goo blog サービス終了のお知らせ 

報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「節分の大事件」 2

2023-11-22 21:00:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月2日15時30分 天候:曇 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 高橋がパールに連絡をしたところ、さすがにリサがひょっこり帰っていたなんてことは無いそうである。
 但し、もしもそうなった場合はすぐに連絡すると約束してくれた。
 私は私で、学校でリサと一緒であったであろう『魔王軍』のメンバーに連絡を取ってみた。
 『四天王』の1人である淀橋さんに連絡を取ってみる。
 四天王の中では最も背が高く、やろうと思えばギャルになれる要素は持っているものの、そうはしていないコである。
 もしかしすると、リサに阻止されているのかもしれない。

 淀橋「はいはい、愛原先生ですか?」
 愛原「そうですそうです。愛原です」
 淀橋「珍しいですねぇ、愛原先生が掛けてくれるなんて。魔王様に見つかったら、ボコられますよ?」
 愛原「その魔王様が行方不明になったから捜してるんだ」
 淀橋「え?」
 愛原「学校で一緒だったよね?それとも、リサはまだ学校にいる?」
 淀橋「いいえ。上野駅まで一緒に帰りましたけど?」
 愛原「上野駅か」
 淀橋「私は足立区なんで」
 愛原「リサはそこから1人で電車に乗ったのか?」
 淀橋「いいえ。レイチェルと一緒に電車に乗ったはずですけど?」
 愛原「レイチェルが一緒だったのか?」
 淀橋「レイチェルは、大抵、アキバまではリサさんと一緒ですよ」
 愛原「秋葉原駅か……」

 そこでレイチェルはリサと別れて、地下鉄日比谷線に乗り換えるのだという。
 日比谷線なら上野駅からも乗れるが、なるべくリサの監視と観察をしたいので、そうしているという。
 いくら養成学校からの留学生とはいえ、BSAA隊員が一緒なら、リサもそうおいそれとはフザけたことはできないはずだ。
 現に、『魔王軍』加入の必須条件である寄生虫の植え付けをレイチェルにはしていない。
 ブルマの着用は、『日本の文化』『ブルマはアメリカが起源』ということで誤魔化しているようだ。
 起源で思い出したが、もしもお隣の国がお決まりの『ブルマは韓国が起源ニダ』とでも言ったら、そっち方面からブルマ復活の潮流が来たりしてな?
 さすがに秋葉原駅からは、リサが1人のようだ。
 私は礼を言って、電話を切った。
 そして私も手持ちのノートPCを取り出すと、この事務所の光回線を借り、それでネットにアクセスした。
 グーグルマップによると、JR秋葉原駅と東京メトロ秋葉原駅の出入口の位置関係について、まず、JR秋葉原駅昭和通り口の所に1ヶ所ある。
 それを過ぎて昭和通り(国道4号線)に出、都営地下鉄岩本町駅に向かう途中にも、地下鉄秋葉原駅の出入口がある。
 なるべくリサの観察・監視がしたいのなら、ここで2人は別れた可能性が高い。
 そして、通常ならリサは神田川に架かる和泉橋を渡り、都営地下鉄岩本町駅へと向かうことになる。
 その途中で何かあったのだろうか?
 しかしあそこは昼間、常に人通の絶えない所である。
 その為、車道も広いが、歩道も広い。
 また、国道4号線ということもあり、車通りに関しても、かなりの量がある。
 更に、その上には首都高まで通っている。
 そこで何かトラブルがあった場合、既に騒ぎになっているはずなのだ。
 しかしネットニュースを見ても、SNSを見ても、そんな話は全く無かった。
 すると、リサがトラブルに巻き込まれたのは、その先だろうか?
 その前に私はレイチェルに連絡することにした。
 だが、レイチェルは電話に出なかった。
 リサと違い、ちゃんとコールしている。
 だが、出ないのである。
 もしかすると、日本地区本部隊に同行して、自分も出動しているのかもしれない。
 養成学校の、それも北米支部からの留学生を緊急出動に参加させるとは思えないが、これも勉強と同行しているかもしれない。
 いずにせよ、もしもレイチェルと一緒にいた時点でリサに変わったことがあれば、やはりレイチェルが何かアクションをするはずなのだ。
 となると、リサは岩本町駅から先で何かに巻き込まれたか。
 しかし、そこから先は何も分からなかった。
 これは一旦、事務所に戻るべきなのではないか。
 しかし今、善場主任は席を外している。

[同日16時00分 同事務所]

 それから30分ほど経って、善場主任が戻って来た。

 善場「お待たせしました。リサの足取りについてですが、どうも菊川駅までは無事に辿り着けているようですね」
 愛原「えっ!?……あー、そうですか……」

 よくよく考えてみると、岩本町駅までは無事だったのだ。
 しかし、岩本町駅構内も平日の昼間とあっては、やはり利用客の出入りはあるし、地下鉄であれば無人駅など無いので、当然駅員もいる。
 駅構内で何かあったとは思えない。
 電車内もそうだ。
 リサはBSAAとの取り決めで、列車を利用する場合は先頭車または最後尾に乗ることが義務付けられている。
 都営新宿線はワンマン運転を行っていないので、最後尾の車両に乗っても、そこには車掌がいる。
 電車内でトラブルがあったとしても、やはり騒ぎなっているはずだ。
 となると、そこも無事。
 そして、善場主任の話によると、菊川駅でも何事も無かったという。

 愛原「それじゃ、リサはどうして帰って来てないのですか?」
 善場「菊川駅から家までの間に、行方不明になったということでしょう。例えば、拉致とか」
 愛原「ちょっと待ってください。菊川駅前は新大橋通りと三ツ目通りという大通りが交差しています。当然、交通量も人通りも多くある場所です。そんな所で……」
 善場「分かっています。現に、リサはそこからちゃんと三ツ目通りを家に向かって歩いていることが、近隣店舗の監視カメラで確認されました」

 リサが行方不明になってから、1時間弱でよくそこまで調べられたものだと、私は驚いた。
 本来なら、リサの監視業務など、民間の探偵業者がやる必要は無いのだろう。
 しかしそこに政治的・官僚的な思惑や理由が交錯して、私の所にそういう仕事が回ってきているのだ。

 愛原「じゃあ、これは一体、どういうことなんですか?」
 善場「もう1度伺いますが、リサは本当に帰宅していないんですね?」
 愛原「確認します」

 私は改めて、まずリサに連絡を取った。
 しかし最初に取った時と同様、LINEは既読が付かないし、通話に関しても、『お掛けになった番号は……』のアナウンスが流れてきて、繋がらないという変わらない状態だった。
 そして、パールに連絡したが、やはりリサは帰宅していないという。

 善場「そのパール……霧崎事務員は、本当に信用のおける人物ですか?」
 愛原「え、ええ。そう思ってますけど……。何でしたら、事務所に戻って確認しましょうか?」
 善場「そうしてください。そして、屋内は元より、周辺を捜索してみてください。こちらの調査では、リサは確かに家の近所までは無事に向かっていたのです」
 愛原「わ、分かりました」
 善場「そして、捜索中に何か変わったことがあったり、無くてもそれが終わった段階で、また私の所に連絡をお願いします」
 愛原「分かりました」

 今日は事情があって、デイライトの事務所には地下鉄で来ていた。

 善場「タクシーチケットを渡しておきますので、お帰りはタクシーでお急ぎください」
 愛原「分かりました」

 私はタクシーチケットを受け取り、高橋と共にデイライトの事務所をあとにした。
 そして、流しのタクシーを拾うと、それで今度は私の事務所へと向かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「節分の大事件」

2023-11-22 16:19:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月2日15時00分 天候:曇 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 私と高橋は、善場主任との打ち合わせに来ていた。

 善場「リサの血液検査については、それまで行われてきた検査の中で、最も素晴らしい結果が出ています」
 愛原「それは喜ばしいことなんですが、あくまでも、リサの『BOWとしての使い道』が素晴らしいというだけであって、『人間に戻れるわけではない』というのが残念ですね」
 善場「ええ。この場に本人がいないので言ってしまいますと、それはかなり長期計画になるかもしれません。何しろ、Gウィルスと特異菌という厄介なウィルスとカビ兵器ですからね。Gウィルスだけだった私でさえ、完全に除去することができず、遺伝子の一部に変化して、一生私の中に居続けることでしょう。そしてそれは、アメリカ政府のエージェント、シェリー・バーキン氏もです」
 愛原「Gウィルスだけでそれなのに、ましてや特異菌もなると……なるほど」
 善場「特異菌に関してはウィンターズ夫妻のこともありますから、そうおいそれとは手出しできないのが実情です」

 特異菌を除去する特効薬を投与されたミア・ウィンターズ氏とゾイ・ベイカー氏は、表向きには人間に戻ったことになっている。
 しかしこれもまた、『表向き』というだけであって、裏の実情としては人外的な力が残ってしまっているようである。
 内容については、国家機密レベルとなっている。
 愛原「リサは『Gウィルスを持っていようが、特異菌を持っていようが子供は生める』なんて言ってますよ」
 高橋「どんな化け物生む気だよ……」
 善場「そうですね。恐らく、化け物が生まれると思います」
 高橋「やっぱり!」
 善場「ただ……」
 愛原「ただ?」
 善場「ウィンターズ夫妻から生まれた娘、ローズマリー・ウィンターズは特異菌をやはり受け継いでいますが、今のところは人間と変わらぬ姿で生活しているそうです。ただ、検査の内容的にはBOWそのものだそうで……。いつ変化して暴走するか分からないので、唯一の特級BOWに指定されています」

 BSAA本部が直接監視に置くというクラスである。
 エブリンも特級に指定されたが、こちらは暴走が発覚した為、殺処分されている。
 とはいえ、リサがリサ・トレヴァーのGウィルスを受け継いだのと同様、エブリンの特異菌もまたリサは受け継いでいる。
 しばらくエブリンの幻覚に悩んだものの、モノにしてからはそのような幻覚を見ることもなくなった。
 そして今や、体内に取り入れた寄生虫をわざと感染させて、日本式プラーガを生成し、独自のBOWとしての生き方を模索している……って!

 愛原「実質的に、今のリサも特級扱いでしょうな」
 善場「本来ならそうして然るべきです。ただ、そうなると、リサは本部に渡欧することになりますけどね」
 愛原「思いっきり嫌がるでしょうなぁ……」

 そして暴走。
 それで殺処分という流れにしたかったのだろな、BSAAは。
 しかし、そこでどういった政治的なやり取りが行われたのかは分からない。
 非核三原則のせいで核武装ができない日本は、代わりにリサのような特級BOWを配備しようとしているのではと思ったりする。
 とにかく、今のリサはワンランクダウンの上級。
 支部単位で監視・対処の対象となるランク。
 更にはその下の地区本部にて監視・対象委託をし、そこから更にデイライトが監視しているという複雑な構造だ。
 日本のお役所が大好きな構造である。

 愛原「それでその……このまま良好な結果が続いた場合はどうなるのですか?」
 善場「それこそ、藤野の研究施設の出番です。リサの血液が難病や致命傷の特効薬、治療薬となるならば、これは一大事ですよ」
 愛原「兵器としての利用ではないのだから、他国も文句は言いそうにないですね」
 善場「そういうことです。難病の治療薬、致命傷の治療薬に使えるのならば、むしろ歓迎されるべきです」
 愛原「ますます人間には、戻れそうにないですね」
 善場「だからこそ、監視業務の委託は、引き続きお願いしたいところであります」
 愛原「それは是非お任せください」

 と、その時だった。

 愛原「ん!?」

 私のスマホがけたたましいアラームを鳴らした。
 それは私だけではない。
 高橋や善場主任のスマホもそうだった。
 それはJアラートや緊急地震速報ではない。
 BSAAが開発したアプリからのアラームだった。
 『上級BOW暴走警報』であった。
 この近辺にいる上級BOWといえば、リサしかいない。
 他にも指定されているのはタイラントやネメシスなどがいるが、彼らはそんな急に現れるものではない。

 愛原「リサが暴走した!?」
 高橋「おいおいおい!ついに先生を裏切ったかぁーっ!?ヒャッハー!!」

 高橋はジャンパーの中から、44口径の大型マグナムを取り出した。

 善場「何てこと……!今日は節分なのに!」
 愛原「それですよ!リサも今日は、『学校で節分の豆まき大会があるから、今日は1日鬼になり切る』とか言ってました!」
 善場「だからといってやり過ぎです!」

 善場主任はアラームを切ると、すぐにどこかへ電話した。
 もちろん、BSAAの日本地区本部にでも連絡しているのだろう。
 私もアラームを切った時にふと思った。

 愛原「この時間って、もう学校が終わってる時間帯じゃないか。そろそろ帰ろうって時だろ?もう豆まき大会は終わってるはずだが……」
 高橋「まいた豆食い過ぎて暴走とか?」
 愛原「アホか」

 私はリサと連絡を取ろうと思った。
 まずはLINEを送信してみるが、既読が付かない。
 そこで今度は通話を試みたが、繋がらなかった。
 『お掛けになった番号は、現在、電波の届かない所にあるか、電源が入っていない為、掛かりません』というアナウンスが流れるだけである。

 善場「今、BSAAに緊急連絡しました。もちろんBSAAでもアラームは受信していまして、出動態勢に入っているそうです」
 愛原「一体今、リサはどこにいるのでしょう?LINEも通話も繋がらないんです」

 私はもう1度、LINEの画面を確認したが、既読すら付いていなかった。

 善場「それは、コールしているのに出ないという意味ですか?」
 愛原「いえ、そもそも繋がらないということです」

 私は先ほどのアナウンスが流れて来る状態だと主任に伝えた。

 善場「ちょっと居場所を確認します」

 主任はスマホではなく、会議室のテーブルの上に置いたノートPCを操作した。
 リサにはGPSを持たせており、スマホが故障したり、紛失したりしても、別のGPSで追うことができるようになっている。

 善場「GPSが作動していません!恐らく、それで『暴走した』と判断されたのでしょうね」
 愛原「では、暴走したわけではない、と……」
 善場「可能性はあります。ただ、スマホもダメで、専用GPSもダメとなった原因は……」
 高橋「事故じゃねーのか?大型トラックにぶつけられたら、スマホやGPSは壊れるだろ」
 善場「なるほど……」

 生身の人間なら深刻だが、リサならトラックに跳ねられたくらいでは死なない。
 まあ、確かに持ち物は壊れるだろうがな。

 善場「ちょっとBSAAの報告を待ちましょう。恐れ入りますが、所長方はもう少しこのまま待機して頂いても宜しいでしょうか?」
 愛原「それは構いませんよ」
 高橋「パールに連絡しておきます。ひょっこり事務所に帰って来る可能性もあるんで」
 愛原「ああ、頼む」

 高橋は自分のスマホを取り出すと、それで事務所で留守番しているパールにLINEを送った。
 それにしてもリサのヤツ、何があったんだろう?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする