報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「執事ロイドの最期?」

2015-09-25 19:42:58 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月9日17:28.天候:曇 JR東京駅・東北新幹線ホーム 敷島孝夫、3号機のシンディ、平賀太一、1号機のエミリー]

 エミリーの修理と起動実験を終えた平賀とエミリーは、拠点である仙台へ帰るべく、新幹線乗り場にいた。
 敷島とシンディが見送りをしている。
 シンディはエミリーの両手を握って、未だにキールのことが忘れられない(消去しようとすると、ブロックが掛かってしまう)エミリーを案じている。
 エミリーは何も心配しなくて良いようなことを言っているが、その顔は無表情の中に未練がましい部分もあって、とても妹を納得させられるものではなかった。

〔「22番線、お待たせ致しました。17時28分発の東北新幹線“やまびこ”151号、仙台行きは信号が変わり次第、発車致します。ご利用のお客様は、ご乗車になりまして、お待ちください」〕

 一部のマニアからは“はつね”と呼ばれる“はやぶさ”用の車両。
「それじゃ敷島さん、あとは作戦通りに……」
「分かりました」
 平賀は意味深なことを言って、9号車に乗り込んだ。
 グリーン車であるが、“はやぶさ”と違い、“やまびこ”ではシートサービスは無い。訂正!一部を除く“やまびこ”ではシートサービスを行っているもよう。
「おい、エミリー」
 平賀がエミリーを呼ぶ。
「……イエス。敷島社長、シンディ。……失礼・致します」
 エミリーは敷島には深々お辞儀して、平賀の後に乗車した。
 ようやく信号が開通したのか、発車ベルがホームに鳴り響く。

〔22番線から、“やまびこ”151号、仙台行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い線まで、お下がりください〕

 列車は甲高い客終合図の音と共にドアを閉め、これまたリズミカルなVVVFインバータの音色を奏でて発車していった。
「エミリーは大丈夫かな?」
「……アタシ、姉さんと戦うの、もうイヤだよ」
「分かってるさ。何とかしないと……」
 キールに誑かされて、また悪堕ちしないかが心配だ。
「取りあえず、俺達も帰ろう。このまま、次の各駅停車“やまびこ”に乗っちゃうか?大宮なんて、すぐだぞ?」
「無駄使いすんなって、アリス博士に言われたでしょ?上野東京ラインにしな」
「へーい……」
 シンディは敷島エージェンシーにおいては、社長である敷島の秘書兼護衛という立ち位置だが、ここでは既に敷島家の家令ロイドという風に変わっている。
 で、何故か世帯主の敷島の方が家令より下という変な家なのであった。

[同日19:30.天候:雨 宮城県仙台市青葉区 “やまびこ”151号9号車内→JR仙台駅 平賀太一、エミリー、平賀奈津子]

 列車はほぼ定刻通りに高架線を走行している。
 仙台市内ではカーブが多いのと騒音対策で、減速して走行する。
 通路側の席に俯くようにして座っているエミリー。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、仙台です。東北新幹線、盛岡、新青森方面、仙石線、仙山線、常磐線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 車内放送を合図とするかのように省電力モードが解除され、ウィィィンと顔を上げる。
「充電は終わったか?」
 と、平賀。
「イエス。ドクター平賀」
 エミリーが答えると、自分で体に装着していたコンセントとケーブルを抜いた。
 “はやぶさ”用のE5系車両は、普通車なら窓側席の下とデッキ前の席の全て、グリーン車とグランクラスなら全ての座席にコンセントが付いている。
 手荷物は平賀が自分で持つが、デッキの荷物置き場に置いてある大きなキャリーバッグはエミリーが持つ。

 列車はポイント通過で車体を揺らしながら、仙台駅14番線ホームに滑り込んだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点、仙台、終点、仙台です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。……」〕

 ドアが開くと、乗客達が吐き出された。
 その中に平賀達も混じる。
 仙台駅の新幹線改札口は、東京駅と違って基本的に在来線を通って行くことはない(在来線との乗換改札口はある)。
 東京駅の東海道新幹線乗り場のように独立している。
 3階にある改札口まで行くと、そこに行くと平賀奈津子が待っていた。
「お帰りなさい」
「ああ」
「ドクター奈津子、御迷惑を・お掛け・してしまい、申し訳・ありません・でした」
 エミリーは奈津子の姿を見ると、深々とお辞儀した。
「まあ、しょうがないよ。あなたの感情レイヤーが、それだけ一途だってことが証明されたってわけね。だからでしょ?意外と長く東京にいたのって?」
「まあな」
 平賀は苦笑いした。
 仙台でもそうなのだが、東京にいると、もっとエミリーを見に来る研究者が後を絶たないのだ。
 それだけ世界的にも珍しいということだ。
 敷島エージェンシーでは研究目的での来訪を断っているので、同じ穴のムジナとも言える平賀の方に矛先が向けられるのだ。
「それじゃ、行きましょう。まずはエミリーを記念館に置いてくるのね?」
「そういうことだ」
 3人は駅の駐車場に向かった。

[9月10日02:00.東北工科大学・南里志郎記念館 エミリー]

 記念館は大学キャンパスの外れに打ち棄てられていた旧・研究棟を改築したものだ。
 なので建物的には古く、天候や時間帯によっては、ホラー映画のような要素を醸し出すことがある。
 その為、演劇部が自主制作の映画撮影をする際に使用することもある。
 『洋館に閉じ込められた主人公が、狂ったメイドに凶器片手に追い回される』シーンにおいて、そのメイドの役で協力したこともあった。
 マルチタイプのエミリーは、そんな人間達の恐怖のことなど知らない。
 人型兵器だった頃は、粛清相手が恐怖におののき逃げ惑う姿を認識することで、任務の完遂を確信したということくらいだ。
 建物は古いが、改築時にセキュリティは最新型の物が備え付けられ、休んでいるエミリーと連動して、侵入者を捕捉することができるようになっている。
 だが、そんなセキュリティをエミリーは無断で解除してしまった。
 館内であれば展示室に限らず、自由に行動できる権限がある。
 更に裏口を勝手に開錠する。
 すると、そこから入ってきたのはキールだった。
「キール……!」
 分かっている。
 本当はこれは良くないことなのだと。
 昔の自分であれば、絶対に考えられないことだ。
 与えられた命令に違反することなど……。
 だが、どうしても目の前に現れた男の姿が視界に入ると、全てその命令が消えてしまうのだった。
「エミリー、会いたかったよ」
 キールはエミリーを抱きしめて、唇を重ねた。
「ん……」

[同日同時刻 埼玉県さいたま市中央区 敷島のマンション 敷島孝夫&アリス・シキシマ]

 その様子をPCのモニタで監視している敷島達。
「よーし!飛んで火に入る夏の虫だな、キールめ!」
 隠しカメラで、ロイド達の逢引を監視していた敷島だった。
 そしてガッツポーズをする。
「絶対、エミリーに夜這い掛けるパターンだと思っていたんだ!」
「タカオ、本当にいいの?」
 後ろでアリスが首を傾げていた。
「心配するな。もう既に平賀先生と大学側には許可を取っている。エミリーは頑丈だから大丈夫だが、元・執事ロイドのキールはそこまでの強度は無いだろう」
 敷島はマウスで画面を半分切り替え、そこに現れた表示をクリックした。
 それはドクロマーク。
「記念館ごと吹っ飛ばしてやるぜ、キールぅ!!」
 何と!いつの間にか敷島は、記念館に爆弾を仕掛けていたのであった。
「ポチッとな!」
 敷島はエンターキーを叩いた。

 ブツッと画面が消える。
「!?……あれ?……れれれ?」
 敷島は何回かエンターキーを叩き、あとはキーボードのキーを適当に叩いた。
 が、画面は消えたままだ。
「ちょっと!どうなってるの?」
 妻の詰問に対し、
「は……はは……ははははははははは……(乾笑)」
「HAHAHAHA……(乾笑)」
 と、2人して笑った後、
「……分かりません」
「……!」
 敷島は肩を竦めた。
「多分、エミリーかキールにバレたな、こりゃ……」
「全くもうっ!Shit!」

 で、実際に翌日、天井に穴が開いていたそうだ。
 レーザーで焼かれた跡だったので、キールが隠しカメラと起爆装置のケーブルを焼き切ったのだろう。
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本日の雑感 0925

2015-09-25 02:47:38 | 日記
バブル時代は肩パッド 時代を映すCAの制服

 私は飛行機は社員旅行の時しか乗らない。
 即ち、年に1回あるか無いかだ。
 それだけではとても乗り慣れるはずも無く、今でも離着陸時の重圧や衝撃、上空で気流の安定していない所での揺れには手に汗握るのである。
 乗客とは逆向きに座るCAがそれでも涼しい顔をしているので、そんな大きな揺れでも大丈夫なのだろうとは思うのだが……。
 やはり私には、陸路がお似合いのようだ。
 親睦会も経費の都合で、次の旅行は飛行機を使うか微妙な事を言っていた。
 因みに通常、旅客機の搭乗口は進行方向左側の法則になっているが、これは何も設計上や空港の都合ではなく、旅客船時代からの名残(旅客船もまた乗客は進行方向左側から乗り降りする)だそうである。
 飛行機にCAが乗るようになったのは、まだ旅客機が黎明期だった頃、乗務員に女性を起用することで、まだ未知なる乗り物に対し、人々に、「女性でも安心して乗れますよ」というPRだったとか。
 これは非常に納得の行くもので、最近になって京浜東北線にもやっと女性乗務員が散見されるようになったが、私は、
「ほ~。ケト線もだいぶ治安が良くなったんだな~」
 と、思ったものである。
 その前から宇都宮線、高崎線の中距離電車にも見られるようになったが、こちらは逆に、
「飲兵衛列車だぞ?大丈夫か?」
 と心配になったが、211系導入の時から飲兵衛が集まるボックスシートが少なくなり、それに合わせるかのように飲兵衛も少なくなったので、運転士と車掌は大丈夫のようだ。
 ……グリーン車は、そうでもなかったみたいだが。
 空いている車両は一見快適だが、実はその分、治安も悪い。
 ニューヨークの地下鉄など、乗務員がいる車両、警官の目が行き届く場所は混雑しているという。
 ま、もっとも、あまり混んでいると、また別の犯罪も発生しやすいが。

 私は元ツアーバスの高速バスと同様、飛行機もLCCに乗る度胸は無い。
 幸い、親睦会ではLCCは選択しないとのことである。
 恐らく、弊社のユーザーさんとの関係もあるのだろう。
 バス・フリークスの私は、取りあえずエアポートリムジン(東京空港交通)に乗って羽田空港に行くだけで腹8分目まで行ったりする。
コメント (6)
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