報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの誕生日パーティー」

2023-02-01 20:32:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月1日16時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 

 今後は高価になるであろう絵画があるので、大事を取ってタクシーで帰宅した。
 アプリで呼んだタクシーに、私は助手席に座り、合流した上野凛も含めて、少女3人は後ろに乗ってもらった。

 愛原「あ、ここでお願いします」
 運転手「はい、こちらですね」

 タクシーは表側の新大橋通り側ではなく、裏手の駐車場側に止めてもらった。
 私がカードで料金を払っている間、少女達は先に降り、トランクから荷物を降ろしている。

 凛「先輩のお家、久しぶりです」
 リサ「ん。外泊許可は大丈夫?」
 凛「はい。それはもう」
 リサ「早速、絵を飾ろう」
 桜谷「リサ様のお部屋ですよね?」
 リサ「当然」
 愛原「おい、待て待て」

 先にマンションに入って行く少女達を追い掛ける私。
 領収書はちゃんと保管しておく。

 愛原「パーティーは18時からだろ?食事もその時間に届くようにしてあるから」
 リサ「おー、先生!太っ腹!……後で参加費、徴収するから」
 桜谷「はい」
 凛「分かりました」
 愛原「え、参加費取るの!?」
 リサ「え?だって、パーティー券売って、資金を稼ぐってネットに書いてあったよ?」
 愛原「それ、政治家!議員さんがよくやるヤツ!」
 リサ「おー!」
 桜谷「参加費という名目はあれですが、食事代くらいは出しますよ」
 凛「さすがにね」
 愛原「別にいいのに……」

 エレベーターを降りて、部屋に向かう。

 リサ「因みに、何を頼んだの?」
 愛原「弁当屋のオードブルと、宅配ピザのパーティーセットだけど……」
 リサ「ケーキは?」
 愛原「それも注文してある」
 桜谷「そうなんですか?」
 愛原「え、なに?」
 桜谷「いえ、淀橋先輩が、『小島とケーキ手作りしてくる』って言ってましたけど……」
 リサ「あ、忘れてた。あの2人、最近、お菓子作りにハマってるんだった」
 愛原「マジか……」
 リサ「まあ、皆で食べれば大丈夫」
 愛原「あのなぁ……」

 私は呆れた。

 愛原「あとは飲み物だ。100円ローソンに買いに行くぞ」
 桜谷「あっ、私が行ってきます!」
 凛「私も」
 愛原「そうか。これで、適当にペットボトルのジュースと紙コップでも買ってきて」

 私は現金を渡した。

 リサ「オレンジジュースね」
 桜谷「オレンジジュースですね!」

 桜谷さんと凛さんがジュースを買いに行った。

[同日18時00分 天候:曇 同マンション]

 弁当屋のオードブルと、宅配ピザ店からのパーティーセットが届く。

 リサ「おー!御馳走!」

 更にはケーキも。

 淀橋「手作りケーキです!」

 なので2つあることになる。

 上野理子「お姉ちゃん、こんなに食べたら太っちゃうよ」
 凛「あんたの誕生日じゃないんだから……」
 愛原「それじゃ、適当に始めるか」
 淀橋「今日は高橋さん、いないんですか?」
 愛原「あいつは今頃、東名高速を爆走してるよ。多分、今日は帰って来ないだろ」
 リサ「わたしよりも友達を選んだ」
 淀橋「ちょっと男子ィ!」
 愛原「い、いや、俺は関係無いだろ!」

 私はそそくさと、缶ビールの蓋を開ける。
 リサはヒョイヒョイと、オードブルから肉類を中心に皿に取った。

 桜谷「リサ様、誕プレです!」
 リサ「おー、サンクス!」
 愛原「一体、何なんだ?」

 さすがは美術部員というべきか。
 はがきサイズの小さな物であったが、リサの肖像画だった。
 『魔王様の肖像画』が、どちらかというと禍々しい雰囲気のリサが描かれているのに対し、こちらのリサは頭に花輪を乗せ、白い服を着ているなど、清楚なイメージだった。

 小島「あら、かわいい!」
 淀橋「いつの間にモデルになったの?」
 リサ「知らない。サクラヤ、これは?」
 桜谷「空いた時間に、想像で描いてみました。なので、どちらかというと、アニメ絵に近いかもしれませんが」
 リサ「いや、素晴らしい!ありがとう!」
 愛原「リサ、俺からはクオカード」
 リサ「ありがとう。この分だと、善場さんからは図書カードをもらえそうだね」
 愛原「だろうな。因みに善場主任は今日は忙しいから、明日渡すってさ」
 リサ「ほおほお……。男かな?」
 愛原「どうだろうな」

 すると、リサのスマホにLINEの着信が来た。
 それは善場主任からで……。

 リサ「げっ!『バカなこと言ってると、カードの額、減額しますよ』だって!監視されてる!」
 淀橋「さすがは政府機関……」

 リサが寄生虫で『魔王軍』を結成しているのと同様、善場主任も善場主任で、リサに何かを植え付けて監視しているのだろう。
 なので、滅多なことはできないのである。

 小島「でも、否定はしないんだね」
 愛原「た、確かに……」

 すると、私のスマホにも着信。

 愛原「『いい加減にしませんと、次の仕事は別の探偵事務所に回しますよ。やめてもらっていいですか?(笑)』だって!?やべっ!俺も監視されてる!」
 凛「政府機関からの仕事って、物凄く報酬は高いそうですけど、こういう弊害もあるんですね」
 愛原「う、うん。そうだな……。この話は終わりにしよう、うん。さて、次のプレゼントは誰かな?」
 淀橋「あ、はい。私です」
 リサ「ヨドバシとコジマは、あのケーキじゃないの?」
 淀橋「あれは、パーティーの参加費代わりです。もう1つのプロフェッショナルのケーキと比べると、ちょっと形が悪いですけど……」
 愛原「いや、大丈夫だよ。味は良さそうだよ」
 リサ「うん。いい匂いはする」
 淀橋「ありがとうございます」

 プレゼント贈呈の後はゲームをしたりと、盛り上がった感じではあった。
 一方、高橋の方はというと……。

 高橋「足柄サービスエリアの温泉っス!今夜はここに1泊してから、東京に戻ります!」

 というLINEが来た。
 どうやら高橋は高橋で、ドライブを楽しんでいるらしい。
 今のところ、警察の御厄介になるようなことはしていないようだ。

 愛原「リサへの誕プレ兼土産を忘れるなよ」

 という返信をしておいた。
 すると……。

 高橋「大丈夫ですって!超OKっスよ!」

 ということだった。
 まあ、信じるとしよう。
コメント (4)
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“私立探偵 愛原学” 「2枚目の絵画、ゲット!」

2023-02-01 15:46:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月1日15時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 私はPTA会長代行として、入構許可証を着けて校内に入った。

 伊藤(👨)「南原先生の個展に行ってきたんだって?凄い作品が一杯だっただろ?」
 リサ「はい。凄かったです」
 愛原「それはもう、いろんな意味で……」

 山岳労働者や港湾労働者が、何故かヤクザの幹部みたいに描かれていたり……。

 愛原「南原先生からは許可を得ています。リサが欲しい絵を頂きに参りました」
 伊藤「分かりました。それじゃ、美術室に」
 リサ「カードもある」
 伊藤「ん?」

 リサ、いつの間に作ったのか、まるでキャッツアイの犯行予告のようなカードを出した。
 ご丁寧に、『10月1日午後、南原清士の“魔の手に襲われる少女達”を頂きに参ります。 魔王軍総統・愛原リサ』と、書かれている。

 “魔の手に襲われる少女達”というのは、正式なタイトルではない。
 南原氏が自分の作品を卒業したこの学園に寄贈したのは、この学園で起きている怪異現象について、関係者全てに警告を発する為である。
 その際、特に作品にタイトルを付けるようなことはしなかったという。
 余計なタイトルを付けて、変な先入観を持たれるのを防いだとのことであるが、私に言わせれば、それは逆効果だったと思う。
 結果的に、エロ描写の部分が、『教育に悪い』とされ、展示されることはなかったのだから。

 伊藤「この絵!この絵だよ!」

 リサは急いで、所望している作品を取り出した。

 愛原「ほほう……」

 まだ東京中央学園で、当たり前のようにブルマが着用されていた時代。
 校庭で授業を受けていた少女達(モデルは南原氏の娘達のようだが、時代的に合わないので、別人か)が、突如として地面から無数に現れた青紫色の手に襲われるというもの。

 愛原「……マドハンドかな?」
 リサ「マドハンドだよね?」
 桜谷「マドハンドって、この色でしたっけ?」
 伊藤「何で皆さん、他の人達と同じ反応をするんですか」

 尚、ドラクエシリーズに出てくる実際のマドハンドは、もっとドロッとした手であり、色も黄土色に近い。
 但し、シリーズによっては、色違いの亜種とかもあるようなので、その中に青いタイプの者もいるかもしれない。

 桜谷「絶対男子、手前のコの下半身を隠している手の化け物に、『退け!』と言いそうですよね?」
 愛原「……ゴメン。それ、俺も思った」

 手前の少女は完全にブルマとショーツを下ろされており、しかし肝心の股間はマドハンド(便宜上の呼称)に隠されている。
 その右側の少女は脱がされてはいないものの、ブルマの上から尻を触られている。
 なるほど。
 リサが喜びそうな絵だ。

 伊藤「愛原、こういうのが欲しかったのか?」
 リサ「そうです。気に入りました。南原先生には、話を付けてあります。……ので、これを頂いて行きます」
 桜谷「待ってください、リサ様。今はプロの画家として活動されておられる方の作品です。今は、物凄い値段が付くかもしれません」

 学校に寄贈された当時、まだ南原氏はプロデビューをしていなかった。
 しかしながら、画家の名前が売れ、その作品が高値で取引されるようになると、デビュー前の作品にですら、高値が付くこともある。
 それは小説家にも言えることで、文壇の大家が死後、デビュー前の原稿が見つかったりすると、ちょっとしたニュースになるのはその為だ。

 リサ「それで?これは売らないよ」
 伊藤「そうじゃなく、そのまま持って帰るんじゃなく、ちゃんと梱包しろって言ってるんだ」
 リサ「……なるほど。でも、梱包材は……」
 伊藤「それくらい、用意してやるよ。ちょっと待ってろ」

 私は待っている間、他の作品も観てみることにした。
 せっかくのプロ画家の作品だというのに、『教育に悪い』という下らない理由で、埃まみれにするなんて勿体ない。

 愛原「おっ、これは!逆さ女!」
 リサ「サスペンデッドでしょ?」
 桜谷「確か、講堂の上にある宿泊施設に現れるという人食い妖怪のことですね。先輩から、何年か前の新聞部の七不思議特集に出てきたって言われました」
 リサ「わたしも聞いたことある。……今もいるのかな?」
 愛原「どうせこれも、特異菌による幻覚なんだろう?それに……」
 リサ「それに?」
 愛原「学校の中を、獲物を求めて探し回った人食い鬼がここにいるじゃないか。当然、その講堂の上とやらは行ったんだろ?」
 リサ「うん。2段ベッドがズラッと並んでた」
 愛原「で、そこにこんな人食い妖怪が潜んでいたら、オマエ、気づくだろうが」
 リサ「確かに。そんな気配は無かった」
 愛原「そういうことだよ」
 リサ「獲物を取り合って、『流血の惨を見る事、必至であります』!」
 愛原「……卒業まで、血の雨を降らせるのはやめような。もう既に、自殺者が出てるんだから」
 リサ「うん……」

 逆さ女が現れるという宿泊施設は、主に運動部が学内合宿で使用する為の物だという。
 その為か、それに襲われる少女2人は、またもや学校指定の体操着に緑色のブルマを穿いていた。
 但し、校庭の時のように、脱がされたりしていることはなく、エロ描写は全く無かった。
 恐らく名前の通り、襲う側も女なので、そういうエロ系攻撃はしないタイプなのだろう。
 全く、つまらん!

 伊藤「お待たせしました」

 リサの美術教科担任の伊藤先生が、新聞紙や段ボールを持ってくる。
 まずは新聞紙で額縁全体を包み、その上から段ボールを貼って緩衝材とし、それから結束バンドを付けて、プラスチック製の持ち手を付けるという徹底ぶりだった。

 愛原「すいませんね。こんなものまで用意して頂いちゃって……」
 伊藤「OBで、しかも今はプロ活動している画家の作品ですからね。これくらいはしませんと」

 こりゃ、帰りは電車に乗るのはやめた方がいいかもな。
 ここからマンションくらい、タクシーで帰るか。
 私がリサにそう言うと……。

 リサ「ちょっと待って。リンも今、学校にいるんだって」
 愛原「そうなのか。部活か?」
 リサ「うん。陸上部」
 桜谷「誕プレ、ちゃんと用意してるんだろうか……」
 リサ「大丈夫なんじゃない?サクラヤは?」
 桜谷「ちゃんと用意してあります」

 桜谷さんは大きく頷いた。

 愛原「そうか。じゃあ、もし良かったら、一緒に行くかどうか誘ってみてくれ」
 リサ「分かった」

 その結果、上野凛は誘いに乗るそうだ。
 尚、妹の上野理子は中等部の校舎にいるという。
 もっとも、中等部は家から歩いて行ける距離なので、こちらも問題は無いだろう。
 また、こちらの姉妹も学校から直行するつもりだったようで、既に準備はしてあるという。

 リサ「リンには陸上部のユニフォームを用意してもらおう」
 桜谷「本気ですか?さすがですね」

 何だか、『魔王軍』の会話が聞こえたような気がしたが、私はタクシーアプリの操作中として、聞こえないフリをしておいた。
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