報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「リサの二日酔い」

2024-06-23 14:41:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月13日06時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・リサの部屋]

 愛原「リサ、朝飯の時間だぞ!学校はどうするんだ!?」
 リサ「頭が痛い……気持ち悪い……食べたくない……休む……」

 リサはベッドに横になって、頭から布団を被っていた。
 リサの部屋は、酒の臭いが充満している。
 昨夜帰ってから部屋を除いたら、リサの部屋は“鬼ころし”のパックが部屋中に散乱していた。
 そして、ベッドの上に大の字になって鼾をかいて眠っていた。
 で、朝になったらこのザマだ。

 愛原「未成年のくせに二日酔い起こしやがって!“鬼ころし”はお前が暴走しない為に、特別に少量だけ薬として飲むことが許されているだけなんだぞ!」
 リサ「大きな声出さないで……!頭に響く……!」

 リサは更に頭から布団を被った。

 リサ「体が消えちゃいそう……」
 愛原「えっ?」
 リサ「…………」

 すると、布団の膨らみが無くなって行く。

 愛原「おい、リサ!」

 私は上から布団を押してみた。
 すると、感触が無い!

 愛原「!?」

 慌てて掛布団を剥がしてみると、そこいたはずのリサがいなくなっていた。
 リサが消えた!?

 愛原「わああああ!!」

 私は慌てて部屋を飛び出した。
 そして、階段を駆け下りて3階のダイニングに飛び込む。

 愛原「たっ、たっ、大変だーっ!リサが消えたーっ!!」
 リサ「だから大きな声出さないでよ……」
 愛原「えっ!?」

 リサはダイニングにいて、冷蔵庫を開けていた。

 リサ「確かここに……ソルマックがあったよね……」
 パール「先生、差し上げて宜しいのでしょうか?」
 愛原「てか、何でオマエここにいるの!?」
 リサ「えっ……何が……?」
 愛原「さっきまで布団にいただろうが!?ワープでもできんのか、お前はーっ!?」
 リサ「ちょっと……何言ってるか分かんない……」
 愛原「何で分かんねーんだよ!パール、リサのヤツ、いきなり現れたのか!?」
 パール「どうでしょうねぇ……。ただ、いつの間にかいらっしゃったって感じです」

 リサは無言でソルマックを飲み干した。

 リサ「寝てる……」
 愛原「絶対、テレポートしたはずなんだよなぁ……」

 特異菌に感染してモールデッドなどのクリーチャーになったり、BOWになったりした者は、たまにそういうことができるらしい。
 リサも元は特異菌を持っていたわけだし、今も無毒化されているとはいえ、特異菌もどきを持っているわけだから……。
 リサは今度は階段を通って、4階へと上がって行った。

 高橋「先生、どうします?」
 愛原「さすがに、酒臭いまま登校させるわけにはいかんだろ。今日は休ませるよ」
 高橋「分かりました」
 愛原「学校へは明日、連絡しておく。お前は善場係長に連絡しておいてくれ」
 高橋「了解です。元々今日、ねーちゃんが来ることになってるんスよね?」
 愛原「ああ。9時には来られる。例の仮面を取りにな。事務所オープンと同時に御到着だ」
 高橋「で、その足で沖縄に行かれると?」
 愛原「係長御自身は行かれないだろうが、仮面は調査員に渡されるんだろう」
 高橋「なるほど」

 今朝の朝食は和食。
 サバの塩焼きと玉子焼きが出て来た。
 肉系は無いので、それもまたリサが食欲の無い理由か。
 Gウィルスを抱えているおかげで、リサは例え相手がエイズだろうがエボラだろうが、感染することはない。
 それらのウィルスが体内に入っても、Gウィルスが食べてしまうからだ。
 無毒化前の特異菌があった頃は、特異菌がインフルエンザやら新型コロナを取り込んでいた。
 人間を化け物に変えてしまう最強最悪のウィルスは、殺人ウィルスでさえもエサに過ぎないのである。
 幸いなのは、Gウィルスは空気感染や経口感染などはしないこと。
 Gウィルスが胚を形成し、それを他の生物に植え付けることで繁殖する。
 ところがその胚を特異菌が食べてしまうので、リサのGウィルスは外に漏れることは無かった。

[同日09:00.天候:曇 同地区内 愛原学探偵事務所2階]

 約束の時間通り、1階のガレージに黒塗りのミニバンが到着する。
 そこから善場係長が降りてきて、2階の事務所まで上がって来られた。

 愛原「おはようございます!善場係長!」

 エレベーターのドアが開くと同時に、私は係長を出迎えた。

 善場「おはようございます。愛原所長。昨日はお疲れさまでした」
 愛原「いいえ、恐れ入ります!どうぞ、こちらへ!」

 私は善場係長を応接コーナーへと案内した。

 愛原「こちらが、例の仮面です」
 善場「ありがとうございます。2つありますね?」
 愛原「一応、1つは予備です」
 善場「なるほど、そうでしたか。お気遣い、ありがとうございます。費用についての領収証なども、頂いて行きますよ?」
 愛原「はい、こちらです。よろしくお願いします」

 私は領収証と書類を係長に渡した。

 愛原「仮面の購入費用と、新幹線代やタクシー代などの交通費です」
 善場「かしこまりました。これだけで宜しいですか?飲食代や、上野利恵に情報料を払ったのでしたら、その情報料なども請求して頂いて構いませんよ?」
 愛原「いえ、さすがにそういうわけには……。それに、上野利恵からの情報は、あまり大したこと無い内容だったわけでしょう?」
 善場「BSAAにとっては、あまり有用とは言えないかもしれませんね。ただ、他の省庁では有益に思う所があるかもしれません」
 愛原「そういうものですかね……」
 善場「取りあえず、今お出しして頂いた費用につきましては、後ほど精算させて頂きます」
 愛原「ありがとうございます」
 善場「ところでリサは今日、学校を休んでいるそうですね?」
 愛原「さすがに、酒の臭いをさせたまま登校させるわけにはいきませんから」
 善場「体に変化などはしていないですか?」
 愛原「今のところは普通に部屋で寝ているだけです。私も時たま深酒してしまって、二日酔いになってしまうこともありますが、大体は昼ぐらいには治ります。リサもそうだといいのですが……」
 善場「そうですね。もしもリサに変化がありましたら、すぐに連絡して頂けると助かります」
 愛原「もちろんです。そうさせて頂きます」
 善場「よろしくお願い致します」

 係長が退所される時、私もガレージまで送らせて頂いた。
 運転席には係長の部下と思しき男性職員が待機していたが、係長はリアシートではなく、助手席に乗り込んだ。
 どうもリアシートにも誰か乗っていたようで、それがどうやら今回、沖縄まで行く調査員達のようである。
 これから羽田空港まで向かうようなことを言っていたので、それで間違いないだろう。
 デイライトの職員達の車はガレージから出て行ったが、シャッターを閉めるようなことはしない。
 今日は他にもクライアントが来訪する予定となっており、中にはデイライトのように車で来る人もいるからだ。

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