報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「BOW達の試験」

2022-06-08 20:38:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日の私は通常業務……と言いたいところなのだが、今日は特殊な業務が入った。
 リサ達の関係だ。
 簡単に言えば、リサ達BOWの定期健診みたいなもの。
 人間と同じようにできないものだから(やり方はほぼ同じ)、BSAAの検診車を使っての検診であった。
 事務所が入居しているビルの裏手には駐車場があるのだが、大型車は止まれない為、マイクロバスや2トントラックを改造した検診車がやってきた。
 BSAAの車というと、くすんだ緑色の塗装が多いが、医療用はそうではないのか、まるで赤十字社のように白い塗装に赤十字のマークがしてあった。
 これなら、傍目から見れば日本赤十字社の検診車に見えてしまう(一応、ボディには小さく『BSAA極東支部日本地区本部』と書かれているのだが)。

 善場:「愛原所長、おはようございます。車両が到着しました。今日は立ち会いのほど、よろしくお願いします」
 愛原:「分かりました」
 上野凛:「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
 上野理子:「おはようございます」

 上野姉妹は土曜日なのに、学校の制服でやってきた。

 善場:「パクさん。あくまでも、見学という形ですので、くれぐれもよろしくお願いします」
 ヨンヒ:「分かっています」

 BSAA極東支部韓国地区本部の養成学校生であり、東京中央学園に留学してきたパク・ヨンヒも制服姿で来た。
 韓国の女子中高生の制服もブレザーが普通ということで、日本に来ても何の疑いも無く着ているようだ(尚、セーラー服と詰襟制服は反日の観点から全廃されている)。

 ヨンヒ:「韓国BSAAの養成所から来ました、パク・ヨンヒです。よろしくお願いします」
 愛原:「ど、どうも。探偵の愛原です……」
 高橋:「ふーん……。助手の高橋だ。なるほど」
 愛原:「何が?」
 高橋:「……いや。先生の仰る通り、某AV女優に似てますねって話です」
 ヨンヒ:「?」
 愛原:「あ、いや、これは失礼!」
 ヨンヒ:「それは……褒め言葉として捉えて宜しいのでしょうか?」
 愛原:「た、多分ね!」
 善場:「所長、よろしいでしょうか?」
 愛原:「あぁ、すいません。それじゃキミ達、向こうで着替えて来て」
 リサ:「はい」

 リサと上野姉妹は、事務所内の応接室に向かった。
 そこで制服から学校のジャージに着替えることになる。

 愛原:「どうして、日本に留学を?こんなコロナ禍で……」
 ヨンヒ:「BSAAにいれば、『こんなコロナ禍』だと分かるのですよ」
 愛原:「ええっ?」
 ヨンヒ:「世界中どこを見ても、人間並みの容姿、知性、理性を持ちながら、飼い慣らされているBOWはここだけです。また、そんなBOWから生まれたハーフが2人もいて、しかも人間と同じように生活しているという例も珍しいです。これは観察の対象になります。隣国のBSAAとしては、知らずにはいられません。しかし、現役の職員は嫌韓の連中……失礼、日本政府の厳しい規制により入国できないので、表向き、身分が学生の私が留学生という形で入国できたのです」
 愛原:「それはそれは……」

 なかなか狡猾な手を使ったものだ。
 身分が学生の外国人が、気軽に日本への留学もできないようになっているはずだが、どうやって規制を掻い潜ったのだろうか?
 今の政権では、完全にブロックなどできないだろうな。

 愛原:「かなり日本語が上手みたいだけど、これも勉強した?」
 ヨンヒ:「はい。BSAAでは内部でも色々と協定を結んでいまして、私は韓日協定の部隊への配属が予定されています。つまり、韓国と日本でバイオハザードが起きた場合、互いに協力してその鎮圧に当たるという協定ですね。日本と共同作戦を張る部隊への配属が決まっている以上、日本語の習得は必須です」
 愛原:「すると、“青いアンブレラ”のことは……」
 ヨンヒ:「それは渉外担当の別の部門の管轄です。私の所の管轄ではありません」
 愛原:「そうか……。パクさんは……」
 ヨンヒ:「ああ、私の事はヨンヒって呼んでください。愛原さんのことは、『愛原先生』とお呼びすれば宜しいですね?」
 高橋:「分かってるじゃねーか、韓国人よぉ」
 愛原:「分かった。じゃあ、ヨンヒと呼ばせてもらうよ。私のことは……まあ、好きなように呼んでくれればいい」
 高橋:「愛原先生とお呼び!……んべっ!?」

 私は新聞紙を丸めて、高橋の頭を引っ叩いた。

 愛原:「男のくせに女王様やんな!」
 高橋:「さ、サーセン……」
 ヨンヒ:「これからよろしくお願いします。愛原先生」

 そうしているうちに、リサ達がジャージに着替えて応接室から出て来た。
 まだ外は寒いので、上は長袖のジャージを着ていたが、下は短パンだった。

 リサ:「お待たせ」
 愛原:「おう。大丈夫か?下も長いズボンでいいらしいが……」
 リサ:「わたしは大丈夫」
 凛:「私もまあ、大丈夫です」
 理子:「私もです」

 体操着の見た目は、中等部も高等部も変わらない。

 リサ:「先生が命令するなら、下はブルマにするけど?」
 愛原:「いや、いいよ」
 ヨンヒ:「ぶるま?」
 愛原:「あ、いや、気にしないで。日本の文化です」
 ヨンヒ:「日本の文化……」

 うむ?もしかして、反日感情を煽ってしまったかな?
 反日感情の強い特定アジア人は、日本文化という熟語を聞くだけで脊髄反射するらしいからな。
 しかし、ヨンヒは単語の意味を考える仕草をするだけだった。

 リサ:「リンとリコも、いつでも先生の命令があってもいいように、ブルマと旧スク水は用意しとけ」
 凛:「は、はい!」
 理子:「分かりました、先輩」
 愛原:「おい、ちょっと待てリサ!」
 善場:「時間が無いので、さっさと行きますよ」
 愛原:「高橋、留守番頼むぞ!」
 高橋:「分かりました。お任せください」

 私達は高橋を事務所に残し、エレベーターに乗り込んだ。
 小さい雑居ビルのエレベーターだから定員は少なく、ギュウギュウに乗る有り様だった。
 それでも、定員オーバーのブザーは鳴らない。
 エレベーターの定員はあくまで目安であり、実際は積載量でオーバーか否かを決める。

 リサ:「ハァハァ……先生と密着できて、功徳~~~~~~!!」
 愛原:「アホか!」
 善場:「愛原所長、なるたけリサと一緒に電車に乗る時は満員電車を避けてください」
 愛原:「分かってますよ」
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“大魔道師の弟子” 「深夜の帰路の魔道士達」

2022-06-08 14:53:47 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月7日21:59.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR埼京線2142K電車先頭車内]

 地下ホームにハイテンションな発車メロディが鳴り響く。

〔19番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 京浜東北線のとは色違いの電車は、すぐにドアを閉めて発車した。
 信号の開通が遅かった為、余裕が無かったのだろうか。
 19番線から発車すると、上り本線に入る為にポイントの通過がある。
 当然、大きくカーブしているので速度制限が掛かっているわけだが、その制限速度ギリギリのスピードで通過したのか、ガクンと電車が大きく揺れた。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、新宿行きです。次は北与野、北与野。お出口は、右側です〕
〔This is the Saikyo line train for Shinjuku.The next station is Kita-Yono.JA25.The doors on the right side will open.〕

 地下駅を出発した電車は、一気に地上までの坂を駆け登る。
 恐らく蒸気機関車では登れない勾配だろう。
 力強い走りを見せてくれそうなイメージの蒸気機関車であるが、実際は電気機関車やディーゼル機関車よりも馬力は弱い。
 そんな坂を、この電車は難無く登る。
 地方ではたまに蒸気機関車がリバイバル運転されることがあるが、線区によってはディーゼル機関車も併結されているのは、蒸気機関車1両では登れない坂をディーゼル機関車が支援する為である(SL現役時代は上り勾配の緩い旧線があったり、SL2両連結で登っていた名残)。
 地上に出ると、今度は高架線に上がる為に一気に坂を登る。
 その後電車は、赤羽駅まで高架線を走る。
 マリアは本を出して、新宿に着くまで読書に勤しむようだ。
 電車内は週末夜の上りということもあり、空いていた。

 勇太:「あ……」
 マリア:「どうした?」
 勇太:「正証寺に参詣するの、忘れてた」
 マリア:「今回は時間が無い。また今度にすればいいさ。『また今度』があるのかどうかは【お察しください】」
 勇太:「藤谷班長から催促されてたんだった」
 マリア:「師匠が一緒なら、皆して師匠に興味があるんだから、逆にそれで時間が作れるのにねぇ……」

 その時、乗降ドアの上からチャイムが流れて来た。
 仙台では仙石線の電車のドアチャイムに似ているが、首都圏では運行情報が流れる時の合図である(もっとも、川越線や南武支線などで運転されている205系電車は、仙石線のそれと同じ形状をしている為、ドアチャイムの音色は同じである)。

 勇太:「うわ……『中央線快速電車 運転見合わせ』『中央・総武線各駅停車 運転見合わせ』か」

 どうやら、そこの沿線で人身事故が起きたらしい。
 埼京線は新宿駅で交差しているが、事故現場はそこではないので、幸いにも埼京線に影響は無さそうだ。
 日本語だと一応詳しくモニタに表示されるが、英語だと簡易的な内容になる。
 『運転見合わせ』は『Operation stopping.』、『人身事故』はただ単に『Accident』と表示されるだけである。
 因みに『停電』は『Electric power down』である。

 勇太:「ん?」

 埼京線で運転されているE233系には、ドアの上にモニタが2つある。
 うち1つは運行情報を流す為の物であるが、もう1つは広告やニュースなどを流す為にある。
 後者モニタで、ニュースが流れていた。

 『ロシアの首都モスクワで、断続的に銃声鳴り響く。マフィアの抗争か?』

 勇太がそのニュースに違和感を覚えたのは、気のせいではなかった。
 マリアも、同じような反応をしていたからである。
 日本国内では暴力団同士の抗争が起きた場合、それは確かにニュースとして報道される。
 しかし、海外のマフィアが自分の国で抗争を起こしたり、巻き込まれただけで日本国内でニュースになるものなのだろうか?
 それで邦人が巻き込まれてケガをしたり、最悪死亡したりとかだったら分かるが、少なくともニュースを見るに、そんなことは報道されていない。

 マリア:「あのニュース……師匠が絡んでないか?」
 勇太:「やっぱり!?」
 マリア:「アナスタシア組と結託して、何かをやろうとしているのかも……」

 アナスタシア組は、ロシア国内ではマフィアの一派ということになっている。
 師匠のアナスタシアは、マフィアの世界では唯一の女ボスとして知られているそうだ。

 勇太:「一体、先生はどっちの味方なんだろう?」
 マリア:「恐らくはロシア。師匠はロシア出身だからね。帰って来たら、色々と聞きたいことがある」
 勇太:「確かに。教えてくれるかどうかは、分からないけどね」

[同日22:43.天候:晴 東京都新宿区新宿 JR新宿駅→渋谷区代々木 バスタ新宿]

〔まもなく終点、新宿、新宿。お出口は、左側です。埼京線、渋谷、大崎方面、湘南新宿ライン、中央線快速電車、中央・総武線各駅停車、山手線、京王線、小田急線、東京メトロ丸ノ内線、都営地下鉄新宿線と都営地下鉄大江戸線はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔「中央快速線、並びに中央・総武線ご利用のお客様に、お知らせ致します。吉祥寺駅で発生しました人身事故の影響で、現在中央快速線は運転を見合わせております。尚、中央・総武線各駅停車につきましては、中野~千葉駅間で運転を再開しております。……」〕

 新宿駅から高速バスに乗り換える2人には関係の無い話だが、それにしても首都圏はいつどこで電車が止まるか分からない部分がある。
 電車はゆっくりと新宿駅のホームに進入した。

〔しんじゅく~、新宿~。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 2人は電車を降りた。
 新宿止まりの電車は、再び下り電車として折り返すが、その行き先は赤羽になっている。
 階段を昇って、コンコースに出る。
 バスタ新宿に面している南側のコンコースは、そうでない北側のコンコースよりかは人は少ない。
 北側は小田急線や京王線、東京メトロや西武新宿線など、他の鉄道会社とも乗り換えできるようになっている為、混雑しやすいのだろう。
 もっとも、南側も都営地下鉄なら乗り換えしやすいのだが(もっとも、都営地下鉄は他の鉄道会社と比べるとマイナー感が否めないが)。
 バスタ新宿に最も近い新南改札を出る。
 出ると、目の前にはバスタ新宿に向かうエスカレーターがあり、その前には高速バスの発車標もある。
 その意匠は、まるで空港のそれと似ている。

 マリア:「バスに乗る前にトイレに行きたい」
 勇太:「そうしよう」

 バスタ新宿の中に入ると、確かに夜行バスにこれから乗車する客らで賑わってはいた。
 ただ、それでもコロナ前と比べれば静かな気がする。
 客自体はけして少なくはなく、このままかつての賑わいを取り戻せるのではないかといった感じだ。
 静かなのは、外国人旅行客(特に中国人)が明らかに少ないからだろう。
 大人数で騒ぐ彼らがコロナ禍でいなくなったことは、一部の日本人や他の外国人からは【お察しください】。
 この考えは、大石寺参詣者の一部からも【禁則事項です】。

 勇太:「ん?」

 先にトイレを済ませたのは勇太。
 まあ、男はトイレが基本短い。
 トイレから出ると、勇太のスマホにメール着信があった。
 見ると、それは屋敷で留守番している専属メイド人形のダニエラから。
 内容はというと……。

 マリア:「お待たせ。あとはペットボトルとか買っておいた方が……って、どうした?」
 勇太:「いや、ダニエラからメールがあったんだ」
 マリア:「ダニエラから?珍しいな。何があった?」
 勇太:「先生が帰宅されたみたい」
 マリア:「なにっ!?」
 勇太:「まあ、この時間だし、相当お疲れらしいので、帰宅するなり、すぐに部屋に向かってしまわれたみたいだけど」
 マリア:「そうなのか……。じゃあ、もっと早く帰れば良かったかな……」
 勇太:「一応ダニエラには、先生に、僕達は明日の朝に帰ることを伝えてとは言っておいた」
 マリア:「まあ、それでいいだろう。まあ、疲れているのなら、私達のことを気に掛ける余裕は無いだろう。今からグースカ寝たら、多分私達が帰っても、まだ寝てるんじゃないかなぁ……」
 勇太:「じゃあ、明日は静かに帰った方が良さそうだね」
 マリア:「うん。どうせ、明日は修行なんてできないだろうしね」

 そんなことを話しながら、自販機でペットボトルを購入する。
 勇太はお茶を買っていたが、マリアは水を買っていた。
 バスの発車は23時5分、何事も無ければ明日の早朝には到着できるはずだ。
 
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