報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「両親の東京見物」

2024-07-01 15:46:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日11時59分 天候:曇 東京都墨田区向島 とうきょうスカイツリー駅前バス停→都営バス業11系統車内]

 割かし曇ってきたなぁ……。
 何でも夕方以降は雨になるらしい。
 それまでには、成田空港に行きたいものだ。
 そう。
 今日の泊まりは成田空港……の近くだ。

 リサ「お腹空いた」
 愛原「さっき色々パクパク食べてなかったか?」
 リサ「あれはほんのおやつ。まだ、お昼ご飯じゃない」
 愛原「これからお昼にするから。ただ、年老いた両親に合わせて和食になるがな」
 リサ「えー……」
 父親「心配いらん。どうせ昼は寿司だろ?俺が奢ってやる」
 愛原「築地の寿司だから、そんなに安くないよ?」
 母親「お父さんは交通費と宿泊費はケチるけど、食事代はバカスカ掛けるからね」
 父親「『長生きの秘訣は、遠慮せずに美味いもの食べることぢゃ』と、兄さんも言ってたなー」
 愛原「それで警察とはまた違う国家機関と国際機関に追われてるようじゃねぇ……」
 父親「ん?」
 愛原「何でもない。ほら、バス来たよ」

 ここから都営バスに乗り込む。

 父親「これで、築地まで行けるのか?」
 愛原「乗り換え無しでね。多少時間は掛かるけど、着く頃にはお昼のピークも過ぎてるから、店も空いてるでしょ」
 父親「なるほどな」
 母親「あえて豊洲には行かないのね」
 父親「俺の思い出の地は、築地だからなぁ……」

 始発の停留所なので、並んでいれば着席可能。
 バスに乗り込んで、後ろの席に座る。
 私とリサは2人席に並んで座った。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 発車の時間になり、バスは前扉を閉めて発車した。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは本所吾妻橋、東京都現代美術館前、豊洲駅前経由、新橋行きでございます。次は言問橋、言問橋でございます。日蓮正宗本行寺と、日蓮正宗常泉寺へは、こちらが御便利です。次は、言問橋でございます〕

 愛原「リサ、初めてスカイツリーに昇った感想はどう?」
 リサ「BOW的に言えば、『エブリンざまぁw』って感じだね」
 愛原「……と言うと?」
 リサ「あんな高い所から特異菌バラ撒いたら大変なことになると思うけど、あいつはできない。でも、わたしはやろうと思えばできる。優越感」
 愛原「やるなよ?やるなよ?絶対やるなよ?」

 するとリサ、両手で自分のこめかみを押した。

 リサ「先生の命令、インプット。絶対やらない」
 愛原「よ、よし!」
 リサ「というわけで、夕食は肉食べさせて?」
 愛原「わ、分ってるよ」
 リサ「わぁい」

 リサはピンク色のパーカーを羽織っているが、袖は捲っている。
 パーカーの下は黒いTシャツで、下はデニムのショートパンツである。
 マスクの色が白から黒へ変わっていることから、制服から私服に着替える際、下着も換えたということだろうか。
 ここでいう下着とは、ブラジャーのことではなく、ショーツのことである。

 リサ「取りあえず着くまで、おやつ……」

 リサはバッグの中からプリッツを取り出すと、それをポリポリ齧り始めた。
 まあ、いいか。
 変に空腹のままにさせて不機嫌になられるよりは……。

[同日12時52分 天候:曇 東京都中央区築地 築地六丁目バス停→すしざんまい本店]

〔「ご乗車ありがとうございました。築地六丁目です」〕

 バスは片道1時間弱掛けて、築地の下車停留所に到着した。

 愛原「はい、着きましたー」
 父親「いや、確かに乗り換えは無いがな、まさか、ここまで時間掛かるとは……」
 母親「作並温泉から市営バスに乗った気分ね」
 愛原「それをたった210円で乗れるんだから乗り得でしょ?」
 父親「ム!それはそうだ!」
 母親「お父さん!w」
 愛原「それじゃ、昼食と行きましょうか」

 バス停から徒歩数分の所に、寿司店はある。

 店員「いらっしゃいませ!」
 愛原「予約していた愛原です」
 高橋「予約してたんスか!?」
 愛原「席だけね。そこは抜かりないよ」
 父親「むむ、さすがだ」
 愛原「でしょう!」

 席だけ予約なので、メニューは適当に頼む。
 案の定、リサは注文しにくかったようだ。

 愛原「俺と同じ“こころ枠”にするか?」
 リサ「うん」

 寿司を注文した後、私は両親に聞く。

 愛原「次はどこか行きたい所、ある?」
 父親「いや、そろそろ温泉に行きたいんだが?本当に温泉に入れるのか?ただの銭湯じゃないだろうな?」
 愛原「大丈夫だよ。それも、成田空港の近くだ。向こうに行ったら、もう明日まで大きな移動は無くなるよ」
 父親「なるほど、そうか」
 愛原「逆を言えば、『これから温泉に向かう』を選択すると、もう東京には戻れなくなる。心残りがあるんだから、今のうちだよ」
 父親「そう言われると気になるじゃないか」
 愛原「そ、そう?」
 母親「お土産はスカイツリーで買っちゃったしね」

 沖縄には持って行けないので、実家には宅急便で送っている。

[同日14時00分 天候:曇 東京都中央区築地三丁目 東京メトロ築地駅→日比谷線1342S電車・最後尾車内]

 

 昼食を終えた後は、少し周辺を散策して、それから地下鉄の築地駅に向かった。
 市場が豊洲に移転した後も、寿司店などの飲食店や一部の鮮魚店などは残っている。

〔まもなく2番線に、北千住行きが参ります〕

 愛原「これで上野まで行って、そこから京成で成田に向かうよ」
 父親「なるほど」

 電車がやってくる。
 東武鉄道と相互乗り入れしている日比谷線だが、やってきたのは東京メトロの車両だった。

〔築地、築地です。足元に、ご注意ください。2番線の電車は、北千住行きです〕

 私達は最後尾の車両に乗り込んだ。
 上野駅では、京成上野駅に向かう時、後ろの車両の方が良いからだ。
 さすがに全員座れなかったので、両親には先に座ってもらう。
 私とリサは反対側のドアの前に立った。
 すぐに、軽快な発車メロディが流れる。
 曲名は“潮騒”というらしい。

〔ドアが閉まります。手荷物を、お引きください。無理なご乗車は、おやめください〕

 電車のドアと、新たに設置されたホームドアが閉まる。
 日比谷線ではワンマン運転は行われていない為、車掌が乗務している。
 その為、発車合図のブザーの音が聞こえて来る。
 それから、電車が動き出した。

〔次は八丁堀、八丁堀です。乗り換えのご案内です。JR京葉線は、お乗り換えください〕

 愛原「ここから上野までは、15分も掛からない。案外早いもんだ」
 リサ「そうだね」

 リサはスマホを取り出すと、それを弄り始めた。
 多分、WiFiは無いと思うので、パケットを消費しているのだろう。
 駅にはWiFiは飛んでいるが、電車内には無いからである。

 愛原「魔王軍とか?」
 リサ「そう」

 リサがやや素っ気ない態度なのは、肉を口にできなかったからか。
 朝食では一応、ハムエッグが出たのだが、夕食は少し考えないといけないようだ。

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