[8月24日14:00.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
午後になって特異菌の治療薬がBSAAによって届けられ、私達はそれを投与された。
そしてしばらく様子を見る為、まだ帰宅は許されなかった。
その為、BSAAのドクターカーの中にいることになったわけだが、そうしている間に動きがあった。
何と、BSAA日本地区本部がデイライトの代わりに旧校舎を探索するという。
韓国地区本部に出し抜かれた意趣返しかなと私は思った。
BSAA隊長:「既に関係各所からの許可は得ています」
善場:「……確かに、書類は揃ってますね……」
BSAA隊長:「それでは、あとは我々にお任せください」
そうして、BSAAの隊員達が旧校舎の中に入って行った。
大丈夫かな?
焼死体が増えるだけだったりとかは、無いだろうか。
私達は特別に、BSAAの隊員達が着けているボディカメラの画像を見ることが許された。
日本の役所もメンツに拘るきらいがあり、BSAA側からの配慮である。
デイライトの仕事を奪ってしまった罪悪感から、このような計らいをしてくれたのだろう。
隊員達は韓国BSAAから、ある程度の情報は得ていたようである。
ガスマスクを着けて向かって行った。
私とリサはドクターカーから、『走る指令室』に移動した。
ドクターカーがマイクロバスを改造したものに対し、『走る指令室』は4トントラックを改造したものだった。
どちらも、中型免許で運転できる車種である。
隊員A:「高濃度の特異菌の反応あり!」
隊員達は、まずは件の壁について調べた。
隊員B:「濃度は!?」
隊員A:「簡易的な計測になるが、数値的にはアメリカのルイジアナ州の事件現場と同等と思われる!」
善場:「何ですって!?」
リサ:「それでエブリンがいたのか……」
愛原:「となると、やはりあれは俺達が見た幻……」
問題はBSAAが出動するほどの高濃度の特異菌が、どうやって持ち込まれたのかだ。
BSAA史上に出て来る特異菌は、ほんの数年前からである。
しかしその後の調査で、ルーマニアには100年以上も前からその祖である菌根が存在していたことが明らかになっている。
なので、あの旧校舎が現役だった頃には、既に特異菌も存在していたことになる。
というか、歴史的には、ゾンビウィルスとしては初出のTウィルスよりも断然古いわけである。
それが、いつ、どうやって、誰が持ち込んだのかということだ。
善場:「白井伝三郎……或いは五十嵐皓貴……」
善場主任も同じことを考えていたようで、怪しそうな人物の名前を呟いた。
愛原:「どちらかが、わざわざルーマニアまで行って、特異菌を取ってきたと?」
善場:「それは……ですね……」
善場主任は言葉に詰まった。
恐らく、この2人の過去の動向については調べに調べているはずだ。
詰まったのは、どう洗っても、この2人にルーマニアへの渡航履歴が見つからなかったのだろう。
もちろん、ルーマニアへの渡航履歴のある人物と接触して、その人物から受けたという事も考えられるが……。
しかし、誰かが特異菌を持ち込んで、あの壁に仕掛けでもしないと、私達の案件については説明できないのだ。
隊員達は壁からサンプルを採取すると、隣のトイレに入った。
そして、爆発して穴が開いた壁の中に入る。
教室跡を一通り調べた後、床の跳ね上げ扉を特殊な工具でこじ開けた。
隊員A:「ちっ、ヒドい臭いだ……」
隊長:「何がある?」
隊員A:「水が溜まっています。濁った泥水です。臭いは、これのせいですね。この水を何とかしないと、探索できません」
隊長:「よし。バキュームカーを使おう」
BSAAは、本当に用意が良い。
デイライトから状況を聞いただけで、何が必要なのかも分かっているらしい。
黒焦げの死体の話が出て来たからか、消防車も待機していた。
隊員達はバキュームカーからホースを引っ張って行くと、それを防空壕跡に入れた。
バキュームカーのタンクの後部には、『積載物 汚水』と書かれていた。
これが汲み取り式トイレの便槽からだと、『糞尿』となり、グリストラップからの汲み取りだと、『廃油』となる。
ポンプで汲み取りをしている間、隊員達はその汚水の成分についても調べている。
隊員A:「特異菌並びに生物兵器ウィルスの反応なし!」
隊長:「では特異菌は、あの壁だけということか」
隊員A:「そういうことになります」
しばらくして、汚水が吸い出されると、隊員達は防空壕跡に入った。
そこは素掘りの空洞になっていた。
隊員B:「隊長、ただの防空壕跡です!研究施設どころか、その入口らしき物も見つかりません!」
隊長:「何だと!?よく探せ!」
隊員達は地面や素掘りの土壁を調べて行ったが、ついに防空壕跡はただの防空壕跡だったという結論になってしまった。
[同日15:00.天候:晴 同地区 同校]
愛原:「とんだ骨折り損だったか……」
善場:「見事に騙されました。が、取りあえずは、あの壁に高濃度の特異菌が仕込まれていたことが分かりました」
愛原:「汚染はあの旧校舎全体でしょうか?」
善場:「それは今後の調査で明らかになるでしょう」
いくら普段は立入禁止の旧校舎とはいえ、たまに開放されることもあるし、必要な時、権限のある者は出入りすることもあるだろう。
もしも旧校舎全体が汚染されていたとしたら、他にも感染している者はいるはずだ。
愛原:「……何か、夏休みが延長されそうな予感……」
リサ:「ええっ!?」
善場:「高濃度なのがあの壁だけというのが気になります。まあ、特異菌はカビの一種ですから、日当たりの良い所では繁殖しにくいでしょう。エブリンがいないことが幸いでしたね。いたら、彼女が造り出すモールデッドもいたはずですから」
愛原:「なるほど……」
ラスボスの条件の1つに、自分でザコキャラを創り出すことができるというのがある。
リサの場合は、保有しているTウィルスでゾンビを作れるし、Gウィルスに感染させた寄生虫もザコキャラとして使うこともできる。
善場:「学園側と相談して、総合的な検査をしなくてはなりませんね。幸い特異菌の感染状態については、すぐに調べることができます」
愛原:「始業式の日に一斉に行うというのは如何でしょう?検査するにしても、大量の検査キットが必要でしょうし、陽性者に対する治療薬の確保にも日数がいると思うのです」
善場:「それは良いアイディアですね。学園側に打診してみます」
こうして今日の調査は終わった。
壁のことについて分かったのは1つの勝利だが、どうもミスリードさせられたような気がして仕方が無い。
実は他にも調べる所があるのでは?
私は探偵としての推理を働かせてみたが、しかしその『他所』がどこなのかは知らなかった。
尚、BSAAは防空壕跡のある教室の天井やその他の床、トイレとは反対側の教室についても調査したが、結局何も見つかっていない。
午後になって特異菌の治療薬がBSAAによって届けられ、私達はそれを投与された。
そしてしばらく様子を見る為、まだ帰宅は許されなかった。
その為、BSAAのドクターカーの中にいることになったわけだが、そうしている間に動きがあった。
何と、BSAA日本地区本部がデイライトの代わりに旧校舎を探索するという。
韓国地区本部に出し抜かれた意趣返しかなと私は思った。
BSAA隊長:「既に関係各所からの許可は得ています」
善場:「……確かに、書類は揃ってますね……」
BSAA隊長:「それでは、あとは我々にお任せください」
そうして、BSAAの隊員達が旧校舎の中に入って行った。
大丈夫かな?
焼死体が増えるだけだったりとかは、無いだろうか。
私達は特別に、BSAAの隊員達が着けているボディカメラの画像を見ることが許された。
日本の役所もメンツに拘るきらいがあり、BSAA側からの配慮である。
デイライトの仕事を奪ってしまった罪悪感から、このような計らいをしてくれたのだろう。
隊員達は韓国BSAAから、ある程度の情報は得ていたようである。
ガスマスクを着けて向かって行った。
私とリサはドクターカーから、『走る指令室』に移動した。
ドクターカーがマイクロバスを改造したものに対し、『走る指令室』は4トントラックを改造したものだった。
どちらも、中型免許で運転できる車種である。
隊員A:「高濃度の特異菌の反応あり!」
隊員達は、まずは件の壁について調べた。
隊員B:「濃度は!?」
隊員A:「簡易的な計測になるが、数値的にはアメリカのルイジアナ州の事件現場と同等と思われる!」
善場:「何ですって!?」
リサ:「それでエブリンがいたのか……」
愛原:「となると、やはりあれは俺達が見た幻……」
問題はBSAAが出動するほどの高濃度の特異菌が、どうやって持ち込まれたのかだ。
BSAA史上に出て来る特異菌は、ほんの数年前からである。
しかしその後の調査で、ルーマニアには100年以上も前からその祖である菌根が存在していたことが明らかになっている。
なので、あの旧校舎が現役だった頃には、既に特異菌も存在していたことになる。
というか、歴史的には、ゾンビウィルスとしては初出のTウィルスよりも断然古いわけである。
それが、いつ、どうやって、誰が持ち込んだのかということだ。
善場:「白井伝三郎……或いは五十嵐皓貴……」
善場主任も同じことを考えていたようで、怪しそうな人物の名前を呟いた。
愛原:「どちらかが、わざわざルーマニアまで行って、特異菌を取ってきたと?」
善場:「それは……ですね……」
善場主任は言葉に詰まった。
恐らく、この2人の過去の動向については調べに調べているはずだ。
詰まったのは、どう洗っても、この2人にルーマニアへの渡航履歴が見つからなかったのだろう。
もちろん、ルーマニアへの渡航履歴のある人物と接触して、その人物から受けたという事も考えられるが……。
しかし、誰かが特異菌を持ち込んで、あの壁に仕掛けでもしないと、私達の案件については説明できないのだ。
隊員達は壁からサンプルを採取すると、隣のトイレに入った。
そして、爆発して穴が開いた壁の中に入る。
教室跡を一通り調べた後、床の跳ね上げ扉を特殊な工具でこじ開けた。
隊員A:「ちっ、ヒドい臭いだ……」
隊長:「何がある?」
隊員A:「水が溜まっています。濁った泥水です。臭いは、これのせいですね。この水を何とかしないと、探索できません」
隊長:「よし。バキュームカーを使おう」
BSAAは、本当に用意が良い。
デイライトから状況を聞いただけで、何が必要なのかも分かっているらしい。
黒焦げの死体の話が出て来たからか、消防車も待機していた。
隊員達はバキュームカーからホースを引っ張って行くと、それを防空壕跡に入れた。
バキュームカーのタンクの後部には、『積載物 汚水』と書かれていた。
これが汲み取り式トイレの便槽からだと、『糞尿』となり、グリストラップからの汲み取りだと、『廃油』となる。
ポンプで汲み取りをしている間、隊員達はその汚水の成分についても調べている。
隊員A:「特異菌並びに生物兵器ウィルスの反応なし!」
隊長:「では特異菌は、あの壁だけということか」
隊員A:「そういうことになります」
しばらくして、汚水が吸い出されると、隊員達は防空壕跡に入った。
そこは素掘りの空洞になっていた。
隊員B:「隊長、ただの防空壕跡です!研究施設どころか、その入口らしき物も見つかりません!」
隊長:「何だと!?よく探せ!」
隊員達は地面や素掘りの土壁を調べて行ったが、ついに防空壕跡はただの防空壕跡だったという結論になってしまった。
[同日15:00.天候:晴 同地区 同校]
愛原:「とんだ骨折り損だったか……」
善場:「見事に騙されました。が、取りあえずは、あの壁に高濃度の特異菌が仕込まれていたことが分かりました」
愛原:「汚染はあの旧校舎全体でしょうか?」
善場:「それは今後の調査で明らかになるでしょう」
いくら普段は立入禁止の旧校舎とはいえ、たまに開放されることもあるし、必要な時、権限のある者は出入りすることもあるだろう。
もしも旧校舎全体が汚染されていたとしたら、他にも感染している者はいるはずだ。
愛原:「……何か、夏休みが延長されそうな予感……」
リサ:「ええっ!?」
善場:「高濃度なのがあの壁だけというのが気になります。まあ、特異菌はカビの一種ですから、日当たりの良い所では繁殖しにくいでしょう。エブリンがいないことが幸いでしたね。いたら、彼女が造り出すモールデッドもいたはずですから」
愛原:「なるほど……」
ラスボスの条件の1つに、自分でザコキャラを創り出すことができるというのがある。
リサの場合は、保有しているTウィルスでゾンビを作れるし、Gウィルスに感染させた寄生虫もザコキャラとして使うこともできる。
善場:「学園側と相談して、総合的な検査をしなくてはなりませんね。幸い特異菌の感染状態については、すぐに調べることができます」
愛原:「始業式の日に一斉に行うというのは如何でしょう?検査するにしても、大量の検査キットが必要でしょうし、陽性者に対する治療薬の確保にも日数がいると思うのです」
善場:「それは良いアイディアですね。学園側に打診してみます」
こうして今日の調査は終わった。
壁のことについて分かったのは1つの勝利だが、どうもミスリードさせられたような気がして仕方が無い。
実は他にも調べる所があるのでは?
私は探偵としての推理を働かせてみたが、しかしその『他所』がどこなのかは知らなかった。
尚、BSAAは防空壕跡のある教室の天井やその他の床、トイレとは反対側の教室についても調査したが、結局何も見つかっていない。
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