[1月9日10時00分 天候:晴 静岡県富士宮市下条 民宿さのや]
愛原公一「ほれ、これが『例のブツ』じゃ。ちゃんと目的地まで届けるのじゃぞ?途中で強奪されたら、向こうさんの計画はパー。お前も信用ガタ落ちぢゃ」
愛原学「分かってますよ。ありがとうございます」
伯母「ホントに気をつけてね。仙台の御両親によろしく」
学「分かってますよ。お世話になりました」
高橋「先生、タクシーが来ました」
愛原「おー」
私は伯父さんから、『サンプル』の入った断熱バッグを預かった。
そして、タクシーに乗り込んだ。
愛原「パール、また助手席よろしく」
パール「かしこまりました」
タクシー車種にはあまり見かけないプレミオのタクシーが来た。
塗装はタクシー会社の塗装なのだが……。
高橋「先生、このまま東京っスか?」
高橋の期待を裏切り、私は……。
愛原「西富士宮駅までお願いします」
運転手「はい、ありがとうございます」
運転手に行先を告げた。
高橋「西富士宮……?」
タクシーは民宿の前を出ると、狭い県道に出た。
乗用車同士ならともかく、大型車同士のすれ違いはキツいだろう。
だから、この県道を通るバスも中型車である。
高橋「西富士宮駅って……そこで待ち合わせっスか?」
愛原「何言ってるんだ。荷物をデイライトさんまで届けるんだろうが。電車に乗るに決まってるよ」
高橋「ええっ?」
高橋は信じられないといった顔をした。
そりゃそうだろう。
本来なら、こんな重要な物、ヘリコプター辺りで輸送するのがセオリーだ。
それなのにこのタクシーの行先は、ヘリポートでもなければ警察署でもない。
かといって、自衛隊の富士演習場なんかでもない。
まあ、この近くにヘリポートがあるのかどうかは不明だが。
高橋「大事な物をこれから、電車で運ぶんですか?」
愛原「そうだよ」
高橋「ええ~……」
高橋は信じられないといった顔をした。
しかし、これもデイライトさんからの指示だ。
私はそう言った。
それでも高橋は納得できないという顔だった。
愛原「もう1つ教えてやろう。来る時はバスだったわけだが、帰りは取りあえず駅まではタクシーだ。その理由は、バスの便が悪いからだよ。休日ダイヤなんて、1日に2本しかない。とんでもない田舎のバスだよ」
それでいて、フリー乗降性とかはやってないんじゃなかったかな……。
[同日10時15分 天候:晴 同県富士宮市貴船町 JR西富士宮駅→身延線3544G列車先頭車内]
およそ15分ほどで、タクシーは西富士宮駅に到着する。
それでも、二千数百円ほどの料金が掛かった。
もちろん、領収証は取っておく。
駅は平屋建ての地方の駅そのものだった。
藤野駅に雰囲気が似ている気がするのは、駅の規模が正にそれくらいだからだろう。
但し、藤野駅は業務委託駅(JR東日本の関連会社に駅業務を委託)なのに対し、西富士宮駅はJR東海の駅員が配置されている。
改札口はあるが、ブースに駅員はおらず、簡易的なICカード読取機があるだけだった。
愛原「トイレは改札入って右。自販機は待合室か、ホームのどちらかだな」
高橋「次の電車、10時42分だそうです」
愛原「まあ、折り返しの始発電車だな。この駅から北に行く列車は、本数が少ないんだ。これでも、南方面は本数が多い方なんだよ」
高橋「こんなゆっくりしてていいんですか?」
愛原「デイライトさんがそうしろと言ってるんだからいいんだよ」
高橋「で、富士駅から新富士駅に移動し……」
愛原「しないよ」
高橋「えっ?」
愛原「このままずーっと在来線での旅だ」
高橋「ええーっ!?」
愛原「安心しろ。熱海から先は、グリーン車に乗せてやる」
高橋「はあ……でも……」
キップ売り場に券売機はあるが、これは近距離用だけである。
長距離キップは、有人窓口で購入する必要があった。
愛原「すいません。ここから東京の新橋駅まで、大人4枚ください」
駅員「乗車券だけでよろしいですか?」
愛原「はい。乗車券だけでいいです」
駅員「かしこまりました」
私はここで新橋駅までのキップを購入した。
窓口で購入したからか、水色の乗車券が発行された。
これの購入費用についても、領収証を発行してもらう。
愛原「キップは1人ずつ持とう」
高橋「ありがとうございます……」
リサ「ありがとう」
パール「ありがとうございます」
愛原「それじゃ、ホームに行くか」
私達は駅員に改札印を押してもらうと、ホームに向かった。
昔ながらの改札挟というのは、地方ローカル鉄道に行けばまだ見ることはできるが、スタンプ式の改札印というのも、なかなか見られなくなった。
車掌が持つのは青いインクだが、駅員のは赤いインクというのもまた共通している。
駅舎とホームは繋がっておらず、跨線橋を渡る必要がある。
これも藤野駅と共通していた。
かつては構内踏切でもあったのかもしれないが、安全の観点からすれば、跨線橋はやむ無しか。
但し、バリアフリー対策として、エレベーターは設置されている。
リサ「ジュース、ジュース」
ホームに降りると、リサはホームの自販機でジュースを買い求めた。
まだ、上りホームに電車は入っていない。
私も温かい缶コーヒーを買った。
すると、ホームを3両編成の特急“ふじかわ”号が通過していった。
かつては急行列車であり、その時はこの西富士宮駅にも停車していたが、創価学会破門後、利用者数のガタ落ちにより特急化後は通過駅となってしまった。
尚、最高速度はたったの時速85kmである。
そんなことを思い出しながら、私はベンチに座って電車を待った。
多分、特急の通過を待ってから入線してくるのではないかと思ったが、どうやらビンゴだったようである。
しばらくして、ようやく2両編成の普通列車が留置線からやってきて、1番線ホームに到着した。
ワンマン運転ということもあり、半自動ドアである。
2両編成なので、どちらに乗っても良いのだが、乗り込んだのは前の車両だった。
4人用ボックスシートに座ってみたが、少々狭い。
まあ、乗車時間は20分ちょっとだけなので、少しくらいはいいだろう。
窓が大きいので、富士山を見ながら帰京することにしよう。
愛原公一「ほれ、これが『例のブツ』じゃ。ちゃんと目的地まで届けるのじゃぞ?途中で強奪されたら、向こうさんの計画はパー。お前も信用ガタ落ちぢゃ」
愛原学「分かってますよ。ありがとうございます」
伯母「ホントに気をつけてね。仙台の御両親によろしく」
学「分かってますよ。お世話になりました」
高橋「先生、タクシーが来ました」
愛原「おー」
私は伯父さんから、『サンプル』の入った断熱バッグを預かった。
そして、タクシーに乗り込んだ。
愛原「パール、また助手席よろしく」
パール「かしこまりました」
タクシー車種にはあまり見かけないプレミオのタクシーが来た。
塗装はタクシー会社の塗装なのだが……。
高橋「先生、このまま東京っスか?」
高橋の期待を裏切り、私は……。
愛原「西富士宮駅までお願いします」
運転手「はい、ありがとうございます」
運転手に行先を告げた。
高橋「西富士宮……?」
タクシーは民宿の前を出ると、狭い県道に出た。
乗用車同士ならともかく、大型車同士のすれ違いはキツいだろう。
だから、この県道を通るバスも中型車である。
高橋「西富士宮駅って……そこで待ち合わせっスか?」
愛原「何言ってるんだ。荷物をデイライトさんまで届けるんだろうが。電車に乗るに決まってるよ」
高橋「ええっ?」
高橋は信じられないといった顔をした。
そりゃそうだろう。
本来なら、こんな重要な物、ヘリコプター辺りで輸送するのがセオリーだ。
それなのにこのタクシーの行先は、ヘリポートでもなければ警察署でもない。
かといって、自衛隊の富士演習場なんかでもない。
まあ、この近くにヘリポートがあるのかどうかは不明だが。
高橋「大事な物をこれから、電車で運ぶんですか?」
愛原「そうだよ」
高橋「ええ~……」
高橋は信じられないといった顔をした。
しかし、これもデイライトさんからの指示だ。
私はそう言った。
それでも高橋は納得できないという顔だった。
愛原「もう1つ教えてやろう。来る時はバスだったわけだが、帰りは取りあえず駅まではタクシーだ。その理由は、バスの便が悪いからだよ。休日ダイヤなんて、1日に2本しかない。とんでもない田舎のバスだよ」
それでいて、フリー乗降性とかはやってないんじゃなかったかな……。
[同日10時15分 天候:晴 同県富士宮市貴船町 JR西富士宮駅→身延線3544G列車先頭車内]
およそ15分ほどで、タクシーは西富士宮駅に到着する。
それでも、二千数百円ほどの料金が掛かった。
もちろん、領収証は取っておく。
駅は平屋建ての地方の駅そのものだった。
藤野駅に雰囲気が似ている気がするのは、駅の規模が正にそれくらいだからだろう。
但し、藤野駅は業務委託駅(JR東日本の関連会社に駅業務を委託)なのに対し、西富士宮駅はJR東海の駅員が配置されている。
改札口はあるが、ブースに駅員はおらず、簡易的なICカード読取機があるだけだった。
愛原「トイレは改札入って右。自販機は待合室か、ホームのどちらかだな」
高橋「次の電車、10時42分だそうです」
愛原「まあ、折り返しの始発電車だな。この駅から北に行く列車は、本数が少ないんだ。これでも、南方面は本数が多い方なんだよ」
高橋「こんなゆっくりしてていいんですか?」
愛原「デイライトさんがそうしろと言ってるんだからいいんだよ」
高橋「で、富士駅から新富士駅に移動し……」
愛原「しないよ」
高橋「えっ?」
愛原「このままずーっと在来線での旅だ」
高橋「ええーっ!?」
愛原「安心しろ。熱海から先は、グリーン車に乗せてやる」
高橋「はあ……でも……」
キップ売り場に券売機はあるが、これは近距離用だけである。
長距離キップは、有人窓口で購入する必要があった。
愛原「すいません。ここから東京の新橋駅まで、大人4枚ください」
駅員「乗車券だけでよろしいですか?」
愛原「はい。乗車券だけでいいです」
駅員「かしこまりました」
私はここで新橋駅までのキップを購入した。
窓口で購入したからか、水色の乗車券が発行された。
これの購入費用についても、領収証を発行してもらう。
愛原「キップは1人ずつ持とう」
高橋「ありがとうございます……」
リサ「ありがとう」
パール「ありがとうございます」
愛原「それじゃ、ホームに行くか」
私達は駅員に改札印を押してもらうと、ホームに向かった。
昔ながらの改札挟というのは、地方ローカル鉄道に行けばまだ見ることはできるが、スタンプ式の改札印というのも、なかなか見られなくなった。
車掌が持つのは青いインクだが、駅員のは赤いインクというのもまた共通している。
駅舎とホームは繋がっておらず、跨線橋を渡る必要がある。
これも藤野駅と共通していた。
かつては構内踏切でもあったのかもしれないが、安全の観点からすれば、跨線橋はやむ無しか。
但し、バリアフリー対策として、エレベーターは設置されている。
リサ「ジュース、ジュース」
ホームに降りると、リサはホームの自販機でジュースを買い求めた。
まだ、上りホームに電車は入っていない。
私も温かい缶コーヒーを買った。
すると、ホームを3両編成の特急“ふじかわ”号が通過していった。
かつては急行列車であり、その時はこの西富士宮駅にも停車していたが、
尚、最高速度はたったの時速85kmである。
そんなことを思い出しながら、私はベンチに座って電車を待った。
多分、特急の通過を待ってから入線してくるのではないかと思ったが、どうやらビンゴだったようである。
しばらくして、ようやく2両編成の普通列車が留置線からやってきて、1番線ホームに到着した。
ワンマン運転ということもあり、半自動ドアである。
2両編成なので、どちらに乗っても良いのだが、乗り込んだのは前の車両だった。
4人用ボックスシートに座ってみたが、少々狭い。
まあ、乗車時間は20分ちょっとだけなので、少しくらいはいいだろう。
窓が大きいので、富士山を見ながら帰京することにしよう。
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