[7月16日21:00.天候:曇 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
公衆電話から再び着信音が鳴る。
勇太:「さすがにまた横田ってことは無いよね?」
マリア:「多分」
勇太:「よし。取ってみるよ」
勇太は受話器を取った。
勇太:「もしもし?」
???:「我々ハ“噂の委員会”ダ」
勇太:「は!?」
まるでボイスチェンジャーで、わざと太い男の声にしているかのような音声が聞こえて来た。
???:「オ前達ガ魔王城ニ行ク事は叶ワヌ」
勇太:「な、何で僕達が魔王城に行くことを知ってるんだ!?」
???:「嘘ダト思ウナラ、魔王城ニ行ク前ニ、モウ1度魔界共和党ノ事務所ヲ訪ネルノダ」
勇太:「ど、どういうことだ?!」
???:「健闘ヲ祈ル」
勇太:「ちょっと待ってくれ!アンタは誰だ!?“噂の委員会”って何だ!?」
エレーナ:「“噂の委員会”?」
だが、電話は切れてしまった。
勇太:「な、何なんだよ、もう!」
勇太も電話を切った。
マリア:「誰なんだ?」
勇太:「知らない。名前は名乗らなかったし、ボイスチェンジャーの声っぽい声で、男か女かも分からないんだ。フザけてるよ」
エレーナ:「“噂の委員会”……どこかで聞いたような……」
エレーナは腕組みをして首を傾げた。
エレーナ:「マリアンナは聞いたこと無ェか?“噂の委員会”って」
マリア:「聞いたことないよ。何なんだ?」
勇太:「エレーナは聞いたことがあって、マリアは聞いたことない?」
マリア:「私は無い」
エレーナ:「私はどこかで聞いたことあるんだよなぁ……。どこだったっけなぁ……?」
マリア:「まさか、金を出せばすぐに思い出すパターンじゃないだろうな?」
エレーナ:「そうかもしれん。が、今回はガチの天然だぜ。もっとも、出してくれたら案外早く思い出したりしてな?」
マリア:「ちゃんと思い出したら、払ってやるよ」
勇太:「さすがに、いつ思い出せるか分からない状態で、先払いはできないねぇ……」
エレーナ:「そりゃそうだ。で、“噂の委員会”は何て言ってたんだぜ?」
勇太:「『僕達が魔王城に行く事は叶わない。嘘だと思うなら、魔界共和党の事務所に行って聞け』だってさ」
マリア:「何でそいつ、私達が魔王城に行こうとしているのを知ってるんだ!?」
勇太:「気味が悪いよね」
マリア:「いきなり魔界共和党が出て来るってことは、“噂の委員会”とは魔界共和党の関係だろうか?」
勇太:「あ、そうか!政党組織だと、内部に『○○委員会』とかあるもんね!」
エレーナ:「魔界共和党……だったかなぁ……?」
エレーナは尚も首を傾げている。
勇太:「魔界共和党でピンと来ないの?」
エレーナ:「来ないんだぜ、これが」
勇太:「そうなのか」
マリア:「取りあえず向こうに行ったら、魔界共和党を訪ねてみよう。その時、“噂の委員会”について聞いてみればいい」
勇太:「それもそうか」
エレーナ:「で、結局、イリーナ先生からは電話が来なかったと」
勇太:「そういうことになるね」
マリア:「一体、何をしているんだか……」
勇太:「ま、いいや。今夜のところは部屋に行って休もう」
エレーナ:「コンドーム、買い足しといたか?」
勇太:「ええっ!?」
マリア:「エレーナ!……まだ、『多い』からムリ」
勇太:「薬が効いてるんじゃないの?」
マリア:「あの薬は、あくまで体調不良を抑える薬であって、経血とかを止める薬じゃないからな?」
エレーナ:「それは残念だったな」
勇太:「それじゃ、映画を観るのはどう?」
マリア:「それならいいかも」
エレーナ:「そっちに有料チャンネルのカードの自販機があるんだぜ?1枚1000円だぜ。毎度ありー」
勇太:「はいはい」
勇太は公衆電話や自動販売機が並んでいる所に置いてある、有料チャンネルのカード販売機に1000円札を突っ込んだ。
マリア:「ずっと寝てたから、あまり眠くなくてね。悪いね、付き合わせて」
勇太:「僕は全然構わないよ」
勇太とマリアは、エレベーターに乗り込んで行った。
エレーナ:「やれやれ、展開的には『結局ヤる』パターンだろうな、ありゃ」
エレベーターが勇太達の泊まっている3階まで上がった後、今度は下に降りてくる。
エレーナ:「ん?」
誰か宿泊客でも下りてくるのかと思ったエレーナだったが、地下1階まで下りて行った。
その後、またエレベーターが1階に上がって来る。
そして、ドアが開いた。
リリィ:「エレーナ先輩」
エレーナ:「どうした、リリィ?部屋に戻って、さっさと寝ろと言っただろう?明日は稲生氏達より先に、魔界に行かなきゃなんないんだぜ?」
リリィ:「学校の宿題。学校に提出する書類に、保護者のサインが必要なんです」
この場合、エレーナが代行している。
エレーナ:「何だよ、宿題って……」
リリィ:「“噂の委員会”の調査票です」
エレーナ:「あーっ!そうだった!やっと思い出したぜ!リリィの学校の宿題じゃん!」
リリィ:「フヒッ!?な、何かマズかったですか?」
エレーナ:「オマエ、もっと早く上がってこいよ!」
リリィ:「フヒーッ!?ご、ごご、ゴメンナサイ……」
エレーナ:「オマエの学校の委員会活動?ということは……」
リリィ:「これは魔法学科の宿題です」
エレーナ:「当たり前だ。一般教養の宿題なワケねーだろ。こういう宿題を出すのは、うちの一門から派遣されているマスタークラスで、この委員会に参加しているのは……」
リリィ:「フヒヒ……」
エレーナ:「もしかして、イリーナ先生も関係してねぇ?」
リリィ:「はい。イリーナ先生は“噂の委員会 粛清部”です。あの……呪い針を討ち込むヤツの……」
エレーナ:「あー、そうなんか。やっと思い出したぜ……」
リリィ:「何かあったんですか?」
エレーナ:「いや、何でもねぇ。今、あの2人はいいトコロだろうから、明日でもいいか」
リリィ:「???」
公衆電話から再び着信音が鳴る。
勇太:「さすがにまた横田ってことは無いよね?」
マリア:「多分」
勇太:「よし。取ってみるよ」
勇太は受話器を取った。
勇太:「もしもし?」
???:「我々ハ“噂の委員会”ダ」
勇太:「は!?」
まるでボイスチェンジャーで、わざと太い男の声にしているかのような音声が聞こえて来た。
???:「オ前達ガ魔王城ニ行ク事は叶ワヌ」
勇太:「な、何で僕達が魔王城に行くことを知ってるんだ!?」
???:「嘘ダト思ウナラ、魔王城ニ行ク前ニ、モウ1度魔界共和党ノ事務所ヲ訪ネルノダ」
勇太:「ど、どういうことだ?!」
???:「健闘ヲ祈ル」
勇太:「ちょっと待ってくれ!アンタは誰だ!?“噂の委員会”って何だ!?」
エレーナ:「“噂の委員会”?」
だが、電話は切れてしまった。
勇太:「な、何なんだよ、もう!」
勇太も電話を切った。
マリア:「誰なんだ?」
勇太:「知らない。名前は名乗らなかったし、ボイスチェンジャーの声っぽい声で、男か女かも分からないんだ。フザけてるよ」
エレーナ:「“噂の委員会”……どこかで聞いたような……」
エレーナは腕組みをして首を傾げた。
エレーナ:「マリアンナは聞いたこと無ェか?“噂の委員会”って」
マリア:「聞いたことないよ。何なんだ?」
勇太:「エレーナは聞いたことがあって、マリアは聞いたことない?」
マリア:「私は無い」
エレーナ:「私はどこかで聞いたことあるんだよなぁ……。どこだったっけなぁ……?」
マリア:「まさか、金を出せばすぐに思い出すパターンじゃないだろうな?」
エレーナ:「そうかもしれん。が、今回はガチの天然だぜ。もっとも、出してくれたら案外早く思い出したりしてな?」
マリア:「ちゃんと思い出したら、払ってやるよ」
勇太:「さすがに、いつ思い出せるか分からない状態で、先払いはできないねぇ……」
エレーナ:「そりゃそうだ。で、“噂の委員会”は何て言ってたんだぜ?」
勇太:「『僕達が魔王城に行く事は叶わない。嘘だと思うなら、魔界共和党の事務所に行って聞け』だってさ」
マリア:「何でそいつ、私達が魔王城に行こうとしているのを知ってるんだ!?」
勇太:「気味が悪いよね」
マリア:「いきなり魔界共和党が出て来るってことは、“噂の委員会”とは魔界共和党の関係だろうか?」
勇太:「あ、そうか!政党組織だと、内部に『○○委員会』とかあるもんね!」
エレーナ:「魔界共和党……だったかなぁ……?」
エレーナは尚も首を傾げている。
勇太:「魔界共和党でピンと来ないの?」
エレーナ:「来ないんだぜ、これが」
勇太:「そうなのか」
マリア:「取りあえず向こうに行ったら、魔界共和党を訪ねてみよう。その時、“噂の委員会”について聞いてみればいい」
勇太:「それもそうか」
エレーナ:「で、結局、イリーナ先生からは電話が来なかったと」
勇太:「そういうことになるね」
マリア:「一体、何をしているんだか……」
勇太:「ま、いいや。今夜のところは部屋に行って休もう」
エレーナ:「コンドーム、買い足しといたか?」
勇太:「ええっ!?」
マリア:「エレーナ!……まだ、『多い』からムリ」
勇太:「薬が効いてるんじゃないの?」
マリア:「あの薬は、あくまで体調不良を抑える薬であって、経血とかを止める薬じゃないからな?」
エレーナ:「それは残念だったな」
勇太:「それじゃ、映画を観るのはどう?」
マリア:「それならいいかも」
エレーナ:「そっちに有料チャンネルのカードの自販機があるんだぜ?1枚1000円だぜ。毎度ありー」
勇太:「はいはい」
勇太は公衆電話や自動販売機が並んでいる所に置いてある、有料チャンネルのカード販売機に1000円札を突っ込んだ。
マリア:「ずっと寝てたから、あまり眠くなくてね。悪いね、付き合わせて」
勇太:「僕は全然構わないよ」
勇太とマリアは、エレベーターに乗り込んで行った。
エレーナ:「やれやれ、展開的には『結局ヤる』パターンだろうな、ありゃ」
エレベーターが勇太達の泊まっている3階まで上がった後、今度は下に降りてくる。
エレーナ:「ん?」
誰か宿泊客でも下りてくるのかと思ったエレーナだったが、地下1階まで下りて行った。
その後、またエレベーターが1階に上がって来る。
そして、ドアが開いた。
リリィ:「エレーナ先輩」
エレーナ:「どうした、リリィ?部屋に戻って、さっさと寝ろと言っただろう?明日は稲生氏達より先に、魔界に行かなきゃなんないんだぜ?」
リリィ:「学校の宿題。学校に提出する書類に、保護者のサインが必要なんです」
この場合、エレーナが代行している。
エレーナ:「何だよ、宿題って……」
リリィ:「“噂の委員会”の調査票です」
エレーナ:「あーっ!そうだった!やっと思い出したぜ!リリィの学校の宿題じゃん!」
リリィ:「フヒッ!?な、何かマズかったですか?」
エレーナ:「オマエ、もっと早く上がってこいよ!」
リリィ:「フヒーッ!?ご、ごご、ゴメンナサイ……」
エレーナ:「オマエの学校の委員会活動?ということは……」
リリィ:「これは魔法学科の宿題です」
エレーナ:「当たり前だ。一般教養の宿題なワケねーだろ。こういう宿題を出すのは、うちの一門から派遣されているマスタークラスで、この委員会に参加しているのは……」
リリィ:「フヒヒ……」
エレーナ:「もしかして、イリーナ先生も関係してねぇ?」
リリィ:「はい。イリーナ先生は“噂の委員会 粛清部”です。あの……呪い針を討ち込むヤツの……」
エレーナ:「あー、そうなんか。やっと思い出したぜ……」
リリィ:「何かあったんですか?」
エレーナ:「いや、何でもねぇ。今、あの2人はいいトコロだろうから、明日でもいいか」
リリィ:「???」