報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「最終決戦の地へ向かう」 1

2015-09-14 17:27:00 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月2日07:00.宮城県仙台市青葉区 ホテル・ドーミーイン仙台広瀬通 敷島孝夫&井辺翔太]

〔「おはようございます。謎の宗教テログループ“ケンショーレンジャー”によって封鎖されていた埼玉県さいたま市ですが、今日から郊外部分の避難指示が解除されます。中心街部分については、国家公安委員会が今日行う審議によって……」〕

「おはようこざいます、社長」
「ああ、おはよう」
 ホテルの朝食会場にやってきた敷島。
 既に井辺が先に食べていた。

〔「……今日から解除が決定したのは大宮区、中央区、浦和区を除く区部で、周辺市町村などに避難していた市民達が続々と自宅に帰る姿が見受けられました」〕

「社長、大宮区が解除されないそうですが……」
「大宮区は1番後っぽいな。何しろ、あのKR団本部があるところだからな」
「では……」

〔「……この3区を通る交通機関は、引き続き運転見合わせ並びに通行止めが続いています」〕

「だろうな」
 3区を通らない東武スカイツリーライン(伊勢崎線)と東武アーバンパークライン(野田線)の岩槻から大宮までは運休、岩槻で折り返し運転だそうである。
 その為、東武鉄道では、スカイツリーラインの本数を増やして振替輸送に備えている。
「社長、既にキップは……」
「ああ。俺とマルチタイプ達だけ途中で降りることになるだろう。キミはそのまま予定通り行って、事務所に戻ってくれ」
「分かりました」

[同日09:00.埼玉県さいたま市大宮区 KR団本部地下研究所 1号機のエミリー&ケンショーイエロー]

「あー、エミリーや。メシはまだかのぅ……?」
「ミスター浅井。1時間35分32秒前に・朝食は・終了して・おります」
「こりゃっ、エミリー!ワシを誰だと思っておる!?ワシはな、細井管長の訓諭を2回も訂正せしめたんじゃぞ?『浅井先生』と呼ばんか!オマエはバカだのぅ!」
「申し訳・ありません。ミスター……キャンセル。浅井先生」
「うむっ!以後、言葉に気をつけたまえ。さもなくば、妙観講の大草のように罰が出るでのー」
(認知症の・レベル測定開始)
 エミリーは監禁室から出されたと思ったら、何故かケンショーイエローの世話を頼まれた。
 何でもサイボーグ化に失敗したらしい。
 早々に処分したいところだが、キールの修理に忙しい上、何も世話していないとうるさいからだとのこと。
 エミリーはイエローに内緒で、イエローの認知症レベルを測定した。
(……なるべく・介助するのが・望ましい。時折、介護が・望まれる)
 と、出たらしい。
「これ、エミリー、聞いておるのか?ワシはトイレに……もう出た」
「イエス。すぐに・処理を・開始します」
 何気に介護をこなすエミリーであった。

 エミリーのような介護ロボットの早期実用化が望まれる。

[同日09:50.天候:曇 JR仙台駅東口バスプール 敷島孝夫、井辺翔太、3号機のシンディ、8号機のアルエット、MEGAbyte]

 敷島達はホテルを引き払うと、仙台駅の高速バス乗り場に向かった。
 新幹線が運休しているので、バス乗り場はかなり混雑していた。
「早めに来て並ぶのが常套手段だよ」
 と、敷島。
 そうしているうちにやってきたバスはJRバス東北。
 行き先表示には、『会津若松』と書いてあった。

〔「お待たせ致しました。9時50分発、会津若松行きです」〕

 敷島達は案内所の券売機で購入したチケットを手に、バスに乗り込んだ。
 行き先がてんで違うせいか、東京方面に向かう乗客達は見向きしかしない。
 どうやら敷島達のルートは、あまり知られていないようだ。
 荷物室を開けてもらって、大きな荷物はそこに預ける。
 バスは最新型の車種であったが、首都圏とは違い、トイレは付いていない。
 首都圏だと1時間くらいの路線でもトイレが付いているのがベタな法則だが、会津若松行きでは付いていない。
 1番後ろに行く敷島エージェンシーの面々。
 トイレが無いので、1番後ろは5人席である。
 ケンショーレンジャーのみんな〜!こっちだぞー!
 MEGAbyteの3人はそこに座らせ、残りの2人部分は敷島と井辺が座る。
 その前の2人席にマルチタイプ2人が座れば、敷島達の安全が確保される。
「いいアイディアですね」
「自由席ならではだろ?」
 もっとも、新幹線ではそういう席割だったのだ。
 もうキャンセルしてしまったが。

 バスは2〜3分遅れて、仙台駅東口を発車した。
 だいたい7割くらいの乗車率である。
 もっとも、途中にバス停があるので、そこの乗車数によってまた変わるだろう。
「社長、村中課長から連絡は?」
「いや、まだ無いな。春日部に着くまでに連絡があるといいんだけど……」
「ええ……。そうですね」

 敷島達は緊張した面持ちの中、仙台市内を離れていった。
コメント (13)
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