日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

再読「たった一人の生還」

2007-02-20 00:03:53 | 映画・DVD・音楽・TV・本など
先日の宮崎県沖の海難事故で助かった「幸吉丸」の生存者を思うと、改めて冷静に判断された船長や乗組員の行動に深く心が打たれました。
助かったからこそ、話せる事故の様子です。
命がなかったら、それこそ原因もうやむやにされてしまいますから。

そんな事を考えながら、もう15年ほど前になるヨットの事故で助かった佐野三治さんの「たった一人の生還」をまた読みました。
もう3~4回ほど読みましたがその度に真剣に読みふけってしまいます。

縁あって「たか号」に乗ってヨットレースに参加した佐野さん。
「たか号」から投げ出されて「救命いかだ」のラフトに乗って遭難してしまうのですが、その様子の鮮明なこと。
助け合って水を数滴づつ分け合ったり、ビスケットを小さく等分して食べた事。
衰弱した人の事を優先的に考えたりと海の男のフェアーな態度に感動しつつも、限界状態のいざこざもしっかり伝える佐野さん。

本当に残念な事に、一人、また一人と命を落としていくのが気の毒でなりません。
若い者が残ると言う現実もあり、不安定なラフトでいつも揺られながら、消えそうな希望の灯火を守ろうとする様子。
最後の仲間の水葬をためらうところなど、思わず涙がでてきてしまいます。

佐野さんが生還できたのは、きっと仲間の事を伝えたい!と言う強い気持ちです。
それから、「海上保安庁のYS機を見た」と言う事実を伝えなくては絶対に死ねない!と言う強い決意、いえ抗議だと思いました。
極限からの生還、でもその後には遺族の方に伝える使命があり、悲しく辛い事だったと思います。

その後、遺族の中でヨットレースの主催団体や「たか号」の艇長(この事故で亡くなっています)に対して裁判が起きたらしいですね。
それはまたそれで何とも悲しいことですが。
生き証人と言う形で、佐野さんに課せられたものは重いものですが、彼の本当の強さで他のクルー全員の気持ちを持ち帰ってきたのです。

佐野さんが伝えたいことを私も子ども達にしっかり伝えたい。
この本は私にとって、命の重さをしっかり教えてくれる素晴らしい宝物です。









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