ジョン・ル・カレの小説を映画化した「誰よりも狙われた男」を観ました。
今年の2月に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作です。
2013年製作。
原題は「A MOST WANTED MAN 」
監督はアントン・コルベイン氏。
主な内容は・・・
舞台はドイツ、ハンブルク。
諜報機関でテロ対策チームの指揮を執るバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、イッサというイスラム過激派に関わりがあるといわれる若い密入国者をマークする。
人権団体の弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を介して銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)との接触をもくろむ彼を、あえて拘束せずに監視するバッハマン。
イッサの動向を追い掛けることでテロ資金源となっている人物にたどり着こうと考える彼だったが、思いも寄らない出来事が次々と降り掛かってくる・・・
(シネマ・トゥデイより抜粋)
同じ原作者の「裏切りのサーカス」は難解でした。 (でも面白かった)
今回はまた違って、こちらはシンプルな展開。
でもそんな中、ハンブルクで地道に捜査し続ける諜報部員のバッハマンが良かった。
スマートでアクションもこなすスパイとは違って、シーモア・ホフマンならではの存在感が良い。
手段を選ばずに手の内に入れる時もあれば、基本的には人道的な考えがあって、部下の信用も厚い。
でもだからこそのラストになるんだろうな~
共演する俳優も良かったです。
バッハマンの部下に「コッホ先生・・・」や「ラッシュ・・・」のダニエル・ブリュール。
あっ、彼は「サルバトールの朝」でも熱演しましたね。
そしていつも支えてくれる女性に「東ベルリンから来た女」のニーナ・ホス。
この二人のドイツ人が特に印象に残りました。
人権派の弁護士を演じるレイチェル・マクアダムス。
ついこの前「アバウト・タイム」で見せたキュートさは封印。
なかなかシリアスな役もできて合格!
銀行家のウィレム・デフォーは彼自身の存在感がありすぎて、違ったドイツ人の方が良かったかな。
(ウィレム・デフォーはアメリカ人)
それから何にでも首をつっこむアメリカのCIAとして登場するロビン・ライト。(もうペンはつかない)
最近はますます男顔になっている印象・・・
密入国者のイッサを演じるロシア人のグレゴリー・ドブリギンも良かったです。
ロシア人の父親がチェチェン人の少女を犯して生まれたのが自分という複雑な出生を持ち苦しみながら生きている青年を演じました。
チェチェン紛争やイスラムのテロ組織、そして9.11後のアメリカなど、世界の情勢を考えながら観ると
また深く考えることができます。
そんな今回の作品。
地味だけれど重厚な演技を見せてくれたシーモア・ホフマン。
彼の苦しそうな息遣いまでもがリアルでした。
(まぁ、体型的なせいでしょうが・・・)
やっぱり彼の存在は素晴らしかった。
何度も言いますが惜しい俳優を失ったんだな~と改めて感じます。
今回の評価は・・・ 星4つ ☆☆☆☆
シーモア・ホフマンは多彩な役を演じましたが、その中でも好きなのが・・・
「ノーバディーズ・フール」の若造の警察官。
「パイレーツ・ロック」の海賊ラジオ局のDJ。 (こちらは痛快で大すき)
「マイ・ライフ マイ・ファミリー」のローラ・リニーの兄役。
意外と地味な普通の役も好きということです。