報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「帰省最終日」

2022-06-04 16:19:57 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月7日06:00.天候:晴 埼玉県川口市 稲生家3F]

 3階にあるシャワールーム。
 ここでマリアはシャワーを浴びていた。

 マリア:(まさか、本当に3回もヤるなんて……)

 夜中に勇太が忍んでやってきた。
 来るだろうと思っていたマリアは、その通りになったと思い、勇太の想いを受け入れた。
 屋敷に送ったであろうローションなど、実は一部は送っていなかったようだ。
 体を洗っているのは、自分や勇太の体液だけでなく、使用したローションを洗い落とす為である。

 マリア:(うん、確かにあのローションはいい……)

 因みにシャワーを浴びているのは2回目。
 3回目はここでした。
 マリアがシャワーを浴びていると、三度欲情した勇太が入って来たのだった。

 マリア:(さすがに今夜は無いだろう)

 そもそも、今夜出発するのだから当たり前だ。
 シャワーを使い終えると、マリアは全裸のままシャワールームを出た。
 そして、バスタオルで体を拭く。
 ショーツとタンクトップを着けていると、勇太の部屋から読経の声が聞こえて来た。

 マリア:(やってる。まあ、私はもう一眠りさせてもらうか……)

 マリアは自分の部屋に戻り、再びベッドに潜り込んだ。

[同日08:00.天候:晴 稲生家1F]

 マリアが1階に降りると、既に勇太がダイニングにいた。

 勇太:「マリア、おはよう」
 マリア:「おはよう」

 勇太の満足げな笑顔に、マリアも笑みを零した。

 佳子:「マリアちゃん、トーストは2枚でいい?」
 マリア:「あ、はい。ありがとうございます」

 思った通り、朝食はトーストとベーコンエッグであった。
 卵2個分とベーコンを何枚か焼いたものだ。

 宗一郎:「今夜、出発だったな?」
 勇太:「うん。夜行バスが取れたからね。バスタ新宿からだから、埼京線で行くと思う」
 宗一郎:「分かった。今夜は、いつもの通りの日帰り温泉に行こう」
 勇太:「ああ、あそこ」
 宗一郎:「夕食時から行くから、まあ17時台に出発する。その時、家にいる状態にしてくれ」
 勇太:「分かったよ。買い物は昨日のうちに済ませたから、多分今日はもう外に行かないかな」
 マリア:「あ……」
 勇太:「どうしたの?」
 マリア:「ゴメン。ちょっと行きたい所が……。いや、近くなんだけど……」
 勇太:「どこ?」
 マリア:「この前行ったイオンモールに、大きな本屋があるでしょ?」
 勇太:「須原屋だったかな。あるよ」
 マリア:「欲しい本がそこで売ってるみたいなんだ」
 勇太:「分かった。じゃあ、お昼はイオンに行こう」
 宗一郎:「昼も、そこで食べて来たらどうだ?」
 勇太:「そうするよ」

[同日10:10.天候:晴 同市内 蕨駅東口バス停→国際興業バスSC01系統車内]

 朝食を食べ終わった後、少しゆっくりしてから出発した。
 マリアは白いTシャツに黒いスパッツという出で立ちで朝食を取っていたが、さすがに出掛ける時は制服ファッションに着替えた。

 マリア:「一旦、家に戻るんだよね?」
 勇太:「そのつもりだよ」

 狭い歩道に1列になってバスを待っていると、ノンステップバスがやってきた。
 乗り込んで、後ろの2人席に座る。
 週末の午前中ということもあり、モールへ向かうバスはそこそこ賑わっていた。

〔「イオンモール川口前川行き、発車致します」〕

 バスはだいたい満席の状態で出発した。

〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは、イオンモール川口前川行きです。途中お降りの方は、お近くのブザーでお知らせ願います。次は猫橋、猫橋でございます〕

 大型ショッピングモールへ向かうバスということもあり、家族連れも見かける。

 勇太:「僕も、マリアの娘を連れて一緒にショッピングしたいな……」
 マリア:「そうだね……」

 娘というのは、『魔女が魔女を産む』という格言が魔女の世界にはあり、魔女が妊娠・出産しても、生まれるのは女の子のみというジンクスがあるからである。

 勇太:「悟郎さんの所、子供産まれたらしいね」
 マリア:「ナディアか……。確かに、娘だったみたいだね」

 勇太の従兄の稲生悟郎。
 勇太より先に、ダンテ一門の魔女と結婚している。
 今はナディアの故郷、ロシアのウラジオストクにいる。
 ロシアは戦争中だが、今のところ日本人だからどうというのは無いようだ。
 元々ウラジオストクは、日本人が多く住む町でもあるからか。
 ナディアは師匠違いとはいえ、マリアの先輩でもある。
 悟郎と結婚した後、しばらく子宝に恵まれなかったが、最近になって生まれたらしい。

 マリア:「勇太もそれでいい?」
 勇太:「マリアの子だから、きっと可愛いよね」
 マリア:「フフ……ありがとう」

[同日10:20.天候:晴 同市内 イオンモール川口前川]

〔♪♪♪♪。イオンモール川口前川、イオンモール川口前川。終点でございます。お忘れ物の無いよう、ご注意願います。ご乗車ありがとうございました〕

 バスは産業道路との交差点の長い信号待ちに引っ掛かってしまった。
 さいたま市内だと信じられないが、川口市内では片側2車線の幹線道路であり、知らないとそこが国道であるかのような錯覚を受けてしまう。
 県道同士との交差点だが、数字の若い産業道路(35号線)の方が優先道路になる為、バス通りの県道(111号線)はどうしても赤信号が長くなる。
 バスを降りると、すぐにモールの中に入った。

 勇太:「本屋は3階だね」
 マリア:「分かった」
 勇太:「エスカレーターで行こう」

 家族連れで賑わうモールの中。
 2人はエスカレーターで3階に上がった。

 勇太:「本というのは、人形作り関係の?」
 マリア:「それもある」

 どうやら、何冊か買うようだ。

 勇太:「嵩張らないかな?」
 マリア:「いざとなったら、また送るか」
 勇太:「途中に郵便局もあるからね」
 マリア:「そうなの?」
 勇太:「さっきのバス路線沿いに、郵便局があるよ。ああ、ちょっとバスの中から見えなかったけど」
 マリア:「そうなのか」

 取りあえず2人は、モール内の書店に向かった。
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“大魔道師の弟子” 「帰宅の魔道士2人」

2022-06-04 10:59:57 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月6日15:57.天候:曇 埼玉県蕨市 JR蕨駅→同県川口市 ローソンストア100]

〔まもなく蕨、蕨。お出口は、右側です〕
〔The next station is Warabi.JK41.The doors on the right side will open.〕

 電車が下車駅に接近する。

 勇太:「何だか曇ってきたなぁ…」
 マリア:「夕方から雨だそうだ。あんまり夜は出歩かない方がいいな」
 勇太:「そうか……」

〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕

 電車を降りると、湿っぽい風が2人を出迎えた。

 勇太:「じゃあ、急いで買い物して帰ろうか」
 マリア:「その方がいいな」

 蕨駅を東口から出る。
 本当はタクシー乗り場の前にあるベックスコーヒーでコーヒーでもしばきたいところだが、マリアの天気予報はよく当たる(というか、電車内での天気予報でも雨だと出ていた)。
 ので、さっさと買い物を済ませて帰った方が良い。
 蕨駅東口から100メートルほど東へ進むと、もう川口市である。
 境目は五差路の交差点。

 勇太:「ここで揃えよう」

 バス停の前の100円ローソンで、お使いの品を調達する。

 勇太:「はい、コンプリート」
 マリア:「さすがだ」

 食パン6枚切り2つ、マーガリン1個、キャベツのカット野菜1袋(ドレッシングは家にあるようだ)、生卵8個入り1パック、ハーフベーコン1パック、粉末スープ1箱。

 マリア:「おおかた、トーストと野菜、ベーコンエッグといったところか……。あとは、スープ」
 勇太:「何だか、屋敷の朝食みたいだねぇ……」
 マリア:「屋敷の方はマーガリンじゃなくてバターだし、野菜もキャベツを人形達が切るけどね」
 勇太:「すいません、安上がりで……」
 マリア:「いやいや。あくまでも、屋敷との比較だから。人形達は私の魔力が続く限り、休みなく働けるから、そういった手間も手間じゃないんだ」
 勇太:「それは素晴らしい」

[同日16:30.天候:曇 同市内 稲生家]

 勇太:「ただいまァ」
 マリア:「戻りました」

 勇太の家に戻ると、メイド人形のミカエラが廊下の拭き掃除をしていた。

 ミカエラ:「お帰りなさいませ」
 マリア:「クラリスは?」
 ミカエラ:「上で洗濯物を畳んでございます」
 マリア:「分かった」
 勇太:「便利な人形だなぁ……」
 マリア:「何を今さら……」
 勇太:「僕は母さんに買った物を渡しに行くから、マリアは先に休んでるといいよ」
 マリア:「いや、私も挨拶はしておく」

 というわけで、マリアも一緒にキッチンに向かった。

 勇太:「ただいまぁ」
 佳子:「あら、お帰り」
 勇太:「これでいいかな?お使いの内容」
 佳子:「ありがとう。……ああ、あそこのローソンで買ったのね。東武ストアーは?」
 勇太:「だって僕、東武ストアーのカード持ってないもん」
 佳子:「それもそうか」
 勇太:「dポイントカードなら持ってるから、ローソンならそれ使えるし」
 佳子:「そういうことね」

 勇太のスマホがドコモである関係で、dカードを所持している。

 佳子:「じゃあ、立替払いね。レシートちょうだい」
 勇太:「はいはい」
 佳子:「フム……。こんなものか。じゃあ、これ。お釣りは御駄賃代わりに要らないわよ」
 勇太:「ありがとう。(もしかして、これをやりたかっただけじゃ?)」
 マリア:「私の人形に手伝わせましょうか?」
 佳子:「いいのいいの。掃除を手伝ってくれるだけで十分だから」
 マリア:「そうですか」
 佳子:「マリアちゃんの洗濯物、お人形さんが取り込んでくれたみたいよ。多分、部屋の中にあると思うわ」
 マリア:「ありがとうございます」
 勇太:「! 僕、畳んできます!」

 勇太は鼻息を荒くして、キッチンから飛び出した。

 マリア:「あっ、コラ!」

 マリアも後で出て行く。

 佳子:「仲がいいわねぇ……」

 マリアが向かって来る寸前、エレベーターのドアが閉まる。
 それで3階に先に向かう勇太。

〔3階です〕

 ドアが開いて、マリアの部屋に向かう。
 階段からは、下から駆け上がって来る音がするが……。

 勇太:「おおっ!あれはマリアの……!」

 ベッドの上にマリアの服や下着が畳まれていた。
 だが!

 クラリス:「…………」

 ガシッと後ろから羽交い締めにされた。

 勇太:「うわっ!」
 クラリス:「……マスターの御命令です」
 マリア:「でかした、クラリス!」

 マリアが追い付いた。
 1階から3階まで階段を駆け登ったこともあり、息せき切っている。
 だが、ハァハァと肩で息をしているマリアを見た勇太は……。

 勇太:(肩で息をしているマリアもかわいい……)
 マリア:「なに、コック起たせてんの!」

 マリアは元気になっている勇太の下半身をペチッと引っ叩いた。

 勇太:「あぅっ!?」
 マリア:「ディナーの時間まで、部屋から出さないで!」
 クラリス:「かしこまりました」
 ミカエラ:「仰せのままに」

 勇太はマリアの人形に首根っこ掴まれて引きずられ、自分の部屋に放り込まれた。
 そして、2体の人形はメイド服の中からアサルトライフルとショットガンを取り出し、歩哨に立った。

 マリア:「全く……」

 マリアは大きく息を吐いて、自分の部屋に入った。
 そして、洗濯済みの服や下着を自分のバッグの中に入れる。

 マリア:「明日はこれにしよう」

 マリアは初日に着ていた服を、明日着る服に選択した。

 マリア:「ミカエラ」
 ミカエラ:「はい、マスター」
 マリア:「ちょっと、人形形態に戻って。あなたの新しい服のサイズ合わせをするから」
 ミカエラ:「かしこまりました」

 ミカエラは人間形態から人形形態に戻る。
 コミカルな動きをするフランス人形といった感じ。
 マリアは夕食の時間まで、人形達の服のサイズ合わせとデザインを考えた。
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