:00 | コラム
63年11月4日生まれ、53歳。
福岡出身。

公式サイト

「どうしたらイラストレーターになれますか?」
「まずは名乗ること。名乗らなければ、イラストレーターにはなれません」

テレビ番組だったでしょうか、そんな質疑応答に触れて、そのころから自分はライターと自称するようになりました。

まだ、駄文で月3~4万円しか稼げなかったころの話です。
その5年後・・・やっと、ぎりぎりではありますが、ギャラだけで喰っていけるようになりました。

「自称する」きっかけを作ってくれたのが、上の発言をしたリリー・フランキーさん。

ですから自分のなかでは、イコール「イラストレーター」なのですけれど、これだけ演じるキャリアが伸びてきたら、もう俳優さんといっていいでしょうね。

子どもたちには、おでんくんの作者として人気。



サブカル好きの若者には、エロの視点で笑わせるコラムが人気。

そして映画好きからは、たしかな演技力で一定の支持を得ている。

すんごいことだと思います。




<経歴>

継続しているかまでは知りませんが、彼女の名前は理々香さん。

同伴で『いいとも』に出演したときは、観客ドン引きで腹抱えて笑いました。



武蔵野美術大学卒。
ほんとうの芸名は「リリー・フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」と語っていたことがあり、自分は真面目にそう信じこんでいましたが、洒落なんだとか笑

94年、コラムニストとして雑誌『ぴあ』誌上に連載を開始、自分はちょうどこのころ松尾スズキのコラムの愛読者になっていて、同じ匂いを感じて欠かさずに読むようになったと記憶しています。

2003年、『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』の連載を開始。
これが単行本化され、ベストセラーに。

いろんな分野で活躍するひとですが、ここからは映画にしぼって。


映画俳優デビュー作は、2001年の『盲獣vs一寸法師』。

カルト監督、石井輝男の熱烈オファーがあったから出たのであって、このときに俳優業をやっていこうとは思っていなかったはずです。

『歓喜の歌』(2008)でチョイ役をした同年、『ぐるりのこと。』で主人公を演じ絶賛される。

「超」寡作のひと・橋口亮輔による入魂の傑作、リリーさんは法廷画家を好演しています。

リリーさんだけでなく、うつ病に苛まれる、妻役の木村多江もすごくよかった。

これにより、映画業界からのオファーが激増、リリーさんも覚悟を決めたようです。

『色即ぜねれいしょん』(2009)、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(2010)、『モテキ』(2011)、『アフロ田中』(2012)、『きいろいゾウ』(2013)、

「殺す」の台詞が静か過ぎて逆にリアルで怖い『凶悪』(2013)、
一転、よいとーちゃんを演じる『そして父になる』(2013)、

『トイレのピエタ』(2015)、『海街diary』(2015)、『極道大戦争』(2015)、

塚本晋也との強い信頼関係がうかがえた『野火』(2015)、

『バクマン。』(2015)、『恋人たち』(2015)、
本年も『シェル・コレクター』(2016)、『女が眠る時』(2016)、『海よりもまだ深く』(2016)、『二重生活』(2016)、『秘密 THE TOP SECRET』(2016)、『SCOOP!』(2016)、『お父さんと伊藤さん』(2016)、そして公開中の『聖の青春』(2016)・・・という具合に絶好調、ここ数年で「完全なる俳優さん」になったのだと思われます。

公開控えの作品に、吉田大八の最新作『美しい星』と、小林一茶を演じる『一茶』。


来年も大活躍の図が見えますが、エロの世界でも、もっと飛ばしてほしいなぁ!!


次回のにっぽん男優列伝は、若山富三郎さんから。

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明日のコラムは・・・

『酔いどれの月 + 11月コラムの目次』
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にっぽん男優列伝(350)笠智衆

2016-11-29 06:04:45 | コラム
04年5月13日生まれ・93年3月16日死去、享年88歳。
熊本出身。

小津映画における笠智衆(りゅう・ちしゅう)さんって、黒澤映画における志村喬のポジションなのかな・・・。

などと、18歳のころの映画小僧は思っていました。

18歳までに黒澤映画は制覇していたのに、「動」の黒澤に対して、小津は「静」なので、いくら名作といわれても「取っつきにくい」ところがあったのです。
映画の学校に通うようになって、それじゃあいけないと小津映画を連続して観ました。

世界の映画のベストワンと評されることもある『東京物語』(53)には凄みを感じましたが、『晩春』(49)にしろ『麦秋』(51)にしろ、同じような物語を同じようなタッチで撮っていると感じ、正直、退屈だなぁと思いました。

山田洋次と同様、映画監督としての小津の才能に気づき始めたのは、じつは30歳を過ぎてからです。

それはともかく。
後期の小津映画には、「いつも」といっていいほど笠智衆さんが居ます。
そして、「いつも」といっていいほどお父さんを演じています。

まだ若かったにも関わらず、やや年老いたお父さん。

だから「老け役の名手」と評されているわけです。

ところで黒澤は笠智衆さんを何度か起用していますが、三船は小津映画に出たことがありません。

落ち着きがない、「動」の俳優だからでしょうか笑

でもちょっと、観たかったなぁと思いません?

どんな演出をしたのだろうかと。





<経歴>

住職の家に生まれ、少しの期間ですが父の仕事を継いだときもありました。

大学を中退し、松竹蒲田撮影所の俳優研究所第一期研究生として俳優の世界に入る。

映画出演は途絶えませんが、あくまでもそれは端役としてで、第一線で活躍出来ない日がつづきます。

そのころに顔を出していた映画は・・・
『若人の夢』(28)、『学生ロマンス 若き日』(29)、『落第はしたけれど』(30)、『その夜の妻』(30)、『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』(32)、『青春の夢いまいづこ』(32)、『東京の女』(33)、『母を恋はずや』(34)、『浮草物語』(34)、『東京の宿』(35)。

小津の映画が、いくつかあります。
小津も最初から、笠智衆さんを高く買っていたわけではなかったのでしょうか。

36年、小津の『大学よいとこ』で初めてメインどころを演じる。
これが、実質的な映画俳優デビュー作になるのかもしれません。

同年、小津の初トーキー映画となる『一人息子』に出演。
実年齢32歳であるにも関わらず、初老の役を器用にこなして脚光を浴びる。


『風の中の子供』(37)、『荒城の月』(37)、『奥様に知らすべからず』(37)、『兄とその妹』(39)。


【40年代】

41年…『みかへりの塔』『戸田家の兄妹』『櫻の國』
42年…『父ありき』
43年…『海軍』
44年…『陸軍』
47年…『象を喰つた連中』『長屋紳士録』
48年…『面影』
49年…『森の石松』『晩春』


【50年代】・・・日本映画黄金期に重なっている、というのもあるのでしょうが、壮観な10年間のキャリアです

50年…『宗方姉妹』
51年…『善魔』『カルメン故郷に帰る』『自由学校』『麦秋』『命美わし』
52年…『お茶漬の味』『人生劇場 第一部』
53年…『人生劇場 第二部』『東京物語』『君の名は 第一部』『君の名は 第二部』
54年…『君の名は 第三部』『風立ちぬ』『二十四の瞳』
55年…『生きとし生けるもの』『くちづけ』『野菊の如き君なりき』

~『サラリーマン目白三平』シリーズ~

『サラリーマン目白三平』(55)
『続サラリーマン目白三平』(55)
『サラリーマン目白三平 女房の顔の巻』(60)
『サラリーマン目白三平 亭主のためいきの巻』(60)

56年…『早春』
57年…『満員電車』『東京暮色』
58年…『無法松の一生』『彼岸花』
59年…『風花』『私は貝になりたい』『お早よう』『浮草』


【60年代】

60年…『銀嶺の王者』『悪い奴ほどよく眠る』『大菩薩峠』『秋日和』
61年…『小早川家の秋』
62年…『秋刀魚の味』
64年…『愛と死をみつめて』
65年…『赤ひげ』
66年…『暖流』
67年…『青春の海』『日本のいちばん長い日』
68年…『肉弾』『スクラップ集団』

69年―山田洋次の代表作『男はつらいよ』シリーズにレギュラー出演、御前様を好演する。
(遺作となる92年の『寅次郎の青春』まで、全作品に登場)


70年以降の代表作に・・・

『家族』(70)、『故郷』(72)、『花と龍』(73)の『青雲篇』『愛憎篇』『怒濤篇』、『宮本武蔵』(73)、『砂の器』(74)、
『海峡』(82)、『お葬式』(84)、『それから』(85)、
ポール・シュレイダーが演出した米映画『MISHIMA:A Life in Four Chapters』(85)、
『キネマの天地』(86)、『国士無双』(86)、『マルサの女2』(88)、
小津狂を自称するヴィム・ヴェンダースの『東京画』(89)と『夢の涯てまでも』(91)、
黒澤の『夢』(90)では「葬式は祝いごと」という名言を放つ老人を元気に演じ・・・ていましたが、このころ膀胱がんを患い、闘病をつづけつつ俳優活動も展開するようになります。

そして93年3月16日、帰らぬひととなりました。
享年88歳。


この歳になって、やっと、笠智衆さんや森雅之のよさが分かってきた感じです。

ガキで、すいません汗汗

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青文字系の服を買う。

2016-11-28 00:10:00 | コラム
楽天の会員なので、ときどき送られてくるアンケートに答えてポイントをもらっている。

先日のアンケートが「ご自身のファッション」に関するもので、
月にいくらくらい服にかけるのか、とか、どこで服を買うのか、という質問で構成されていた。

それらの問いに正直に答えながら、あれ自分、最近はそこそこの収入を維持している割には、服に金をかけていないなぁ、、、と。

今年買ったのはTシャツ数枚だけ、なのだった。
スーツを新調したが、それは仕事用でありボスが経費でなんとかしてくれた。

靴やアクセサリーも含めて、今年はお洒落にぜんぜん金を使っていない―ただそれは、あくまでも「自分自身」にかぎっての話である。

月に1度か2度は、青文字系雑誌に載るような服を求め、ひとり原宿に向かうのだ。

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青文字系雑誌(あおもじけいざっし)とは『Zipper』『CUTiE』といった東京の原宿などで多く見かけるガーリー、個性的、非日常的、極めて非常識的で同性受けを狙ったファッションおよびそれらを多く取り上げる雑誌のことである。

(ウィキペディアより)



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もちろん自分のためではないよ。
ハニーに着てもらうためだ。

ほとんど趣味の強要だが、わざわざ自分が原宿まで買ってきたことを知ると、ハニーは抵抗? することなく、ちょっとアレな服を着てくれる。

小柄で童顔なので、10代後半のファッションに身を包んでも違和感がない。

ん?

試着させずに買って、失敗はないのかって?
同じ休みの日に、一緒に行けばいいじゃないかって?

いちおうサイズは把握しているし、ハニーの体型に似た店員さんを見つけて、試着をお願いしているから無問題。
両者とも特殊な仕事をしているため、なかなか休日があわないから、あったとしたら服選びではなく「とっとと」エッチしたいのである。


42歳のおっさんが、20代の店員さんにロリっぽい服を試着させるの図・・・もうこれだけの一種のプレイが完成しているが、自分はイイワケするかのようにスマホのツーショットを見せ、「大丈夫、ほらハニーに着せるためだから」とか、なんとかいっちゃって。

その必死さが逆に危ない感じがしないでもないけれど、汗かきながらそういうことをするわけですよ。


だから一般の40代男子に比べたら、若い女子のファッションについて詳しくなった。

自分の服より、そっちのほうが重要っていうね。


こんな男子は、どうですか?笑


※画像はすべて、青文字系のモデル・やのあんなちゃん。
歌もやってます。




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『沈黙』全力応援コラム、その壱

2016-11-27 01:19:08 | コラム
わが神、スコセッシの最新作『沈黙』(原作・遠藤周作)の公開日が決定―01.21、割とすぐだぜ!!―したので、公開初日まで数回にわたり応援のコラムを展開していきたい。

きょうは、もうこれを観たら多くを語る必要はない―と思われるほどの濃い予告編をリンクするだけにしておく。


窪塚くんや浅野くん、イッセー尾形さんや小松菜奈ちゃんもきっちり登場するので、物語に興味ないひとも予告だけでも触れてみてね!!




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刃―やいば―

2016-11-26 00:10:00 | コラム
【2016総括シリーズ その九】

本年の総括も、残りふたつ。
社会一般と、映画。

映画は12月、3日間に分けて論じるとして、第9弾のきょうは「社会一般」でいこう。


暗い話が多い。

それはじつは、「そういうものを選んでいる」だけかもしれないが、それにしたって多いと思う。

自分は生ごみのキチガイだが、漢字のほうの、洒落にならないほうの気狂いが起こした事件に触れて、あぁ自分でも本気で怒ることがあるんだなぁ、、、と気づかされた。

彼ら彼女らは自分よりもトラビスにちかい人間なのかもしれないが、トラビスの言動にシンパシーを感じるものは、じつは同じようなことは起こさない。
いろんな思いをトラビスに託したからこそ、こうやって日常生活を送れているんじゃないのかな・・・。


刃なんてね、そんな簡単に、ひとに向けられるものじゃないんだよ―と、柄にもなくマトモなこともいいたくなるよ、ほんとうに。


(1)小金井市女子大生ストーカー刺傷事件

当時20歳の女子大生シンガーを、気狂いがメッタ刺しにした。



SNS上のやりとりで「脈がある」と思ってしまったのか、高級時計を送りつけ、結婚まで妄想し、冷たくされたことに逆上して犯行に及んだ。

分相応ということばを知らんのか、と思った。

大体、冷たくされたからプレゼント返せといっちゃう男はモテないよ。

唯一の救いは、彼女が一命を取り留めたことだろう。

(2)朝霞市女子中学生監禁事件



2年間も行方不明だった娘からの電話。

かーちゃんは、奇跡が起こったと思ったろうね。

「外出可だったのに、なぜ逃げ出さなかった?」みたいなコメントも多かったが、いやいや、その環境にないものがアレヤコレヤいっても説得力なんかないだろう。

(3)相模原市障害者施設殺傷事件

平成の大殺戮。



正直、どう語ったらいいか分からない・・・。

司法は、どう判断するのだろう。

というか、これ裁判員裁判でやるんでしょう?

裁判員になったひとも、しんどいよな。

(4)リオ五輪、日本勢の活躍

10選のなかで、唯一明るいニュースといえるか。

大逆転のカタルシスといったら、ない。

(5)AV強要問題

特殊な業界だからこそ、その制作過程は可能なかぎり健全であるべきで。

出たいひとが出る、そうじゃなくちゃいけない。

だから、人気もあった香西咲(トップ画像)まで強要されてデビューしたことを知り、かなりショックを受けた。

(6)マイナンバー制度の導入

じつは未だ、ピンときていないのだが。。。

(7)熊本地震

こういった災害にまで、ネットの良いところと悪いところが出た。

ありがたく、そうして、厄介な時代だと思う。

それにしても、地震って何度経験しても慣れない。

揺れが収まるまで、なにも出来ないんだよね。

それじゃあいけないときもあるのだろうけれども。

(8)読売ジャイアンツ選手の野球賭博問題

この騒動がなかったら、ひょっとしたらプロ野球版のtotoが出来ていたかもしれなかった。

そういう意味で、とっても残念だった。

(9)小池都知事の誕生

このひとに投票しなかった自分であるが、問題山積みだもんね、そこそこ頑張っているんじゃないかな。

ほんとうの評価は、2年後3年後だもんね。

(10)『ポケモン GO』の日本配信開始

まったく興味がなかったし、だからアプリも入れていないのだが、公園に大集合の図を見て笑ってしまった。

ただこれを批判出来ないのは、たとえば、映画の『ブレードランナー』(82)や『ゼイリブ』(88)は、同じような遊びが出来るはずなんだ、だからそういうゲームがリリースされたら、迷わずやってしまうだろうから。





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