報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「一夜明けて」

2018-11-17 10:09:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月8日02:33.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 マンションの屋上に出たリサは、クリーチャーへと変貌した。
 もしかしたら暴走したのかもしれないと思い、私は急いで自分の部屋へ取って返した。
 そして……。

 愛原:「高橋!高橋!大変だ!起きてくれ!」

 私は高橋の寝室に入ると、すぐに高橋を叩き起こした。

 高橋:「んん……何ですか、先生?随分と賑やかな夜這いですねぇ……。どうぞ、俺の隣空いてますんで」
 愛原:「アホか!こんな騒がしい夜這いがあるか!そうじゃねぇ!リサが大変なんだ!」
 高橋:「えっ!?」

 私は手短に状況を話した。
 すると今度こそ高橋も飛び起きた。

 高橋:「マジっすか!ついにあのガキもやってくれましたか!お任せください!」

 高橋は室内のクローゼットを開けると、その中からある物を取り出した。

 

 高橋:「こいつでフッ飛ばして見せます!」
 愛原:「お、オマ……こんなものどこで……?」

 44口径のマグナムだな。
 それも2丁ある。
 2丁撃ちのガンマンたる高橋ならではだ。
 しかし……。

 高橋:「顕正号です!」
 愛原:「マジか……」

 私も善場氏にお願いして、ハンドガンの1つでも装備させてもらおうか……。

 高橋:「行きますよ!」
 愛原:「ああ……」

 ゲームの中の『リサ・トレヴァー』には、マグナムすら効かない。
 その流れで今、同居している派生型且つ完成版とされるリサにも効かないだろうと私は見ていた。
 だがもしかすると、少しは効くのかもしれない。
 私は淡い期待を込めて、エレベーターに乗り込んだ。

 高橋:「いいですか、先生?屋上に出たら一気に攻撃します。ここは俺に任せて、先生はエージェントに電話でもしていてください」
 愛原:「ああ、分かった」

 そして、エレベーターが屋上に到着し、ドアが開いた。

 高橋:「エレベーターホールには誰もいない……」
 愛原:「ホールってほどのものじゃないな」

 せいぜい、四畳半ほどの広さの風除室があるくらいだ。

 高橋:「ではやはり屋上に!?」
 愛原:「だろうな」

 私はスマホを取り出した。
 善場氏も寝ているだろうが、止むを得まい。

 高橋:「うらぁーっ!!」

 高橋はバンッとドアを蹴破るように開けると、ハンドガンを両手に構えた。

 リサ:「きゃっ!?」
 愛原:「!?」
 高橋:「あ!?」

 リサは人間の姿に戻り、服を着ているところだった。

 高橋:「慌てて人間の姿に戻ろうったって、そうは行かねぇぞ、あぁ!?」
 愛原:「いや、普通に人間の姿に戻ってるんだからいいだろ!……どうしたんだ、リサ?」

 リサは急いでTシャツを着ると、こう言った。

 リサ:「たまに正体を曝け出して、スッキリしたくなるの……」
 高橋:「何だそりゃ!?」
 愛原:「じゃあなに?暴走じゃなかったの?」
 リサ:「正体を曝け出している時はすっごい気持ち良かったけど、記憶はあるよ」
 高橋:「オ〇ニーかよ!」
 愛原:「気持ちは分かるけど、紛らわしいからやめなさい!」
 リサ:「はーい……」
 高橋:「〇ナニーがしたいのなら、俺のDVD貸してやるからよ」
 愛原:「どうせ男がシコッてるヤツだろ?女の子のリサが参考になるか!」
 高橋:「あ、先生、観ます?」
 愛原:「観ねーよ、アホか!」

 このことについては後日、高野君に任せることにした。
 女の子の性教育については、女性に任せるべき。

[同日07:00.天候:晴 愛原のマンション]

 昨夜はエラい目に遭ったなぁ……。

 高橋:「先生、おはようございます」
 愛原:「ああ、おはよう。昨夜は大変だったなぁ」
 高橋:「全くですよ。中坊の夜中家出はよくあることですが、それ以上にエクストリームでしたね」
 愛原:「別に家出じゃないんだがな」

 私は洗面所に行った。
 そこで顔を洗ったりヒゲを剃ったりしていると、リサがやってくる。

 リサ:「愛原さん、おはよう」
 愛原:「おう、リサ。昨夜は大変だったな?」
 リサ:「ごめんなさい。ムラムラが抑え切れなかったの」

 リサは自分の唇に自分の人差し指を当てて言った。

 愛原:「ふーむ……第二次性徴後の心理か。こういうのも相談した方がいいかも……」

 オリジナル版の『リサ・トレヴァー』は14歳でクリーチャーに変貌し、あとはそのまま体が成長することも老化することもなかったという。

 愛原:「俺が中学生の時も、高橋みたいなヤツがいてだなぁ……」
 高橋:「え、何ですか!?俺、御指名ですか!?」
 愛原:「いいから、オマエは朝飯作ってろ!……オリジナルの場合は精神が病んでいたから、思春期ならではの事件は無かったみたいだけど、こっちのリサは人間の状態を完璧に保っていられるので、こういうことも発生するということだな」

 先日、初潮を迎えたというし、妊娠・出産もできるということだろう。
 ん?そういえば“バイオハザード”シリーズで、そういうヤツいなかったか?

 私は朝の身支度を整えると、ダイニングに向かった。

 高橋:「今朝はベーコンエッグに御飯と味噌汁、サラダです」
 愛原:「さすがだな、高橋」
 高橋:「少年刑務所で習ったものです」
 愛原:「何度も聞いたよ。それじゃ頂きます」
 リサ:「頂きまーす」

 私達は朝食に箸をつけた。

 愛原:「これからの予定だが、8時半になったら事務所に行くぞ。そこで高野君と合流する」
 高橋:「はい」
 愛原:「9時になったら善場さん達が迎えに来るから、その車に乗って横浜港に向かうって計画だ」
 リサ:「はーい」
 高橋:「分かりました。政府エージェントの車だから、さぞかしVIP待遇でしょうね」
 愛原:「どうだかねぇ……」

 ま、防弾ガラスくらいにはなっているのだろう。
コメント (7)
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“私立探偵 愛原学” 「連休2日目の終わり」

2018-11-15 19:27:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月7日18:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。

 愛原:「え、なに?あのゲームにリサが?」
 リサ:「うん……」

 夕食を囲みながら私は、リサと斉藤さんがどうして寝入っていたのか聞いていた。
 因みに斉藤さんはもう帰宅している。
 迎えが来たのはいいのだが、それが本当にメイド服を着たメイドさんなのだから驚いた。
 どうやら本当に大金持ちの御嬢様らしい。
 私立の中学校だから、そういうコが通学していてもおかしくはないが、そんな所にリサを入れて良かったのだろうか少し不安になった。

 高橋:「あのゲームをやれば、如何に『リサ・トレヴァー』がクソ化け物か分かるってものですよ、先生」
 愛原:「ふーん……」
 高橋:「おい、リサ。ガンサバイバーの方はやったのか?」
 リサ:「それはまだ……」

 ゲームの中に出て来る自分のオリジナルが、どういう経緯で化け物となったのか説明される。
 そして、その末路も……。
 それがとても可哀想で、いくら自分は派生型の完全版とはいえイメージが重なってしまい、涙が止まらなくなってしまったそうだ。
 それに斉藤さんももらい泣きして、2人で一緒に泣きじゃくり、泣き疲れて寝てしまったとのことである。

 高橋:「ガンサバイバーをやれば、こいつのオリジナルがどうなったのか分かりますよ」
 愛原:「そうなのか」
 リサ:「オリジナルの『リサ』は、やっとママと再会できたんだけど、飛び降りて死んじゃったんだよ?」

 オリジナルの『リサ・トレヴァー』は生き別れた母親を捜すという目的の為に、ただ洋館の敷地内を歩き回っていただけだ。
 白骨死体と化した母親を見つけ、その頭蓋骨を抱えて奈落の底へ飛び降りて『リサ・トレヴァー』戦は終了する。

 高橋:「甘い。外伝のガンサバイバーでは、それでも死に切れず、今度はアンブレラの関係者を皆殺しにしてやろうと動き回るんだ。アルバート・ウェスカーを主人公としてな。で、最後には洋館の自爆装置に巻き込まれて今度こそ死んだってことになったらしいぜ?」
 愛原:「何だか信じられないなぁ。マグナムを撃ち込んでも死ななかったのに、建物の爆発くらいで死ぬかね?」
 高橋:「さすがに体をバラバラにしてやれば死ぬでしょう」
 愛原:「うーん……」

 私が腑に落ちないでいると、リサが私の肩を叩いた。

 リサ:「愛原さん、あれ!」

 リサがテレビを指さした。
 今、ニュースを観ようと思ってテレビを点けていたのだが……。

 〔「……正信号は明日午前10時頃、横浜港に入港する予定です」〕

 愛原:「ありゃ?テレビでやってるぞ?秘密じゃなかったのか?」
 高橋:「さすがにあんなデカ物を内緒でこっそり横浜港に入港させるわけにはいかないので、ある程度の情報は流しているんでしょうね」
 愛原:「なるほど、そうか」

〔「……正信号は今年元日、太平洋沖で発生したバイオハザードの後、沈没した顕正号と同型の姉妹船で……」〕

 愛原:「あんな感じだったのかぁ?」
 高橋:「ま、あんな感じですね」

 テレビには現役時代の正信号の内部の映像が出てきた。

 高橋:「バイオハザード発生前の顕正号もあんな感じでしたよ」
 愛原:「あんまり思い出せないなぁ……」

 私は首を傾げた。

 高橋:「まあ、先生はずっと意識を無くしておいででしたから……」
 愛原:「うーん……」

〔「……尚、正信号にはBSAA関係者並びに一部の関係者しか内部に入れません。これは顕正号が如何にしてバイオテロに巻き込まれたか、その検証を行う為に同型の姉妹船である正信号を使うというのが理由であり……」〕

 高橋:「実際に乗ってみれば、きっと先生の記憶も戻りますよ」
 愛原:「そうだといいなぁ……」

[10月8日02:02.天候:曇 愛原のマンション]

 私は夜中にふと目が覚めた。

 愛原:「ん……トイレ……」

 私は寝ぼけ眼でそっと部屋を抜け出し、トイレに向かった。

 愛原:「うう……」

 明日……いや、もう日付が変わって今日か。
 いくら姉妹船とはいえ、あのバイオハザードが起きた船と全く同型の船に乗り込めるということで、少し緊張しているのかもな。

 愛原:「!?」

 その時、玄関のドアが開け閉めされる音がした。
 玄関のドアには鍵が掛かっている。
 それなのに、開閉した音がしたということは……。
 誰かが出て行った?
 高橋か?
 私はトイレから出ると、玄関の方を見た。
 すると、サンダルが無くなっている。
 で、玄関の鍵が開いていた。
 いくらエントランスがオートロックだからって、これは不用心だな。
 私は玄関の外に出た。
 そして、周りを見渡す。

 愛原:「!?」

 夜中で薄暗くなっているエレベーターホール。
 そこからエレベーターに乗り込むはリサ。
 一体、どこへ行こうというのか。
 私が後を追うと、エレベーターは意外にも上へ向かっていた。
 そして、着いたのは屋上。
 LED表示のインジゲーターに、『R』と出ているから間違いない。
 私は上のボタンを押して、エレベーターを呼び出した。
 こんな真夜中に他にエレベーターに乗ろうとしている住人や訪問者がいるはずがなく、すぐにエレベーターは下りてきて、このフロアで上行きに変わった。

 愛原:「こんな時間に、屋上に何しに行くんだ?」

 昼間に寝てしまったから、眠れないのかもしれない。
 私がそう思っていると、エレベーターはすぐに屋上に着いた。
 そして、屋上に出るドアを少し開けて私は固まった。

 愛原:「!?」

 リサが着ていた服を脱ぎだしたのだ。
 まだ体の線が硬く、胸もようやく膨らみ出したかどうか分かる程度のリサの裸体。
 あれだけ見ていると、普通のローティーンの少女という感じだが……。
 私が更に固まったのは、リサの体が見る見るうちにクリーチャーに変化していったからだ。
 背中からは巨大なサソリの尻尾のような触手が2本生え、更に黒い触手が3本程鞭のようにしなる。

 リサ:「キャハハハハッ!」

 月明かりに向かって高くジャンプしたその姿は、正に異形。
 しかも、上空に飛んでいたコウモリを2匹捕まえると、それをそのまま口に運んだ。

 愛原:「な、何という……」

 これは……どうしたらいいものだろうか?
 リサは暴走してしまったのだろうか?
 一体、どうしたらいいのだろう?

 1:高橋を呼んで来る。
 2:もうしばらく様子を見る。
 3:リサに声を掛けてみる。
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“私立探偵 愛原学” 「連休2日目」 2

2018-11-15 10:14:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月7日15:58.天候:曇 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は臨時の呼び出しで、霞ヶ関まで行ってきた。
 やはりというべきか、善場さんは法務省に籍を置く職員だった。
 バイオテロというのは、こと日本においては国際テロの1つと認識されている。
 霧生市の場合は、表向きには『事故』ということになっている。
 今は潰れたアンブレラの日本法人が、アメリカの本社から託されたウィルスを杜撰な管理で漏洩させ、BOWを暴走させたものであると。

 法務省と言っても、実際はそれのとある外局に詰めているらしい。
 恐らく公安調査庁だとは思うのだが、それともまた違う部署のどこかの部屋に通されて話をした。
 或いは、法務省所属というのもカムフラージュなのかもしれない。
 何しろ私には扱えない政治的な領域だ。
 私のような(本来ならば)一般人の私達が立ち入って良い場所ではない。

〔まもなく菊川、菊川。お出口は、右側です〕

 私と高橋を乗せた10両編成の都営地下鉄は、無事に菊川駅のホームに滑り込んだ。
 因みにこの駅も、11月にはホームドアの設置工事が終わって稼働するという。

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ〜、菊川〜〕

 私と高橋は電車を降りた。
 改札口へ向かうエスカレーターへ、他の乗客達と一緒に向かう。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 各駅停車しか止まらない小さな駅では、電車の停車時間も短い。
 私達がホームを歩いていると、すぐに電車は走り出した。

 愛原:「ラクーン市の地下鉄も、トールオークスの地下鉄も、バイオハザードさえ無ければ普通に走っていただろうになぁ……」
 高橋:「え?ああ、アメリカの話ですか。日本だってあったそうじゃないですか。カルト宗教のバイオテロ」
 愛原:「オウムのことか?あれ、バイオテロじゃねーよ」

 さしものオウムも、サリン作れる頭はあったが、ゾンビウィルスを作る頭までは無かったようだ。

 愛原:「高橋、その時いくつ?」
 高橋:「ちょうど生まれた歳です」
 愛原:「あ、そう。……って、ええ!?」

 最近はオウムの地下鉄テロのことを知らず、後継団体の神秘性に惹かれて入信する若者が増えているとのことだが、こういうことか。
 そもそもリアルタイムで知らない世代なのか。
 高橋の場合、私に憧れてうちの事務所に押し掛け入所したわけだが、ややもするとその憧れが私じゃなくて、某教祖様だったりすると【お察しください】。

 愛原:「時代を感じるなぁ……」
 高橋:「そうですか?」

 

 コンコースに上がって、改札口を出る。

 愛原:「それにしても参ったなぁ……。話長くて」
 高橋:「全くですね。先生の貴重なヒマな時間を無駄に使いやがるなんて、いくら政府高官でもナメてますよ」
 愛原:「いやいや、善場さんはその政府高官の代理人(エージェント)だから。……あ、てことはいいのか?」
 高橋:「ですよね。ちょっと法務省にサリン蒔いて来ます」
 愛原:「オマエ知ってんじゃねーかよ、オウム事件!てか、やめなさい!」

 私は高橋の肩を掴んで、何とか地下鉄の駅から引きずり出した。
 午前中はシトシトと降っていた雨も、ようやく止んでくれたようだ。
 しかし、まだどんよりと曇っている。
 心なしか、少しは肌寒いと感じる。
 秋は段々と深まっているようだな。

 愛原:「斉藤さんは帰ったかな」
 高橋:「もし何でしたら、俺が追い出してやりますよ」
 愛原:「しなくていい!」

 私達は同じ地区内にある賃貸マンションに帰った。

 愛原:「ただいまァ」
 高橋:「オラッ、御主人様のお帰りだぞー?ちゃんと出迎えろー!『お帰りなさいませ、御主人様』ってよー!」
 愛原:「どこのメイドカフェだ!?」

 私達がリビングに行った時だった。

 愛原:「ん!?」

 リビングのソファには仲良く座って寝込んでいるリサと斉藤さんの姿があった。
 手にはゲーム機のコントローラーを持ったままである。

 愛原:「ゲームに夢中になって疲れて寝ちゃったのか?」
 高橋:「ったく、俺のゲーム、勝手に使いやがって……」
 愛原:「いいじゃないか、別に。データ消しちゃったわけじゃないだろー?てか、もうそろそろ飽きたから売りに出すとか言ってたじゃないか」
 高橋:「ま、そりゃそうっスけど……。どうします、起こしますか?」
 愛原:「いや、いいだろう。毛布を掛けておこう。いざとなったら、斉藤さんの家に連絡して……」
 高橋:「え?連絡先分かんないっスよ?」
 愛原:「あ、そうか。じゃあ、いいや。まだ明るい時間だし、暗くなる前に起こせばいいだろう。取りあえず、寝かせといてやれ」
 高橋:「分かりました。取りあえず、ゲームだけ先に片付けておきます」
 愛原:「ああ、分かった。俺は毛布取ってくる」

 私は納戸に行こうとした。
 あそこには、まだ使っていない冬用の毛布があったはずだ。
 と、そこへ……。

 高橋:「ぷっ!くっ……たはははははははは!」

 高橋の笑い声が聞こえてきた。
 何だ何だ?
 普段はポーカーフェイス、笑ってもせいぜい口元に笑みを浮かべるだけの高橋があれだけ大笑いするのは珍しいことだぞ。
 私は野次馬根性丸出しで、リビングに踵を返した。

 愛原:「どうした、高橋!?」
 高橋:「いえね、先生。これを見てくださいよ」
 愛原:「ん?」

 高橋が持っていたのは、“バイオハザード”だった。
 それも初期のリメイク版だ。

 愛原:「オマエ、いくらPS4のリメイク版とはいえ、“バイオハザード1”まだ持ってたんだな?で、それの何がおかしかったんだ?」
 高橋:「この作品、『リサ・トレヴァー』が出て来るんですよ」
 愛原:「えっ?」
 高橋:「いえ、ですから、『リサ・トレヴァー、リサ・トレヴァーを倒すの図』を……ぷっ、くはははははははは!」

 意外と笑いの沸点低いんだな、コイツ。
 というか……。

 愛原:「ゲームのオリジナル版と、ここにいるリサは似て非なるものだと思っていいって善場さんに言われただろ。リサも自分のことだとは思ってないって……」
 リサ:「ううん……」

 そこへリサが目を覚ました。

 リサ:「……あれ?」
 愛原:「よお、おはよう。もう朝だぞ?w」
 リサ:「ええっ!?」
 愛原:「はは、冗談冗談。どうしたんだ?疲れて寝るくらい夢中になったのか?」
 リサ:「う、うん。まあね……」

 リサは隣に寝ている斉藤さんを揺り起こした。

 リサ:「サイトー、サイトー。起きて」
 斉藤:「んん……」
 愛原:「おはよう。随分と夢中になったみたいだね?」
 斉藤:「あっ、あっ!リサさんのお父さん!」

 やっぱり私、老けて見えるかなぁ……。

 愛原:「もうそろそろ帰った方がいいんじゃない?」
 斉藤:「あっ、はい!」

 時計を見た斉藤さんは驚いて帰り支度を始めた。

 愛原:「俺が小学生の時、疲れて寝落ちするまでスーファミやりまくって親に怒られた記憶があるが、今は中学生でもやるんだな」
 高橋:「そりゃ先生、今の中坊なんてまだまだガキですから」

 高橋は笑っていたが、真相は実は意外とシュールなものだったようだ。
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“愛原リサの日常” 「連休2日目」

2018-11-12 19:42:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月7日10:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 斉藤絵恋:「リサさーん、遊びに来たよー!」
 リサ:「サイトー、来たー!」

 私の名前は愛原リサ。
 名字は保護者の愛原学先生から、名前は日本アンブレラの研究員が付けた『リサ・トレヴァー』からもらった。
 本名は記憶が無いので分からない。
 今日、うちを訪ねて来たのは斉藤絵恋。
 私が中学校に編入して初めてできた友達だ。
 クラスの皆は、やれ『ワガママな女王様気取り』だのとヒドいことを言うが、なかなか面白いコだと思う。

 リサ:「ようこそ、サイトー。歓迎するー」
 斉藤:「はーい、歓迎されまーす」

 私がサイトーの両手を掴んで握手すると、サイトーの顔はデレっとなった。

 高橋:「オマエがBOWと付き合うことを選択した自殺志願者か」
 斉藤:「えっと……?」
 リサ:「この人は高橋正義兄ちゃん。この家に住み込みで探偵の修行をしている人」
 高橋:「高橋だ。もしもオマエにBOWと戦う力が無いのなら、さっさと帰った方がいいぞ」
 斉藤:「び、びーおーだぶりゅー?あ、あの……私、こう見えても小学校の時は空手大会で優勝したことがあるので……」
 高橋:「ほお……?じゃあ、今も空手部か?うちのアネゴも空手の有段者とか言ってたな……。まあいい。腕っぷしに自信があるのなら、自己責任でよろしくな」
 斉藤:「よ、よろしくお願いします。リサさんのお兄さん」
 リサ:「サイトー、私の部屋に行って遊ぼう」
 斉藤:「い、いきなりリサさんの部屋!?はわわわわ……」
 高橋:(こいつ、俺と似た臭いがするな……)

 私がサイトーの手を取って私の部屋に入ろうとした時だった。

 愛原:「高橋、善場さんに連絡しておいたぞ。っと!」

 愛原さんが愛原さんの部屋から出てきた。

 愛原:「おっ?おー、いらっしゃい」
 斉藤:「えっと……?」
 リサ:「この人は愛原さん。私の保護者」
 斉藤:「ど、どうも、初めましてー。斉藤絵恋と申しますー。リサさんのお父さん」
 愛原:「お父っ!?……た、高橋君……俺、そんな歳に見える?」
 高橋:「えーっと……。先生はとてもダンディに見えると思います」

 お兄ちゃんはフォローになってないフォローをした。

 愛原:「え、えっと……。ジュースとお菓子があるから、適当に持って行って」
 リサ:「はーい」

 私とサイトーは部屋の中に入った。

 斉藤:「なかなか広いお部屋ね」
 リサ:「そんなことない。サイトーの部屋と比べたら狭い」
 斉藤:「実家は別格よ。あ、そうだ。今度はマンションの方に遊びに来てよ」
 リサ:「分かった」
 斉藤:「ベッドも広いじゃない」
 リサ:「愛原さんとお兄ちゃんのはシングルだけど、私のはセミダブルなんだって。私がここに住むことになった時、私用にベッドを買ってくれたんだけど、たまたま安く手に入ったのがこれだったの」
 斉藤:「せ、セミダブル!?ってことは、2人で寝ても大丈夫!?」
 リサ:「? サイトーの家のベッドと比べたら狭い」

 サイトーの家のベッドはもっと広かったから、多分ダブルベッドなんだと思う。
 あれに1人で寝てるんだから、サイトーって物凄い贅沢なんだね」

 斉藤:「り、リサさんのお父さんとお兄さんは、今日出掛けないの?」
 リサ:「今日は事務所が休みだし、特に調査に出かけることも……」

 と、そこへ部屋のドアがノックされた。

 愛原:「はーい、2人っきりのところ、失礼ー」
 斉藤:「あ、お、お邪魔してますー」
 愛原:「ジュースとお菓子だよ。取りあえず午前中は、これで凌いで」
 斉藤:「は、はい。ありがとうございます」
 愛原:「それからリサ」
 リサ:「なーに?」
 愛原:「俺と高橋はこれから出かけてくる。多分、帰りは昼過ぎになると思うから」
 リサ:「いきなりどうしたの?」
 愛原:「今朝のことさ。それについて善場さんが詳しく話を聞きたいんだってさ。省庁も3連休なのに、エージェントさんも大変だな。取りあえず、霞ヶ関まで行ってくるわ」
 リサ:「行ってらっしゃーい」
 高橋:「先生、今なら俺のダチに連絡して車出させますよ?」
 愛原:「どうせキミの友達の車ってあれだろ?族車か走り屋仕様だろ?霞ヶ関に着く前にゲームオーバーになりそうだから、電車で行くよ」
 高橋:「マジっすか!」
 愛原:「都営新宿線で小川町まで行って、そこから丸ノ内線に乗り換えれば霞ヶ関まで行ける」

 私の食い扶持を稼いでくれてるとはいえ、大変な仕事だなぁ……。

 愛原:「取りあえず昼食代置いて行くから、昼飯は適当に食べに行って」
 リサ:「分かった」
 愛原:「じゃ、行って来る」
 リサ:「行ってらっしゃーい!」
 高橋:「先生!俺と相合傘を!」
 愛原:「アホか!」

 愛原さんと高橋兄ちゃんがバタバタと出て行った。

 リサ:「じゃあ何して遊ぶ……ん?」
 斉藤:「リサさんのお父さんとお兄さんが出掛けちゃった?ってことは、リサさんと2人っきり!?」
 リサ:「うん、そういうことになる」
 斉藤:「あらまぁ、どうしましょう!?大人の階段一気に駆け上がってシンデレラ卒業かしらー!!」
 リサ:「??? よく分からないけど、イザとなったら私が守るから安心して」

 体を変化させなくても、変質者の1人くらい何とか追い返せるよね、きっと。

 斉藤:「り、リサさんが、私を守ってくれる!?も、萌ぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
 リサ:「よく分からないけど、早く一緒に遊ぼう。お兄ちゃん達出掛けちゃったから、リビングでゲームしても大丈夫だよ」
 斉藤:「そ、そうね!リサさんがどんなゲームをしてるのか、少し楽しみだわ!」
 リサ:「ん、確かにサイトーの家には無かったゲームばっかりだ」

 私達はリビングに向かった。

 リサ:「これこれ」
 斉藤:「“バイオハザード”シリーズに、“メタルギアソリッド”シリーズ……。“ダークソウル”まで……」

 お兄ちゃんが主にやってるんだけどね。
 やっぱり、お兄ちゃんみたいな人達向きなのかなぁ?
 サイトー、少し退いてるわ。

 リサ:「私がやってみるね」
 斉藤:「リサさん、できるの!?」
 リサ:「大丈夫。お兄ちゃん達がやってるの、見たことある」

 私は早速、テレビとゲーム機の電源を入れた。
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御勧誡の経緯を最初から説明致します。その2

2018-11-12 11:44:02 | 日記
 御勧誡の日を11月11日にした。
 これは御講日と重なっていることを意識したものではなく、日付のゾロ目が覚えやすかったのと、ゲン担ぎが含まれている。
 もっとも末寺さんは御講日で、登山してるはずも無いから9月30日の時みたいに法道院の知り合いに会うこともないだろうと踏んだというのも本音としてはある。
 それにしても、あの台風直撃の中でも支部総登山としていたとは……。
 ガチ勢には別の意味で恐れ入る。

 18時で仕事が終わって、そのまま富士市入りするつもりでいた。
 そして、雨が降っていたんだな。
 雨の予報は出ていなかったのだが。
 魔の嫌がらせだとは思ったが、同時にセコい嫌がらせだとも思った。
 電車は動いていたので、誰か1人でも線路に突き落とせば私の予定を狂わせられるだろうに、それをしなかったのだから、魔の力も衰えたかな。
 それとも、或いはトチロ〜さん達の祈りの強さが勝ったか。
 多分、後者だろうね。

 

 こだま号が発着する14番線。
 東京駅・東海道新幹線乗り場は、特にどの列車がどのホームという決まりは無いようだが、これだけ見ると決まっているかのように見える。

 

 まあ、鉄ヲタなら先頭車だろう。
 どこかの老害ジジィがガソリンテロ起こした車両ではあるがな。

 

 先頭車ね。
 N700系にはWi-Fiが導入されていると聞いたのだが、全列車というわけではないようだ……。

 

 

 精進潔斎のつもりで、肉食はナシ。
 いや、日蓮正宗において信徒が制限されている食べ物は無いんだがね、気持ちとして。
 え?魚食の時点で精進潔斎じゃないって?
 ……日蓮正宗は天魔たる禅宗ではありません!ドヤァ

 

 こだま号の名古屋行きは空いている。
 況や、1号車をや。
 で、魔の働きは殆ど無くって無事に着きましたよー。
 え?富士山の写真?真っ暗で見えねーよw
 JR東日本は緑色だが、JR東海はオレンジ。

 

 新富士駅南口のホテル東横インで一泊。
 普通のシングルルームで、確かに部屋は狭いのだが、ベッドはタブルサイズである。
 ま、値段が会員価格5605円だったから、こんなものじゃないかな。
 因みに、朝食はサービスである。
 寝ぼけていた為、写真を撮るのを忘れていたが、おにぎりとミートボールが美味かった。

 

 トチロ〜さんと待ち合わせの新富士駅南口。
 この写真は他の季節に撮影したものを流用。
 ケンショーレンジャーやソッカーの罠は仕掛けられていなかったw

 

 さあ着いた。

 

 ここが報恩坊です。
 “私立探偵 愛原学”『霧生市のバイオハザード』編で、愛原学と高野芽衣子が初めて出会った『大恩坊』のモデル。

 

 大講堂。
 これだけ『霧生市のバイオハザード』でも名前を変えず『大講堂』として登場した。
 愛原達はこの堂宇を拠点に、『新日蓮宗大本山 大山寺』の境内を探索することになる。
 実際はその地下にある警備室が拠点だが、果たして大石寺の大講堂の地下にそういう設備があるのかどうか……?

 先に御勧誡しないと添書は受けられない。
 だから、先に御勧誡することにした。
 時刻は11時40分。
 これだけ時間が掛かったのは国道139号線が混んでいたのと、私達が到着した時、御住職が新たな対象者を折伏中だったからである。

 御勧誡でもお巻きした御本尊を頭に乗せて、戒が再び授けられる儀式が行われるのは御受誡と変わらない。
 他宗では死んでから戒が授けられる為、葬式の時に住職さんが一方的に喋るだけだが、日蓮正宗では生きている時に戒が授けられる為、会話のキャッチボールが行われる。
 文言は実際に御受誡された時に聞いてみると良い。
 法道院さんのような大規模寺院なら、ほぼ毎日のように御受誡の儀式が行われているから、見学に行くのも一興かと。

 帰りの高速バスなのだが、これまた写真を撮るのを忘れてしまっていた。
 乗ったのは三菱ふそう・エアロエース。
 ヒュンダイ・ユニバースに当たらなかったのは幸いだが、9月30日に乗った時と違って、USBポートによる充電装置は付いていなかった。
 で、閉口したのは大渋滞だ。
 東京駅延着、約1時間半。
 ダイヤ通りなら、東京駅日本橋口着が21時6分だから【お察しください】。

 

 今回の登山で頂いて来た品々。
 これにプラス宗門機関紙“大白法”も含まれている。

 

 『法華経の剣』と言うが、今は銃だ!
 ……というのはウソ。
 これから高橋正義に持たせる為のマグナムの画像を取り込んだのはいいが、間違って載せてしまった。失礼。

 というわけで、無事に御勧誡が終了しました。
 ありがとうございました。
コメント (2)
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