[1月29日19時30分 天候:雪 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]
また外は雪がちらついて来た。
もっとも、すぐ止むようで、積もるほど降るわけではないようだ。
善場「油断しました!今の話を聞かれたかもしれません!」
愛原「ええっ!?」
善場「すぐ、関係各所に連絡します!高橋助手!逃げた者はどんな人物でしたか!?」
高橋「ちょっと待て!今それどころじゃねーだろ!」
善場「いえ、それどころであります!直ちに答えてください!」
高橋「ケガ人の治療中に鬼だぜ、このねーちゃん!」
リサ「ねー?」
BSAA軍医「ちょっと動かないで!」
濡れた路面で派手にスッ転んだことで、あちこち擦り傷のできた高橋だった。
幸い今ここにはBSAAの医療関係者がいる。
手の空いた軍医が、負傷した高橋の治療に当たってくれた。
まあ、擦り傷程度なので、傷の消毒と絆創膏を貼るくらいであったが。
高橋「男だったな。それも、おっさんだ」
善場「年齢は愛原所長より上でしたか?」
高橋「暗くてよく見えなかったが、先生よりも上だったと思うぜ。50代くらいのオッサン」
善場「なるほど。それで、三ツ目通りの方向に逃げて行ったわけですね」
高橋「そういうことだ」
善場「愛原所長、この建物の前に防犯カメラはありますか?」
善場主任はガレージ内にあるカメラを指さして言った。
愛原「あいにくと、外側には無いんですよ。シャッターを開けていれば、それで外が映るからなのかもしれません」
それは正面玄関も同じ。
インターホンにはカメラがあるが、当然ピンポンを押さないと録画されない。
どうやらこの建物には、かつて玄関前やシャッター前を外から映すカメラがあったようなのだが、前の借り主(機械設備保守会社)が撤去したようである。
かつてあったということは、やはり当初この建物は暴力団の組事務所だったのではと推測される理由の1つだ。
善場「そうですか。しかしまあ、三ツ目通りなら、外側に防犯カメラを仕掛けている店舗とかありそうですし、菊川駅前交差点などは監視カメラもありますから、警察に依頼して画像をチェックさせてもらうこともできるかもしれません」
愛原「しかし、50代の男性がスパイというのは意外ですね」
善場「いないことはないんですよ。各国の諜報機関には、老若男女の工作員がいます。ただ、ここでそういった人物を投入する必要があるのかなとは思いますが……」
愛原「デイライトさんも諜報機関のようなものですね。デイライトさんもこういう場合、50代男性を任務に就かせますか?」
善場「私が課長なら選抜しないですね。もっとも、裏の裏をかいて、まさかという人物を任務に就かせることもあるので、全く否定はできないのですが」
NPO法人デイライトが日本政府直轄の諜報機関だということを安易に認めた善場主任だった。
表向きの諜報機関が公安調査庁なら、裏の諜報機関はこういう形で存在しているのだろう。
善場「私は事務所に行きます。もしかすると、リサが本格的に狙われる兆候かもしれません。しばらくリサは、自宅待機にした方がいいかもしれませんね」
リサ「えー?学校は?」
善場「出席日数が足りる程度に休んだ方がいいかもしれませんね」
愛原「中途半端な……」
[同日21:00.天候:曇 愛原家3階リビング]
高橋「チッ。またパトカーだ。これじゃ、落ち着いて寝れねーぜ」
パール「ホントにねぇ……」
愛原「いや、それオマエらだけだと思うぞ?」
私は苦笑した。
どうやら善場主任が警察に依頼したか何かで、警察がパトロールを強化してくれているのだろう。
それだけでなく、地元の防犯協会のパトカーも依頼されたのか、青いパトランプを点灯させて、家の前を通ってくれた。
愛原「しばらくは防犯強化期間だな」
高橋「安心してください。敵はボコしますよ」
パール「同じく」
高橋は特殊警戒棒を取り出し、パールはコンバットナイフを取り出した。
愛原「あの世に送るんじゃないぞ」
リサ「何が?」
と、そこへリサが風呂から上がって来た。
私服から、またもや体操服とブルマに着替えている。
愛原「怪しいヤツのことさ。今日は絶対に窓を開けるんじゃないぞ?」
リサ「分かってるよ。何だか物騒だねぇ……」
愛原「善場主任は、いよいよオマエを狙ってどこかの組織が動いて来たんじゃないかって言ってるぞ」
リサ「えっ?BSAAは?」
愛原「日本地区本部も人数が少ないからな。前のマンションのゴタゴタの処理で、リサへの監視が強化できないらしい。かといって、“青いアンブレラ”には頼めないしな」
高橋「あのねーちゃん、アネゴの事が嫌いっスからねぇ……」
アネゴとは、高野芽衣子のこと。
エイダ・ウォンに似た容姿をしていたが、ついにその正体がエイダ・ウォンのコピーだということが判明する。
もっとも、カーラ・ラダメスのようにCウィルスを使って化けたのか、それとも単なる整形なのか、はたまたクローンなのかまでは分かっていない
リサ「レイチェルに、しばらく警備してもらう?」
愛原「学校はそれでいいかもしれんがな……」
1番良いのは、ほとぼりが冷めるまで自宅待機で、善場主任もそう言っているが、リサが納得していないからなぁ……。
リサ「わたしからレイチェルに頼んで、学校の行き帰りもわたしの警備をお願いしてみるよ」
愛原「そう、上手く行くかねぇ……」
私は首を傾げた。
だが、事態は待ってはくれなかったのである。
また外は雪がちらついて来た。
もっとも、すぐ止むようで、積もるほど降るわけではないようだ。
善場「油断しました!今の話を聞かれたかもしれません!」
愛原「ええっ!?」
善場「すぐ、関係各所に連絡します!高橋助手!逃げた者はどんな人物でしたか!?」
高橋「ちょっと待て!今それどころじゃねーだろ!」
善場「いえ、それどころであります!直ちに答えてください!」
高橋「ケガ人の治療中に鬼だぜ、このねーちゃん!」
リサ「ねー?」
BSAA軍医「ちょっと動かないで!」
濡れた路面で派手にスッ転んだことで、あちこち擦り傷のできた高橋だった。
幸い今ここにはBSAAの医療関係者がいる。
手の空いた軍医が、負傷した高橋の治療に当たってくれた。
まあ、擦り傷程度なので、傷の消毒と絆創膏を貼るくらいであったが。
高橋「男だったな。それも、おっさんだ」
善場「年齢は愛原所長より上でしたか?」
高橋「暗くてよく見えなかったが、先生よりも上だったと思うぜ。50代くらいのオッサン」
善場「なるほど。それで、三ツ目通りの方向に逃げて行ったわけですね」
高橋「そういうことだ」
善場「愛原所長、この建物の前に防犯カメラはありますか?」
善場主任はガレージ内にあるカメラを指さして言った。
愛原「あいにくと、外側には無いんですよ。シャッターを開けていれば、それで外が映るからなのかもしれません」
それは正面玄関も同じ。
インターホンにはカメラがあるが、当然ピンポンを押さないと録画されない。
どうやらこの建物には、かつて玄関前やシャッター前を外から映すカメラがあったようなのだが、前の借り主(機械設備保守会社)が撤去したようである。
かつてあったということは、やはり当初この建物は暴力団の組事務所だったのではと推測される理由の1つだ。
善場「そうですか。しかしまあ、三ツ目通りなら、外側に防犯カメラを仕掛けている店舗とかありそうですし、菊川駅前交差点などは監視カメラもありますから、警察に依頼して画像をチェックさせてもらうこともできるかもしれません」
愛原「しかし、50代の男性がスパイというのは意外ですね」
善場「いないことはないんですよ。各国の諜報機関には、老若男女の工作員がいます。ただ、ここでそういった人物を投入する必要があるのかなとは思いますが……」
愛原「デイライトさんも諜報機関のようなものですね。デイライトさんもこういう場合、50代男性を任務に就かせますか?」
善場「私が課長なら選抜しないですね。もっとも、裏の裏をかいて、まさかという人物を任務に就かせることもあるので、全く否定はできないのですが」
NPO法人デイライトが日本政府直轄の諜報機関だということを安易に認めた善場主任だった。
表向きの諜報機関が公安調査庁なら、裏の諜報機関はこういう形で存在しているのだろう。
善場「私は事務所に行きます。もしかすると、リサが本格的に狙われる兆候かもしれません。しばらくリサは、自宅待機にした方がいいかもしれませんね」
リサ「えー?学校は?」
善場「出席日数が足りる程度に休んだ方がいいかもしれませんね」
愛原「中途半端な……」
[同日21:00.天候:曇 愛原家3階リビング]
高橋「チッ。またパトカーだ。これじゃ、落ち着いて寝れねーぜ」
パール「ホントにねぇ……」
愛原「いや、それオマエらだけだと思うぞ?」
私は苦笑した。
どうやら善場主任が警察に依頼したか何かで、警察がパトロールを強化してくれているのだろう。
それだけでなく、地元の防犯協会のパトカーも依頼されたのか、青いパトランプを点灯させて、家の前を通ってくれた。
愛原「しばらくは防犯強化期間だな」
高橋「安心してください。敵はボコしますよ」
パール「同じく」
高橋は特殊警戒棒を取り出し、パールはコンバットナイフを取り出した。
愛原「あの世に送るんじゃないぞ」
リサ「何が?」
と、そこへリサが風呂から上がって来た。
私服から、またもや体操服とブルマに着替えている。
愛原「怪しいヤツのことさ。今日は絶対に窓を開けるんじゃないぞ?」
リサ「分かってるよ。何だか物騒だねぇ……」
愛原「善場主任は、いよいよオマエを狙ってどこかの組織が動いて来たんじゃないかって言ってるぞ」
リサ「えっ?BSAAは?」
愛原「日本地区本部も人数が少ないからな。前のマンションのゴタゴタの処理で、リサへの監視が強化できないらしい。かといって、“青いアンブレラ”には頼めないしな」
高橋「あのねーちゃん、アネゴの事が嫌いっスからねぇ……」
アネゴとは、高野芽衣子のこと。
エイダ・ウォンに似た容姿をしていたが、ついにその正体がエイダ・ウォンのコピーだということが判明する。
もっとも、カーラ・ラダメスのようにCウィルスを使って化けたのか、それとも単なる整形なのか、はたまたクローンなのかまでは分かっていない
リサ「レイチェルに、しばらく警備してもらう?」
愛原「学校はそれでいいかもしれんがな……」
1番良いのは、ほとぼりが冷めるまで自宅待機で、善場主任もそう言っているが、リサが納得していないからなぁ……。
リサ「わたしからレイチェルに頼んで、学校の行き帰りもわたしの警備をお願いしてみるよ」
愛原「そう、上手く行くかねぇ……」
私は首を傾げた。
だが、事態は待ってはくれなかったのである。