報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「深夜の探検」

2020-08-30 20:48:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月24日01:00.天候:晴 宮城県仙台市若林区○○ 愛原家]

 昼間は家の片付けや被害状況の調査に時間が掛かり、または買い物に付き合わされたりして、とても穴を探検するどころではなかった。
 何しろ車が壊れてしまった為、買い物はわざわざ地下鉄に乗って隣の駅まで行かないといけないようになってしまったのだ。
 私の子供の頃には徒歩圏内にスーパーがあったりしたものだが、いつの間にか廃業してしまっていた。
 車なら大量に買ってもそこに積み込んで帰れるが、徒歩や電車だとそうはいかない。
 つまり、私や高橋、リサも買い物要員として動員されてしまったのである。
 イオンに行ったから、食料品だけでなく、他にも色々なものを買ったり、買ってくれたりしたら夕方になってしまったわけだ。
 リサなんかいいコにしていたもんだから、うちの両親に服とか何やら色々買ってもらっていたりしたが……。

 愛原:「高橋、起きてるか?」
 高橋:「うっス」

 私達は1階の客間で寝ていた。
 2階には私の部屋があり、高橋やリサは興味津々に入りたがったのだが、私はしっかり鍵を掛けていた。
 そしたら高橋はピッキングしようとするし、リサはBOWの力でドアをこじ開けようとするので、ゲンコツしておいた。
 襖を挟んで隣の和室にはリサが寝ている。

 愛原:「両親も寝静まった。今のうちに、例の穴の探索に行くぞ」
 高橋:「了解っス」

 するとリサが髪の毛をシュルシュルと伸ばして、襖を開けた。

 リサ:「私も行く……」
 愛原:「リサ、不気味だから髪の毛を伸ばして襖開けるのやめれ」

 リサの寝ぼけた奇行にもすっかり慣れてしまった。

 愛原:「両親にバレないよう、静かに着替えるんだ」
 高橋:「ういっス」

 私達は寝巻から私服に着替えた。

 愛原:「探偵の7つ道具、忘れるな」
 高橋:「アイアイサー」

 探検の準備ができると、私達はそっと玄関のドアを開けた。
 そして、裏庭に回る。
 室内はエアコンが効いて涼しかったが、外は熱帯夜でムワッとした熱気が私達を襲う。
 例の裏庭の穴は応急策として、板を数枚置いて塞がれていた。
 すると、リサが……。

 リサ:「ねえ、何だか血の臭いがする」
 愛原:「なにっ!?」

 リサが穴の方を指さして言った。

 愛原:「マジか!?」

 私は板を退かした。
 するとリサが穴を覗き込んで、フンフンと鼻を鳴らす。

 リサ:「やっぱりここから血の臭いがする。それも人間のじゃなくて、化け物の……」
 愛原:「何だって!?」

 この下、何がいるんだ?
 てか、何があるんだ。
 どうやら、ただの下水道があるわけではないようだ。

 愛原:「ちょっと作戦変更。リサ、オマエは第一形態に変化してくれ」
 リサ:「うん、分かった」

 リサは大きく息を吸い込み、そして吐いた。
 すると見る見るうちにリサの容貌が変化して行き、その見た目は鬼のような姿になった。
 顔かたちは変わらないのだが、頭の上に一本角が生え、両耳は長く尖り、両手の爪も長く尖る。
 そして、瞳の色も黒から金色へと変わる。
 少し前までは肌の色も赤銅色に変わって、まるで赤鬼のような姿になっていたのだが、ここ最近は肌の色の変色は弱くなっている。
 現在進行形で、リサは尚も変異しているのだ。

 高橋:「先生、俺も武器を取って来ます」
 愛原:「え?おい……」

 高橋は一旦家に戻ると、何と愛用のマグナムを持って来た。

 愛原:「おま……こんな物持って来てたのか……」

 警察に見つからなくて良かった。
 いや、私達は善場主任の機関から特別に所持が許可されてはいるのだが、警察が確認するまで時間は掛かる。
 その間、間違いなく拘束されるだろう。

 高橋:「先生のもありますよ」
 愛原:「ええっ?」

 高橋は私にハンドガンを渡した。
 びっくりした。
 ショットガンでも持って来たのか思った。
 さすがにそれは無理だったようだ。

 高橋:「これで準備は万端ですね」
 愛原:「万端過ぎるだろ……」

 私は呆れつつも、予め物置から出しておいた縄梯子を出した。
 これをもう1つの庭石に括りつける。
 重さ数百キロはある庭石だから、私達の体を十分に支えてくれるはずだ。

 リサ:「私が先に行く」
 愛原:「大丈夫なのか?」
 リサ:「うん。もし下に化け物がいても、私なら大丈夫」
 愛原:「まあ、それはそうか。気をつけろよ」
 リサ:「心配無い」

 リサは縄梯子を下りて行った。
 そして下まで下りた後、私達に手招きする。
 どうやら下は今のところ安全のようだ。
 私達も梯子を下りた。

 愛原:「あった庭石!ここに落ちたのか!」

 で、しかも……。

 リサ:「血の臭い、これだよ」

 庭石の下に、ある化け物が倒れていた。
 既に周囲には固まった血の池ができていたから、死んでいるのは明らかだった。
 たまたまここにいたところ、落ちて来た庭石が直撃して死んでしまったらしい。
 何ともはや、哀れなことだが、化け物に同情はできない。
 しかもこの化け物、私達には見覚えがあった。

 高橋:「先生、こいつハンターじゃないスか?」
 愛原:「……かもな」

 頭が潰れてしまっているので、ハンターシリーズのどれかまでは分からない。
 しかし体表が鱗に覆われており、2足歩行をしていたであろう体躯からして、ハンターである可能性は高かった。
 周りを見渡すと、コンクリートの壁に覆われた通路であった。
 こんなものが実家の下に?
 もちろんこれは実家の施設であるわけがない。

 高橋:「何でこんな所にハンターが?」
 愛原:「分からん。……あ、いや……」

 私は1つの可能性を見出した。
 しかし、それを口にすることはできなかった。

 ハンターα1:「ガァァァッ!」
 ハンターα2:「ウォォォッ!」

 新手のハンターが2匹現れたからである。

 愛原:「マジかよ!?」
 高橋:「先生、伏せて!」

 高橋が咄嗟にマグナムを2発放ち、それが2匹に1発ずつ当たった。
 しかしいくら大型拳銃とはいえ、1発当たっただけではハンターは倒れない。
 私もハンドガンを構えたが、手負いのハンターの動きは素早かった。

 リサ:「はーっ!」

 しかし、リサの方がもっと素早く、ハンターα1の顔を爪で引っかいた。

 ハンターα1:「ギャアアアッ!」

 ハンターα1は両手を顔で覆って、思いっ切り痛がった。

 高橋:「今だ!」

 高橋はそんなハンターα1にマグナムを更に2発撃ち込み、そいつは被弾した場所から大量の血を噴き出して絶命した。

 リサ:「でやーっ!」

 その間、リサはもう1匹を蹴り飛ばし、その勢いでハンターα2は壁にめり込んだ。
 そこを拳でハンターの頭を叩き潰してしまった。
 凄い!これが鬼の力……もとい、上級BOWの力!

 高橋:「先生、取りあえず殺しました」
 リサ:「ハンターなんて余裕余裕!」
 愛原:「2人ともよくやった。しかし、こんなのが家の地下にいたとは……。もしかしたらこの通路、あの『お化け屋敷』と繋がってたりしてな?ハンターと言えば、旧アンブレラだ。そしてこの近くでそれと関係する場所といったら、あの『お化け屋敷』以外にあり得ない」
 高橋:「さすが先生、名推理です!」
 愛原:「リサ、この通路に覚えはないか?」
 リサ:「分かんない。全然分かんない」
 愛原:「そうか。とにかく、奥へ行ってみよう。肝心の屋敷は爆発して消えてしまったから、多分この通路もどこかで崩れてしまっているはずだ。しかし、せめてこの辺りの化け物の掃除くらいはしておいた方がいいな。何かの拍子に地上に上がって来られたら、大変なことになる」
 高橋:「そうですね。どっちに行けばいいでしょう?」
 愛原:「そうだな……」

 穴と通路の位置関係からして、片方はあの『お化け屋敷』の方に向かっているみたいだ。
 しかし反対方向を見ても、それなりの長さがある。
 逆に反対方向はどこに繋がっているのかも気になった。
 さて、どっちから先に行こう?

 1:『お化け屋敷』の方向
 2:『お化け屋敷』とは反対方向

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