報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原家の週末」 2

2023-12-18 11:48:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月3日22時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋]

 リサ「はぁ……はぁ……はぁ……」

 おかしい。
 私はリサから足ツボマッサージを受けているだけのはずだ。
 リサにとっては、私から唯一『捕食』できる手段であり、私にとっては血中老廃物を除去してくれる行為なので、これに関してはお互いWin-Winのはずである。
 おかげさまで、私の昨晩走り回って疲れた足も、みるみるうちに疲労が取れて来たわけで、今夜はぐっすり眠れそうだと思っていた。
 だが、何故かリサの息が荒い。
 私はうつ伏せになっている。
 私は少し上半身を起こし、リサの方を見た。

 愛原「どうした、リサ?辛いなら、別に無理しなくても……ん!?」

 

 振り向くとリサは鬼化し、着ていた体操服も乱れている。

 リサ「ガマンできない……。ガァァァァッ!!」

 リサは両目を赤く光らせて、私に飛び掛かって来た。
 口からは鋭い牙が覗いている。
 私は枕元に置いていたショットガンを構えようとしたが、横にリサの口に噛ませることしかできなかった。

 愛原「リサ、落ち着け!!」

 ビーッ♪ビーッ♪ビーッ♪

 愛原「!?」

 スマホがアラームを鳴らす。
 BSAAが開発したアプリだ。
 危険なBOWが近くにいると、アラームを鳴らして教えてくれるというもの。
 但し、その音が却ってBOWを誘き寄せてしまう恐れもあるので、サイレントモードにも当然できる。
 今回はしていなかった。
 このままではマズい!
 感知したBSAAが出動してしまう!

 愛原「リサ、落ち着け!落ち着くんだ!!」

 リサは鬼化している為、物凄い力で振り解こうとする。
 両手には鋭く伸びた爪。

 リサ「ガァァァッ!肉ゥゥゥゥゥ!食わせろォォォォォ!!」

 更に私は、ベッドの下に隠した電磁棒を取り出すと……。

 愛原「うりゃっ!」

 それをリサに叩き付けた。

 リサ「ギャッ!!」

 バチッと高圧電流がリサの体に流れる。
 さすがは中国人民解放軍が、チベット弾圧の際に使用した武器だ。
 要は、高圧電流の流れる警棒のようなもの。
 警棒型のスタンガンとも言うか。
 それは中国で普及しているのか、2013年、香港で起きたバイオハザードにおいても、ネオ・アンブレラの人型BOWが使用していた。
 同じCウィルスながら空気感染してゾンビ化した者と違い、薬剤として投与された者は人型の生物兵器となる。
 姿形は人間のままながら、顔だけが化け物になったりするので、大抵のBOW達はそれを隠す仮面やマスクを着けていた。
 知能はゾンビよりも全く衰えておらず、普通に銃火器を扱える。

 愛原「ど、どうだ!?」

 リサは目を回して仰向けに倒れた。

 高橋「先生!大丈夫ですか!?」
 パール「お怪我は!?」

 そこへ高橋とパールがやってきた。
 高橋はマグナム44を構えている。

 愛原「だ、大丈夫だ。ちょっとリサが興奮して、暴れただけだ」
 高橋「取りあえず、頭撃ち抜いておきましょう」
 愛原「やめとけ。もう気絶してる。それより、部屋に運んで寝かせておくんだ」
 高橋「は、はい。先生、もうちょっと部屋のドアとか、改造した方がいいですよ」
 愛原「そ、そうだな。前向きに検討しよう」
 高橋「部屋は和室っぽくても、建物は鉄筋コンクリートなわけですから、改築はできるはずっス」
 愛原「やっぱり、鉄扉とかにしておいた方がいいのかねぇ……」
 高橋「そうですよ。善場のねーちゃんから、インゴットや札束が返ってきたら、それで改築しちゃいましょう」
 愛原「う、うん。てか、お前はいいのか?そのインゴットとかで、何か欲しい物があったんじゃ?」
 高橋「いや、今はいいっス。この家が快適に、安全に暮らせるのなら、寄付しますよ」
 愛原「そ、そうか……。悪いな」

 まずは扉を頑丈な物に交換しよう。
 前のマンションみたいに、鍵も3重ロックくらいにしないとダメか。

[2月4日07時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]

 とはいうものの、それまではリサに老廃物を吸い取ってもらってたおかげで、寝付きは良かった。
 なので、起きる時も疲れが取れてて、案外すんなり起きれた。

 愛原「おはよう」
 高橋「あっ、おはようございます。昨夜は大変でしたね」
 愛原「油断はできんなー」

 3階のダイニングに降りると、高橋がキッチンに立っていた。
 どうやら今、目玉焼きを焼いているところらしい。
 付け合わせが何なのかは、できてからのお楽しみだ。

 愛原「パールは帰ってきた?」
 高橋「やっぱり終電でした。今、部屋で寝てます」
 愛原「ゆっくりさせてやれよ。どうせ今日は休みだ。午前中だけ仕事なのは、俺とリサくらいのもんだ」
 高橋「俺も手伝いますよー。俺だって、先生の不肖の弟子なんスから」
 愛原「ハハ、それもそうだな」

 そこへ、昨夜の体操服にブルマ姿のままのリサが下りて来た。

 リサ「お、おはよう……」

 リサは人間形態になっていた。

 愛原「おー、おはよう」

 だが高橋、どこから出したのか、ジャキッとマグナムをリサに向ける。

 高橋「さあ、落とし前の時間だ。どうやって、先生に落とし前付ける気だ、コラ?」
 愛原「お前、どっから出した?そのライトニングホーク……」
 リサ「ご、ごめんなさい。ガマンできなかったの。先生の血と老廃物が美味しくて……」
 高橋「言い訳タイム終了!ゴー・トゥー・ヘェェル!」
 愛原「やめなさい、朝から。それより、目玉焼きが焦げるぞ」
 高橋「おっと!」
 愛原「リサも、もう少し自重しような?」
 リサ「はい……」
 愛原「今度からマッサージの前に、“鬼ころし”でも飲んでおこう。そしたら、少しは抑えられるかも」
 リサ「今度からそうする」

 因みに出動しかけていたBSAAには、私から幾度も説明して出動中止にしてもらった。

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