報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「小旅行当日」

2024-05-23 20:46:44 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日06時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階]

 枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。

 愛原「うーん……」

 私は手を伸ばして、それを止めた。

 愛原「あれ……?」

 そういえば私、いつの間に眠ったんだろう?
 ちゃんとベッドに入って、布団を掛けていたが。
 前夜の記憶を辿ってみると、私はリサに足ツボマッサージを受けていて、血中老廃物を吸い取られて、気持ち良過ぎてそのまま眠ってしまったらしい。
 それなら仕方が無いか。
 さすがのリサも部屋に戻って……。

 愛原「起きるか……」

 私は欠伸をしながら、ベッドから畳に足を踏み出した。
 すると、足に何かムニュっと柔らかい物が当たる。

 リサ「ふわ……ぁ……」
 愛原「!?」

 私が息を呑んで、照明のリモコンを取ると、それで照明を点灯させた。
 パッとシーリングライトの照明が点いて、部屋が明るくなる。
 すると、足元に映ったのは……。

 リサ「でへへへ……先生……もっとォ……踏んでぇ……」

 私のベッドの横に布団を敷いて眠っているリサだった。
 寝相が悪く、布団を跳ねのけて、体操服が捲れ上がり、ヘソが見えている。
 私が足を出した時、ちょうどその下にはリサの胸があった。

 愛原「ど、どこで寝てるんだ、オマエはーっ!」

 ゴッ!(愛原のゲンコツが炸裂する)

 リサ「いっだぁーっ!?……あ、おはよう、先生」
 愛原「あのなぁ!何で俺の部屋で寝てるんだよ!?」
 リサ「だってぇ、先生、マッサージの途中で寝ちゃうんだもん。心配になったから……」
 愛原「俺に変なことはしてないだろうな?」
 リサ「うん。キスしかしてない
 愛原「そうか……って、コラ!まさか、Gウィルス移してたりしてないだろうな!?」
 リサ「そんなことしたらさすがに先生、死んじゃうよ。それに、偽の特異菌が上手く誤魔化してくれてるから大丈夫」
 愛原「そうか……」

 Gウィルスに体を乗っ取られた感染者は、それが齎す本能に従って、Gウィルスを繁殖させようとする。
 但し、それはGウイルス本体が生み出した胚を別の生物に植え付けるというもの。
 植え付けられた胚が適合すれば同じようにG生物になり、ならないと胚だけが成長したG幼体に体を食い破られて絶命する。
 リサの場合は乗っ取られているわけではなく、むしろ使役している側なので、そもそもの前提条件が違う。

 愛原「さっさと布団片付けろ。俺は顔を洗って来る」
 リサ「はーい」

 リサは布団を畳むと、ヒョイと1人で持ち上げて自分の部屋に運んで行った。
 私は4階の洗面所とトイレに向かう。
 全く、リサときたら……。
 ただ、私を襲わず、キスしただけというのは高評価かも。
 少なくともこれが上野利恵だったら、襲われて睾丸の中身を搾り取られていたかも。

[同日07時01分 天候:曇 同地区 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線621T電車・最後尾車内]

 曇っているせいか、やや肌寒い。
 私は厚手のオープンシャツを着用し、下はチノパン、上はジャケットを羽織っている。
 リサは黒いミニスカートにピンク色のパーカーを羽織り、私物を入れたリュックを背負っている。
 高橋はジーンズにグレーのジャンパーを羽織っていたが、リサと違って、既にフードを被っていた。
 パールも似たような恰好だが、ジャンパーだけは迷彩色で、フードは付いていない。
 日曜日の朝ということもあり、菊川駅は閑散としていた。

 愛原「悪いけど、改札口は手持ちのSuicaとかPasmoを使ってくれ」
 高橋「分かりました」

 改札口はそれで通過する。
 そして、コンコースから階段を下り、ホームに出る。

〔まもなく、1番線に、各駅停車、新宿行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 後ろの車両が来る辺りで電車を待っていると、トンネルの向こうから轟音と共に、強風を巻き起こして都営の電車がやってくる。
 大島始発で、日曜日の朝の新宿止まりとあってか、電車は空いていた。
 強風でリサのスカートが捲れそうになったので、リサは裾を押さえた。

 愛原「そんな短いスカート穿いてくるから」
 リサ「だってぇ……」

〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。きくかわ~、菊川~〕

 

 1番後ろの車両に乗り込み、空いている座席に腰かける。
 私の隣にはリサが座り、腕を組んで来る。
 というか、前から腕は組んで来ている。
 因みに今日は、スカートの下にブルマは穿いていないらしい。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 すぐに短い発車メロディが鳴って、ドアが閉まる。
 乗務員室から車掌が運転士に対し、発車合図のブザーを鳴らすと、エアーの抜ける音がして、電車が動き出した。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは左手で私の腕を組みながら、右手ではスマホを弄っていた。
 これだけだと、とても本気で戦えば、BSAAにも死傷者を出すほどのラスボス生物兵器には見えない。
 もっとも、エブリンも本当はそうだったのだが。
 尚、地下鉄線内であっても、GPSは繋がるのだろうか?
 今日の旅行のコースについては、事前にデイライトに提出している。
 そして、デイライトからBSAAに伝わっているはずだ。
 今のところ、そちら方面から何の連絡も無いところを見ると、何も問題は無いと見て良いだろう。

 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「どうした?」
 リサ「今回のルートだと、錦糸町駅から乗った方がいいみたいなのに、どうしてわざわざ新宿駅から乗ろうとするの?」
 愛原「まあ、俺の趣味として、始発駅か乗りたいというのはあるんだが……。旅の楽しみの駅弁が、新宿駅や千葉駅まで行かないと買えないという問題が発生しているのだ!」
 リサ「それは大問題だね!」
 愛原「だろォ!?それなら、この地下鉄なら新宿駅まで電車1本だし、それで新宿駅から乗ってやろうという魂胆だ」
 リサ「なるほど!さすが先生!」

 食べ物問題を出すと、リサはいとも簡単に同調してくれたのだった。
 チョロ鬼w

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