報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「さのやの朝」

2023-08-24 10:04:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月9日07時00分 天候:晴 静岡県富士宮市下条 民宿さのや]

 愛原「うーん……」

 私は地獄でリサみたいな獄卒の鬼に責められる夢を見た。
 どうやら現世での行いが悪く、このままでは地獄行きだぞという警告だろうか。
 それとも……。

 愛原「んっ!?」

 私の布団の中に、リサが入り込んでいた。
 しっかり私にしがみついている。
 最後にはリサそっくりの赤鬼に金棒でぶん殴られ、しがみつかれて目が覚めたが、これのせいか!
 そういえば、リサと同居を開始した直後、全裸のリサが私のベッドに入り込んでいたことがあった。
 あの時はまだ、リサが中学校に入る前とかじゃなかったかな。
 さすがに今は全裸ではなく、浴衣を着ていたが、あっちこっちはだけて、完全に浴衣の下の白いスポプラや同じスポーツメーカーの同じ色りのショーツが見えてしまっている。

 愛原「リサ、起きろ」

 私はリサの頭を揺さぶった。
 第1形態に戻っているせいか、角が生えているのが分かった。
 今のリサは2本角。
 夢の中に出て来たのは1本角だったから、別人だったかな?

 リサ「先生、ごめんなさい。我慢できなかったの……」

 どうやら私が眠った後、勝手に布団をくっつけて、更に私の布団の中に入ったらしい。

 愛原「いいよいいよ。何もしなかったみたいだし……」
 リサ「うん。先生にはね」
 愛原「なに?どういうことだ?」
 リサ「何でもない。ちょっと、シャワー行ってくるね」

 リサはそう言うと、自分の着替えとタオルを持って出て行った。
 私以外の男には下着すら見せたくないというのがリサのポリシーで(高橋は家族という認識なので、黙認している)、一応はだけた浴衣を直してからである。
 布団はリサの『女の匂い』が染みついていた。
 リサは人食い鬼に分類されるものの、まだ人を食ったことはないとされている。
 されている、というのは、私と出会う前、まだ日本アンブレラの研究所にいた頃はどうだったのかが不明だからだ。
 本人もまた度重なる実験で記憶が曖昧になっており、明確に否定できないのが実情である。
 はっきり言えるのは、霧生市を出てからは一切人食いをしていないということだ。
 つまり、管理が日本アンブレラから日本政府に移ってからだな。
 それで公式には、人食いしていないことになっている。
 なので実際に捕食したことのある鬼に関しては独特の体臭があり、人を食えば食うほどその体臭は強くなる。
 上野利恵は夫を食い殺してしまったが、その1人を食っただけでもリサには誤魔化せない体臭がするほどで、人間に対しては香水などで誤魔化している。
 人食いをしていないはずのリサには、そういう体臭は無いはずなのだが、やはり普通の人間よりは強い体臭がするようだ。
 年頃のせいか、『女の匂い』だな。
 白い下着だったのでよく分からなかったが、もしかしたらリサ、私にしがみつきながら、オ○ニーをしたのかもしれない。
 急いでシャワーを浴びに行ったのも、それでかいた汗や臭いを洗い流す為か。
 尚、この宿の大浴場は朝からはやっていないが、リサのような客に需要がある為か、それとは別にシャワー室があり、それは朝から使えるようになっている。

[同日08時00分 天候:晴 民宿さのや1階・宴会場]

 リサがシャワーに行っている間、私も洗面所で顔を洗ったり、髭を剃ったりした。
 どうせリサは私服に着替えて来るだろうからと、私も今のうちに私服に着替えた。
 スーツではないのは、表向きは慰安旅行だからだ。

 高橋「先生、おはざーっス」
 パール「『おはようございます』でしょ?」
 高橋「あー……」

 朝食に行く時、高橋達を誘ってみたのだが、なかなか内線電話に出ない上、やっと出たら、眠そうな高橋が出た。
 で、出て来た時も、2人はまだ浴衣姿だった。

 愛原「おいおい。昨夜はヤり過ぎたのか?」
 高橋「先生こそ、リサとは一発ヤッたんスか?」
 愛原「『命あっての物種』という言葉を知らんのか?」
 リサ「でも、布団は一緒に入ったもんね!」

 リサは私の右腕に自分の腕を絡ませながら言った。

 愛原「おかげで、地獄の鬼に追い回されるわ、金棒でぶん殴られるわで……」
 リサ「金棒!そういえばリエからもらったのがあったねぇ……」
 高橋「あんなもん持ち歩いたら、サツにパクられるぞ」
 リサ「どうして?刃物じゃないよ」
 愛原「確かに銃刀法違反ではないが、軽犯罪法違反には引っ掛かるだろう。ただ、軽犯罪法に関しては、現場の警察官の判断だから、多少ブレるんだよね」

 警戒棒を扱うことのある施設警備員が、出退勤の際に警戒棒を所持することの是非。
 当然、ズボンのベルトなどに携帯している場合は、どの警察官でも軽犯罪法を適用するだろう。
 しかし、バッグの中に入れていたとしても、警視庁の警察官は適用し、地方県警は目こぼしするという傾向がある。

 愛原「まあ、とにかく、家の中に置いておく分にはいいだろうがな」
 リサ「学校用にも置いておこう」
 愛原「また、学校の七不思議が増えるわけか。卒業までには、その全てにオマエが関わるというコンプリートだ」
 リサ「わぁい」
 愛原「喜んでる場合じゃねぇし」

 大広間に行くと、既に食事が用意されていた。
 朝食は塩鮭にミートボールの煮物、漬物と昆布の佃煮、それに温泉玉子と焼きのりというおかずだった。

 伯母「おはようございます」
 愛原「おはようございます。これは、伯母さんが?」
 伯母「ええ、そうよ」

 夕食はアルバイト達にも手伝ってもらうが、朝食は基本的に伯母さんと公一伯父さんで作る。

 公一「人使いの荒い女将ぢゃ。今しがた、配膳ロボットや食洗器の他、自動調理器具を配備しようと思っておる」
 愛原「何か……業務用で既にありそうな気がするけど……」

 公一伯父さんのことだから、本当に自作しそうだな。
 そういえば日光の旧・合宿所の地下施設、BOWかと思ったら、スーパーガンナーなる大型自動銃撃機が襲って来たこともあったな。
 伯父さんみたいな人が造ったんだろうか。

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