報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「上野東京ライン1853E列車」

2022-03-27 16:24:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[同日09:29.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→上野東京ライン1853E列車5号車内]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の6番線の列車は、9時30分発、上野東京ライン、普通、品川行きです。この列車は、15両です。グリーン車が付いております。……〕

 大宮駅の券売機でグリーン券を買い、コンコースに入る。
 ホームに行く前にリサがトイレに行きたがったので、そこに立ち寄った。
 それからホームに向かったので、バスを降りてから電車に乗るまでの間にブランクが発生した由。

〔まもなく6番線に、上野東京ライン、普通、品川行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この列車は、15両です。グリーン車が付いております。……〕

 グリーン車が来る辺りで電車を待っていると、接近放送が鳴り響いた。
 そして、電車がやってくる。
 往路と違い、今度は新型のE233系電車であるが、グリーン車の構造はE231系の物と大して変わらない。

〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。6番線の電車は上野東京ライン回り、普通列車の品川行きです」〕

 車内に入る。
 2階席ではまるっと空いている席が無かったので、平屋席に向かった。
 ドアと連結器の間にある部分である。
 普通車と同じ高さにある為、荷棚もある。
 但し、台車の外側部分に位置する為、揺れは大きい(連結器付近が大きく揺れるのはこの為)。
 進行方向左側に座る。
 私は1人で座り、その後ろに2人の少女が座った。

〔6番線の上野東京ライン、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車を、ご利用ください〕

 ホームから発車メロディが聞こえてくる。
 ドアチャイムの音色は、普通車もグリーン車も同じ。
 ただ、通勤電車と比べて、閉まる時にガチャンと大きい音がする。
 そして、スーッと走り出す。

〔この電車は上野東京ライン、普通、品川行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次はさいたま新都心、さいたま新都心。お出口は、右側です〕

 リサ:「来る時に車内販売で買ったレモンドーナツっての、美味しかった」
 絵恋:「そうなの。何だか酸っぱそうね」
 リサ:「甘酸っぱい」
 絵恋:「甘酸っぱかったの。それなら、ちょっと食べてみたいわね」
 リサ:「車内販売で来る」
 愛原:「多分、さいたま新都心駅を出てからだな」

 と、私は言った。
 恐らく駅間距離が短い為、それが長くなるさいたま新都心駅を出てから、アテンダントが回って来るものと思われる。

 愛原:「ん?」

 またもや善場主任からのメールだ。
 それによると、斉藤社長は何時頃出て行ったかということだ。

 愛原:「絵恋さん、お父さんは何時頃出て行ったか分かるかな?」
 絵恋:「そんなの知りませんよ。私も、朝起きてからメイドに言われたんです」
 愛原:「分かった」

 私は今の絵恋さんの回答を、そのまま返信した。
 善場主任は、『分かりました。ありがとうございます』とのことだ。

[同日10:06.天候:曇 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

 それから電車内では、善場主任からの連絡は無かった。

〔まもなく東京、東京。お出口は、右側です。新幹線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです〕

 ここから帰るには都営バスに乗り換えれば楽である。
 だが、ネットで調べたところ、乗り換え時間はギリギリだ。
 走れば間に合うといった感じ。
 1時間に1~2本しかない、都営バスの中でも屈指のローカル線だから、乗り換えは実は不便だったりするのだ。
 すると、また善場主任からメールが来た。

 善場:「GPSでは都内に戻られたようですが、具体的にはどの辺りにいらっしゃいますか?」

 とのことだ。
 そこで私は、今は電車の中で、まもなく東京駅に着くという旨の返信をした。
 すると、『それでは東京駅構内のカフェで落ち合えませんか?』とのことだ。

 愛原:「キミ達、善場主任が東京駅で会いたいと言ってるんだが、いいかい?」
 リサ:「善場さんが!?……な、なに?わたし、何もしてないよ?」
 愛原:「違う違う。多分、斉藤社長のことだ。だから、むしろ絵恋さんと話がしたいんじゃないのかな?」
 絵恋:「でも、私は父の行き先なんて知りませんよ?」
 愛原:「それ以外にも聞きたいことがあるのかもしれない。とにかく、いいね?」
 リサ:「分かった」
 絵恋:「分かりました」

〔とうきょう、東京。ご乗車、ありがとうございます〕

 私達は電車を降りた。
 そして、そのまま改札口へと向かう。
 そこから向かったのは、日本橋口の方。
 八重洲側の改札口を出て北に向かうと、それはある。
 団体客が待ち合わせなどに使う広場があるが、この辺りは丸の内中央ビルというビルの中に当たる。
 そこの2階にスターバックスコーヒーがあり、そこで待ち合わせることになった。

 愛原:「俺が席を確保しているから、先に買ってきていいよ」
 リサ:「はーい」

 私はテーブル席を確保し、リサ達に先に買いに行かせた。
 すると……。

 善場:「愛原所長、お疲れ様です」

 エスカレーターを昇って、善場主任がやってきた。

 善場:「お休みのところ、真に申し訳ありません」
 愛原:「いえいえ、善場主任こそ、週末なのに大変ですね」
 善場:「いえ。……あのコ達は、先に買いに行ってるのですね?」
 愛原:「そうです」
 善場:「では、私も買って来ましょう。所長はいつものブレンドコーヒーでいいですか?」
 愛原:「はい。……って、いえいえ!コーヒー代くらい、自分で出しますよ!?」
 善場:「お時間を取らせてしまったので、そのお詫びです。お気になさらないでください」

 いつもはポーカーフェイスの善場主任が微笑を浮かべた。
 仕方が無いので、ここは御厚意に甘えることにした。

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