日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「ある愛へと続く旅」

2014-11-19 16:47:43 | 映画・DVD・音楽・TV・本など
本当に良い映画を観るとなかなかレヴューが書けない私。
観た後に何度も心の中で思い返したり、考えたりします。
今回も気になる箇所がたくさんあり、リピートして観ました。



2012年製作。(イタリア・スペイン合作)
邦題は「ある愛へと続く旅」で原題は「Venuto al mondo」、「Twice Born」です。
「赤いアモーレ」原作のマルガレート・マッツァンティーニの小説を基に、夫でもある
セルジオ・カステリットが監督を務めます。
ちなみにこの監督、作品の中でペネロペの夫役もやり、実の息子をそのままペネロペの息子役に使っちゃう。


おもなあらすじは・・・

サラエボで運命的な出会いを果たし、夫婦となったジェンマ(ペネロペ・クルス)とディエゴ(エミール・ハーシュ)。
切望する子どもが望めなかった彼らは代理母候補を探し出し息子ピエトロを授かるが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が勃発する。
息子を連れて難を逃れたジェンマだが、ディエゴだけが街に残って命を落としてしまう。
それから16年後。ローマで暮らしていたジェンマは、サラエボ時代の友人に誘われてピエトロと一緒にボスニアへ向かう。
街の風景を眺めながら、ディエゴとの深い愛を思い返す彼女だが・・・。


                           (シネマ・トゥデイより抜粋)



ペネロペ演じるジェンマが振り返ったアップから始まります。
年老いた、と言っても中年の女性という役ですが、顔に刻まれた苦悩や人生の疲れもしっかり出ていました。
サラエボ時代の親友ゴイコがジェンマを見つめる目が、物語のあちこちで印象に強く残ります。
2度続けて観たのでその意味もわかり、ストーリーをすべて理解した上で納得するシーンが多かったです。


大学生時代のジェンマが可愛い~。
そして私の一番お気に入りの俳優でもあるエミール・ハーシュの表情も好きでした。
ゴイコの年離れた妹が生まれた時、赤ちゃんを見るディエゴの表情。
代理出産をするアスカの出産シーンでのディエゴの表情。
どちらも何とも言えない、「この世への生」に対する圧倒されたような表情が印象的でした。

ジェンマは「愛する人を失いたくない」「彼の眼を持つ子どもが欲しい」と願うのですが、自分のせいで子どもを授かることができず苦しみます。
そんな中、ボスニア・ヘツツェゴビナ紛争が激化するサラエボを訪れます。
共同住宅に住むゴイコの家族や仲間達。
セルビア兵の攻撃の中を必死に生きる仲間達ですが、銃撃にあい命を落とす事に・・・
そんな状況でもジェンマ達はゴイコの仲介の元、代理出産の話を進めるのですが・・・

再びサラエボを訪れたジェンマは支援活動をするディエゴを追いかけます。
そこには肉体関係を持てなかったとしていたアスカがいて、お腹が大きくなっている事に驚愕。
そしてディエゴに詰め寄るジェンマのシーンが泣かせました。
「私も食料が欲しいわ」
「バカ亭主!!」
そう叫びながらも最後は涙声で「アモーレ!」と・・・

その後、出産を見届け、アスカの足元に大金を置き、赤ちゃんとサラエボを脱出するジェンマ。
突然、夫はローマに戻らないと知り、ジェンマの心はどんなだったろうか。

そうして育てた息子ピエトロは16歳。
あれから16年経った頃、親友ゴイコに呼ばれサラエボを訪れるジェンマ。
そして本当の事を知る・・・と言うことです。

なぜ今なのか・・・
それはわからないけれど、ディエゴが死を選んだ訳もいろんな解釈があるでしょう。

最初の頃は明るいお調子者だったディエゴ。
でも彼は子ども時代から辛い事をやり過ごすために、「楽しい事やきれいな事を考え、扉の裏に隠れて過ごす」方法で凌いできました。
そしてサラエボでアスカの身に起こった出来事にも同じように身を隠します。
そんなディエゴの贖罪の気持ちがアスカを救い、アスカの首の後ろにバラの絵を入れる事でした。
「これでもう一度生きられる・・・」と言うアスカ。
そしてディエゴの心も再生されれば良かったけれど、彼にはアスカを救ったと同時にジェンマを裏切った負い目があったのでしょうか。

ジェンマが育てたピエトロはディエゴの子どもでもなかったという事実。
でもそれ以上にディエゴの愛を知り、戦火に追われたサラエボの地に今は深い愛に包まれたゴイコ達が暮らしていくのを感じたはず。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の映画は何本も観ています。
それ以外でもイビチャ・オシム氏のドキュメントやサラエボの地で起こった特集番組なども観ました。
小さな地域で起こった異なる民族間の紛争。
そして「民族浄化」と言うおぞましい集団レイプでどれだけムスリムの女性が苦しめられたことか。
1990年代に起こった事がきっと今でも大きな影を落としているでしょう。

今回の作品は多くの人に観てほしいです。
ただ史実としてではなく、希望を捨てないで生きてきた多くのムスリムの人達を知るために。
戦争や紛争の愚かさを知るために・・・。


と言う事で、ペネロペだけでなくエミール・ハーシュの素晴らしい演技に感動。
ブルース・スプリングスティーンを始め、音楽も素晴らしかったです。

今回の評価は・・・      星4つ    ☆☆☆☆


あまりにも良かったので画像も多めになりました。


   

   

   

   

   

   

   

   

   

   

   

   

        
    二人の表情が好きです。 


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