報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「午後の部と検査終了」

2022-06-17 21:04:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月30日13:00.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 国家公務員特別研修センター地下研究施設]

 午前の部は無事に終了した。
 昼食は食堂で取る。
 尚、検査とは直接関係の無い上野姉妹は地下に下りてくることはなかった。
 上野姉妹は私達が利用させてもらった地下食堂の、ずっと真上の研修センターの食堂を利用したはずだ。
 事実、メニューは上の食堂と同じであったようだ。
 因みにメニューは、ポークカレーとサラダ、福神漬けとオレンジのカットフルーツが出た。
 あとは味噌汁。

 愛原:「カレーだと、お代わり自由というわけにはいかないか」
 高橋:「それでも、ムショの飯よりは味が濃くて量が多いですよ」
 愛原:「そりゃそうだろう」

 昼食の時、リサはまた人間形態に戻っている。
 第1形態である鬼の姿が今の正体とはいえ、そのままにしては危険だと判断されたのだろう。
 白い仮面を着けていたのは、やはり鬼の顔を隠す為ではいないかと思った。

 愛原:「じゃあ、午後からも頑張ろう」
 リサ:「うん」

 リサとの比較の為に、私や高橋も眼底検査を受けることになった。
 これ以外にも心電図検査とか。

 愛原:「秋吉久美子ですか?」
 検査技師:「はい、秋吉久美子の順です」

 何のことかはウィキでチェック!
 しかし……装着された電極が、何だかくすぐったい。

 検査技師:「はい、正常です」

 検査が終わり、電極を外される。

 医師:「はい、真っ直ぐ私を見てください」

 次に医師の問診。
 目にライトを当てられたり、首元を触られたりする。
 本当の健康診断だ。

 医師:「次に、喉の奥を見てみましょう。このアイスの棒みたいなヤツで」

 かつては金属のヘラを使っていたと思うが、毎回消毒しなければならないのと、最近の衛生観念の更なる上昇により、それでも衛生上問題ありとなったようで、使い捨ての木製のヘラを使うようになっている。
 見た目は確かにアイスの棒だ。
 あと、患者の金属アレルギー対策というのもあるか(因みに作者はゴールドアレルギーであると、大学病院で正式に診断された。ゴールドのアレルギーなのに、金箔をふんだんに使っている寺院に参拝して良いのだろうか)。

 医師:「……はい、愛原学さん。特に、異常は見当たりませんね」
 愛原:「ありがとうございます」

 私はありがたいことに、アラフォーなのに何も異常は見つからなかった。

 レントゲン技師:「ちょっと、タバコの吸い過ぎには注意しませんとねぇ……」
 高橋:「てやんでえ」

 高橋の方が不健康だった。

 リサ:「先生……」
 愛原:「うぉっ、リサ?!どうした?!」

 第1形態に戻りながら、陰鬱な顔をしているリサと廊下ですれ違った。
 リサは上は半袖の体操服Tシャツ、下は体操服の短パンに穿き替えている。

 リサ:「次は歯科検診だって……」
 愛原:「そ、そうなのか。じゃあ、しっかり歯を磨かないと……」
 リサ:「やだなぁ……」
 愛原:「別に虫歯の治療とかじゃないんだから、大丈夫だろ」
 リサ:「アンブレラの研究所にいた頃、『歯を全部麻酔無しで抜いて、どれくらいで生え戻るかの実験』をさせられたから……」
 愛原:「うわっ、聞くだけで痛そう!」
 高橋:「どこかのマフィアの拷問ですかね?」
 愛原:「まあ、アンブレラも製薬マフィアみたいなものだからな……。と、とにかく、ここでは検査だけだから、歯を抜かれることはないよ」
 リサ:「先生、一緒にいて」
 愛原:「俺達は歯科検診の予定は無いしなァ……」
 看護師:「良かったら、お2人も受けて行かれませんか?」
 愛原:「えっ?」
 高橋:「えっ?」

 で……。

 愛原:「さっき食事をしたら、ガリッと石を噛むような感触があったんですけど……」
 歯科医師:「あー、だいぶ歯石がこびりついてますねぇ。恐らく、たまたま欠けた歯石が食事中に混じったんでしょうねぇ……」

 私は歯石だけで済んだが……。

 歯科医師:「えー、虫歯が1本……2本……3本……かな」
 高橋:「ファッ!?」
 愛原:「何でオマエ、そんなに虫食い状態なんだよ!?」
 歯科医師:「お2人とも、直ちに受診されることをオススメします」
 愛原:「そうします」

 さすがに私も、歯石を同居させるわけにはいかないからな。

 愛原:「高橋、オマエも帰京したら一緒に歯医者に行くぞ?」
 高橋:「せ、先生と歯医者デートっスか?」
 愛原:「アホか!……今度の平日に、歯医者の予約を入れておこう」

 で、リサは……。

 歯科医師:「はい、アーンして」
 リサ:「うう……」

 鬼の目にも涙。
 リサは額に角を生やした鬼の姿なのに、涙を浮かべながら恐る恐る口を開けた。

 歯科医師:「さすがはBOW。立派な犬歯が映えている。……それにしても、随分と頑丈で立派な歯だねぇ……。虫歯どころか、歯周病の類も見当たらない」
 リサ:「わはひのういうふへ、ほんはほんいひこほほははあ」
 高橋:「いや、何言ってるか分かんねぇよ」

 多分、『私のウィルスで、そんなもんイチコロだから』と言ったのだろう。

 歯科医師:「それじゃ、次は歯のレントゲンを撮りましょう。こちらのレントゲン室で」
 リサ:「キットカットのCMみたいに撮るんだっけ?」
 愛原:「それ、昔のCM!」

 で、レントゲンを撮ると……。

 歯科医師:「うわ、何これ!?」

 レントゲン写真を見た歯科医師が驚いた。

 愛原:「何ですか?……うわっ!?」
 高橋:「キモっ!?」

 口の中では分からないが、レントゲン写真を見ると、今見えている歯の内側にもビッシリと歯が生えているのが見えた。
 恐らく、第2形態とかに変化したら現れるようになっているのではないだろうか。
 より簡単に人間を捕食しやすくする為、日本版リサ・トレヴァーの遺伝子は、歯を過剰に用意することで対応することを選択したようだ。
 第一形態では内側に隠れているので、口の中を見ても分からない。
 せいぜい、牙が生えていたり、他の歯もギサギザになっているということくらいか。

 リサ:「キモいとか言うなぁっ!」

 リサは高橋にくって掛かった。
 だが、その時にリサの瞳が赤く光った。

 高橋:「いや、だってよ……」

 確かに、資料として色々なBOWの映像を見せてもらったことがあり、中には口の内側に歯がビッシリと生えている種類もあった。
 しかしそれは、見た目の姿も化け物といったもので、こっちのリサのように人の姿を保ったままそういう傾向があるというのは初めてだった。

 愛原:「まさか、第2形態に変化した状態も検査するんですか?」
 職員:「いえ、今回は第1形態のみです。本来は眼科検診がメインですので」
 高橋:「先生、第2形態や第3形態まで検査してたんじゃ、キリがありませんぜ」
 愛原:「まあな」

 とにかく、検査自体は一応何事も無く終わりそうだった。
 
コメント
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