報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

本日の雑感 0925

2015-09-25 02:47:38 | 日記
バブル時代は肩パッド 時代を映すCAの制服

 私は飛行機は社員旅行の時しか乗らない。
 即ち、年に1回あるか無いかだ。
 それだけではとても乗り慣れるはずも無く、今でも離着陸時の重圧や衝撃、上空で気流の安定していない所での揺れには手に汗握るのである。
 乗客とは逆向きに座るCAがそれでも涼しい顔をしているので、そんな大きな揺れでも大丈夫なのだろうとは思うのだが……。
 やはり私には、陸路がお似合いのようだ。
 親睦会も経費の都合で、次の旅行は飛行機を使うか微妙な事を言っていた。
 因みに通常、旅客機の搭乗口は進行方向左側の法則になっているが、これは何も設計上や空港の都合ではなく、旅客船時代からの名残(旅客船もまた乗客は進行方向左側から乗り降りする)だそうである。
 飛行機にCAが乗るようになったのは、まだ旅客機が黎明期だった頃、乗務員に女性を起用することで、まだ未知なる乗り物に対し、人々に、「女性でも安心して乗れますよ」というPRだったとか。
 これは非常に納得の行くもので、最近になって京浜東北線にもやっと女性乗務員が散見されるようになったが、私は、
「ほ~。ケト線もだいぶ治安が良くなったんだな~」
 と、思ったものである。
 その前から宇都宮線、高崎線の中距離電車にも見られるようになったが、こちらは逆に、
「飲兵衛列車だぞ?大丈夫か?」
 と心配になったが、211系導入の時から飲兵衛が集まるボックスシートが少なくなり、それに合わせるかのように飲兵衛も少なくなったので、運転士と車掌は大丈夫のようだ。
 ……グリーン車は、そうでもなかったみたいだが。
 空いている車両は一見快適だが、実はその分、治安も悪い。
 ニューヨークの地下鉄など、乗務員がいる車両、警官の目が行き届く場所は混雑しているという。
 ま、もっとも、あまり混んでいると、また別の犯罪も発生しやすいが。

 私は元ツアーバスの高速バスと同様、飛行機もLCCに乗る度胸は無い。
 幸い、親睦会ではLCCは選択しないとのことである。
 恐らく、弊社のユーザーさんとの関係もあるのだろう。
 バス・フリークスの私は、取りあえずエアポートリムジン(東京空港交通)に乗って羽田空港に行くだけで腹8分目まで行ったりする。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“新アンドロイドマスター” 「通常業務再開」

2015-09-23 15:35:55 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月5日11:22.天候:晴 東京都江東区菊川 敷島孝夫&3号機のシンディ]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。菊川、菊川〕

 事務所の最寄り駅に着いた敷島達は、そこで電車を降りた。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 京王線から乗り入れて来て、そのまま新宿線内折り返し運転をしていたのだろう。
 京王電鉄の電車は、トンネル内で風を巻き起こしながら発車していった。
 尚、都営地下鉄の車掌も電車発車時、乗務員室のドアを開けっ放しの状態で身を乗り出している。
 それが最近、テレビで放送されているタウンワークのCMを思い起こさせるのだ。
「バイトするなら、タウンワーク!バイトするなら、タウンワーク!頼むよ〜!」

 強風でスリットの深いシンディのロングスカートが捲れ上がるが、あまり気にする様子は無い。
 何しろ、東京決戦の時は所々赤黒く染まっていても気にしなかったくらいだ。
 返り血で、赤黒く染まっていても!

 事務所に戻る。
「あっ、お帰りなさい。社長」
 久々に登場。
 事務員ロイド(メイドロボからの用途変更)、一海。
「おう、ただいまー。やっと通常通りの業務再開だな。えーと、午後の予定は……」
「虚構新聞社の取材が入ってますよ」
「あ、そうか」
 ポンと手を叩く敷島。
「なになに?誰が取材を受けるの?」
 奥の部屋から鏡音リンがやってくる。
「俺だよ」
「えっ!?」
「数ある芸能事務所の中で、ロイドを専門に扱ってるのはうちを入れて数社しかない。変わり種ということで、取材のオファーがあったんだ」
「ふむふむ。後でリンもさり気なくアピールするチャンスだね」
「あー、シンディ。リンが余計なことをしないよう、監視をよろしく」
「かしこまりました」
「えー、何で何で!?」
「新聞社の経済記事の取材なんだから、ボーカロイドには直接用は無いのよ」
「だーかーらぁ!直接じゃなくて、さりげなくだYo〜!」
「はいはい。リンも午後から仕事なんだから、早く準備してー」
 ズルズルと奥に連れて行くシンディだった。

[同日13:15.敷島エージェンシー・社長室内 敷島孝夫&シンディ]

 記者から一対一でインタビューを受ける敷島。
 時折、同行のカメラマンからフラッシュを焚かれる。
「えー、次の質問ですが、この事業を興そうと思ったきっかけは何ですか?」
「まさか本当に、自分が経営者になるとは思いもしませんでした。一プロデューサーだった頃に、彼女達は絶対に成功すると思っておりまして、財団が無くなっても、どこかの芸能事務所が引き取ってくれるだろうと思っていたんです。その時、私もそこでプロデューサーとして再就職できればそれで良かったんですが……。何故か引き取り手がいなかったんですよ。このままではボーカロイド達が宙に浮いてしまう。最悪、廃棄処分ですよ。そんな勿体ないことはしたくなかったので、こうなったらいっそのこと、自分が事務所を作るしかないと思いました」
「なるほど。アイドルがロボットというのは、芸能界でも初の試みだということで話題ですが、人間のアイドルとの違いについて……」

 敷島がインタビューを受けている間、シンディは横に立っている。
 ここでは秘書兼護衛という立ち位置だからだ。
 そのシンディが時折、ドアの向こうを睨みつけていた。
 何故なら……。
「社長、凄いなぁ……。インタビュー慣れしてるよ〜」(鏡音レン)
「そうだね。『警察の事情聴取より楽』だというのは本当みたいだね」(MEIKO)
「わたしもインタビューとかされてみたいな〜」(結月ゆかり)
「あれが大人の男の魅力ですか。ボクも参考に……」(KAITO)
 と、ドアをこっそり少し開けて覗いていたからだ。
「ん?」
 気配に気づいた記者達が、背後のドアを見る。
 シンディはスマイルで、
「ちょっと、失礼致しますね」
 と言うと、つかつかとドアの所に歩み寄り、
「向こうへ行ってなさーい!!」
 と、雷を落とした。
「はーい!!」
 蜘蛛の子を散らすように逃げて行くボカロ達。
 ドアを閉めて、
「排除、完了しました。どうぞ、続きを」
 記者達にはにこやかな顔を見せるシンディだった。
「え、えーと……。スタッフの方につきましても、人間の社員はプロデューサーさん1人だけで、あとはこちらの秘書さんみたいにロボットだというのもまた初の試みですが……」

[同日14:00.同場所 鏡音リン・レン、8号機のアルエット]

 敷島とシンディは記者達をエレベーターまで見送った。
 その様子を見ていたレンは、
「最近、ボクもCDジャケ以外は撮影とかしてないなぁ……」
 と、呟いた。
「レーン!リンのヘッドセットどこー!?」
 奥からリンの声が聞こえた。
「机の上にあるよ!」
 レンも仕事に行く準備に取り掛かった。
 向こうでもメイクはあるのだが、来る前に軽くセットしておいてほしいということだった。
「あっ、ちょっと待った!」
 そこへアルエットが呼び止める。
「髪がほつれてるよ。直してあげるね」
 レンは髪を後ろで短く結んでいる。
 それを解くと、リンと同じ長さになる。
「え……?う、うん……」
 レンは椅子に座ると、アルエットに髪を直してもらった。
「はい、OK!」
「あ、ありがとう……」
「レーン!準備できたー!?」
「こっちはOKだよ」
 アルエットが代わりに返事した。
「んじゃあ、行ってきまーす!」
 リンはレンの腕を引っ張るようにして、事務所を出ていった。
 スケジュールは、完全に自己管理OKなのがボカロの特徴でもある。

[同日15:00.同場所・社長室 敷島孝夫]

 敷島はどこかと電話していた。
「……ああ、“カントリーロード”ってあれでしょ?多摩ニュータウンが舞台の某アニメ映画のテーマ……えっ、違う?だって、京王線出てくるじゃない?」
 何の電話だ?
「……埼玉在住なもんで、東京都西部はよく分かりませんでね。……ええ、分かりました。じゃあ、うちのボカロで歌えそうなの……ってか、全員歌えるんだけど、適正なのを探しておきますよ。……ええ。それじゃ、また」
 電話を切る。
「えー?平成狸合戦だったっけ?多摩ニュータウンって……」
 だから、何の話をしていたんだ、敷島?
 どちらも世界観と時系列は違うが、舞台は同じだぞ?

 社長室ではこんなんばっかやってるいるのだろうか?
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やっぱり武闘派には付いていけない。

2015-09-23 00:24:32 | 日記
 http://ameblo.jp/baanaiby1/image-12075778485-13431679080.html

 申し訳無いが、私が顕正会員ならこういう人には問い合わせない。
 資料が明らかに(現役顕正会員から見て)悪意すら感じられるものになっているし、写真も法華講員なら大石寺のどこの堂宇だか分かるのだが、顕正会員にはさっぱりだろう。
 一応、写真には大石寺と書かれてはいるのだが、せめてそんな後付けのものではなく、最初から看板が掲げられた三門の写真を用意することができなかったものか。三門は宗派を問わず、そのお寺の正門(正面入口)なのだから。
 恐らくは大石寺の清浄なる境内を見て欲しいという意図があってのことだというのは、一応、同心の徒である私には分かる。
 だが、同心の徒だけに通じても意味は無い。
 私が顕正会員だったら、多分どこの寺の写真だか分からないだろう。
 ヘタしたら、写真の下に貼り付けられている顕正会への対比として、富士山の近くにある学会の施設かと誤解してしまうかもしれない。
 そういった意味から、学会寄進の堂宇を使わなかったことは良いと思うが。

 それにしても、やっぱり写真の下に貼り付けられたビラを見ると、どうしても顕正会に対する破折というよりは、誹謗のように見えてしょうがないね。
 まず、浅井会長のイラストは余計だ。
 予言が外れていることくらい、少し長くやっている会員なら百も承知だろうし、入信したての会員は会員で逆にピンと来ないだろう。
 それに、いくら偽本尊だからと言って、尚且つ一部画像処理をしているからといって、御本尊の写真を往来に曝け出しちゃっていいのだろうか?
 100歩譲って、本当に偽本尊とほぼ確定している日布上人の大幅御本尊とか、一部がおかしい日寛上人の御本尊とかなら分かるが、東京会館の御本尊など、一部は御真筆の御本尊とかもあって、もしも宗門に帰還したら再び血脈が通うものはその写真の中に入っていないだろうね?
 一応言っておくと、浅井会長宅にある御本尊も、今は血脈が切れてしまっているものの、ちゃんと宗門から下附されたものである。
 今は何が起こるか分からない世の中だから、いつ何時、顕正会にある御本尊が宗門に帰還するか分からない。
 かつて宗門から下附されたものとはっきりしている御本尊に関しては特に、どうせ血脈が切れているからと粗末にしない方が良いと私は思う。

 しかし、街頭折伏ってのはこういうことやっているのかい。
 今の私には理解不可能だ。
 まだ、三門前でリーフレット配りをしている方が良い。

 あまり邪教を褒めたくはないが、街頭布教の方法に関しては、まだエホバとかキリスト系の方がマシなんじゃないかな。

 あくまでも、個人的な意見です。
 無理に止めるつもりはないし、そんな権限も無い。
 ただ、何か起きても、私は知らんということだ。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“新アンドロイドマスター” 「執事ロイドだった者」

2015-09-21 22:14:48 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月5日10:00.天候:晴 東京都23区内某所・東京都心大学 敷島孝夫、平賀太一、1号機のエミリー、3号機のシンディ]

 エミリーは首都圏における平賀の研究拠点、都内の大学の研究室に運ばれた。
 そこで修理と何があったかの調査である。
 あの大爆発の最中、マルチタイプのエミリーはほとんど損傷することはなかった。
 ケンショーセピアが、エミリーを大爆発の直撃から守ってくれたらしい。
 だが、その代わりにセピアはバラバラとなって死亡した。
 ……いや、破壊されたと言った方が良いのか。
 比較的無事だった右腕だけを拾い、あちこちで火炎が起きる最中、エミリーが発見したのは、同じくバラバラの焼死体と化した十条伝助。
 顔だけは何とか本人と判別できる程度であったため、エミリーはそれを持ち去ったようである。
 村中課長など、警察関係者は黒幕の死亡に地団太踏んだ。
 だが、ここで新たな展開となる。
 爆発に巻き込まれて死んだと思われた十条伝助だったが、頭部をレーザーで撃ち抜かれた跡があった。
 あの後、警察が中に入って調べたが、殺傷能力のあるレーザーが飛んでくるような仕掛けは見当たらなかった。
 と、なると、あとは1つしか無い。

 キールが手持ちの光線銃で、十条伝助を撃ち殺した説。

「製作者を撃ち殺すとは、何て奴だ!」
 敷島も不快感を露わにした。
「平賀博士、もういっそのこと、エミリーからキールの“記憶”は消した方がいいんじゃないですか?」
「アタシからもお願いするわ」
 敷島の提案にシンディも乗った。
「残念だが、それは難しいことです。いや、自分もそれが1番だとは思うんですがね」
「何で難しいんですか?」
「消去した部分と残った部分を、何の違和感も無くつなぎ合わせるには莫大な手間と時間が掛かる。もう既にあの老人の死を見届けたのだから、キールを整備する者はもういないはずです」
「それはそうですけど……。もしまだKR団の残党がいれば、キールを確保される前にこちらが見つけ出しませんとね」
 ケンショーイエローの話では、大爆発が起きる直前、キールと思しき者が脱出する所を見たという。
 その時、既に十条伝助は殺されていた可能性がある。
「その通りです。が、ここからまた警察の仕事になりますよ、敷島さん?」
「いい加減、捜査権を委譲してもらいたいものです」
「日本の司法制度ではムリですな。せいぜい、警察の捜査のお手伝いをする程度ですよ?どこかの探偵みたいにね?」
「全く……。相手はもはや人間じゃないってのに……」
「『世の為、人の為。それがロボットの生きる道』」
「えっ?……どこかで聞いたことが……?」
「ドクター南里……」
「姉さん!?」
 エミリーが僅かに起動した。
「ドクター南里の……格言……です」
「あー、そういやそんなことが書いてあったような気がするなぁ……」
 敷島は顎を天井に向けながら、過去の記憶を紐解いた。
「南里先生のお言葉ですよ。自分の大学の研究室の中に、一応貼らせてもらっています」
「キールはもはや、その“道”から外れてますな」
「1度は破壊されないと分からないわね。アタシがそうだったように……」
 シンディは自分のことのように……というか、まんま自分のことだ。

 
(東京決戦の際、バージョン3.0などのロボット軍団を率いて日比谷界隈を占拠したシンディ。中央右側で大型ナイフを手に、ロボット軍団に命令を与えている。4.0以降は銃火器を装備しているが、3.0以前は飛び道具ではない武器を手にすることが多かった。この後、決戦の舞台は丸の内・大手町へ)

「今でも、あの東京決戦の時の“記憶”は消したい。でも、それはしちゃいけない」
「よく分かってるな。もう2度と、繰り返してはいけない」
「……でも、たかだか執事ロボットなんかにできるかしら?」
「キールは色々と強化されてるんだろ?」
「いや、でも、アタシから見たら、バージョン400よりも弱い気がするけどねぇ……」
「ただ、キールは人間じゃないからな。村中課長からは見つけ次第、破壊していいと言われてる。但し、空気は読めってさ」
「まあ……言わんとしていることは分かるけどねぇ……」

[同日11:03.新宿駅・都営新宿線ホーム 敷島孝夫&シンディ]

「じゃあね、姉さん。また来るからね」
 シンディはエミリーと額を合わせて、それから敷島と共に大学を後にした。
 その足で、財団があった新宿のビルに立ち寄る。
 財団は解散したが、再結成の動きがあり、ビルの一室に事務局はあったからだ。
 そこで業務連絡みたいなことをして、それから事務所に戻ることにした。
 11時ちょうど発の急行電車は見送る。
 最寄りの菊川駅には、急行は止まらないからだ。
 その代わり、各駅停車は新宿駅始発なので余裕で着席した。
 その横にシンディが立つ。

〔「お待たせ致しました。各駅停車の本八幡行き、まもなく発車致します。終点、本八幡まで、急行の通過待ちはありません」〕

 発車ベルの合図の共に、京王線の車両を使用した電車が走り出した。

〔都営新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕

「まあ、エミリーは平賀先生が修理して下さっているから、何も心配することはないさ」
 敷島は脇に立つシンディを見上げながら言った。
「ええ」
 巨乳に顔が少し隠れたシンディは頷いた。
「一応は一段落したわけだから、今度は少し事務所の仕事に精を入れないとな」
「どのボカロに付き添う?」
「今日はミクにしよう。原点回帰だ」
「了解」
 シンディは今日のミクのスケジュールをダウンロードした。
 さすが売れっ子ボーカロイド初音ミク、今日もスケジュールはギッシリだった。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“新アンドロイドマスター” 「呆気ない幕切れ」

2015-09-20 20:35:55 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月2日17:45.埼玉県さいたま市大宮区・県道2号線(旧・国道16号線) 敷島孝夫、村中課長、3号機のシンディ]

 春日部駅からは国道16号線ではなく、あえて旧国道を通った敷島達。
 見沼区内にある規制線を越えると、一気に人通りも車通りも無くなった。
「ゴーストタウンですな……」
 一時期、市内全域が立ち入り制限区域になっていたさいたま市。
 岩槻区や見沼区も被害を受けていたが、街の中心街に行くほどに被害は大きくなっていった。
 ただ、それでも、例えば戦争や大地震などの後のような瓦礫の山とかいうわけではない。
 ケンショーレンジャー達は率先して町を破壊したというよりは、警察からの攻撃に抵抗して、その巻き添えになった……というのが正しいようだ。
「早いとこ、ケンショーレンジャーや十条伝助を確保しなければならん。このシンディならできるのかね?」
「ご安心ください。その為のマルチタイプです」(←碇ゲンドウ風)
「蜂の巣ではなく、生きて捕獲してくれよ?」
 助手席に座る村中は、念を押すようにリアシートを振り向いた。
「もちろんですよ。ただ、伝助爺さんがサイボーグ化していて、物凄く強化されていた場合は難しいですが」
「まあ、それは仕方が無いが……」

 覆面パトカーは、旧国道16号線から今度は産業道路へ右折し、北上する。
 どちらも県道ながら多くの車で賑わう幹線道路だというのに、今では走っている車はこのパトカーしかいない。
 敵に発見されないよう、赤色灯は引っ込めたままにし、当然サイレンも鳴らしていない。
 因みに、制限区域内は停電している。
 電柱を倒されたり、電線を切られるなどした場所を除いて、実はほとんど停電になるような要素は無いのだが、ロボットやサイボーグなどが充電できないよう、わざと送電を止めているのだ。
 おかげさまで、研究所に近づく度にそこから出て来たと思われるバージョン4.0などが転がっているのだが、そのどれもがバッテリー切れによるものだった。
 因みに敷島達は見つけ次第、そのロボット達のバッテリーを完全に破壊しておいた。
「こいつらも使い方次第で、味方にはなれますわよ?」
 と、シンディは村中に言ったのだが、村中は肩を竦めて、
「既にこいつらはテロ・ロボットとして世間に浸透してるんだ。とてもそんなものは使えないよ。キミ達姉妹も本来はそうだが、美人さんだったのが幸いしたな」
 と、答えた。
「世界的なマッドサイエンティストではあるが、美人に設計してくれたことを感謝した方が良い」
「ええ、もちろんです」

 大宮サッカー場の横を通る。
「課長、まもなく顕正会の本部会館ですが……?」
 運転席でハンドルを握る、村中の部下が答えた。
 彼もまたスーツ姿の私服刑事である。
「確か、この先にPB(交番)があったな。その前に車を止めてくれ。あとはそこから徒歩で向かう」
「了解しました」
 パトカーが顕正会本部の前を通る一方通行の路地の前を通り過ぎた。
 その先には、国際興業バスの『大宮公園入口』バス停と東武バスの『大宮公園東口』バス停がある。
 そこの前に差し掛かった時、それは起きた。

 それは大きな爆発音。

「な、何だ!?」
 車は急停車。
 その大きな爆発音により、明らかに地震のような振動が起きた。
「何だ、ガス爆発か!?」
 車を降りる敷島達。
 村中は拳銃を出して身構え、シンディは右手をマシンガンに換えた。
 しかし、どこで爆発が起きたのかは分からなかった。
「とにかく、行ってみよう」
「はい」
 本当は裏手に回って、そこから本部に乗り込む手筈だったが、急きょ正面から回ることにした。

 件の路地を通って、ケンショー本部に辿り着く。
「爆発音はこの辺りからしたわ」
 と、シンディ。
「なるほど。僅かに焦げた匂いがするな。ガス爆発か何かか?ガスの臭いはしないが……」
 半開きになった正門から中に入る。
 火事があった跡はあり、植木などが所々黒焦げになっている。
 だが、今の爆発によるものではないことは明らかだ。
 ガラスも所々割れている。
「地下研究所の入口は向こうだ」
「建物の中から行くんじゃないんですね?」
「そりゃそうだよ」
 本部会館の裏手に回ると、
「あわわわわわ……」
 黄色いスーツを来た老人が座り込んでいた。
「お前はケンショーレンジャー3号、ケンショーイエロー!」
 村中は拳銃を突き付けた。
「おとなしくしないと、人工知能を蜂の巣にするよ?……って、あれ?」
 シンディもマシンガンを突き出しながら言ったが、直後に行ったスキャンにより、
「課長、社長、この爺さん、人間の反応しかしないけど……」
「何だって!?」
「おい、黄色い爺さん、どういうことだ?」
 村中が尋問する。
「わ、ワシゃ、科学者のジジィに騙されただけぢゃ!こ、殺さんでくれ!!」
「科学者!?それは十条伝助のことか!?」
「そうじゃそうじゃ!あのジジィに、ワシらケンショーレンジャーは……ガクッ!」
「お、おい!」
「……気絶しているだけだわ」
「本当にただの人間なんだな?」
「ええ。サイボーグなら、人間ともロボットとも判別が付かない変な反応になるんだけど、この爺さんはバリバリの人間の反応よ」
 シンディは答えた。
「では一応、病院に運ぶとしよう。……あー、こちら村中」
 村中課長は通信機を取り出した。
 周りを見渡すと、芝生のど真ん中に不自然なマンホールがある。
 何が不自然なのかというと、他のマンホールはさっきの爆発の影響だろうか、蓋が吹っ飛んでいるのに対し、1つだけ飛んでいないものがあるということだ。
 しかも何故か、外灯の前にある。
「村中課長、あれでもしかして研究所に行けるのかもしれません」
「そうだな。悪いが見て来てくれないか?私はこの爺さんを見ている。人間なら私が見ていれば大丈夫だろう」
「分かりました」
 敷島とシンディは外灯の前に向かった。
 マンホールの上に乗って、その外灯のポールにある蓋を開けると、ボタンが現れた。
「よし」
 ボタンを押すと、ガコンと蓋が下がった。
 やはり、マンホールと外灯に化けたエレベーターだったのだ。

[同日18:00.KR団本部地下研究所 敷島&シンディ]

 爆発がこの研究所から起きたのは明らかだった。
 エレベーターが下り切る前から、焦げ臭い臭いが敷島を襲ったからだ。
 このエレベーターが到着する部分は、爆発を免れたらしい。
 だが更にその先、下に降りるリフト付きの階段は無残にも崩れ落ち、そこから下を覗くと、業火に見舞われていた。
「こ、これ……一体、何があったんだ?」
「てか、姉さんは!?姉さんは無事なの!?」
「あ……。おーい!エミリー!無事かーっ!?」
{「敷島……さん……。こちら……エミリー……です……」}
 通信機からエミリーの声がした。
「エミリー、無事か!?」
{「……ロケット・アームを……お願イ……ます。シンディに……シます……」}
「了解!」
 シンディも通信を聞いていた。
 シンディは崩れた階段の先に身を乗り出して、左手を前に出した。
 左手は有線ロケットパンチを繰り出すことができる。
「行くよ、姉さん!」
 シンディはロケットアームを階下に送り出した。
 そして、ガッチリ姉の肩を掴んだ。
 妹の手に掴まれたエミリーも、ブースターで高くジャンプしながら上がって来る。
 両手に何かを抱えていた。
 シンディはエミリーを引き上げた。
 エミリーのコスチュームは所々焦げていたが、概ね無事のように見えた。
「姉さん!無事で良かった!」
「シンディ……敷島・社長……申し訳・ありません・でした……」
「その話は後だ。それより、手に何を持ってるんだ?」
「……ケンショーセピアの・右腕と・ドクター十条伝助の・頭部・です」
「はあ!?」
「ドクター十条伝助は・爆発に・巻き込まれて・亡くなりました」
「何だってー!?……キールは?」
「……分かりません」
「とにかく、ここを出よう」

 敷島はエレベーターの起動ボタンを押した。
(ラスボスが呆気ない死か?何かおかしいな……)
 マンホール型の床の上に乗りながら、敷島は首を傾げた。

 9月21日、展開に矛盾した部分があったので訂正しました。
 エミリーの左手が塞がっているのに、両手に物が持てるわけないじゃないか!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする