報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「久しぶりの6番街」

2022-08-20 20:37:22 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月17日19:00.天候:晴 アルカディアシティ6番街→三星亭]

 辻馬車がもうすぐ6番街に到着する。

 勇太:「そういえばマリア」
 マリア:「なに?」
 勇太:「思ったんだけど、この時間になったってことは、この町にまた一泊するでしょ?」
 マリア:「そういうことになりそうだね」
 勇太:「6番街と言えば、あれだ。ワンスターホテルの姉妹店、三星亭があったでしょ?」
 マリア:「ああ!ジーナが働いてるところ!」
 勇太:「そう。今夜はそこに泊まるってのはどう?」
 マリア:「部屋が空いてるといいな。でもさ、それだったらサーシャの所に行く必要も無いんじゃない?三星亭の女将さんが知ってるかもよ?」
 勇太:「あっ、そうかぁ……」

 元々は6番街で店を経営しているという、魔界共和党の後援会幹部を訪ねて来たのだ。
 その情報を得る為に、サーシャとエリックの道場に行こうと思ったのだが……。
 宿屋の女将だって、その辺の情報は知っているはずだ。

 勇太:「どうせ泊まるんだったら知ってる所の方がいいし、女将さんも知ってそうだもんね」
 マリア:「そういうこと」

 すると、馬車が止まった。

 御者:「着いたぜ。ここが6番街のカブキンシタウンだ」

 ここへ流れ着いた日本人達が、東京の歌舞伎町と錦糸町をイメージして造った町なので、そういう名前が付いた。

 勇太:「ありがとう」
 マリア:「はい、約束の280ゴッズ」
 御者:「毎度!楽しんで来いよ!」

 馬車を降りて、煌びやかな繁華街の中に入る。

 客引き:「眠らない町、カブキンシ!一晩中遊ぶもよし!働くのもよし!さーて、お2人さんは……」
 勇太:「結構です!マリア、行こう!」
 マリア:「うん!」

 勇太はマリアの手を引いて、三星亭へ向かった。

 勇太:「『株、禁止』に聞こえる町だな……」
 マリア:「なに?」
 勇太:「FXの取引が禁止されている町に聞こえる」
 マリア:「Huh?」

 そして、三星亭に行くと……。

 ジーナ:「そこの御両人!今夜の宿はお決まりですか?」
 勇太:「えっ?」
 ジーナ:「お2人にピッタリの部屋が空いておりますよ!」
 マリア:「ジーナ!客引きやってるのか!?」
 ジーナ:「そ、その声は……!?マリアンナ先輩!?」
 勇太:「客引きしてるってことは、部屋が空いてるってことだよね?」
 ジーナ:「そ、そうです!」
 勇太:「早速、一泊させてもらいたいんだけど、いいかな?」
 ジーナ:「大歓迎です!どうぞ!」

 ジーナの後を付いていく2人。
 よく見ると、ジーナはマリアのよりも短いスカートを穿いている。
 エレーナよりも、ハードな宿屋の仕事をしているようだ。
 まあ、東京の下町のビジホと歓楽街の宿屋では、自ずと仕事内容も変わって来るか。

 ジーナ:「お客様お2人、ご案内でーす!」
 女将:「いらっしゃい。この宿屋は食事もベッドも最高だよ」

 女将がにこやかに出迎える。
 ワンスターホテルと違って、ここでは女将が前に出ている。

 勇太:「女将さん、お久しぶりです」
 女将:「おや、あなた達は……」
 勇太:「部屋が空いてるそうですね?一泊お願いしたいんですが?」
 女将:「どうぞどうぞ。2階のお部屋が空いてますよ」

 RPGの世界にある宿屋のデフォである。
 1階は酒場になっていて、2階が宿屋というパターン。
 また、夜は酒場だが、それ以外の時間帯は普通の飲食店という所もある。

 女将:「今、ツインの部屋しか空いてないんですけど、いいですか?」
 勇太:「いいですよ」
 女将:「お風呂ありの方がいいですか?」
 勇太:「それでお願いします」
 女将:「それでは前金で500ゴッズになります」
 勇太:「はい」
 女将:「今からお食事になさいますか?」
 勇太:「いえ、食事は取って来たので大丈夫です。それより女将さん、後でちょっとお話を伺いたいのですが?」
 女将:「はあ……構いませんけど。取りあえず、先に荷物を置いて来てはいかがでしょうか?」
 勇太:「そうします。マリア、行こう」
 マリア:「うん」

 勇太は鍵を受け取ると、2階への階段を昇って行った。
 1階は酒場もあることから喧噪に満ちているが、2階はそれが遠くから聞こえてくるといった感じ。
 部屋に入ると、そんな喧噪も殆ど聞こえて来なくなった。
 もっとも、窓を開けると、今度は外から繁華街の喧噪が聞こえてくるが。

 マリア:「私はこっちで寝るから、勇太はそっちで寝て」
 勇太:「分かった」

 一息ついてから、再びフロントに向かう。

 ジーナ:「ごゆっくりお過ごしください」
 勇太:「今度はフロントに入ったの?」
 ジーナ:「女将さんの話が終わるまでです」
 女将:「お2人さん、こっちへ」

 女将は勇太達を個室に招き入れた。
 おかげで喧噪な酒場から、逃れることができる。

 女将:「それで、話って何ですか?」
 勇太:「実はこの町に住む、クリスティーネ吉田さんって方を捜しているんですが……」
 女将:「ああ、あのマッサージ屋の。それがどうしたんですか?」
 勇太:「マッサージ屋さんなんですか!」
 女将:「ええ。値段は高いけど、腕は確かな人ですよ」
 勇太:「その人、魔界共和党の後援会の幹部なんですよね?」
 女将:「そうそう。この前も、推薦状ってのをもらいに行った人がいたそうなんですけど、体よく追い出されたそうですよ」
 勇太:「追い出された!?どうして!?」
 女将:「さあ……。あの人も好き嫌いが激しい人だから……。もちろん客商売だから、お客様にはちゃんとした態度ではあるんですけどね」

 気難しい人間なのだろうか。

 勇太:「実は僕達も、推薦状をもらいに来たんです」
 女将:「そうなの!?」
 勇太:「追い出されたりしないだろうか……」
 女将:「いきなり頼むのではなく、まずは御客として行って、機嫌を確かめてから頼んではどうかしら?」
 勇太:「あ、なるほど!その手があったか!」
 マリア:「でも、高い料金なんでしょう?」
 女将:「ピンキリね。でも、頼み事をするんだったら、料金の高いコースを頼んだ方がいいかもね」
 勇太:「やっぱり……」

 だが幸いなことに、サハギン退治の褒賞金で、それなりに所持金はある。
 この所持金の範囲内で、何とかするしかないだろう。

 勇太:「しょうがない。行ってみるか。そのマッサージ屋さんはどこに?」
 女将:「この店の北東。東門の近くにありますよ」
 勇太:「ありがとうございます」

 2人はクリスティーネ吉田のマッサージ店に向かうことにした。

 勇太:(まさか、性感マッサージとか、メンズエステ店とかじゃないだろうな?)
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“大魔道師の弟子” 「6番街へ」

2022-08-20 16:09:17 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月17日16:00.天候:不明 アルカディアシティ アルカディアメトロ6号線トンネル内]

 何故か名古屋弁を喋るザコサハギンを倒した後、勇太達の前に現れたのは、何故か津軽弁を話す上位種のサハギンロードであった。
 それも粗方倒したかと思ったが……。

 サハギンキング:「退け!おめェらの相手じゃねぇ!」

 サハギン達を統べるボスが現れた。
 サハギンロード達も体が大きかったが、サハギンキングはそれよりも大きい。
 また、体表も黄色ではなく、赤い鱗であった。
 それまでのサハギン達がほぼ裸だったのに対し、現れたボスは赤い鎧を身に纏い、兜を被っている。

 サハギンキング:「てめぇら、許さねぇ!」
 勇太:「今度はどこの方言だ!?!」
 サハギンキング:「な、何言ってやがんでぇ?」
 勇太:「江戸弁かな?」
 ジェシー:「だけど、さすがにヤバそうだよ!?」
 アンジー:「皆、大丈夫かい!?」
 マリア:「まだMPはある!」
 勇太:「津軽弁や琉球語じゃなければ大丈夫!」

 相変わらず、勇太だけが意味不明。

 ジェシー:「でやぁーっ!」

 ジェシーが切り込み隊長とばかりに、サハギンキングに斬り掛かる。
 が!
 大きな金属音がしただけだった。

 サハギンキング:「べらぼうめ!この鎧は、女の力じゃ斬れねぇシロモンよ!」
 勇太:「やっぱり江戸弁だ!」
 マリア:「防御力が強いのか!だったら、私が魔法で!パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。Lu ca……」
 サハギン:「させるぎゃ!」

 生き残っていたザコサハギンが、後ろからマリアに飛び掛かった。

 マリア:「……niっ!?」

 後ろから体当たりされたマリアは、前から倒れた。
 だが魔法は発動し、杖から下方向に魔法の光が飛んで行く。

 サハギンキング:「!?」

 マリアの狙いは、頑丈な兜と胸当ての装甲を外すことにあった。
 しかし、ザコサハギンの不意打ちにより、下方向へ飛んで行った。

 サハギンキング:「うぉっ!?てやんでぇ!何しやがんでぇ!」

 サハギンキングの股当てが下着ごと落ちた。

 勇太:「何をするんだ!?ベギラマ!!」

 勇太、怒りの攻撃魔法。
 ザコサハギンは炎に包まれて、本当に焼き魚……もとい、焼死した。

 勇太:「マリア、大丈夫か!?」

 マリアは顔から地下鉄のレールにぶつかった為、鼻血が出ていた。

 勇太:「ほら、回復薬!これを使って」
 マリア:「Thanks...」

 マリアは回復薬を使い、HPを回復した。
 鼻血も止まる。

 マリア:「私の魔法は効いたのか?……って!?」
 勇太:「変な所に効いたみたいだよ?!」
 マリア:「な、何あれ!?」

 サハギンキング、下半身だけまっぱである。

 ジェシー:「気持ち悪いモン見せるんじゃないよ!」
 サハギンキング:「あの魔女、ブッ殺す!」
 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!」

 サハギンキング、【ぴー】をぶらぶらさせながら、バトルアックスを抱えてマリアに突進する。

 マリア:「Beam!」

 魔法の杖から、光の矢が放たれた。
 それがサハギンキングの【ぴー】に突き刺さる。

 サハギンキング:「!!!!!!!!!!」(←声にならない叫び)

 そのままズゥンと仰向けに倒れて悶絶する。

 ジェシー:「今だ!トドメを刺すよ!」
 アンジー:「OK!」

 こうして勇太パーティーは見事、勝利を収めたのだった。

[同日18:00.天候:晴 アルカディアシティ1番街 某飲食店]

 傭兵ギルドのおエラ:「ヒョウショージョー」
 魔界高速電鉄のおエラ:「カンシャジョー」
 勇太:「どうもどうも」

 サハギンキングまで倒したことで、褒賞金だけでなく、表彰までされた勇太達だった。
 また、魔界高速電鉄からも感謝状と金一封をもらった。

 ジェシー:「魔法使いさんはバカにできねーな!」
 アンジー:「これからは足向けて寝れないね!」

 上機嫌の女戦士達に、夕食を御馳走になった。

 勇太:「じゃあ僕達、そろそろ6番街に行かないと」
 ジェシー:「もう行くのかよ?」
 マリア:「まずはサーシャとエリックに会わないといけないんでね」
 アンジー:「師範達を知ってるのか!?」
 勇太:「うん、知ってる。エリックが行方不明になっていた時、サーシャと一緒に捜したことがある」
 ジェシー:「知ってる!あの時も魔法使い達の協力があったって聞いてたけど、アンタ達だったのか!そりゃ強いわけだわ!」
 アンジー:「アイシャもバカだね。いくら得体の知れない奴だったからって、乞食と同じ扱いをしたもんだから、あんな目に遭うんだよ」
 勇太:「傀儡師の事か。何があったの?」
 アンジー:「他国から流れ着いた傀儡師を乞食扱いした仲間がいたんだ。そしたらそいつが傀儡師で、怒ったそいつはアイシャに色々と嫌がらせしたんだよ。結局はこの国の法律に引っ掛かって、捕まって死刑になったんだけど」
 マリア:「その傀儡師は男か?」
 ジェシー:「そうだよ」
 マリア:「アイシャって人は女?」
 ジェシー:「そう。しかも、アタシらよりも美人だよ」
 マリア:「……ああ、うん。やっぱりか」
 勇太:「何?」
 マリア:「傀儡師の男が、美人の女戦士に目を付けて嫌がらせした。このシチュエーションだけで、どんな嫌がらせか大体想像はつく」
 勇太:「……セクハラのオンパレードか」
 ジェシー:「かなり有名な話だからね、サーシャ師範代からは必ず教わることだよ」
 勇太:「そういえば僕も、聞いたことあるなぁ……」
 マリア:「それより、早く行こう」
 勇太:「6号線は結局、今日一杯は運休じゃなかったっけ?」

 サハギン達によって破壊された鉄道施設を復旧させる必要があったからだ。

 マリア:「タクシーで行くよ?」

 マリアは褒賞金である金貨をチラつかせて言った。

 勇太:「なるほど。お金はできたもんね」

 勇太達はジェシー達と別れ、1番街駅前のタクシー乗り場に向かった。
 もちろんタクシーといっても、自動車交通の無いアルカディアシティ。
 実際は辻馬車である。
 といっても、幌の上に『TAXI』と書かれた行灯を掲げているのだが。

 マリア:「6番街までよろしく」
 御者:「6番街?ちょっと遠いから、300ゴッズはもらうよ?」
 マリア:「250ゴッズだな」
 御者:「250ねぇ……。だったら、280ではどうだい?」
 マリア:「分かった。じゃあ、280で」
 御者:「毎度!」

 因みにこのように、料金はメーター制ではなく、交渉制である。
 勇太とマリアを乗せた辻馬車は、6番街に向けて出発した。
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“大魔道師の弟子” 「地下鉄に巣くうモノ」

2022-08-20 11:55:36 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月17日15:00.天候:不明 アルカディアシティ アルカディアメトロ6号線トンネル]

 運転士:「また冒険者が来たか。乗りな」

 ホームに行くと、角が生えた長身の職員がいた。
 角が邪魔で制帽が深く被れないのか、かなり浅めに被っている。
 鬼族の一種ではないかと思ったが、彫りの深い顔立ちをしているので、日本の鬼ではないだろう。
 恐らく、オーガの一種ではないかと思われる。
 しかし、王国に加担する魔族においては、一律にその法律を守らなくてはならない。
 当然、無闇な殺生・食人は禁止だ。
 アルカディアメトロの制服を着た魔族の職員は、ホームに停車している電車を指さした。

 勇太:「サハギン達はこの近くにいるんじゃないの?」
 運転士:「いや、何駅か先だぜ。その近くまで乗せてやる」
 ジェシー:「そりゃ助かる」
 アンジー:「私もこれで逃げてきたもんさ」

 4人は電車に乗り込んだ。
 車両は旧ソ連の国々で使われていた地下鉄車両に酷似している。
 今でも国によっては現役で使用されているが、近年新型車両への置き換えか進み、廃車が発生している。
 その廃車を頂いたものらしい。
 自動ドアがバタンと閉まる。
 いわゆる、ギロチンドアだ。
 古い電車ではよくある乱暴な閉まり方である。
 そして、電車が走り出した。

 勇太:「この6号線が工事中だった頃は、サハギンとも戦ったり、大きな蜘蛛の化け物と戦ったりしたけど、またそういうのと戦うことになるのかな?」
 ジェシー:「子グモのうちに電車に轢き殺されたり、電線に触れて感電したりするから大丈夫さ。そうして生き残ったヤツらでも、それに懲りて線路の近くに潜むことはない」
 勇太:「なるほど」

 途中の駅は営業を取りやめているのか、ホームに電気すら点いていなかった。
 そこは警笛を何度も鳴らして通過する。
 ホームの明かりが消えているので、駅名までは分からない。
 そうして、何駅か走り出した時、電車の速度が緩やかになった。
 古い電車だからか、ガクンガクン揺れながら速度を落として行く。
 そして、トンネルの途中で電車は止まった。

 運転士:「着いたぜ。ここから先は、歩いて行きな」
 勇太:「え?」

 運転室に入ると、運転士は貫通扉を開けた。
 電車の目の前には、また別の電車が停車していた。
 しかし、電源が落ちているのか、尾灯も点灯していないし、車内灯も点灯している感じがしない。

 運転士:「この電車が襲われたんだ。それ以来、サハギン共の監視所さ。よろしく頼むぜ」
 アンジー:「アンタはオーガだろ?あんたの仲間を集めて、応戦とかできなかったのか?」
 運転士:「俺は魔族だぜ?ここは被害者になっといた方がいいんだ。魔族同士でケンカになると、王国は両成敗にしてきやがる」
 勇太:「なるほど」

 勇太は一瞬、欧米における人種差別のようなものを思い出した。
 人間代表の安倍春明首相と、魔族代表のルーシー・ブラッドプール一世。
 後者の方が偉いから魔族の方が偉いように見えてしまうが、実際は違うらしい。
 ルーシーは吸血鬼の出自。
 その為、魔族もより人間に近い姿である方が偉いみたいな感じになっているのだそうだ。

 運転士:「ここは、人間に退治してもらうのが一番なんだよ」

 オーガは制帽を取って、額の汗を拭うような仕草をした。
 停車している前の電車は、昔のニューヨーク地下鉄に酷似していた。
 くすんだ緑色の古い電車である。
 その電車も貫通扉が開いており、そこから車内に入る。
 車内はセミクロスシート車だが、クロスシートは向かい合わせのボックスタイプではなく、背中合わせのタイプだった。
 日本ではこのようなタイプは無いが、海外の通勤電車では、まま見られる構造である。
 今でもニューヨーク地下鉄では、旧型車両で見られる。
 マリアは杖の先から、光を発した。
 因みに勇太はスマホのライトで、前方を照らしている。

 ジェシー:「さすが魔法使いは便利だね」
 アンジー:「ユータのも魔法具?」
 勇太:「ま、まあね」

 本当は向こうの世界の文明の利器なのだが、そういうことにしておいた。
 電車は何両編成なのかは不明だが、今乗って来た電車が4両編成だったことを考えると、同じ長さなのではないかと思う。
 最後尾には、誰もいなかった。
 そして、次の車両に行くと……。

 サハギンA:「! 人間どもぎゃ!?」
 サハギンB:「早く逃げ……」
 サハギンA:「たーけ!おみゃーら何しに来たがね!?」
 勇太:「何で名古屋弁?!」
 マリア:「そこはどうでもいい!あれがサハギンロード!?」
 ジェシー:「ありゃただのザコサハギンだ!行くぞ!」
 アンジー:「あれなら楽勝だね!」

 2両目にいたのは、何故か名古屋弁を喋るザコサハギンが2匹。
 その後、3両目と先頭車の4両目にもサハギンはいたが、どれもが青色のザコだった。
 で、何故か全員名古屋弁。

 勇太:「こりゃ、サハギンロードは広島弁でも喋ってくるのかなぁ?それとも土佐弁?」
 マリア:「だから、そこはどうでもいい」

 先頭車の貫通扉から、更にトンネルの向こうに出ると……。

 ジェシー:「おー、いたいた!」
 アンジー:「あれだよ。油断するな!」

 確かに体の色が黄色で、先ほどの名古屋弁……もとい、青色の普通のサハギンとは違う体型のサハギンがいた。

 サハギンロードA:「わんどの巣へよぐ来たねし」
 サハギンロードB:「したばって命けね?」
 サハギンロードC:「んでばどっすー?」
 マリア:「な、何言ってるんだ?」
 勇太:「津軽弁だったーっ!!」
 ジェシー:「え、あれ、サハギン語とかじゃなかったの?」
 勇太:「多分、津軽弁です……。さっきの名古屋弁より難しい!」
 アンジー:「とにかく、心して行くよ!あの男戦士3人を返り討ちにした連中なんだ!」
 勇太:「そ、それもそうだな!」
 サハギンロードA:「な、のれそれ行ぐべー!」

 サハギンロードAの津軽弁で、他にも隠れていたサハギンロード達がわらわら現れる。

 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ」
 勇太:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ」

 勇太達は魔法で援護する。
 勇太は補助呪文で、

 勇太:「攻撃力2倍!」

 女戦士達の攻撃力を倍増させる魔法を使い、マリアは……。

 マリア:「Fi la!」

 火炎魔法でサハギンロード達を攻撃する。
 このまま行けるか!?
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