報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの異変?」 2

2023-02-25 20:25:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月17日13時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 昼食を食べた後、善場主任が訪ねてきた。

 善場「昨日はお疲れ様でした」
 愛原「善場主任、お疲れさまです。……休み無しなんですね?」
 善場「それは愛原所長方も同じなのでは?」
 愛原「まあ、我々は自営業ですから……」
 善場「検査の結果が出ましたので、お知らせしようと伺ったのです」
 愛原「もうですか!さすがに早いですね!」
 善場「BSAAからも、矢のような催促ですから」
 愛原「ほおほお……。それで、どんな感じでしたか?」
 善場「ちょっと……大変なことになるかもしれません」
 愛原「えっ?」

 応接室に移動して、そこで話をすることになった。
 善場主任が手持ちのノートPCを取り出し、そのモニタにデータを表示する。

 善場「これは前回、リサの検査の結果です。特異菌の存在も示唆されていますが、ご覧の通り、体内のウィルスに関してはGウィルスとTウィルスのみとなっています」
 愛原「はいはい」
 善場「そして、これが今回の結果です」
 愛原「あれ?Tウィルスの割合が減ってる!?……で、特異菌の割合が増えている!?」
 善場「そうなんです。それも微かな差ではなく、かなりの大差です。……Gウィルスは殆ど変わっていませんけどね」
 愛原「さすがは、あのアンブレラも怖くなって棄てたウィルスですね」

 その決定に大きな不満を持った、Gウィルス開発者のウィリアム・バーキン博士が造反した事件が、そもそもアンブレラ終焉の始まりであった。
 アメリカの本体はそうしたが、日本の現地法人はそうしなかった。
 アメリカの本体が廃棄したリサ・トレヴァーに注目したのが、日本法人であった。
 日本法人はアメリカ本体からの独立を果たすことになるが、これが却ってアンブレラの完全なる崩壊を遅らせることになる。

 善場「そうです。問題は、どうして特異菌が強化されたのか、です。Tウィルスが弱体化したのか、はたまた見た目には何も起きていないGウィルスが何か影響を及ぼしたのか、それが知りたいところです」
 愛原「寄生虫は関係ありますかね?」
 善場「それも含めて、ですね」
 愛原「まさか、もう1度藤野に行けと?」

 さすがに、せめて高橋の免停が解除されてからにしてほしい。

 善場「いえ、それには及びません。浜町の診療所は御存知ですね?」
 愛原「あ、あそこですか」

 表向きは一般の社会保険でも受け付けている診療所だが、その運営母体がBSAA極東支部日本地区本部という変わった診療所だ。
 当然ながら、リサのウィルスについても研究している。

 善場「あそこで精密検査をさせてください」
 愛原「では、また週末ですかね?」
 善場「なるべく早い方がいいので、明日にでもいいですか?」
 愛原「分かりました」

 今日と言わなかったのは、さすがに急過ぎると思ったからだろう。

 善場「新事務所、移転の話はどうですか?」
 愛原「いやあ、なかなかいい物件が見つかりませんで……」

 近所とはいえ、たった3人の事務所で住居とを分けるのは効率が悪い。
 住居部分と分けるにせよ、建物は同じで良いのではないかというのが私の考えだ。

 善場「まあ、焦らない方がいいですね」
 愛原「もちろんです」

[同日17時00分 天候:晴 同地区 愛原のマンション]

 リサ「ただいま」
 愛原「おー、お帰り」
 リサ「もう事務所から帰ってたんだ」
 愛原「まあな。それよりリサ、明日は何か予定があるか?」
 リサ「明日?特に無いけど……」
 愛原「それは良かった。実は学校が終わったら、ちょっと付き合って欲しいんだ」
 リサ「先生とデート!?」
 高橋「ンなわけあるか!」
 愛原「高橋、静かにしろ。……残念ながら、デートではないんだ」
 リサ「えー……」
 愛原「浜町のさ、診療所は知ってるだろ?」
 リサ「あー、あそこ」
 愛原「あそこでさ……再検査を受けてもらいたんだ」
 リサ「……そういうこと。分かったよ。で、いつ行けばいいの?」
 愛原「おお!素直に行ってくれるとは!」
 リサ「嫌だって言っても行かなきゃいけないんでしょ?」
 愛原「悪いなぁ……。でも、俺も一緒に行くから」
 リサ「ふーん……?」
 愛原「明日、学校はいつ終わる?」
 リサ「15時だね」
 愛原「15時か。それなら、15時半に迎えに行こう」
 リサ「うん、分かった。……因みに、わたしのどこが悪かったって?」
 愛原「病気とかじゃないんだけど、オマエの体内のTウィルスの濃度が減って、代わりに特異菌が増えてるんだって。因みに、Gウィルスは殆ど変わってない」
 リサ「そう、なんだ」
 愛原「何か心当たりはあるか?体調の変化とか……」
 リサ「うーん……まあ、生理の時に重くなったりするようになったかな」
 愛原「そうなのか?」
 リサ「いつもは、わたしだけ生理の時はいつも軽いのにね。……そっかぁ、Tウィルスが減ったからなんだ……」
 愛原「それは、この前の検査の時には……」
 リサ「言ったよ。問診の時にね」
 愛原「そうか。それ以外は?」
 リサ「それ以外……。特に無いね」
 愛原「そうか、分かった」
 リサ「それより、今日の夕ご飯は何?」
 高橋「秋刀魚だ」
 リサ「サンマかぁ……」
 愛原「近年、漁獲量が減って来ているそうだが、何とか買えたのか?」
 高橋「今回、たまたま特売やってましたね。『秋の味覚祭』ってことで」
 愛原「そうか。それは良かった」

 例によって、リサは骨ごとバリバリ食べるんだろうなぁと思った。

[10月18日06時30分 天候:曇 愛原のマンション]

 私がリサの異変に気付いたのは、この頃辺りからだった。

 リサ「おはよう……」
 愛原「おはよう」

 リサはTシャツに紺色ブルマという恰好で自室から出てきたのだが、起きたばっかりで眠いという感じにしては、やや具合が悪そうだった。

 愛原「どうしたんだ?」
 リサ「うん?何か、眠りが浅かったの……」
 愛原「よく眠れなかったのか?」
 リサ「うん……まあ、そんな感じ。変な夢とか見たし……」
 愛原「そうなのか」

 まあ、このくらいなら、よくあることだろうと思っていたのだが……。

 愛原「今日、診療所に行くけど、大丈夫か?」
 リサ「うん、大丈夫」

 ということだったので。
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“私立探偵 愛原学” 「リサの異変?」

2023-02-25 16:03:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月16日18時40分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅]

〔2番線の電車は、各駅停車、大島行きです。きくかわ~、菊川~〕

 私達は無事に菊川駅に辿り着いた。
 鉄道会社や路線名こそ違えど、高尾山口駅から線路で繋がっている。
 電車を降りると、私達は階段に向かった。
 そして、電車は風を巻き起こしながら発車して行った。
 強風で、リサの髪が靡く。
 サラサラと揺れる髪に触れてみたいと思ったが、唐突も無く触ると、さすがにびっくりするだろうと思い、それはやめておいた。
 驚かせてしまったことにより、暴走してしまったBOWの話は聞いたことがあるからだ。

 リサ「ん?」

 前を歩くリサが、私の方を振り向いた。

 リサ「どうしたの?」
 愛原「あ、いや、何でもない」

 階段を上がってコンコースに出る。

 リサ「トイレに行きたい」
 愛原「ああ、分かった」

 JRの駅などは改札内にトイレがあることが多いが、都営地下鉄では公衆トイレの意味合いもあるのか、改札外にトイレがある。
 改札口を出てからトイレに向かった。

 愛原「リサのヤツ、随分寝てたな?岩本町辺りから、スマホを何度も落としそうになってたぞ?」
 高橋「さすがの化け物も、今回は疲れたんでしょうねぇ」

 高橋はカラカラ笑っていた。

 愛原「ふーん……そういうものかな?」

 確かに私も疲れたが、体力自慢の高橋よりも更に化け物のリサだ。
 しかもこれから楽しい夕食だって時に、眠くなるというのはあまり無い。
 疲れて免疫力が落ちて具合が悪くなったのかとも思うが、体内に生物兵器ウィルスを2種類も宿しているBOWだ。
 コロナウィルスはおろか、エボラウィルスさえ食い殺してしまう生物兵器ウィルスの持ち主が、そんなんで具合が悪くなるとは思えない。
 だいいち、その割には昼食はガッツリ食ってたからな。

 リサ「お待たせ」

 トイレから出てきたリサは、多少スッキリした顔をしていた。
 もしかしたら、トイレを我慢していたのかもしれない。
 京王高尾温泉のトイレを使用してから、1度もトイレには行っていなかったからだ。
 いくら有料特急の“京王ライナー”と言えども、さすがにトイレは無いし、ましてや乗り換え先の地下鉄も当たり前だ。
 トイレに行けなかったせいで、少し具合が悪かったのかもしれない。

 愛原「ああ。それじゃ、ファミレスに行こう」

 私達は地上に向かうエスカレーターに向かった。
 もっとも、エスカレーターは途中までで、そこからは階段となるのだが。

[同日19時00分 天候:晴 同地区 ジョナサン菊川店]

 ファミレスに入る。
 リサはビーフステーキを希望した。
 私はチキンステーキにしたが。
 あとは、ビールだな。
 リサはドリンクバーだが、私と高橋はビールを注文した。

 愛原「大丈夫だったか、リサ?」
 リサ「何が?」
 愛原「電車内で、随分眠そうにしていたが……」
 リサ「さすがに少し疲れただけだよ。だから研究所って嫌い」
 愛原「まあ、さすがに人間ドックを喜んで受ける人はそんなにいないだろうがな」
 リサ「さすがに、久しぶりに全力で体を動かして疲れたというのもある」
 愛原「それもそうか」

 まさかと思うが、善場主任もダウンしてないだろうな?
 善場主任が大学生時代に着ていたという女子陸上ユニフォームは、なかなか似合っていたが……。
 すると、リサが不審な顔になった。

 リサ「何を考えてるの?」
 愛原「あ、いや……。今日はお疲れさん」
 リサ「昨日から大変だったよ」
 愛原「それもそうか」

 しばらくして、料理が運ばれてくる。
 リサは運ばれてきたステーキを、ガツガツと食べ始めた。
 やはり、けして食欲が落ちているというわけではないようだ。
 具合が悪かったのではなく、純粋に疲れて眠かっただけか。

[同日20時30分 天候:晴 同地区 愛原のマンション]

 夕食が終わって帰宅する。

 高橋「洗濯物はカゴに入れとけよ」
 リサ「はーい。特に今日なんか、汗かいたからね」
 愛原「だよなぁ……」
 リサ「JKの汗まみれの体操服とブルマ、何万円で売れるかな?」
 愛原「オマエ、どこでそんなの覚えた!?」
 リサ「学校」
 愛原「未だにブルセラなんて流行ってるのか?」
 リサ「何それ?……んーとね、『魔王軍』のコがイジメっ子に『ネットでオマエの下着とブルマ売れるから脱げ』って言われたんだって」
 高橋「女ってのは、やることエゲつけないっスねぇ~」
 愛原「で、どう対処した?」
 リサ「寄生虫植え付けて、授業中おもらしの刑」
 高橋「やっぱりw」
 リサ「『今度うちのメンバーに手を出したら、次は全体朝礼deおもらしの刑だ』って警告しておいた」
 高橋「おおっ!さすがだぜ!」

 元ヤンの高橋も、制裁とかリンチには反応するようである。

 愛原「あんまりやり過ぎると、BSAAから言われるからな?気を付けろよ」
 リサ「何もされなかったら、わたしも何もしないよ」

 リサは苦笑いをしながら言った。
 この性格は人間時代からのものだったのだろうか?
 それとも、BOW日本版リサ・トレヴァーになってから?

 高橋「『やられたらやり返す!倍返しだ!』ってな」
 リサ「おおー!」
 愛原「懐かしいフレーズが出てきたな」
 高橋「というわけで、オマエの下着とブルマはネットで売るか」
 リサ「あいつら、わたしのなら5万円はいけるってよ?」
 高橋「なにっ!?」
 愛原「おい、お前ら!いい加減にしろ!!」
 高橋「さ、サーセン」
 リサ「ご、ゴメン。これは先生のだったね……」
 愛原「いや、いいから、普通に洗濯しろ!だいたい、そのブルマ、体育で使うんだろうが」
 リサ「そうだった」

 それにしても、地味なスポプラとスポーツショーツでも、JKが着ていたというだけで高値で取引されるとは……世も末だ。

[10月17日06:30.天候:晴 同マンション]

 翌朝になり、私は起床した。
 洗面所に行くと、隣のバスルームではシャワーを使用している音がする。
 リサだった。
 実は昨夜、とても強い眠気に襲われたリサは、入浴せずにそのまま眠ってしまったのだ。
 それで今朝、起きてからシャワーを浴びているというわけか。

 愛原「おっ、リサ」
 リサ「あっ、先生。おはよう」
 愛原「大丈夫なのか?昨夜、急に眠ってしまったが……」
 リサ「やっぱり疲れてたんだね。今は大丈夫だよ?」

 バスルームからバスタオル1枚を羽織っただけのリサが出てきた。

 リサ「すぐに着替えるからね」
 愛原「ああ」
 リサ「それとも見る?先生なら特別タダでいいよ?」
 愛原「体の安売りはイカンよ」
 リサ「それは残念。まあ、確かにそうだよね。だったらね、高いうちに先生に買ってもらうからね?」
 愛原「何だそりゃ……」

 リサはパパッと制服に着替えた。
 10月は調整期間であり、夏服でも冬服でも両方着用が認められている。
 11月を以って、完全に冬服が実施される。
 リサはまだ冬服のブレザーは着ておらず、夏服のブラウスの上にグレーのニットのベストを着用した。
 左胸に校章のワッペンがあり、これも制服の一部なのだと分かる。
 尚、下は夏服の緑色のスカートだった。

 愛原「今日は普通に、午後に帰ってくるんだろ?」
 リサ「そうだよ」
 愛原「分かった」

 私は顔を洗いに洗面所に向かった。
 ドラム式洗濯機からは、稼働する水の音が聞こえる。
 たまたまドアの窓には、洗濯中のリサの緑色のブルマが見え隠れしていた。

 リサ「文化祭の打ち合わせとかあるから、もしかしたら、少し遅くなるかもしれないけどね」
 愛原「そうか。体育祭の次は、文化祭の時期か……」

 『魔王様の肖像画』が展示され、またもやリサは、出し物でBOWの役を本人役で演じるのだろうか?
 オリジナルのリサ・トレヴァーの役をやった時は、リアル過ぎて、校舎内に絶叫や悲鳴が響き渡ったというが……。
 さすがは、今や“学校の七不思議”のほぼ全てを掌握した歩く生物兵器である。
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