報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「高崎線833M列車の旅」

2021-09-15 16:01:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月27日10:30.天候:晴 東京都台東区上野 JR高崎線833M列車5号車内]

〔「お待たせ致しました。10時30分発、高崎線の普通列車、籠原行き、まもなく発車致します。発車後、電車が大きく揺れる恐れがありますのでご注意ください」〕

 発車の時刻になり、ホームに発車ベルが鳴り響く。
 低いホームは発車ベルやメロディが度々入れ替わっている。
 尚、特急ホームの16番線・17番線では“あゝ上野駅”が流れる。

〔「15番線から高崎線の普通列車、籠原行きが発車致します。ベルが鳴り終わりますと、ドアが閉まります。お近くのドアからご乗車ください」〕

 昔はドアを閉める前に笛を鳴らしていたのだろうが、今はそんなこともなく、客終合図があればすぐに閉扉する。
 殆どの区間並走する京浜東北線と同じE233系車両ながら、こちらは閉扉する際に『ガチャン』という賑やかな音がする。
 これは多分、ロック機構が違うのだろう。
 そして列車は定刻通りに発車した。
 低いホームから発車だと、直後に上り勾配になるのと、ポイント通過の為に列車がガクンと揺れる。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は高崎線、普通電車、籠原行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、尾久です〕

 リサ:「病室ではどうだった?」
 絵恋:「もう怖くて怖くてしょうがなかったのよ。夢から覚めたら、窓の外とか見られなくて……」
 リサ:「また死体が落ちて来るかもって?」
 絵恋:「そう」
 リサ:「ふーん……」
 絵恋:「あっ、リサさん、笑った!『そんなことあるわけない』って思ったでしょ!?」
 リサ:「いや、無い無い」(ヾノ・∀・`)ナイナイ

 リサは口元を歪めて手を振った。

 リサ:「もしあるようなら、善場さん達が駆け付けるだけだ」
 絵恋:「そんなの分かってるんだけど……」
 リサ:「フム。私はゾンビくらい簡単に素手で倒せるからアレだけど、サイトーにはそれが無理だから怖いのか」
 絵恋:「私はBOWじゃないからね」
 リサ:「他には?病室って個室だったんでしょ?普通の部屋と何が違うの?」
 絵恋:「そうねぇ……。専用のトイレとシャワーがあったことくらいかしら?」
 リサ:「おー、まるでホテルみたい」
 絵恋:「私の部屋でもビジネスホテルクラスでしょう。昔、御祖父様が入院していた時、その病室はシティホテルの部屋並みだったわ」
 リサ:「サイトーの御祖父さん……」
 絵恋:「会社を一から造った立役者でね。今の私が『御嬢様』であるのも、御祖父様のおかげなのよ」
 リサ:「そうなんだ。サイトーは幸せ者」
 絵恋:「萌えへへへ……。ま、まあね……」(´∀`*)ポッ
 リサ:「ん?」
 絵恋:「なに、どうしたの?」
 リサ:「いや、何でもない。(私と同じリサ・トレヴァーの中に、サイトーみたいなお金持ちの御嬢様がいたような気がしたけど、誰だったっけ???)」

 あまり他のリサ・トレヴァーと関わりを持たなかった『2番』のリサ。
 しかしそれで良かったと、今は思っている。
 もし仲良くつるんでいたら、自分も人食いをして倒されていただろう。

 絵恋:「今日は泊まって行ってくれるの?」(*´Д`)
 リサ:「いや、お泊りセット持って来てないから」
 絵恋:「リサさんの為に用意してあげる!」
 リサ:「いや、別に今日はいいから」
 絵恋:「えーっ!プールもあるよ!?」
 リサ:「だから、水着持って来てないって」
 絵恋:「そんなぁ……」( ;∀;)
 リサ:「急に言われても困るから、また今度ね」
 絵恋:「うぅ……」orz

 尾久駅は宇都宮線・高崎線の中でも静かな駅だ。
 駅前広場とは反対側には、尾久車両基地が広がっている。
 今では殆ど使用されていない“カシオペア”のE26系がよく留置されている。
 上野駅“高いホーム”を出発すると、尾久駅の手前でポイント通過があるが、“低いホーム”からだとそれが無い。
 つまり、上野~尾久間はそれぞれ別の線路を走っていることになる。
 尚、駅名は『おく』であるが、地名は『おぐ』である。
 都営バスや都電荒川線の停留所では地名に準じて、『おぐ○丁目』とか呼んでいる。
 こういうことは、都内では他にもある。
 練馬区には江古田という地区があるが、西武池袋線だと『えこだ』であるが、都営地下鉄大江戸線だと『新江古田(しんえごた)』である。
 尾久駅を過ぎると、地平区間を走行する為か、踏切が多くなる。
 京浜東北線の王子駅に接近すると、また上り勾配。
 列車線にはホームが無いので、普通列車でも通過となる。
 王子駅界隈には学校も多く、駅構内の広告看板にも、地元の学校法人の看板とかがある。
 かつてはここに分校(キャンパス)を設ける計画が東京中央学園にはあったようだが、頓挫している。
 今では王子駅にもホームドアがあるので、見えにくくなかったが……。

 リサ:「あのコ、ここからだとパンツ見えそう」
 絵恋:「スカートが短い。校則違反だわ」
 リサ:「東京中央学園ではアウトでも、あの学校ではOKなのかも」
 絵恋:「そうかしら。何だか、風が出て来たね。またゲリラ豪雨でも降る?」
 リサ:「降ると思う」
 絵恋:「降ったら、やまないと思うから是非泊まって……」
 リサ:「降る前に帰るから大丈夫」
 絵恋:「ええ~っ!」Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

 赤羽駅を出ると、次の浦和駅まではしばらく止まらない。

 リサ:「ちょっとトイレ」
 絵恋:「私も行く!」
 リサ:「やっぱやめた」
 絵恋:「何で!?」
 愛原:「仲いいな」

 リサ達が乗車している位置は4号車側の平屋席である。
 そこだとトイレと洗面所がすぐ近くにある。

 リサ:「トイレが1つしか無い」
 絵恋:「だったら一緒に……」(*´Д`)
 リサ:「いや、先に入っていいよ」
 絵恋:「私の老廃物いらない?」
 リサ:「今は『お腹』空いてない」
 絵恋:「お先に失礼します……」
 リサ:「全く……」

 リサはトイレとは通路を挟んで向かいにある洗面所に入った。

 リサ:「……!?」

 一瞬、鏡に10歳くらいの少女の姿が映ったような気がして振り向いた。
 それは新型BOWエブリンに似ていた。
 しかし、そこには誰もいなかった。

 リサ:(前にもこういうことがあったな……)

 リサは首を傾げた。
 エブリンの映像を善場に見せてもらったが、正直自分より強いのかどうかは分からなかった。
 戦い方によっては負けるかもしれないし、勝てるかもしれない。
 ただ、何だか『気持ち悪い』とは思った。
 それは吐き気を催すという意味での気持ち悪いではなく、『なるべくなら関わりたくない』という意味に近かった。

 絵恋:「リサさん、お待たせ」

 しばらくして、トイレから絵恋が出て来た。

 リサ:「ああ」
 絵恋:「老廃物、出しちゃったよ?」
 リサ:「いいよ。『お腹空いた』ら、その時もらうだけだ」

 リサは手から触手を出す仕草をして言った。
 もちろん本当に出したわけではない。

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